2016年7月25日月曜日

ルームミラーの振動

最近、ルームミラーで後ろの細かいものを見ようとすると振動で像がぶれるのが気になるようになりました。余計なものをつけると振動するようですが、純正のまま、何もつけていません。もちろん、後ろに車がいるかどうかを視認する程度でしたらさほど支障しませんので、もともとこれくらい振動していたけれども今まで気にしていなかったという可能性はあります。

2016年7月19日火曜日

コーナーの入口と出口

わかっている人にとっては何を今更な話でしかありませんが、コーナーの出口でGを移動させるのが比較的容易なのに対して、コーナーの入口で最適な減速度に持っていくのは難しくて、なかなかうまく行きません。

コーナーの出口では、コーナーでの遠心力に見合った加速度を与えてやればよいので、最終的にどれくらいの加速度を与えればよいかを体で覚えていて、その加速度に達するまで徐々にアクセルを踏み込んでやればよく、あとはいかにして横方向の加速度と前方向の加速度をきれいにつないでいくか次第です。コーナー中心から前へと運転を組み立てますので、比較的容易です。また、コーナーの出口では徐々に見通しがよくなっていきますので、線形を読みやすいです。今の技量では常に成功するわけではありませんが、それでもうまくいったときにはGが回っていくのを感じます。

一方、コーナーの入口では円曲線通過時のターゲットとなる横Gを想定し、そのGに見合った減速度を与えた上で、コーナーの手前でターゲットとなる横Gに見合った速度に合わせる必要があります。そのためには、まずコーナーを目視して、この線形ならこれくらいの速度で通過できそうだと当たりをつけ、コーナーの手前までにその速度まで減速しようと思い立ち、ターゲットとなる横Gに合わせた減速度で減速するために減速を開始する場所を決定する必要があります。コーナー中心から逆算して手前側へと運転を組み立てていくわけです。

これらの演算を瞬時に行ってその通りに運転するのはなかなか大変です。最初にブレーキをかけ始める時点で既に勝負がついています。タイミングが合わなければその先どうやってもうまく行きません(逆に言えば、うまくいかない場合にはブレーキをかけ始めるタイミングをいろいろ試してみればよいわけですが)。狙い通りにブレーキをかけることができなければコーナリング以前の問題に思えます。しかもブラインドコーナーではコーナーの後ろ半分は最初は目視できませんので、カーブが徐々にきつくなるようなコーナーでは線形の予測を誤ってステアリング操作が遅れる可能性も高いです。

ターゲットとなるGが大きいと難しいですが、ターゲットとなる横Gが小さければその分曲線通過速度が低くなりますし、早めに減速を開始することになりますので、比較的余裕を持って操作できます。また、コーナーの出口でアクセルを踏み込んで加速する以上、それに見合った減速をして十分に速度を落とさなければ、コーナリングのたびに際限なく速度が上がってしまいます。Gが小さければi-DMで青点灯しませんし、そうなると必然的に点数は4.5点以下になりますが、青点灯にせよ点数にせよ結果でしかなく、それ自体を目的にするのは本末転倒だと思います。

例えば高速道路の本線上で常識的な速度で走っている限り横Gはほとんど発生しませんので(巡航速度に見合ったカントもついていますし)、それに見合った減速度と加速度も低めになります。コーナー手前でアクセルを緩めて減速し、コーナー入口からコーナー出口にかけて徐々にアクセルを踏み込んでいけば比較的きれいに曲がれます。高速道路に限らず道路構造令に準拠した道路ではもともと設計速度を保ったまま巡航できるように設計されていますし、円曲線の前後にクロソイド緩和曲線もありますので、一定速度で巡航しても横方向にGが滑らかに移動するのですが、微小であるにせよGを回すともっと気持ちよく走れます。

ちなみにコーナリングで練習しやすいと感じるのは高速道路のランプウェイです。円曲線区間が長いため、等速で舵角一定の運転をしやすいですし、前後の緩和曲線も長いので、時間に余裕を持って操作できます。高速道路のランプウェイといえば、本線上では加減速せず、減速車線に入ってから減速し、加速車線にいる間に本線上の巡航速度まで加速するのが原則ですので、加速度や減速度は比較的大きめです。減速車線に入ってから徐々にブレーキを踏み込んでいって、緩和曲線を経て時速40km制限の円曲線へと進入していきます。本来ならばコーナーの入口は難しいのですが、高速道路では道路の設計通りに走れば滑らかにGが移動するように設計されていますので、一般道の普通のコーナーよりはやりやすく感じます。

