2023年11月12日日曜日

自動車メーカー各社の納期

ここのところトヨタ車の納期が絶望的に長く、「販売店にお問い合わせください」と表示される車種が大半です。トヨタは半導体不足が原因としていますが、トヨタが調達でそんなヘマをする会社とは思えませんし、半導体不足が本当なら国内他社はどうなっているだろうかと思って調べてみました。

まずはマツダから。主力車種のCX-60、CX-5、CX-30はなんと0.5〜1ヶ月程度で工場出荷です。Mazda 3はSkyactiv-Xも含め1ヶ月程度です。他は概ね2〜3ヶ月程度ですが、タイの工場から輸入しているCX-3と、数の出ないロードスターRFのみ4ヶ月程度とのこと。意外なのは一見数が出そうなMazda 2の納期が3ヶ月前後であること。Bセグメント車は利幅が薄いので、生産能力に制約があるときにはCX-60のような利幅の大きい車の生産を優先させているのかもしれません。マツダの場合、積極的に売りたい車ほど納期が短いようです。

次はスバル。どれも2ヶ月程度で、一部2〜3ヶ月程度の車種もあります。車種によるばらつきがほぼ無く、どの車種も通常想定される納期であることから、生産能力が制約になっていないのではないかと推測します。

ホンダは比較的納期が長いです。フリードだけは1ヶ月程度ですが、ガソリンエンジン車を中心に半年かかる車種もあります。売れない車の生産を後回しにしているのでしょうか。日本向け販売の主力である軽自動車のN-BOXとN-ONEは2ヶ月程度と標準的で、生産能力の制約は無さそうです。

日産はZのような一部の売り切れ車種を除き概ね1〜2ヶ月程度。売上が補助金に左右されるサクラは今のところ1〜2ヶ月程度。マイナーな車種で3〜4ヶ月程度。ホンダもそうですが、数の出ない車は一定のロット数に達してから生産するのでしょうか。

三菱は人気車種ほど納期が長い傾向。バックオーダーを抱えているのでしょうか。

ダイハツはどれも1ヶ月〜となっており、生産能力の制約はなさそうです。

スズキは本社からは納期の開示なし。販社の情報では、相変わらずジムニーの納期が長いです。

このように横並びに見てみると、トヨタ車の納期だけが異常です。半導体不足が本当であっても、他社は普通に生産できていますので、果たしてそれだけが原因なのか疑わしいです。燃費が良くて航続距離の心配のないハイブリッド車が世界的に売れまくっているというのもあるかもしれません。トヨタはマツダと異なり海外生産が多いのにどうしたのだろうと思って調べてみたら、国内生産の半分くらいが輸出されているようです。今は円が安く輸出向けの方が高く売れますので、円が安いうちに輸出で稼ぐべく、生産能力を輸出向けに優先的に振り向けているのでしょうか。

また、マツダの納期の短さが際立っていますが、他社で通常想定される納期よりも短いのは混流生産によって受注後すぐに生産ラインを押さえられるからでしょうか。

ホンダや日産はグローバルに生産していますが、ホンダの日本国内の工場の輸出依存度が低いのに対し、日産は海外生産比率が高いのに国内工場の輸出依存度が高く、裏返せば日本国内ではろくに売れていないことになります。国内での主力車種はノート、セレナ、エクストレイルですが、セレナとエクストレイルは数が出ませんので、事実上ノートくらいしかありません。

トヨタ車を買いたくても買えない状況のもと、他社の営業が「うちなら早く納車できますよ」と売り込んでもおかしくありませんが、トヨタのハイブリッド車に匹敵する燃費性能の車はなかなかありません。となるとトヨタ車の中古車市場の相場が上がっているのかなという気もしますが、ハイブリッド車はバッテリーが劣化しますので、必ずしも新車の代替にはなりません。