2019年12月16日月曜日

ぼちぼちMazda 2の実車を見かけるようになりました

デミオは発売から5年経過しているだけあってよく見かけますが、Mazda 2は最近になってやっと公道で見かけるようになりました。Mazda 2は色も形もデミオと同じで、後ろから見るとリアバンパーの黒い部分が小さいくらいの違いしかないのですが、それでもどういうわけかデミオと雰囲気が違いますので、もしかしてMazda 2かなと思って追い越しざまにミラーでフロントグリルを見ると口が大きくてたちどころにMazda 2だとわかります。前だけを見たらBMアクセラと区別がつきにくいです。口が大きい割に後ろがちんちくりんですので バランスが悪く感じますが、このフロントグリルでしたら日本では販売されていないセダンが似合いそうです。

2019年12月15日日曜日

デミオディーゼルを振り返る

デミオディーゼルには5年で17万km弱乗りました。これからMazda 2のディーゼルエンジン車を買う人の参考になるかどうかわかりませんが、今まで乗ってきてどんな車だったか紹介してみようと思います。

【思いのほか走行距離が延びました】
購入当初はこんなに乗るつもりはありませんでした。しかし長距離の移動があまりにも楽なため、走行距離が延びてしまいました。高速道路だけなら1日に700km走っても平気です。土日に1泊して往復800kmくらい走るのは気軽にできますので、ちょっとそこまでという感じです。東京からですと名古屋仙台新潟くらいの距離です。これらの都市へは新幹線があって、たしかに新幹線のスピードの方が速いですが、ドアツードアの所要時間では新幹線よりも1時間長い程度です。車に乗りっぱなしですので重い荷物を持って駅構内を移動する必要がありませんし、車の中は個室ですので、公共交通機関で移動するよりも楽です。この車のおかげでいろいろな所に行くことができましたし、運転経験を積むこともできました。

【長距離巡航は楽ですがいささか退屈かもしれません】
低排気量のガソリンエンジン車だと高速道路で100km/hを出すので精一杯ですがデミオディーゼルで100km/hとなるとバスのような退屈な乗り心地です。田舎の信号の少ない国道ではとても快適に走れます。

【60km/hくらいの巡航でもっとも燃費が良いです】
高速道路から下道まで満遍なく走って平均燃費22km/L程度です。高速道路でクルコンをつけて100km/hを保つと25km/Lくらいです。田舎の信号の少ない国道で60km/hくらいでダラダラ走り続けると28km/Lとか、ときには30km/L以上出たりします。6速1500回転だと80km/hくらいで、本来ならこの速度が最も燃費が良いはずなのですが、今までの経験では60km/hで走る方が燃費が良いです。

【長距離走行するなら燃料代の安さは際立っています】
平均燃費22km/Lですと、5円/kmくらいです。ディーゼルエンジンを積んで軽油となるともともと燃料代が安いのですが、デミオディーゼルはディーゼルエンジン車の中で最も軽いため、さらに燃料代が安いです。もちろん街乗りでの燃費はハイブリッド車に及びませんが、長距離巡航時にはハイブリッド車であっても回生ブレーキによるエネルギー回収のメリットがなく、むしろモーターや発電機や蓄電池が死重になりますので、長距離巡航でしたらディーゼルエンジンの方が有利です。

【エンジンはずいぶんおとなしくなりました】
初期ドッカンターボの頃は、出足のトルクがスカスカで、青信号発進で軽自動車に置いて行かれましたが、高速道路では妙に元気でした。これでは日本の道路の速度域に合わないと思っていたところ、DE精密過給制御で出足が改善しました。一方、煤対策のためにエンジン制御ソフトウェアが書き換えられ、過給圧は控えめになり、おとなしいエンジンになりました。吸気系に煤が貯まるにつれて吸気量が控えめになったというのもあります。当初は長所も短所もディーゼルエンジンならではでしたが、長所も短所も控えめになった結果、敢えてディーゼルエンジンを選ぶ動機が薄れてきました。

【当時は画期的だった安全装備が今では普通に】
メーカーセットオプションでつけたブラインドスポットモニタリングとかハイビームコントロールとかは当時としては新しかったのですが、今やマツダ車では一番安い車の一番安いグレードにも標準装備されています。デミオにディーゼルエンジンpを乗せるにあたっては高価なディーゼルエンジンに見合った装備の差がつけられていましたが、その後ガソリンエンジン車でもディーゼルエンジン車と同等の装備をつけられるようになりました。さらにガソリンエンジンが1.3Lから海外仕様と同じ1.5Lになって、トルクやパワーの差も縮まりました。そのため、今やガソリンエンジンの安いグレードが一番お買い得になってしまいました。

【ブレーキにはディーゼルエンジン車特有の癖があります】
吸気バルブの無いディーゼルエンジンはもともとエンジンブレーキが弱いですが、それだけでなく5000回転でレッドゾーンに入るため、エンジンブレーキを強めようとしてもなかなか低いギアに入らないというのもあります。それを補うようにフットブレーキは強めで、かつ踏みはじめから結構効きますので、僅かに減速したい際にはアクセルを離して弱いエンジンブレーキで速度を調整するようになりました。コースティングを活用しながら走ると燃費が良くなります。クルコンはそういう技を使いませんので、一般道では人力で運転する方が燃費が良くなります。反対に、ストップアンドゴーの多い道路ではガソリンエンジン車のブレーキの方が扱いやすいと思います。

【原則通りに運転しないと曲がりません】
Bセグメント車に重いディーゼルエンジンを積んでいるため前が重いことから、ステアリングを切るとすっと曲がるというわけにはいきません。DJデミオは直進安定性確保のためにキャスター角を5度確保していますので、なおさら曲がりにくいです。原則通りにコーナー手前でしっかり減速して前輪に荷重を乗せてからステアリングを切るとやっと曲がります。コーナリングの練習にはうってつけの車で、おかげで随分練習できました。

【重量バランスの悪さは操縦安定性と乗り心地に効いてきます】
前が重いと曲がりにくいだけでなく、凹凸の大きい路面を通過する際に後ろがポンポン跳ねます。前が重くてホイールベースが小さいため停止時につんのめりやすく、ディーゼルエンジン車特有のブレーキフィールとあいまって、停止直前にブレーキを緩めてきれいに停止するのが難しいです。

【登り坂は得意ですが下り坂は苦手です】
登り坂では太いトルクを生かしてぐいぐい登りますので全く苦になりません。一方、下りではトルクは関係ありませんし、むしろエンジンブレーキが弱いとかフロントヘビーでつんのめるといった点で不利です。下り坂でしたらノーズの軽い低排気量ガソリンエンジン車の方が楽だと思います。

【16インチホイールは高速道路走行時のみ有利です】
下道を走るだけでしたら15インチホイールの方がバネ下重量が軽い分だけ出足が良くて乗り心地も良いです。しかし高速道路では15インチホイールでは若干頼りないので、高速道路で長距離走るとなると16インチホイールの方が有利です。

【16インチはタイヤ選びで苦労します】
16インチのタイヤは15インチの185/65R15のサイズに無理やり収めるため185/60R16という珍しいサイズですので、タイヤの選択肢が限られています。夏タイヤだとBluEarth-AかLe Mans VかRegno GRⅡくらいしかありません。BluEarth-GTは未だに185/60R16がありません。
185/65R15の方がタイヤの選択肢が豊富で、TuranzaやAdvan dbも選べますので、15インチで満足できるのでしたら15インチにしてその分タイヤにお金をかけた方がよいのではないでしょうか。