高い横Gに対応するためにはタイヤのグリップ力が必要ですし、高い横Gに見合った加速度のためには動力性能やブレーキ性能が必要であるばかりでなく、ドライバーにも高い技量が求められますので、スポーツカーはそういう前提で作られているのでしょうが、デミオディーゼルはスポーツカーではなくツアラーですので、峠よりも高速道路の方が身近に感じられます。

高速道路以外では、酷道や林道が運転の練習に向いているのではないかと考えます。狭くて曲がりくねっていますので低めの速度でも横Gが高くなりGの動きを感じやすいですし、ブラインドコーナーで対向車を発見しても安全に停止できる速度で走るとなると必然的に速度も抑え気味になりますので、無理の無いGで運転することになります。それに、曲がりくねっているということはコーナーの数が多いということですので、コーナリングの練習回数も多くなります。低い速度で丁寧に運転する経験を積んでから普通の道路に出ると俄然走りやすく感じます。

2016年7月14日木曜日

ついに日本でもアクセラ1.5D発売

しばらく前から噂は出ていましたが、2016年7月14日についにマツダから正式に発表されました(「マツダ アクセラ」を大幅改良)。アクセラの重量だと1.5Lディーゼルエンジンではパワーが足らず、ストップアンドゴーの多い日本の道路では不利なのではないかと考えていました。その割に2Lガソリンエンジンよりもフロントが重くなりますし、ディーゼルエンジンは自然吸気ガソリンエンジンよりも高価ですので、2Lガソリンエンジン車よりも高くて重くて走らない曲がらない車でしたら市場に出す意味がありません。その課題をいかに解決して市場に出せるようにしたのか見ものです。パワーウェイトレシオ12.95kg/psの車が果たしてインプレッサ2Lと競合できるのでしょうか。

【仕様】
《エンジン》
CX-3と同様です。エンジン型式もデミオやCX-3と同じです。

《変速機》
デミオやCX-3と同じ中容量の変速機で、当然変速比も同じです。

《タイヤ・ホイール》
15XDでは16インチのみ、15XD Proactiveは16インチが標準でオプションで18インチ、15XD L Packageでは標準で18インチです。デミオディーゼルは16インチよりも15インチの方がホイールが軽い分だけ出足が軽いので、アクセラも出足の良さや低速域での乗り心地を重視するなら16インチの方が有利です。

《変速比・最終減速比》
UKやドイツのサイトでは開示されていなかった最終減速比が開示されました。4.056です。同じエンジン・同じ変速機を搭載しているデミオディーゼルとCX-3の最終減速比はそれぞれ3.389と3.591で、車輪外径の差を考慮するとデミオとCX-3とでほぼ同じ、アクセラ1.5DはデミオやCX-3よりも2割ほどローギアです。ATの制御にもよりますが、同じ速度ならエンジン回転数は25%増しで、デミオやCX-3が2000回転のときにアクセラ1.5では2500回転、1500回転のときに1800回転です。

マツダのAT車はだいたい2000回転まで上がったらシフトアップして1500回転に下がりますが、アクセラ1.5Dの場合、2500回転まで上がったらシフトアップして1800回転に下るのではないでしょうか。少し踏み込むとすぐに3000回転くらいになりそうです。

最高速度についてはデミオやCX-3が時速185kmくらいで、このときの6速でのエンジン回転数が3250回転くらいですので、アクセラ1.5Dだと約4000回転です。パワーのピークが4000回転ですので、最高速度は同じくらいではないでしょうか。しかし3000回転くらいならまだしも4000回転ですとエンジン音が相当大きくなりますので、あまり実用的ではありません。

最大トルクの発生する2500回転で6速のときの速度が時速120km弱ですので、日本の高速道路で常識的な速度で走る分には余裕を持って走れそうです。デミオのAT車ですと2500回転6速で時速145kmくらいですので、アウトバーンならともかく日本の高速道路では少々元気が良すぎるように思えます。

エンジン回転数が上がるとエンジンノイズが大きくなるものですが、ディーゼルエンジンは低回転域でカラカラ音がしますので、遮音さえしっかりしていればむしろもう少しエンジン回転数が高い方が気持よく走れるかもしれません。もともとアクセラのボディーの方がデミオのボディーよりもお金がかかっていますので、デミオ以降での遮音の技術が反映されていれば遮音の面は有利かもしれません。特にセダンは静粛性と車体剛性の面でハッチバックよりも有利ですし。

