2022年3月13日日曜日

Mazda 3は良くも悪くも4人乗りロードスター

Mazda 3が一般に発売される前のインタビュー記事で開発主査が「4人乗りロードスター」というのを掲げていましたが、当時は実車に乗る機会がなかったため、実感が湧きませんでした。しかし実車に2年以上乗ってみると良くも悪くも4人乗りロードスターだと感じます。

まず良い点からですが、ホイールベースが2725mmもある割には気持ちよく曲がります。多分にGVC+の効果もあるのかもしれませんが、コーナーでステアリングを切ると、あたかもステアリングホイールが適切な位置に吸い込まれるような感覚があります。気持ちよく曲がるのは先代アクセラもそうでしたが、それが純化されたような印象を受けます。次に、一般道をゆっくりと走ると地面を踏みしめるような感覚があります。ロードスター的な用途で走らせる分には後席に人が座れるし荷室も広いし屋根がついているし静かだし、実用的な車だと感じます。ロードスター的な使い方をするなら、ロードスターよりも長距離を走りやすいのではないでしょうか。Mazda 3の2Lガソリンエンジン車とロードスターの1.5Lエンジン車とがほぼ同じパワーウェイトレシオで、パワー感は無いけれどもゆっくり走る分には気持ちよく走れる程度のパワーはあります。エンジンを回すのが好きな人には1.5Lという選択肢もあり、近所に買物に行くだけでも楽しいですが、いかんせんパワーがありませんので遠出をするには覚悟がいります。

悪い点というか、開発コンセプトに合わない点は、高速道路でどっしりと走るのには向いていないということです。サスペンションの当たりが取れてくるにつれてだいぶ乗り心地がよくなってきましたが、路面の凹凸をコツコツと拾いますので、ドイツ車のような高速GTカー的な乗り味とは異なります。図体が一回り大きくてもあくまでもライトウェイトスポーツカー的な乗り味ですので、高速道路で長距離走るとせわしなくて疲れます。極端に例えるなら、舗装道路を裸足で走るような感覚です。舗装道路を走るときにはせめてクッションの効いた運動靴を履きたいものです。商品改良でフラット感を高めるセッティングに変更されたとのことですが、商品改良後の実車に乗ったことがありませんので、どの程度改善されたのか知りません。高速道路で長距離を走りたかったらCX-5やもっと上の車格の車を買えということなのかもしれませんが、Mazda 2のディーゼルエンジン車でも高速道路には強いので、やはり開発コンセプトの問題ではないでしょうか。同じCセグメントならCX-30の方が乗り心地も含めてもっと実用性に振っているかもしれません。

高速道路にあまり向かないというのは「パワーが無い」という意味ではありません。他社の同クラスに比べれば控えめですが、不足することはありません。アクセルを踏めば追い越し加速でも特に不自由ありません。ブレーキも、踏力をしっかりかければ効きます。しかしパワーと足とは別の話で、速度を出せることと、その速度で気持ちよく運転できることとは別の話です。

そういう車だとわかったうえで、実用性を損ねないライトウェイトスポーツカーが欲しい人にはベストマッチではないかと思います。ロードスター1台で済ませるためには相当なやせ我慢が求められますが、Mazda 3ならこれ1台で済みます。一方、高速道路に強い車とは向いている方向が全然違いますので、同じ尺度で比較するのは無意味ではないかと考えます。