2018年10月25日木曜日

CX-8にガソリンエンジン車登場

CX-8の商品改良で従来からの2.2Lディーゼルエンジンに加え、2.5Lガソリンターボと2.5L自然吸気エンジンが登場しました。2.5Lターボは4WDのみ、2.5L自然吸気エンジンはFFのみと棲み分けています。もともと2.5Lターボはディーゼルエンジン車を販売できない国向けですのでCX-5と同様に日本向けにも搭載するのはわかりますが、2.5L自然吸気エンジンが出たのは意外でした。アーリーアダプター向けに高価な2.2Lディーゼルエンジン車が行き渡ったら次はもっと安いグレードで普及を図るのでしょう。

折しもアルファード・ベルファイアのマイナーチェンジが発表された直後ですので、そういえばアルファード・ベルファイアも一番安いグレードは2.5Lエンジンであることを思い出しました。アルファードは2.5Lエンジンであってもパワーに余裕があって運転が楽ですので、それならCX-8だって2.5Lエンジンでもある程度は走るのでしょう。マツダの2.5Lターボは3.7LのV6エンジンの代替ですし、2.2Lディーゼルは長距離巡航が得意で燃費が良いという点ではトヨタのハイブリッドモデルに近い位置づけでしょうか。

せっかくですので価格を比較してみると、やはりCX-8の方が一回り安いです。ベースグレードの2.5L自然吸気エンジンで消費税込本体価格2,894,400円に対し、アルファードのベースグレードで3,376,080円です。アルファードの方が少々高いですが、なにぶんリセールバリューがとても高い車ですので、実質的な価格差はほとんどないと言えます。

次に真ん中の2.5LターボはProactiveで3,742,200円、L Packageで4,244,400円に対しアルファードの3.5Lでは下位グレードで4,652,000円、上位グレードだと7,028,640円と全然違います。Exclusive Loungeは内装が別格ですので同じグレードで比較するとしたらCX-8 L Packageの4,244,400円とアルファードGFの4,652,000円との比較でしょうか。これもリセールバリューを考慮するとアルファードの方がお買い得かもしれません。

CX-8のディーゼルエンジン車だと3,607,200円~4,460,400円、アルファードのハイブリッド車はExclusive Loungeを除くと4,384,800円~5,551,200円と一回り高いです。しかしそれでもアルファードは高いグレードほどリセールバリューが高いので、この価格差はリセールバリューの差といえるかもしれません。

CX-8内での各グレードの比較では、パワーもトルクも2.2Lディーゼルエンジンに引けを取らない2.5Lターボがディーゼルよりも少し安いのが目につきました。ディーゼルエンジンよりも補機類が少なくて製造コストが少し安いのと、長距離乗ると燃料代がかさむためでしょうか。2.5L自然吸気エンジンだと2.5Lターボよりも50万円ほど安く、それでも見た目は高いグレードと一緒です。

同じエンジンを積んだCX-5との比較では、下位グレードの価格差が小さい一方で、上位グレードの価格差が大きいです。また、CX-5の2.5LターボはL Packageしかない一方で、CX-8の2.5LターボはProactiveもありますので、4WDどうしの比較だと価格差がほとんどありません。CX-8の2.5L自然吸気エンジンはアルファードのベースグレードに合わせて低めの価格をつけているようで、廉価グレードであってもCX-9と同じ足回りであることを考えれば、お買い得に見えます。プレマシーよりはまだ一回り高いものの、だいぶ歩み寄ってきた感があります。

2018年10月23日火曜日

デミオの中古価格を調べてみました

デミオのガソリンエンジン車のエンジンが1.5Lになってから1.3Lの中古が安くなったかなと思って中古価格を少し調べてみました。1.3Lであってもアクセラ1.5Lよりもパワーに余裕がありますので、高速道路に乗らないなら1.3Lでも十分で、さらに安ければそれに越したことは無いと思った次第です。中古車といってもピンキリですのでとりあえずマツダ公式サイトで掲載される各ディーラーの中古価格を見てみました。

まず年式の新しい順で検索してみると走行距離数千km程度の13Sが乗り出し160万円くらいで出てきます。1.5Lの新車だと乗り出し200万円くらいしますので、それに比べれば一回り安いものの、1.3L末期は値引き幅が大きかったことを考えれば、中古といえどもさほど値下がりしていない印象です。登録未使用だともう少し高くなり、それなら1.3L末期に新車で買った方が得だったのではないかと思えてきます。

物は試し乗り出し価格の安い順で検索してみると、10年落ちのDE前期型デミオが乗り出し40万円くらいで出てきました。さすがにいまどき4ATはつらいですが、5MTでしたら遜色ありませんし、探せばMT車も出てきます。4ATが嫌ならCVTという選択肢もあります。

免許を取り立ての初心者が近所で練習するには手頃かもしれません。運転して楽しい車ですので、車の運転が好きになれば上達の足しになることでしょう。DE前期型デミオは長距離乗るにはつらいですが、どうせ初心者ならそんなに遠出はしないでしょう。万一こすったりぶつけたりても3年くらいで履きつぶすつもりでしたらさほど惜しくありません。3年乗れば1年当たり13万円程度ですので、カーシェアリングで毎月1万円使うのとほぼ同じコストです。