デミオと同じくらいハイギアードなCX-3はデミオよりも重量が1割大きいため、高速道路では軒並みおとなしめです。それに対してアクセラ1.5Dではローギアードにしてパワーを絞り出していますので、一般道ではデミオやCX-3よりも元気よく走りそうです。高速道路でもエンジン回転数を上げることでデミオと同じくらいには走りそうです。パワーに余裕のある2.2Dの方がエンジン回転数は低めですが、エンジン回転数が高いのが不快に感じられなければこれもありかもしれません。

デミオディーゼルは高速道路では元気よく走るのですが、一般道で巡航していると退屈な印象があります。アクセラ1.5Dの方が体感速度は高そうですので、速度を抑えて走るには好都合かもしれません。こればかりは実際に走ってみないとわかりませんので、ぜひ試乗してみたいです。

《重量》
AT車で1360kgです。これはデミオよりも2割重く、CX-3よりも7%重いことを意味します。その代わり重量増は主にマルチリンクサスペンションを搭載する後輪側ですので前輪への荷重が63%と、FF車としては標準的な数字で、アクセラ2.0Gとほぼ同じです。アクセラ2.0Gよりも前輪の荷重が50kg大きいですが、もともとの重量が大きいため、前後の荷重バランスにはあまり影響していません。

【今回導入された技術】
《DE精密過給制御》
街乗りでアクセルを踏み込んだ際の出足の鈍さに対処するためのものでしょう。ドライバーの意図した通りに加速すれば、出足の鈍さがあまり感じられなくなります。

《Gベクタリングコントロール》
2.0Gよりも頭が50kgほど重くなりますので、曲がりやすくするためのものでしょう。また、出足を良くするために16インチホイールを履くと高速安定性が若干低下しますので、それを補う意図もあるかもしれません。

《ナチュラルサウンドスムーザー》
アクセラ1.5Dは高めの回転数を常用するでしょうから、さほど効果は見込めないかもしれませんが、2.0Gと同等以上を標榜するのでしたら必要でしょう。

【燃費】
JC08モード燃費で21.6km/Lとのことです。これはデミオディーゼルAT車の燃費の6分の5に相当します。同じエンジン同じ変速機を積んだデミオディーゼルよりも重量が2割増ですので、同じように走れば単純計算では必要な運動エネルギーも2割増しになり、燃費は6分の1ほど悪化します。そのため、燃費の差はほぼ重量の差で説明できます。実燃費については、走らせ方に依存しますので、実際に運転してみないと何とも言えません。

他車との比較では、アクセラ1.5GのJC08モード燃費が20.6km/L、アクセラ2.0GのJC08モード燃費が19.0km/L、アクセラ2.2DのJC08モード燃費が19.6km/Lです。ディーゼルエンジン車の割には数字の差はさほど大きくありませんが、軽油価格の安さと高速巡航時の実燃費を考慮すると、燃料コストの面ではそれなりに有利そうです。しかし走行速度が高くなるとパワーに余裕のある2.2Dの方が実燃費が良いかもしれません。

【CO2排出量】
欧州仕様では99g/kmなのに対し、日本仕様では120g/kmです。計測方法が異なりますのでそのまま比較できる数字ではありませんが、日本では100g/kmを境に税金が違ってくるわけではありませんので、カンパニーカー向けの節税に振っている欧州仕様と異なり、日本仕様では走りに振っているであろうことが見て取れます。

【価格】
UK向けやドイツ向けでは2.0Gより高く2.2Dより安い価格でしたが、日本向けではなんと今までの2.0Gと同じ価格をつけてきました。「2.0Gよりも高くて重くて走らない曲がらない」を懸念しておりましたが、「高い」については問題なさそうです。たしかに1.5Dは同クラスのディーゼルエンジンの中では後処理装置が不要な分コスト競争力が高いものの、それでもターボやコモンレールインジェクタといった高価な補機がついていますので、自然吸気ガソリンエンジンよりもコストが高いはずです。どうやら、2.0Gが「ガソリンエンジン上位モデル」という位置づけで内装が良かったのに対し、1.5Dは「ディーゼルエンジン廉価モデル」ということで内装のコストを下げて値段を合わせたようです。

