2024年1月16日火曜日

ディーゼルエンジンによるシリーズハイブリッドは可能か

ハイブリッド車は、電力回生のみならず、エンジンだけではトルクの不足する領域でモーターアシストをするものです。それに対してディーゼルエンジンは低回転でトルクが太いのでモーターアシストは不要と考えられています(トラックにはディーゼルハイブリッドもありますが)。それに、ディーゼルエンジンはターボチャージャーやインタークーラーや、ブレーキサーボ用の真空ポンプや、環境対策のためのDPFフィルターといった補機類を既に多く積んでいますので、そこからさらにモーターや発電機や蓄電池といった補機を増やすのは冗長に見えます。

しかしそれはトヨタのTHS2のようなパラレルハイブリッド車の話であって、エンジンを発電専用に用いるシリーズハイブリッドでは、エンジンの効率の良い領域のみを使うことができることが効率性の源泉です。低回転での太いトルクは電気モーターによって実現しています。それはガソリンエンジンだろうとディーゼルエンジンだろうと、はたまたロータリーエンジンであっても同様です。もしディーゼルエンジンを発電専用に用いるなら、熱効率の良い領域だけで使うことができますので、駆動用ディーゼルエンジンに積むような補機類を省略したりできないものでしょうか。ディーゼルエンジンは窒素酸化物対策と煤対策が難しいですが、熱効率の良い領域でしか使わないなら、環境対策も容易になりそうです。

ディーゼルエンジンは自然吸気では同じ排気量の自然吸気ガソリンエンジンよりもパワーが低いですが、ガソリンエンジンよりも低温で燃焼できますので、排気量を増やすことで発電用エンジンとして十分な容量を確保できれば、効率の良い発電用エンジンにならないものでしょうか。1.5L自然吸気ディーゼルエンジンで、1.2L自然吸気ガソリンエンジンや800ml自然吸気ロータリーエンジンと同じくらいのパワーが出るなら、これら3つの中では最も熱効率が良かったりしないものでしょうか。駆動用エンジンの補機と変速機(これも結構重い)の代わりに発電機とモーターと蓄電池を積むなら、重量を同じくらいかあるいは少し軽くできそうです。

800mlロータリーエンジンもRX-7の頃のエンジンに比べればかなり燃費が良くなっていて、1200kgくらいのBセグメントのシリーズハイブリッド車なら23km/Lくらいは目指せそうですが、ロータリーエンジンは原理的にレシプロガソリンエンジンよりも熱効率が悪いです。熱効率の勝負であれば補機類を省略した自然吸気ディーゼルエンジンにも可能性がないものでしょうか。レシプロガソリンエンジンを積んだ日産ノートe-Powerで実燃費25km/Lくらい、ロータリーエンジンを積んだシリーズハイブリッドで23km/Lくらい出せるなら、自然吸気ディーゼルエンジンで30km/Lを超えることができないものでしょうか。軽油で30km/L超えならヤリスハイブリッドと並んで世界最高水準の燃費性能になりえます。

さらにいえば、ディーゼルエンジンではバイオディーゼル燃料を使うこともできます。持続可能な燃料が使えるならエンジンを残すことができます。ロータリーエンジンも雑食性と言われていますが、液体水素は技術的なハードルが高いですし、ガソリンエンジン向けの持続可能な燃料というとバイオエタノールくらいしかありませんが、バイオエタノールは食と競合します。