【i-DMは便利です】
i-DMは評価基準が明確ですので、運転操作を改善するための手がかりとして有用だと思います。白点灯すれば気分が悪いですが、青点灯すればうれしいものです。5th Stageになると厳しすぎるきらいがありますが、白点灯が多発するときというのは往々にしてタイヤの空気圧が不足しているときだったり、あるいは速度を出しすぎているときだったりしますので、そういうことに気づくためのきっかけにもなります。

【マツダコネクトはこれでもだいぶましになりました】
当初はハンガリーのNNG製のカーナビでした。ヨーロッパのように街道沿いに建物があって、通り+番号で住所を識別するのでしたらNNG製のカーナビでも機能するのでしょうが、日本の地番は面で捉えますので複雑な地図情報が必要になります。そうなるとNNG製のナビだとメモリが不足して落ちやすくなります。NNG製のナビはぬるぬる動いてリルートの計算も早かったので日本仕様では最初からメモリを多めに積んでいればさほど問題なかったのかもしれませんが、設計段階でそういうことが考慮されていなかったため、メモリが不足しました。

その後日本製のナビに差し替えられましたので、目的地を入力してルートを表示するといった通常カーナビ使い方をする分には特に不自由を感じません。今でも不満なのは立ち上がりが遅いことです。バージョンアップのたびに立ち上がりが改善されてきたのですが、今でも結構待ちます。このあたりはマツダコネクト2になって改善されているようです。

ソフトウェアについてはいろいろ不満がありましたが、当初よりコマンダーノブの操作性は抜群でした。

【後ろは狭いですが前は意外と広いです】
フロントシートのフレームはアクセラ用と同じものを使っていますので、ドライビングポジションにも無理がありませんので、前席に座っている分にはあまり狭さを感じません。むしろ公共交通機関の座席よりも広くて座り心地が良くて快適です。Bセグメント車ですので運転席と助手席の間が狭く、大きなアームレストがあるわけではありませんが、これも一人で乗る分には問題ありません。同じ車格の他の車と比べると後席が狭いですが、その分前席が広いので、2人乗りでしたら実はデミオの方が広かったりします。

【前半分は立派ですが後半分はちんちくりんです】
ディーゼルエンジンの大きな荷重に耐えられるよう前半分はしっかりしていますし、Bセグメント車のくせにノーズが長いですし、前半分はインテリアもシートも立派ですが、後半分はデミオからのキャリーオーバーなのか、テールランプの形以外はほぼ同じで、後ろのドアの閉まる音までもがチャチです。まるでCセグメント車の前半分とBセグメント車の後半分を繋ぎ合わせたような車です。乗り心地も前と後ろでは全然違います。


【車体後部は汚れやすいです】
ハッチバック車ですから仕方ないのですが、雨の日には車体後部の後方乱流による泥水の巻き上げで後ろは汚れやすいです。リアウインドーは傾斜がついていますが、それでも汚れます。もちろん街中で走る分には問題ないのですが、田舎の道をある程度の速度で走ると結構汚れます。濃色系の色だとさらに目立ちます。

2019年12月14日土曜日

17万km走行したデミオディーゼルのダンパーとブッシュを交換しました

走行距離がかさんでいるため、かねてからサスペンション周りの挙動が気になっていました。停止直前の挙動が落ち着かなかったり、路面の細かい凹凸を拾うたびに車体が細かく揺れたりしていました。主にブッシュがへたっているのか、入力される力が逃げてしまってサスペンションが本来の動きをできていないのではないかと考えましたので、車検のついでにサスペンション周りの部品を交換しました。部品の単価は安いのですが工賃がかかることから一気にまとめて交換してしまった方が効率的です。

【部品】
部品の型番を調べてみたらディーラーでの作業ですので当然のことながらDJ前期型デミオ用でした。ダンパーは見慣れたデミオ用サイズで、Mazda 2用の極太のものではありません。

【第一印象】
走り激変とまではいきませんでしたが、発進時には青点灯しやすくなりました。あいにく停止時のブレーキリリースの時点で白点灯してしまうのは相変わらずです。

【第二印象】
相変わらず発進直後から青点灯し、停止時も低速域で青点灯しやすくなりました。あからさまにひょこひょこ揺れることはなくなりましたので、コントロールしやすくなったようです。Gベクタリングコントロール搭載車ほどどっしりした乗り味ではありません。新車時にはどっしりした乗り味だと思いましたが、その後Gベクタリングコントロール搭載車が出てきて要求水準が上がったのかもしれません。

ダンパーとブッシュを交換した直後ですのでもっとごつごつとした乗り心地から思いきや別にそうではありませんので、新車時と異なりサスペンションの他の部品の当たりは取れているのでしょう。

【高速道路】
高速域での安定感が全然違います。高速域で安心して走れます。良くなったというよりも正確には悪くなくなったのですが、初期どっかんターボの頃の本来のシャシー性能が復活しました。サスペンションがきちんと力を受け止められるようになった結果、きちんと減衰が効いているようです。路面の凹凸を拾ってもすぐに収束し、不快な揺れが続くことがありません。Gベクタリングコントロール付きの車に比べれば少し揺れますがそれでも交換前に比べるとだいぶ楽です。

ここまで快適になるのでしたらひどい状態で我慢せず、もっと早く交換すればよかったです。3年10万kmくらいで交換すれば良好な状態を維持できますので、初回車検時についでに交換してもらうのがよいのではないでしょうか。

2019年11月23日土曜日

Mazda 3の塗色について

売れていないと言われつつも最近になってぼちぼち実車を見かけるようになりました。まだ全部は網羅できていませんが、見た目の感想を以下記します。

【ファストバック】
ポリメタルグレー:ヌメヌメ度MAX。ファストバックのヌメヌメを極めるならこれでしょう。
白:ヌメヌメ度MIN。白塗装は光沢感がないため外板への映り込みがなく車体の造形のみが映えます。キャラクターラインが無いことから白は高級そうな尻をしていて、後から見ると堅気でない車に見えます。ヌメヌメが苦手な人にはこれが一番合いそうです。公道でもそこそこ見かけます。
ソウルレッド:ギラギラ度MAX。定番。
黒:ワル度MAX。マツダ車で黒は珍しいのですが、Mazda 3ファストバックの悪そうな見た目とマッチするのか、Mazda 3ではたまに見かけます。フロントグリルもホイールも黒いので松崎しげる並に真っ黒です。純正のエアロパーツをつけたらさらに悪そうに見えます。デイライトをつけて高速道路の追越車線でものすごいスピードで追いついてきたら思わず道を譲りたくなりそうです。もし追越車線でものすごいスピードで走れればの話ですが。
ディープクリスタルブルーマイカ:意外にも実車で見かけました。一見地味ですが、光が当たるとギラギラ系です。暗い色ですが、黒くない分、黒よりもワル度は控えめです。

【セダン】
マシーングレー:迫力があります。ギラギラしていますので、セダンの繊細な形状が映えます。
白:普通のCセグメント車に見えます。白塗装は光沢感が無いため、側面の複雑な形状が目立たず、普通の形に見えます。特に後ろ半分は普通の形ですので、すれ違いざまに後ろを見るとカローラのように見えます。
ソニックシルバー:白と同様に無難なレンタカー色ですが、セダンには無彩色で光沢感のある塗色が合うように見えます。マシーングレーほどギラギラしていないため、穏やかな見た目です。
ソウルレッド:アテンザのセダンに近い同じサイズですので、アテンザ後継のニーズがあるようです。
ディープクリスタルブルーマイカ:ローマ教皇が来日時に乗っていました。クラウンでもたまに濃紺を見かけますが、同じようなイメージです。

