2023年9月28日木曜日

ヤリスハイブリッドOEMのMazda 2がほしい

ヤリスハイブリッドは、卓越した燃費性能で有名ですが、それだけでなくパワートレインもシャシーもすぐれていますので、正直国産Bセグメント車はヤリスハイブリッド圧勝状態です。そのため燃費性能確保が急務である欧州ではヤリスハイブリッドをそのままMazda 2ハイブリッドとして販売しています。

どうせなら日本でも販売してくれたらいいのにと思いますが、バッジ以外全部ヤリスハイブリッドと同じなら、わざわざマツダディーラーで買うまでもなく、トヨタディーラーで買えば済むことです。とはいえ、トヨタディーラーでルーミーを購入するよりも同じクルマをダイハツディーラーやスバルディーラーで購入する方が安いようですので、マツダOEMの方が安いのでしたらそれも検討しますが。

上記の通りヤリスハイブリッドは素晴らしい車ですが、マツダ車を知っていると、エクステリアとインテリアはマツダにならないものかと思います。ヤリスハイブリッドに手を加えれば、手を加えた分の開発費がかかりますが、それでもヤリスのパワートレインとシャシーを踏襲するのでしたらその部分では開発費がかからないのですから、浮いた費用をエクステリアとインテリアに振り向けられないものかと思います。

まずはアクセルペダルから。最近のトヨタ車のアクセルペダルは吊り下げ式であっても使い勝手が良いですが、それでもトヨタはプリウスではオルガン式を採用しました。ヤリスのベース車がオルガンペダルを採用するならそれに越したことはありませんが、そうでなければMazda 2向けに手を入れてほしいものです。オルガン式アクセルペダルを踏むときの操作と吊り下げ式のブレーキを踏むときの操作とでは全然違いますので、アクセルペダルとブレーキペダルの文間違えも起きにくくなるのではないでしょうか。

次はシート。BMアクセラ、DJデミオ、BP Mazda 3と優れたシートを導入しているのですから、ヤリスハイブリッドベースであってもMazda 3ベースのシートを入れてほしいものです。ヤリスの下位グレードについているヘッドレスト一体型のシートは、ある程度背もたれを倒さないとヘッドレストが当たって運転しにくいです。

トヨタ車のディスプレイオーディオをマツダコネクトに入れ替えるのは現実的ではありませんが、それでもマツダコネクトのうちコマンダーノブは秀逸ですので、なるべく採用してほしいものです。そこまで手を加えるとしたら、むしろトヨタのヤリスにも反映されそうですが。

ドライビングポジションに手を入れるためには前輪の位置を前にずらす必要がありますが、シャシーを所与としたらそれは難しいでしょう。とはいえ、今のヤリスにそこまで不満があるわけでもありません。

エクステリアについてはバンパー部分をマツダ顔にするくらいしかやりようがないのが実態でしょうが、塗色でチャレンジすることはできないものかと思います。塗料は製造ラインにあるものですので、マツダの塗料をトヨタの工場に持ち込むのはさすがに現実的ではないだろうと思いますが、何か工夫の余地はないものでしょうか。

テールランプをいじるのは難しそうですが、マツダのテールランプになると見た目の印象がだいぶマツダ車に近づくと思います。

装備については載せ替えるのは現実的ではありませんが、トヨタ車に無くてマツダ車にあるのはアダプティブLEDヘッドライト。単なるハイビームコントロールよりもよくできてると思います。

マツダから提供できる技術を反映させて共同開発という形にすれば、単なるOEM調達よりも安価に調達できる可能性があります。

クルーズコントロールやレーンキープアシストについては今はトヨタ車の方が出来が良いので、これはトヨタ車のをそのまま踏襲したいです。というか、既存のマツダ車にもトヨタ製のを入れた方がましなのではないでしょうか。

2023年9月21日木曜日

ではマツダが小型EVを作ることに意味があるのか

PHEV1台にまとめるよりも、小型EV+公共交通機関と現地レンタカーの方が効率的なのではないかとは思うものの、ではマツダが小型EVを作ることに意味があるのかといえば残念ながら意味がなさそうですので、 小型EV+公共交通機関と現地レンタカーの社会になってしまうとマツダの存在意義は何ぞやということになってしまいます。

マツダ車の魅力は運転する楽しさ。それを実現するための過渡領域の作り込みこそがマツダ車の技術です。ひるがえって、街乗りの足車には、運転する楽しさはさほど求められていません。パッソやルーミーで長距離を走るのは苦痛でしかありませんが、町中をちょろちょろ走る程度でしたら、まあこんなのでもいいかなと感じます。少なくとも、徒歩や自転車よりは楽ですので。極論すれば別に中国製EVでもよいわけです。

街乗り専用の小型車といえば、自動車の中ではコモディティの位置づけで、それなら安ければ安いほどよいという価値観になってしまいます。ただでさえ利幅の小さい小型車の市場でコスト競争に巻き込まれたら自動車メーカーには利益が残りません。

良い車とは長距離乗っても疲れない車のことですので、良い車を作れるならたまにしか乗らない長距離用の車を作る方が向いていそうに見えます。ではマツダはたまの遠出用の大人4人が乗れるディーゼルエンジン車としてCX-60やCX-80だけを売っていればよいのかというと、それでは企業平均燃費規制をクリアできません(日本には企業平均燃費規制がないようですので、心置きなくディーゼルエンジン車を売ればよいのでしょうけど)。企業平均燃費対策としてはPHEVを出したりトヨタのハイブリッドシステムを積んだ車を出したりすればよさそうで、それは現にやっていることです。