10年経っている車でも走行距離が数万km程度で、5万km超えの車はほとんど出てきません。走行距離の長い順で検索してみても最大で9万kmでした。過走行の車なんて値がつかないのでそもそも中古市場には出てこないのでしょうが、それにしてもそんな程度の距離で手放すなんて、よほど満足いかなかったのでしょうか。あるいは残クレでディーラーが引き取った車でしょうか。いずれにせよ年間数千kmしか乗らないならカーシェアリングでも十分ではないかと思えます。

2018年10月11日木曜日

GVC Plusに関する素朴な疑問

2018年10月11日にG-Vectoring Control Plus (GVC Plus)が発表されました。最初はCX-5から搭載されるようですが、いずれマツダの全車種に展開されるようです。プレスリリースによると、以下の効果が期待できるとのことです。
新たにブレーキによる車両姿勢安定化制御(直接ヨーモーメント制御)を追加することで、より高い安定化効果を実現しました。旋回中のドライバーのハンドル戻し操作に応じて外輪をわずかに制動し、車両を直進状態へ戻すための復元モーメントを与えることで安定性を向上。ヨー、ロール、ピッチの各回転運動のつながりを高い旋回Gの領域まで一貫させ、素早いハンドル操作に対する車両の追従性を高めるとともに、挙動の収束性を大幅に改善します。これにより、緊急時の危険回避能力を高めるとともに、高速走行時の車線変更や、雪道など滑りやすい路面環境においても、人間にとって制御しやすく、より安心感の高い動きを提供します。
実際に乗ってみれば効果を実感できるのでしょうが、このプレスリリースを読んだ時点でいくつかの素朴な疑問を抱きました。

1.なぜエンジントルクの制御ではなくブレーキによる制御なのか

GVC発表時には、エンジントルクを制御する理由として「ブレーキよりもエンジンの方がはるかに反応速度が速い、とりわけSkyactivエンジンは反応が速いため、理論通りに実装できる」ということが挙げられていました。それなら曲がりすぎないようにするためには同様にエンジントルクを増やせば済むはずです。どうして「反応が遅い」はずのブレーキで制御するのでしょうか。

思い当たるのは、エンジンとブレーキとで担っている領域が異なる可能性です。エンジントルクの制御では0.01G~0.05Gの微小なGの変動による揺れを抑え込むことに主眼が置かれます。ブレーキによる制御は「素早いハンドル操作」による「高い旋回Gの領域」に対して効果的とされていますが、このときに発生するGは0.2G~0.4Gくらいと1桁以上異なります。微小な振動を抑え込むときほどには素早い反応が求められているわけではない一方で、より大きな曲げモーメントを発生させる必要があります。

2.だったらコーナー脱出時にアクセルを踏めばよいのではないか

コーナー手前でブレーキをかけるのは難しいですが、コーナーから出るときにアクセルを踏んで加速するのは比較的簡単です。それくらい人力でできるのではないでしょうか。

たしかに通常のコーナーではさほど難しくありませんが、危険回避のために避けるときや急に車線を変更するときにはS字コーナーを曲がることになります。S字コーナーではコーナー入口から出口まで向きが変わっても等速を維持しないとうまく曲がれません。アクセルを踏んでからブレーキを踏んでなんてやろうとしても操作が追い付きません。しかも自分を含めて素人は大抵ステアリング操作が遅れます。急な操作であればなおさらです。本来ステアリング操作はコーナリングフォースを与えるための操作なので早めの操作が必要なのですが、曲がりたい方向にステアリングを切るという発想だと操作が遅れます。

そういうヘタクソのためにステアリング操作からドライバーの意図を汲み取って曲がりすぎないように補正するのが効果的なのかもしれません。

3.なぜハンドルを切る際の動作に言及されていないのか

車体を曲げることを目的としたトルクベクタリング自体は他社でとっくに実現していて、特にブレーキによって制御する方式は、駆動力の損失が生じる反面、デフに凝ったギミックを載せるのと違って構造が比較的シンプルです。曲げたい側の車輪にブレーキをかけることで姿勢を制御するなら、ハンドルを戻すときだけでなくハンドルを切るときにも効果があって然るべきですし、他社ではむしろそちらをアピールしています。しかしマツダではなぜかそちらは強調されていません。

まず思い当たるのは、コーナリングの際にブレーキをかけるなら、ハンドルを切ってからブレーキをかけるのでは遅くて、先に十分に減速してからハンドルを切る操作とブレーキを抜く操作を同時に行うことが必要です。しかし、ハンドルを切る前にブレーキを踏んで減速している時点では、車はどちら向きに曲がろうとしているのか判断できません。ではハンドルを切ってからブレーキをかけるのはどうかというと、内輪にブレーキをかけて無理やり曲がるのは、たとえそれが可能であっても、減速Gから横Gへと滑らかに繋ぐという考え方と両立しないのではないかと想像します。

もう一つの可能性としては、エンジントルクを絞る既存のGVCでも既に高めの速度でコーナーに突っ込んでも意外と曲がれてしまうため、敢えて内輪にブレーキをかけて無理やり曲げる動機が乏しいのかもしれません。