2019年11月10日日曜日

Mazda 3の2Lガソリンエンジン車に試乗しました

日本の公道の速度域なら1.5Lで十分だと思っていますが、1.5L車だと付けられない長距離向け装備があることから、2Lで乗った場合にどんな感じなのか知りたくて試乗させてもらいました。当初は2L車に懐疑的でした。デミオの1.5Lガソリンエンジン車のようにパワーとトルクに余裕がある分ハイギアードにしてしまうとアクセルを踏み込んだときにトルクの苦しい速度域が出てしまって却って走りにくいのではないかと懸念していました。車と道路と運転とは三位一体で、ヨーロッパの速度域にマッチする車が必ずしも日本の速度域にマッチするとは限りません。車はバランスが大切ですので、むしろパワーの劣る車の方が扱いやすいことだってあります。Mazda 3の1.5L車ならアクセルを踏んでエンジンを回す必要があるものの、前に試乗した際には街乗りでは意外と問題なく乗れることがわかっていました。高速巡航ではパワーは必要ありませんし、フルパワーで加速する時間は短時間です。長距離向けの装備はたまにしか使いませんが、車に乗れば必ずアクセルを踏みますので、値段や装備のことは気にせず、運転して気持ちの良いのはどちらかという観点で試乗してみました。

出足は静かで穏やかです。意図した通りの出足であり、出すぎることも足りないこともありません。街乗りで加速してみても常に穏やかであり続けます。遅くはありませんが速くもありません。1.5Lエンジンが重量に対して非力なだけで、2Lだからといってパワーがあるわけではありません。ブレーキも効きすぎることはなく、デミオディーゼルのよく効くブレーキの感覚でブレーキを踏むと思いのほか制動距離が延びますが、踏めが踏んだだけ効くブレーキですので、慣れれば扱いやすいと思います。曲がるのも素直で、意図した通りに曲がります。狭い道も走ってみましたが、コントロールしやすいため、車体の大きさの割には苦になりません。全般的に運転する上でのストレスが無い代わりに刺激もありません。

2L車特有の装備としては、まず道路標識を認識するシステムは夜間でも機能します。なぜか市街地で「120」と表示されることもありますが、明らかにおかしな数字でしたら誤認することもないでしょう。フロントガラスに投影されるタイプですので、ヘッドアップディスプレイよりも高い位置に表示されて見やすいです。メーターパネル上でも制限速度が表示されますが、スピードメーターの左上に小さく表示されるのみです。標識の識別精度がもっと高くなったら、スピードメーター中央部の一等地に表示されてもおかしくありませんが、今はまだその水準でははさそうです。アダプティブLEDヘッドライトは、ハイビームコントロールと異なりハイビーム切り替えがきちんと機能しますので、ストレスがありません。夜間の運転ではハイビームにしないと標識が見えませんし、特にハイビームが点灯しないでオービス看板を見落としたら大変なことになります。パドルシフトは1.5L車にはつかず、カタログを探しても見当たりませんが、ショップオプションで2万円くらいで付けられるとのことです。前側方接近車両検知はあればあるなりに便利で、慣れてしまえば進路変更時の後側方接近車両検知と同様に重要なバックアップとなるはずです。クルージング&トラフィックサポートを使う機会はありませんでした。2019年9月からカタログにひっそり追加されたリバース連動ドアミラー機能も試せずじまい。

せっかくですので、2L車を試乗した直後に1.5L車ももう一度試乗してみました。アクセルを踏むと勇ましいエンジン音が聞こえてきますが、2L車に試乗した直後ということもあり、ろくに前に進んでおらず、スピードメーターを見るとまだこんな速度だったのかとびっくりします。飛ばした気分になるものの実際のスピードは出ていないという免許にやさしい車です。この車でパトカーに捕まるのは難しそうですし、オービスの光る速度まで達するのが想像できません。これはMazda 3に限ったことではなくアクセラ1.5Lでも同様です。慣れてしまえば最初からアクセルを踏みますので、日本の公道で走る分にはこれで間に合ってしまいます。エンジンは回りますが不快ではありません。上り坂では当然パワーが足りませんが、スポーツモードにすれば同じようにアクセルペダルを踏んでもエンジンが回る分だけパワーが出ます。そもそも上り坂を走る時間なんてそんなに長くありません。街乗りでパワー不足を感じる場合も同様にスポーツモードにすれば加速しますので、乗り慣れない人は最初からスポーツモードにしてしまった方が乗りやすいかもしれません。一定速度で巡航する際にはパワーの無さは気になりませんし、曲がるのや止まるのはパワーと関係ありませんし、ボディの剛性やシャシーの性能はパワーの無い車でも一緒です。これはこれでありだなと思います。むしろ、ファストバックの癖のあるエクステリアには勇ましいエンジン音の1.5Lの方がマッチするのではないでしょうか。たまに遊びで乗る分には楽しい車だと思いますし、近所の買物でゆっくり走っても楽しい気分になります。

ディーゼルエンジン車にはまだ試乗していませんが、デミオディーゼルに乗ってきた経験から推測すると、ガソリンエンジン車に比べて癖がある一方で、長距離巡航には強そうですので、ボディー剛性やシャシー性能を堪能するのは良さそうなものの、その良さにうまくはまってしまうととてつもなく走行距離が延びるのではないかと心配になります。

2L車は派手な外見とは裏腹に中身は素直で穏やかで、見た目の中身とのギャップから、「性格の良いギャル」という印象です(その例えを用いるなら1.5Lは「普通のギャル」でしょうか)。2L車はファストバックよりもむしろセダンの方が似合いそうです。1.5Lならファストバックの方が似合いそうですが、そもそもセダンの設定がありません。MTで乗るなら2Lよりも1.5Lの方が面白そうで、2L車にMTの設定が無いのもわからないでもありません。当然2Lの方がパワーがありますが、車の運動は公道での速度と加速度によって制約されますので、パワーがあればその分速いというわけではありません。

毎日のように乗って、長距離乗って、長く乗り続けるのでしたら素直で穏やかで疲れない車の方が向いているのではないでしょうか。ファストバックの特徴的な外見も、初めて写真で見たときには何だこれはと思いましたが、目が慣れてくるにつれてだんだん良く見えてくるのが不思議です。これも長く付き合うには有利ではないでしょうか。たまにレンタカーで乗るなら1.5L、所有するなら2Lが良いのではないかと思いました。

それにしてもこの車は日本で売るのが難しい車に思えます。エクステリアは目立ちますし、インテリアも値段の割にはしっかりしていますので、そういう部分はわかりやすいのですが、肝心の走りはというと「個性が無いのが個性」みたいな走りですので、日頃から長距離を走り込んでいて「良い車とは長距離を走っても疲れない車である」ということを肌感覚で理解している人なら良さがわかるのでしょうが、あいにく日本のドライバーの大半は長距離を走りませんので、見た目だけの車と思われているようです。少々癖のある1.5L車の方がまだわかりやすいですが、カタログスペック上明らかに非力というのがネックになって、乗ってみれば意外とどうにかなるし実は結構楽しいという所までなかなか到達しません。マツダ車全般に言えることですが、乗ればわかるけれども乗らなければわからないため、文字だけでは伝わりません。こればかりは実際に乗ってみてください、できればレンタカーでも借りて長距離走り込んでくださいとしか言えません。