価格の面で直接競合するのはインプレッサ2Lですが、他にもカローラハイブリッドやホンダシャトルが同じくらいの価格です。

マツダの他社種との比較では、同じグレードで比較した場合の価格差はデミオディーゼル+50万円、アクセラ1.5G+35万円、CX-3-10万円、アクセラ2.2D-40万円くらいです。CX-3よりも安くて後席が広いので、後席重視ならよい選択かもしれません。一方、同じエンジンを積んでいるデミオディーゼルよりも50万円高いです。たしかに足回りはアクセラの方が良いですし、重量バランスも良いですし、重くて平べったい分だけ高速安定性も良好ですし、足回り以外も車格相応の差はありますが、軽いデミオの方が高速道路ではよく走りますので、実質2人乗りとして使うのでしたらデミオディーゼルの方がお値打ち感がありそうです。同じ予算でデミオディーゼルのAWDの最上級グレードを買ってもお釣りが来ます。さらに40万円プラスすれば2.2Dを買えてしまい、こちらは走りに関しては一切我慢不要ですし、全般的に装備も良いので、15XD L Packageを買うくらいでしたらあと10万円足して22XD Proactiveを買う方が魅力的に感じます。

【総評】
思い切ってローギアードにしたことで、たった105psのエンジンであっても実用的な速度域ではよく走るようになっているのではないでしょうか。CX-3よりも安く、CX-3よりも広く、CX-3よりも軽快に走り、CX-3よりも前後の重量バランスが良く、CX-3よりも足回りがしっかりしているという点では、CX-3よりも一般受けするのではないかと想像します。走りや乗り心地については試乗してみないとわかりませんが、高速道路でのパフォーマンスについては通常のディーラーでの試乗ではわかりませんので、ある程度時間をかけて乗ってみたいものです。レンタカーで乗れればよいのですが。

しかし高コストのディーゼルエンジンの宿命で内装のコストを切り詰めてもそれなりの価格になってしまい、2.2Dと比較した場合、内装の差を考慮した実質的な価格差がさほどありません。しかしそれでも2.2Dはアテンザ並に高級になってしまいましたので、「そこまでは必要ない」と考える方もいらっしゃることでしょう。

2016年7月13日水曜日

トヨタ86のGモニター

トヨタ86がマイナーチェンジで「Gモニター」を搭載するようになりました。Gモニターがどのようなものか、トヨタのプレスリリース(TOYOTA、86をマイナーチェンジ
-ニュルブルクリンク24時間耐久レース参戦などで得た知見をもとに、鍛え直した「走りの味」-)を見てみると、中央のタコメーターの右側にG-Bowlアプリのような画面が表示されています。同じ場所には「パワー・トルクカーブ」や「ストップウォッチ」等、走り屋にとって便利な情報が表示されるようで、スポーツカーらしい機能だと思います。

Gモニターの方がi-DMよりも情報量が多くて練習の足しになるのではないかと思います。i-DMが最初に搭載されたときには中央のスピードメーターの真ん中に大きな画面で表示されていましたが、それでは目障りだからということで、マツダコネクトが導入されたBMアクセラから、中央には小さいランプが点灯するだけでそれ以外の情報はマツダコネクトのディスプレイで表示させるようになりました。1st Stageから3rd Stageくらいでしたら色つきのランプが点灯するだけでも十分に情報価値がありますが、4thとか5thとかのエクストラステージになると判定の基準が厳しくなって、具体的にどこのどのような部分に課題があるのかわかりにくい感があります。単に「ヘタクソ」と言われるよりも何がどう下手なのかがGの移動によって可視化される方が改善の足しになります。それならばいっそのこと4thとか5thとかはやめてしまって、より上を目指す人向けにG-Bowlアプリと同様の情報を表示できるようにした方がよいのではないでしょうか。今でも運転技量の向上に真剣に取り組んでいる人はG-Bowlアプリをi-Phoneに入れてGの動きを可視化しているようですし。

もちろんマツダ車は広く一般に販売される市販車ですのであまり目立つ所に表示させると目障りかもしれませんが、マツダコネクトのディスプレイに表示するくらいはしてもよいのではないかと思います(今でもi-DMアプリを表示させながら走ることは可能です)。もともと加速度センサーによって加速度のデータは取得していますので、それを表示させるソフトウェアを作れば済むことですし、判定ロジックをかませて緑とか青とか白とかに変換するよりもGの生データをグラフに表示させる方がむしろ容易なはずです。