そう考えるとMX-30 Rotary-EVはマツダが電動化でできるギリギリを狙った車であるように見えます。それを買うかどうかはともかくとして。

PHEVに関する素朴な疑問

池田直渡「週間モータージャーナル」内の「復活のロータリー「ROTARY-EV」で、マツダは何をつくったのか」という記事はMV-30 Rotary-EVの本質を記した秀逸な記事で、たしかにそれを読むとなるほどと思います。PHEVは自宅で充電できてEVを運用できる環境の人がたまに遠出するときのために車にエンジンと発電機を積んでいる、たまにしか使わないエンジンは小さくて軽い方がよいと言われればそうなのだろうと思います。

一方、素朴な疑問も沸き起こってきます。そもそも普段使いの街乗り用途と、たまにしか使わない遠出用途という相反する用途を果たして1台の車にまとめる必要があるのでしょうか。普段使いの街乗り用途では日産サクラのような小型EVを使い、たまに遠出するときには飛行機や新幹線等の公共交通機関+現地レンタカー、場合によっては出発地でレンタカーを借りたりする(こちらは高速代や燃料代が結構かかるので、コスト面では公共交通機関利用に対してさほど優位性はない)方がコストが安いのではないでしょうか。CセグメントのPHEVなら1台500万円。小型EVなら1台200万円くらい。それに公共交通機関+現地レンタカーの旅費を5年分加えても合計で300万円くらいではないでしょうか。

田舎では駐車スペースに余裕があり、車の複数台持ちが珍しくありませんから、普段の足車としては自宅で充電できる小型EV、たまに遠出するとき用に資本コストが比較的安いガソリンエンジンの少し大きめの車を置いておくのでもよいでしょう。普通のガソリンエンジン車は燃費が良くありませんが、それを言ったらロータリーエンジンだって決して燃費は良くありません(RX-7の時代の10倍の燃費性能を確保した技術力はすごいですが)。滅多に乗らない車を持つことに意味があるのかといえば、近所にレンタカー店舗がないような田舎なら意味があるでしょうし、必ずしも新車を買う必要はありませんので、中古車を買ったり、今まで何年も乗ってきて減価償却の進んだ古い車を遠出用として敢えて残しておくといったやり方もあるでしょう。

めったに使わない遠出用途のために、なぜエンジン+発電機+燃料タンクを車に積みっぱなしにしなければならないのでしょうか。重いものを積めばPHEVに必要なバッテリー容量も増えてしまいます。ロータリーエンジンは比較的小型軽量ではあるものの、そもそもエンジンも発電機も積まなければもっと軽くできます。

車は移動の手段なのですから、車単体の性能よりも、ライフスタイル全体の中での車の使い方を考える方がよいのではないでしょうか。

2023年9月14日木曜日

MX-30 Rotary-EVの諸元データ

2023年9月14日で日本向けのMX-30 Rotery-EVの予約受注が開始された旨のプレスリリースが出ました。併せて諸元表が出ましたので目を通してみました。

まずはWLTC燃費のハイブリッドモードから。平均15.4km/L、市街地モードで11.1km/L、郊外モードで18.5km/L、高速道路モードで16.4km/Lと、2Lガソリンエンジン車とほぼ同じ数字です。さすがにこの数字のままシリーズハイブリッド車として出すのは無理でしょうね。また、回生電力を吸収できるはずのシリーズハイブリッドなのにストップアンドゴーの多い市街地での燃費が悪く、ダラダラ走り続けることのできる郊外モードで燃費が良いのが謎です。一般にシリーズハイブリッド車は加速時にはトルクの太いモーターで加速できますので、エンジンにさほど負担がかからず、しかも回生電力を吸収できることから燃費はさほど落ちないものです。逆に郊外路で時速60km程度で走り続けるならエンジンの熱効率の良い領域を使えますのでエンジン単独で走ってもそこそこ燃費が良いはずです。MX-30の燃費の数字を見る限り、シリーズハイブリッド車の長所を見いだせない一方で、ガソリンエンジンのような特性です。もしかしてロータリーエンジンはハイブリッド車のような間欠運転には向かないのでしょうか。

重量が1780kgもあり、Mazda 2の1.7倍くらい、Mazda 3の1.3倍くらいの重量ですから、重量当たりの燃費でいえば、Mazda 3の2Lエンジン車の1.3倍ほど燃費が良いともいえます。今回はPHEVですので蓄電池搭載量が多いですが、蓄電池搭載量を減らしたシリーズハイブリッド車にしたときにどれくらいの重量になるか次第に見えます。自重が2割減れば燃費の数字もも2割ほど良くなる可能性はまだあります。15.4km/Lの数字が2割良くなったとしたら18.5km/Lですので、日産ノート等のBセグメント車に比べれば大幅に見劣りしますが、Cセグメントのカローラツーリングハイブリッドの実燃費からすればもう一息とも言えます。BセグメントのMazda 2をシリーズハイブリッド車にしたら、自重1200kgくらいで22.8km/Lくらいになりますので、ノートやフィットよりも劣るものの、実燃費ベースではそこまで大きな差ではありません。しかし、Bセグメント車で22.8km/Lというと1.5Lガソリンエンジン車と変わらないようにも見えます。ロータリーエンジンでその燃費を達成することは技術的にはすごいことなのでしょうが、安価なガソリンエンジン車と同じことができてもコスト競争力がありません。