2019年11月5日火曜日

水噴射エンジン

かつてエンジンの燃焼室に水を噴射してエンジンの排熱で水蒸気にして膨張させることで、余った熱エネルギーを運動エネルギーにできないものかと思いついたことがありました。ガスタービンエンジンの排熱を使って蒸気タービンを回すガスタービンコンバインドサイクルのようなものをレシプロエンジンでも実現できないものだろうかと思ったためです。水は気化すると体積が1700倍に膨張しますので、燃焼室内に僅かに噴射するだけでも莫大な運動エネルギーを発生させます。これは蒸気機関でよく知られていることです。

エンジン冷却水は概ね90℃くらいで安定していますので、一旦エンジン冷却水としてエンジン排熱を回収した上で、それを燃焼室に噴射して気化させて膨張させれば僅かな熱量で大きな運動エネルギーを発生させることができますし、断熱効果もあるので熱効率が良くなるのではないかとか、あるいは、4気筒のうち2気筒だけ燃料を噴射して残り2気筒には高温のEGRの中に水を噴射して熱を回収しつつ運動エネルギーに変換して、それを2気筒づつ交互に繰り返すようなやり方なら、気筒休止と同様の燃料節約効果をもたらしつつ出力を増大させることができないかとか、さらにいえば、ディーゼルエンジンでは窒素酸化物を還元するために尿素水(アンモニア水溶液)を噴射する技術が広く採用されていますが、アンモニアは水よりも沸点が低いため、水を噴射して排熱を運動エネルギーに変換した後で、残った熱でアンモニアを噴射してさらに運動エネルギーに変換した上で、触媒に到達した時点で窒素酸化物を還元するのに使えないかとか(現状では尿素水は燃焼室ではなく触媒に噴射されています)、あったらいいな的なものはいろいろ思いつきます。

しかしそういうものを探しても市販車ではなかなか見つかりませんでしたので、世の中に存在しないのには何か理由があるのだろう、素人のいい加減な思いつきだけではうまくいかないような理由があるのだろうと思っていました。ロータリーエンジンだってHCCIだって理屈としてはわかるものの、簡単に実用化できるものではありません。エンジンの排熱利用の例として最も有名なのはターボチャージャーですが、排熱利用はタダではなくて掃気の悪化を通じて燃焼効率を悪化させているとのことで、掃気を悪化させないターボ式エンジンが実用化したのはつい最近のことです(そういえばダイナミック・プレッシャー・ターボはディーゼルエンジンに横展開されないのでしょうか)。

唯一実用化しているBMWの水噴射エンジンでは、水噴射で燃焼室の温度を下げることでノッキングを起きにくくして圧縮比を上げることでダウンサイジングターボの弱点を解消しています。直噴エンジンでは燃料噴射時に燃料が気化熱を奪うことでノッキング対策をしていますが、これを水に置き換えるものです(https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/mag/15/397260/080200187/)。

東京工業大学と慶応義塾大学の研究グループは、水噴射によって燃焼室内で水蒸気の膜ができ断熱効果をもたらすことを発見しました(https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/02695/?n_cid=nbpnxt_twbn)。熱損失を減らすことができればその分熱効率が向上します。

マツダが2018年8月に取得した特許では、高温高圧下で燃料と水とを反応させることで、燃料の一部を水素と一酸化炭素(一酸化炭素は酸素との結合力が強いので燃焼します。高炉では高炉ガスと呼ばれており、発電に用いられています)に改質し、このエンタルピーの高い燃料を燃焼させることでピストンを押し下げる力を強くして排熱回収するとあります(https://ipforce.jp/patent-jp-B9-6376190)。SACI燃焼(Spark Asisted Compression Ignition Combustion)を前提条件としていることから、Skyactiv-X開発の副産物のようで、実用化に成功すればSkyactiv-Xの改良型で実装されるかもしれません。しかし、特許公報には熱効率改善の定量効果についての記載はありません。

2019年のマツダ技報には「高温高圧雰囲気場における水添加が自着火・燃焼反応におよぼす影響」という論文があり、水噴射とEGRとの比較では、「水噴射の方がノッキング抑制効果が劣るだけでなく、自着火後に燃焼反応を活性化する効果がある」としています。ノッキング抑制が目的であればEGRを使えば良くて、水噴射を活用するなら別の目的でということなのでしょう。

エンジンに水を噴射すると燃焼室の中では様々な反応が起きているようで、水が気化して膨張するという単純な話ではないようです。

水噴射エンジンの既知の課題としては、凍結と腐食とがあり、保守に難があるため、レーシングカーならまだしも市販車で採用しにくいとされています。BMWのエンジンでは純水のタンクから直接噴射しているのに対して、エンジン冷却水を抽出して噴射すれば凍結の心配はないはずです。上記マツダの特許公報では、熱交換器を通して水を高温高圧にするとあります。腐食の問題は厄介で、100℃から300℃くらいの飽和水蒸気は湿っているため腐食をもたらしやすいです。原子力発電では燃料棒のジルコニウム被膜を溶かさないよう蒸気の温度を300℃くらいに抑えており、そのため原子力発電用の蒸気タービンでは腐食が課題です。通常、ボイラーではもっと温度の高い乾いた水蒸気を使います。水の噴射量が微量であれば水蒸気の温度を上げることは容易ですが、そうすると排熱をあまり回収できません。かといって排熱回収を重視して水蒸気温度を下げると腐食しやすくなりますので、エンジン側で腐食対策が必要かもしれません。

2019年10月28日月曜日

Lineカーナビを使ってみました

これからのトヨタの車ではスマホに入れたLineカーナビアプリを使うとのことで、トヨタ車の標準ならそんなに変なものではあるまいと期待して試しにスマホにアプリを入れてみました。

まずはiOS版からで、Lineのログインプロセスをはしょって目的地設定画面に到達しました。目的地を入力すればすぐにルートが出てきて、かつ「推奨ルート」「距離優先」「一般道優先」といったように複数種類出てくるところまでは大したものだと思いました。経由地を入力したくていろいろ探したのですが見当たらず、ネット上でヘルプを見たら、目的地が表示されている箇所をタップして「+」のボタンを押すと経由地を入力できる由。経由地を一つ入力してみて、次の経由地入力をしてみようとしたものの、目的地と経由地の表示されている画面にはこれ以上「+」ボタンが見当たりません。もしかして複数の経由地を入力できない仕様なのかとびっくりしました。マツダコネクトのカーナビですら経由地を5か所まで入力できるのに。

次にAndroid版をインストールして立ち上げたものの、こちらはLineアカウントでログインしないと一切先に進めない仕様でした。Lineのアカウントを持っている人にとっては問題ないかもしれませんが、カーナビがLineアカウントと紐づいているということは、車での移動履歴をセンテンススプリングされるリスクがあるということで、しかも複数のLineユーザーの移動履歴が同じ場所でマッチしていたら、同乗していたことまでもわかってしまいます。そのようなリスクを取るのに見合ったリターンがあるかというと、そうは見えませんでした。

トヨタ監修でこんなものを出してしまって大丈夫なのだろうかと思いましたが、トヨタといえども得手不得手はあるのかもしれません。Googleと組んで大丈夫かとかYahoo!と組むのを良しとするかはともかくとして、有料版でよければ他にもNavitimeのような定評あるカーナビソフトもあるわけで、組む相手をどうにかできなかったものだろうかと思います。コネクテッドカーの世界はいろいろ大変そうです。

2019年10月27日日曜日

マツダコネクトのUSB端子にある種のスマホを接続するとi-DMが誤作動する?