あと、これは既にいろいろな人が言っていることかもしれませんが、せっかく運転技量の改善を促すツールを搭載しているのですから、i-DMを活用した運転技術の参考書がマツダ監修で出版されればとてもありがたいのですが、そこまで手が回らないのか、あるいはテストドライバーにとってあまりに当たり前すぎるのか、未だに実現していません。例えば、車が曲がる原理なんて興味を持って調べるかあるいは人から教わったりしない限りなかなか直感的に理解できません。大抵は「ハンドルを切れば曲がる」くらいにしか考えていません。自分のようなド素人に噛んで含めるように説明するのは、わかっている人にとってはむしろ難しいかもしれませんが、そういうのが得意なテクニカルライターがいないものでしょうか。

それにしても今回の86の件で思ったのは、トヨタがマツダの持っている良いものを認めて本気を出したらマツダなんてひとたまりもないのではないかということです。

2016年7月11日月曜日

早くゆっくり

i-DMで5th Stageになってから、コーナリングで白点灯する場面が増えました。もともとコーナリングはあまり得意ではありませんのでそれが可視化されただけのことですが、それでも何とかした方がよかろうと思って、まずはコーナーの手前でブレーキをかけるタイミングを今までより少し早くしてみました。

ブレーキをかけ終わってからステアリングを切り始めるタイミングも少し早くなります。コーナー手前ですので大きくステアリングを切るわけにいかず、横方向のグリップ力が立ち上がるのを感じる程度に僅かにステアリングを切ります。そこからコーナーに入るにつれて徐々に切り増していくのですが、最初に発生させた慣性力でフロントが内側に動き続けますので、さほど切り増さなくても曲がれてしまいます。感覚的にはステアリングの舵角は数度なのですが、実際に見てみるとたしかに国道の緩いコーナーでは数度なのですが、普通の90度曲がるコーナーでは拳一つ分、15度くらいです。舵角が小さい上にゆっくり動かしますので、あまり動かした気がしません。その代わり、コーナー手前でブレーキを踏み、円曲線に入ってからはアクセルを踏み、コーナーの出口に近づくにつれてアクセルを踏み増しますので、右足はよく動いています。しかし同乗者にはドライバーの右足の動きは見えませんし、しかもオルガン式アクセルペダルでは踵の位置が固定されていて右足の膝もほとんど動きませんので、ステアリングはほとんど動いていないのになぜかどんどん曲がっていくように見えることでしょう。

運転がうまくなるのつれステアリングをあまり動かさなくなるということは、パワーステアリングはもっと重くてもよいということです。車を曲げるのに必要な慣性力を手で感じて、なるべくステアリングを回すのに負担のかからないように運転するのが車を効率的に曲げる運転のしかただからです。急ハンドル、急アクセル、急ブレーキが可能なのは、ステアリングやアクセルやブレーキがそれだけ軽いからです。

コーナーの目測を誤ってステアリングを切るのが遅れると白点灯します。走り屋みたいに同じ峠を何度も走りこんで練習することはせず、その反対に初見の道ばかり走っていますので、そういうことはよくあります。

それでもi-DMの平均点は上がりましたので、そこそこ効果はあったようです。むしろ混雑した道の方が急ブレーキを踏まされるたびに厳しく減点されます。Gを滑らかに変化させるよりも公道で大勢の他人の意思決定を読む方がはるかに難しいです。

運転の上手な方にとっては「何を今さら」という程度の話なのですが、実際に自分でやってみて効果を実感してみるとなるほどと思います。

もう一つなるほどと思ったのは、フロントヘビーなデミオディーゼルだからこそ早めの操作が効いてくるということです。車の向きを変えるためにはタイヤのグリップ力によって横方向の慣性力を発生させる必要がありますが、フロントが重い場合には横方向のグリップ力を大きくするか、力を加える時間を長くする必要があります。単にゆっくり動かすだけでは操作が遅れてしまいますので、操作開始を早める必要があります。重いものを動かすときに力をかけてゆっくり動かせば楽に動きますが、強い力で叩いても手が痛いだけであまり動きません。タイヤのグリップ力のみに頼らず負担のかからない効率的なコーナリングを目指すなら、フロントヘビーな車をいなす方が練習になります。

しかし早めに操作を開始するためには、先読み推量が必要になってきて、それはGをコントロールするのとはまた別の意味で難しいです。目視で確認できる範囲でしたらまだしも、ブラインドコーナーでは線形がわかりませんし、狭い道で対向車が来る可能性もあります(ですから最初からあまり速度を出せず、したがってコーナー通過時の横Gも小さめになります)。他人が介在するとさらに先読み推量が難しくなります。フロントヘビーなデミオディーゼルを曲げるのが難しいとしたら、フロントヘビーであることよりもむしろ、フロントの軽い車に比べてより多くの先読み推量が必要だからかもしれません。