ここのところ運転中にi-DMが白点灯し点数が下がる事象が頻発していました。頻繁に白点灯した際には3点台や時には2点台といったありえない点数になります。2点台なんて、危険回避のためにものすごい急ブレーキをかけることでもない限り、通常なら発生しえない点数です。エンジン停止時のスコア表示の際には急アクセルの比率が高かったり、急ブレーキの比率が高かったりする表示が出ましたので、i-DMの計算の誤りというわけではなく、元になるアクセルやブレーキの関する信号から何らかの問題が発生しているように見受けられました。決して荒い運転をしていたわけではなく、高速道路で巡行中(当然アクセルもブレーキもステアリングもほとんど動いていません)に白点灯が何秒も継続することがあることから、運転以外の何らかの要因で発生しているのではないかと推測し、タイヤの空転やサスペンションのへたり等の可能性も疑いましたが、今まで決定的な証拠は得られませんでした。

短距離を移動する際には通常通りの点数になることや、かつてシガーソケットからスマホ用の電源を取っていた頃には発生しなかったことを思い出し、試しに問題のスマホをマツダコネクトのUSB端子に接続することなく高速道路を走ってみたところ、それまで3点台や2点台といったあり得ない点数が出ていた状況から一変して、あっさり5.0点が出ました。短距離を移動するときに問題が発生しなかったのは、わざわざスマホを充電させるほどのことの無い状況だったためでしょう。

なぜスマホを疑ってかかったかというと、エンジン始動前にUSB端子に接続すると畳んでいたドアミラーが勝手に開くことがあったためです。車のエンジンを停止させてドアにロックをかけるとドアミラーが自動で折りたたまれ、エンジンを始動するとドアミラーが自動で展開する設定にしていますので、ドアミラーが展開するということは、あたかもエンジンが始動したかのような信号が制御系に流れていることを意味します。それ以降、エンジン始動前にはマツダコネクトのUSB端子に接続しないようにしましたが、エンジン始動後には接続していました。i-DMが誤作動するということは、i-DMの点数が下がるだけならまだしも、その元になるアクセルやブレーキやステアリングに関する信号にノイズが流れているということで、車の制御系にまで悪影響を及ぼしかねないことから、当面は当該スマホをUSB端子に接続することを差し控えたいです。

今回はたまたまi-DMが白点灯して点数が下がるという目に見える事象が発生しましたので気が付きましたが、i-DMが無かったら同じようにスマホをUSB端子に接続しても制御系の信号のノイズに気が付かない可能性があります。その場合、何も気が付かないか、せいぜいなんだかギクシャクして運転しにくいなと感じるくらいだったことでしょう。

もちろんすべてのスマホで再現するわけではなく、iPhoneでは再現しません(ドアミラーが勝手に展開する事象も発生しておりません)。おそらくすべてのAndroidスマホで再現することもないはずで、今のところ不審な挙動が再現するのはシャープのAQUOSシリーズのSH-M05のみです。当該機種に限定されるのかAQUOSシリーズの広範囲で再現するかまではまだわかりません。USBケーブルとの相性の可能性もあります。あるいは、DEQ-1000A-MZを接続しているのがまずいという可能性もあるものの、DEQ-1000A-MZを装着する前から、エンジン始動前にスマホを接続するとドアミラーが勝手に展開する事象は発生していました。問題を特定するためには、様々な可能性ごとに再現実験を行い問題を切り分ける必要がありますが、制御系の信号にノイズが入っている可能性のある状況で公道上で再現実験すると危険ですので、テストコース上でやった方がよいかもしれません。

2019年10月14日月曜日

タイヤ空気圧と操縦安定性

秋になると気温が下がりますので、タイヤの空気が抜けていなくても空気圧も下がっていきます。この前高速で妙にタイヤが空転してi-DMが長時間白点灯して走りにくいと感じたのですが、給油時に空気圧を測ったらかなり下がっていました。規定の空気圧にすると走りやすくなります。これはトーヨーの新車装着タイヤでだけでなくヨコハマのBluEarth-Aでも同様です。

デミオディーゼルの規定の空気圧は前260kPa、後230kPaと高めで、「燃費のために空気圧を上げているのではないか」と言う人もいるようですが、燃費だけでなく走りのためにも必要な数字に思えます。「空気圧を下げると乗り心地が良くなる」とも言われていますが、空気圧が下がっていたときに乗り心地が良いと感じることはありませんでした。平滑な路面でなら乗り心地が良くなるのかもしれませんが、荒れた路面では、空気圧が下がるとタイヤがたわみやすくなる分サスペンションの動きが悪くなり、たわんだタイヤが復元しようとする際に変なタイミングで反動が発生しますので、却って乗り心地が悪く感じられます。規定の空気圧まで上げると、たしかに突き上げは感じられますが、揺れがすぐに収束するように感じます。

操縦安定性のためにある程度の空気圧が必要なのは他の車でも同様ですが、なぜデミオディーゼルの規定の空気圧はこんなに高いのでしょうか。他の車だと高くてもせいぜい前250kPa、後220kPaくらいです。デミオディーゼルの場合、前輪にかかる荷重の割にタイヤが細いせいでしょうか。幅が広ければ荷重が分散しますので、空気圧がそんなに高くなくてもたわまないはずです。185/60R16という珍しいサイズだとやはりバランスが悪いのでしょうか。16インチホイールを履くならアクセラのように幅205mmあった方がよいのかもしれませんが、15インチタイヤのタイヤハウスに収めるために幅を切り詰めているのが良くないのでしょうか。しかし幅の広いタイヤを履いているCX-3の操縦安定性や乗り心地が良いかというとそうでもなく、そうなるとシャシー設計時に想定されたタイヤのサイズによって制約されているのでしょうか。

2019年10月6日日曜日

CX-30の実車を見ました

CX-30の実車を近くで見かけました。色はポリメタルグレーでした。ガソリンエンジンかディーゼルエンジンかは見た目からではわかりませんでした。見ただけですのでエクステリアの印象だけです。

【尻】
ポリメタルグレーということもあり、Mazda 3のファストバック同様にぬめっとしています。ただ、リアハッチの天地寸法が大きく、ナンバープレートの左右にまで垂れ下がっていますので、白いナンバープレートが出っ歯のようで、ガチャピンのように見えました。テールライトは少しタレ目気味でした。リアウインドー下の天地寸法が大きいため、Mazda 3のファストバックよりも間延びした印象です。前や横はあまりSUV風に見えないよう工夫していますが、後ろ姿はSUV的です。リアハッチ下部の凹みを左右方向に伸ばして上下で一体感を持たせないよう工夫していますが、それでも遠目に見ると間延びして見えます。

【フロント】
ナンバープレートがフロントグリルの中に無いこともあって、見た目はすっきりしています。Mazda 3よりもボンネットが高い分立派そうに見えますが、フロントグリルが平べったいため、それでもSUVにしては平べったい印象です。そうなるとMazda 3のボンネットをさらに低くしなければならない理由もなんとなく想像がつきます。ボンネットを高くして立派そうに見せかけるのはCX-3と同様ですが、CX-3よりもフロントグリルの左右方向を拡大したり、フロントバンパー下の黒いプラスチックパーツを分厚くすることで、乗用車然とした見た目にしています。

【高さ】
CX-5が隣にいましたので、違いがわかりやすかったです。最大の違いは高さです。2台並ぶとまさにフォレスターとXVのような感じです。全体のサイズはCX-30の方が一回り小さいはずなのですが、高さの違いほどわかりやすくはなく、CX-30の天井の高さが気にならなければCX-30でも十分かもしれません。CX-30の全長はCX-3とさほど違いませんが、CX-3に比べると後席の天井を高くしたり後席の窓の天地寸法を拡大するなどして、後席の居住性を改善しているのが見て取れます。CX-5は登場当初に比べて値段が上がっていますし、FRの新型になればさらに高くなるでしょうから、初代CX-5初期型から乗り換えるとしたら、予算面ではCX-30が現実的ではないでしょうか。

【タイヤ周辺】
CX-5よりもCX-30の方がタイヤ周囲の黒い縁取りが分厚くて、縁取りの外周部のサイズはCX-5と同じくらいあります。CX-30は車体をかさ上げするのではなく、ドアの裾の黒いプラスチックをリアバンパーと一体に見せることで、車体がかさ上げされたかのように見せかけるデザインです。台枠の上にハッチバック車の車体が乗っかっているかのように見えます。単純に車体をかさ上げしないのは、床下に電気自動車用の蓄電池を搭載するためでしょうか。側面の鋼板が曲がりくねっている一方で、裾のプラスチックパーツは直線基調ですので、両者をうまくつなげるのがデザイナーの腕の見せ所なのでしょう。

【全長】
Mazda 3よりも短いものの、それは単にMazda 3がCセグメントにしては全長が長いだけであって、CX-30の全長はCセグメントとしては標準的ですので、全長が短いからと言い訳できるサイズではありません。かさ上げされたゴルフみたいな感じです(後席の窓の形はゴルフというよりもむしろポロですが)。

速度が乗ってくると乗り心地が良くなる

走行距離が増えてくるにつれてサスペンションがへたってきたのか、街乗りだと路面の凹凸を拾うたびにひょこひょこと細かく揺れます。GVC付の車を試乗した後だとなおさら気になります。しかし高速道路を走って速度が乗ってくると乗り心地が良くなってきます。今までそんな風に感じたことはなかったのですが、街乗りでの乗り心地が悪くなってくるにつれて、高速域での乗り心地がさほど悪くなっていないことに気づくようになりました。

もちろん高速道路の方が一般道よりも舗装が良いというのもありますが、運動エネルギーは速度の2乗に比例しますので、路面の凹凸による衝撃も速度の2乗に比例するはずです。もしあるとすれば、車体の慣性力やホイールの慣性力によって車体を地面に押さえつける力が強くなることでしょうか。

DJデミオは後ろが軽いせいか、後輪に荷重がかかっているときの方が乗り心地が良いです。シャシーはDYプラットフォームがベースですが、DEデミオから軽量化されましたので後輪への荷重が本来想定されていたよりも不足しているのではないでしょうか。

2019年9月23日月曜日

Mazda 2に試乗しました

Mazda 2の試乗車がディーラーに入りましたので、早速試乗しました。時間に余裕があったのとMazda 3やCX-30の陰に隠れて目立たないため、ガソリンとディーゼルの両方に試乗できました。

【タイヤ】
どちらも16インチでしたが、トーヨーのProxes R55という専用設計の新車装着タイヤでした。トーヨータイヤのウェブページにもまだ出ていません。Proxes R39と別の型番を起こしたあたり、いろいろ設計変更されていそうです。専用設計タイヤだと、履きつぶした後で市販タイヤを購入した際に乗り味が変わってしまいます。15インチならBluEarth-GTですので、市販タイヤと新車装着タイヤとの違いこそあれ、専用設計タイヤからの履き替えよりは影響が小さいのではないでしょうか。

【サスペンション】
トーションビームを眺めてみたところ、やや中央がくびれており、Mazda 3と同様に新設計のものかもしれないと思ったものの、DJ前期型のトーションビームも見てみたらほぼ同じものでした。ダンパーはかなり太いものがついていましたが、メーカー名までは読み取れず。

試乗しての感想は、デミオ以上Mazda 3未満でした。交差点で曲がるときの自然な感覚はMazda 3と同様です。デミオのときには「所詮デミオか」と思いましたが、Mazda 2ではかなり良くなっています。ブレーキをかけて停止するときの自然な感覚もMazda 3同様です。こういう所をみっちり作り込んでいるのには好感が持てます。トーションビームが従来と同じなのにどうやって改善したのでしょう。

荒れた路面を通過するとガタガタと揺すられるのはMazda 3と同様ですが、Mazda 3よりは角が取れている感じです。その代わり、車体が軽いせいか、あるいは車体の剛性に差があるのか、車格相応に揺れます。Mazda 2とMazda 3の違いがマイナーチェンジかフルモデルチェンジかの違いなのか、あるいは車格の違いなのかはまだわかりません。ガソリンエンジン車よりもディーゼルエンジン車の方が後ろが跳ねるのが気になりましたが、ディーゼルエンジン車は前が重いので余計に後ろが跳ねるのかもしれません。

Mazda 2はガソリンエンジン車もディーゼルエンジン車もDJ初期型に比べれば圧倒的に乗り心地が良いです。

【エンジン】
1.5Lガソリンエンジンに比較的余裕があるものの、ディーゼルエンジンの方が低い回転数を維持したまま加速できる分余裕がありますので、長距離走る分にはディーゼルエンジンの方が楽でしょう。でもそれくらいの差しかありません。昔と違って今ではディーゼルエンジン車とガソリンエンジン車とで差をつけませんので、街乗り主体ならガソリン、長距離乗るならディーゼルと用途に応じて決めれば十分でしょう。もっとも、街乗り主体のつもりでディーゼルエンジン車を買ってしまっても、乗り始めればどのみち走行距離が伸びますので、さほど問題ありません。5年で10万km乗れば燃料代だけで元が取れます。遠出する頻度が少し増えれば1年で2万kmなんてすぐです。価格差もせいぜい15万円程度です。ただし、ディーゼルエンジン車を買うとなると重量バランスがよく条件の悪い路面にも強いAWDが欲しくなってしまいますので、実際の価格差はもっと大きくなりますが。それに、ディーゼルのAWDとなると乗り出し300万円くらいしてしまいますので、Mazda 3との比較になってしまいます。

ガソリンエンジンだと一部の速度域でトルクが苦しい場面がありますので、ガソリンエンジン車にはばね下重量の軽い15インチホイールの方が合っているかもしれません。

1.5L自然吸気エンジンでもそこそこよく走りますので、将来Skyactiv-Xの1.5Lなんて載ったらストレスフリーで運転できそうです。その代わりBセグメントなのに350万円くらいしそうですので、むしろMazda 3やCX-30と比較されるかもしれませんが。

【シート】
骨盤を立てるシートになっています。深く掛けると骨盤上部に当たる箇所が硬くて、ここで骨盤を立てているのがわかります。ガソリンエンジン車はネイビーのファブリック、ディーゼルエンジン車はブルーグレーのレザーですが、どちらも写真で見るよりも自然な色です。というか、どうして写真では不自然な色にするのか理解に苦しみます。ネイビーといっても写真に出ているような紺色ではなく、予備知識が無ければ濃いグレーに見えます。よく見ると腰の当たる部分の糸が紺色だったり、ドアの内張りの布が紺色だったりしますが、言われないと気が付きません。車の内装としてはしごくまっとうなものです。ブルーグレーも、やや青みがかったグレーで、車の内装としては別段違和感ありません。白のレザーよりも汚れが目立ちにくいのではないでしょうか。当初はどうしてこんな色にしたのだろうと思いましたが、ポリメタルグレーの色合いであることを思い出しました。マツダはソウルレッドを出した頃はソウルレッド推しでいたるところに赤の差し色を入れていましたが、マシーングレー推しになってからは赤の差し色の代わりにグレーの差し色を使うようになりました。今度の青系内装はポリメタルグレー推しでしょうか。

レザーシートは生地に張りがあって硬いので、しっかりフィットするシートが好みならファブリックの方が適していそうです。

【その他内装】
いつものデミオです。

【マツダコネクト】
従来型です。CarPlayやAndroid Autoに対応しているタイプのはずですが、スマホとケーブルを持ち込まなかったため試せていません。

【フロントグリル】
中の黒いメッシュは写真では網目模様に見えますが、プラスチック製でぶつぶつが外側に向かって飛び出しています。ぶつけたら簡単に壊れそうですが、それも歩行者保護のうちなのかもしれません。ピアノブラック塗装で、立体的なぶつぶつへの光の当たり方に応じて反射のしかたが異なるのが売りのようです。Bセグメントのくせにフロントグリルが凝っています。

上品な見た目ですが、エンジンも上品になってしまいましたので、初期どっかんターボの頃のようなやんちゃな見た目から変えるのはわからないでもありません。

【ライト】
デミオよりも少し細くなったとはいえ、他の車に比べれば比較的くりっとしています。ロービーム周辺のポジションランプの形状が変わったのと、ハイビームが四角いものに変更されています。

【ホイール】
写真で見たアルミホイールは派手でしたが、試乗車についていたのはメーカーオプションの16インチホイールで、安いせいか、デミオの15インチのアルミホイールと同様の普通の見た目でした。

【バンパーについているメッキパーツ】
無ければ間が抜けてしまうのでしょうが、機能の裏付けの無い単なる装飾です。安いグレードだと黒いプラスチックなのですが、そちらの方が落ち着いて見えそうです。

2019年9月15日日曜日

Mazda 2の新車装着タイヤ

ヨコハマタイヤが9月12日のMazda 2発売に合わせて、Mazda 2の新車装着タイヤの納入を開始した旨のプレスリリースを出しました。もともとBluEarth-GTはデミオの15インチの新車装着タイヤであるBluEarth-Aの後継ですし、BluEarth-Aは廃盤になっていますので、BluEarth-GTの採用は順当といえます。

「装着サイズは185/65R15 88S」とありますので、では185/60R16の方はどうなのだろうと思って探してみたところ、いつの間にかトーヨータイヤからProxes CF2の185/60R16が出ていました。リム幅5.5Jとまさにデミオ用です。ついこの間までトーヨーから出ているこのサイズはエコタイヤのNanoEnergy 3Plusしかなかったため、選択肢として真面目に検討していなかったのですが、タイヤの選択肢が増えること自体はありがたい話です。ただ、トーヨータイヤからプレスリリースが出ているわけではなく、これがMazda 2の16インチの新車装着タイヤであることを示す証拠は今のところありません。Proxes R39のように市販されていない形式となる可能性もまだあります。

→Mazda 2の実車で見たところ、16インチタイヤとして、Proxes R55というタイヤがついていました。専用設計タイヤのようですが、情報が出ていないためどのようなタイヤなのかわかりません。

ちなみにトーヨーの新車装着タイヤのページではProxes R39Aというのがあり、いつの間にかProxes R39から型番が変わっていました。デミオ専用タイヤですので、サスペンションセッティングの変更に合わせた仕様変更なのだろうかと推測するものの、R39とR39Aの違いが何なのかを知る手がかりがありませんので、もしかして単なるコストダウンなのだろうかと勘繰ってしまいます。

185/60R16の市販タイヤの他の選択肢といえば、エコタイヤを除けばブリジストンのRegno GRⅡやダンロップのLe Mans Vといったコンフォートタイヤくらいです。BluEarth-GTの185/60R16はまだ出ておりません(タイヤ屋曰く、BluEarth-Aの在庫が無くならない限りBluEarth-GTの製造を開始しないのではないかとのこと。事実上デミオ専用サイズのため、わからないでもありません)。ヨコハマのAdvan db V552も195/55R16ならありますが、185/60R16はありません。

もっとも、Mazda 2で16インチタイヤを標準でつけるのはL Packageだけであり、S Packageまでは15インチです。S Packageで16インチのオプションがあるくらいです。デミオ時代に16インチだったXD S Packageは15インチになりました。BluEarth-GTに関する記事を見ると、BluEarth-Aに比べて操縦安定性が向上したとあります。BluEarth-Aは高速道路での安定性やグリップ力がProxes R39よりも劣りますが、操縦安定性の向上がもし本当なら15インチのBluEarth-GTでも十分かもしれません。185/60R16よりも185/65R15の方が汎用性が高くタイヤの選択肢も多いですし、それに16インチよりも15インチの方がタイヤもホイールも安いので、様々なメリットがあります。

2019年9月14日土曜日

Mazda 3の後ろを走ってみました

高速道路を走っていたら前方に特徴のある尻が見えました。この尻にピンときたらMazda 3のファストバックということで、せっかくですのでリアサスペンションの挙動を見てみようと思って、走っている様子を眺めてみることにしました。色は黒っぽく見えましたが濃紺のように見えました。真後ろから見るとさほどぬめぬめとはしておらず、むしろリアハッチが凹んでいるのが目立ちます。

Mazda 3の走行時の挙動を眺めてみると、まず車体がまったくぶれません。比較のために追越車線を走る車の後ろ姿を見てみると、車体がゆさゆさと揺れています。Mazda 3は路面のうねりを越えると車体もそれに合わせて動きますが、あくまでも路面に追随して動いているだけで、即座に収束し余計な揺れがありません。乗り心地は悪そうに見えますが、操縦安定性は良さそうに見えました。乗り心地の悪い分は人間の体をサスペンションにすることで補うのでしょうが、ドライバーはともかく同乗者はどうするのでしょう。

トンネルに入ると、車体のシルエットとテールランプだけが見えましたが、テールランプの光る部分の形状がDJデミオのと同じ、円の下半分を切り取ったような半円形ですので、後ろ姿がデミオでした。もしかしてデミオのことをMazda 3と勘違いしていたのだろうかと思ってトンネルを出た後で二度見しましたが、やはりリアハッチは凹んでいますし、マフラーは2本出しですので、デミオではなくMazda 3でした。こういう姿はカタログやメディア写真では見えませんので、実車で見て初めて気がつきました。

2019年9月12日木曜日

デミオディーゼルで5人乗りしました

実質1人~2人乗りのデミオですので3人乗りとか4人乗りとかを稀に経験する程度でしたが、このたび初めて5人乗りを経験しました。明らかに重くなったのを感じましたが、それでもアクセルを踏めばちゃんと加速して公道で常識的な速度で走れるのはさすがディーゼルエンジン車だと感心しました。もちろん平均燃費がみるみる下がっていくのは上り坂と同様で、必要なエネルギー量が多い以上致し方ないことです。

乗り心地は極めて良好。後輪に荷重がかかってリアサスペンションがきちんと仕事をするようになると全く跳ねません。それだけでなく、後輪の接地が良くなることで快適かつ滑らかに曲がれます。不思議なのは、人を下ろして一人で運転してからもリアサスペンションの動きが良く感じられたことです。いままでろくに荷重がかからなかったせいでリアサスペンションの動きが渋かったのが、荷重がかかることで当たりが取れたのでしょうか。

2019年9月8日日曜日

骨盤を立ててみました

着座姿勢を直そうとして左足を突っ張って腰を浮かしてみたところ、骨盤が立った姿勢になりました。通常の椅子の設計では腰骨の辺りを支えるのですが、腰を浮かして体をシート背面に押し付けると骨盤の上が支えられます。たしかにマツダの開発者の言う通り、ここを支えると骨盤が立ちます。AT車では左足は他に何もしていませんので、左足を突っ張れる程度にシートを前に出し、左足で体をシートに押し付けるようにすれば容易に再現できます。もちろんこの姿勢を長時間維持するのは無理ですが。

骨盤が立つとどうなるかというと、まず路面からの入力を体でいなせるようになって姿勢が安定します。そうなると路面の状況が手に取るようにわかるようになり、たしかに歩いているような感覚になり、路面からの突き上げが苦にならずむしろ運転が楽しくなります。

ここで気をつけなければならないのは、体が路面からの入力をいなしやすくなっている一方で、路面からの突き上げ自体は決して無くなっていないことです。デミオディーゼルとりわけ前期型はあまり乗り心地がよくありません。足は固めで路面からの入力で車体が揺さぶられます。後輪に荷重がかかるとDYプラットフォーム本来のシャシー性能を発揮できるようでもっとしっとりとした乗り心地になりますが、後席や荷室が空いている状態で乗ると車体後部がポンポン跳ねます。サスペンションが仕事をするためにはある程度の荷重が必要なようで、軽い車はどうしても車格相応の乗り心地になってしまいます。初期どっかんターボとの組み合わせではまさにじゃじゃ馬でした。

それにも関わらず長距離の移動は全く苦になりません。高速道路を走るだけなら1日に600km~700kmくらい走っても疲れませんし、時折一般道も走るなら500kmくらい、田舎の国道だけなら400kmは平気で走れます。もっともそれはドライバーにとっての話であって助手席に乗る人にとってはこんな小さな車の助手席では落ち着かないかもしれませんが。

そのようなことを踏まえつつMazda 3に対する試乗記事をいろいろ見ていると、路面からの突き上げを指摘するものを多く見かけます。実際に試乗してみるとたしかにその通りに感じます。行きつけのディーラーの試乗コースの中に路面の荒れた箇所があって、いろいろな車種で乗り比べてみるとシャシーの違いがわかります。アクセラ2.2Lディーゼル(18インチ)ではさすがアテンザ用のリアサスペンションを使っているだけあって荒れた路面を感じさせず氷の上を滑るような乗り心地でしたが、アクセラ1.5Lガソリン(16インチ)やデミオではそこそこ突き上げを感じます。Mazda 3の1.5Lガソリン(18インチ)に試乗した際にも車格不相応なごつごつとした突き上げがあり、シャシー設計を工夫してもさすがに突き上げは無くならないのかと思いました。

他の条件を一定とするならごつごつした乗り心地よりも滑るような乗り心地の方が望ましいでしょう。しかしそれ以上に大切なのは「何を評価軸にするか」です。シャシーの総合力は最終的には「長距離乗っても疲れない」という実際に長距離を走ってみれば誰にでもわかる感覚に収斂します。それを達成できるならそれ以外の部分で多少のことは大目に見てもよいのではないかと思います。いずれMazda 3で長距離乗れる機会があればぜひ確かめてみたいものです。短時間試乗した限りでは「でかいデミオ」とか「上品なデミオ」といった言葉が思い浮かびますが、「でかいデミオ」も意外と捨てたものではありません。

2019年9月2日月曜日

デミオディーゼルの後輪への荷重

書類の入った段ボールを数箱運ぶことになり、荷室に入りきらなかったので後席にも置きました。後輪に荷重がかかる方が乗り心地が良いことは既に知られていますが、それだけでなく走る曲がる止まるのすべてにおいて挙動が安定し、i-DMで青点灯が増えました。

もちろん重くなった分出足は鈍りましたし、アクセルを離した際の速度低下の度合いも大きくなりました。また、燃費も重量なりに悪化しました。しかし少々重くなっても太いトルクで補えますので、重くなる前と比較しなければ別段問題ありません。ブレーキフィールは向上しました。重くなった分だけ走行抵抗が増えたのと、後輪に荷重がかかることでリアブレーキも効かせることができるためでしょうか。停止直前にアクセルを抜く際にもガソリンエンジン車のような自然な挙動になりました。曲がることに関しては効果が絶大で、前後の重量バランスが少々改善しただけでなく、後輪に荷重がかかることでリアサスペンションが本来の性能を発揮しますので、曲がるのが容易になりました。車はパワーよりもバランスだということを実感します。

燃費を度外視して走りを良くするのでしたら、後席にバラストを置くと効果的かもしれません。災害備蓄用のペットボトルの水の入った段ボールでも置いておけばそう簡単には荷崩れしません。それに30万円余計に払ってAWD車を買うよりも安くつきます。

満車荷重できちんと走るのはありがたいことですが、デミオのようなBセグメント車は通常は1人乗りないし2人乗りなのですから、後席に荷重のかからない状態での操安設計はもう少しどうにかならないものでしょうか。1.5Lディーゼルエンジンに1.8Lディーゼルエンジンの技術をバックポートして数十kg軽量化するだけでも結構効いてくると思います。トルク220Nm以内の負荷に収めるのでしたら1.5LディーゼルエンジンでもNOx排出量がさほど増えませんので、欧州の環境規制にも適合するはずです。MT車は現に最大トルク220Nmですので、AT車もそれに合わせて、低めのギアで引っ張るようにすればトルクの不足を補えます。あるいは後ろ側に遮音材を盛って重くするのも効くと思います。

2019年8月31日土曜日

Mazda 2のデザインについて

どこかの記事で、DJ初期型デミオはスポーティーなデザインにしたが、Mazda 2では落ち着いたデザインにしたといった内容を見かけました。その理由として思い当たるのはパワートレーンの変化です。

DJ初期型ディーゼルはどっかんターボで高速道路ではやたら元気でした(その代わり青信号発進では軽自動車に置いていかれましたが)。それが煤対策のために何度か制御ソフトウェアが書き換えられているうちに、過給圧と燃料噴射量を控えめにするおとなしい走りに変わっていきました。DE精密過給制御で街乗りでの出足が改善して扱いやすくなった一方で、高速道路ではたいぶおとなしい車になりました。日本ではまだ1.5Lディーゼルエンジン車を販売していますが、ディーゼルエンジン車の需要のある欧州では環境規制をクリアできなくなった時点でディーゼルエンジン車を販売しなくなりました。

Mazda 2になる前からディーゼルエンジンがおとなしくなるのと並行して、ディーゼルエンジン車の赤の差し色が無くなったりして、徐々に控えめになってきました。値上げせずに装備を充実させてきましたので、内装のコストで帳尻を合わせたかに見えます。

ガソリンエンジン車にしても当初は日本では1.3Lエンジンを積んでいて、積極的にアクセルを踏んでエンジンを回す乗り方でしたが、他の国と同様に1.5Lエンジンを積むようになってからは、日本の道路ではしずしずとおとなしく走る使い方になりました。日本以外の国ではガソリンエンジンに変更がありませんので、ガソリンエンジン車の場合はむしろ、G-ベクタリングコントロールによる乗り味の変化の方が影響があるかもしれません。細かい振動が抑えられてどっしりとした乗り味になりました。初期型に乗ったときには所詮デミオと思いましたが、後期型に乗ってみたら、「デミオのガソリンってこんなに良かったっけ」とびっくりしました。

前期型ではガソリンエンジン車は廉価版という位置づけでしたが、ディーゼルエンジンがおとなしくなっていくにつれて、「これなら別にガソリンエンジン車でも十分なのではないか」と思えるようになってきました。ガソリンエンジン車にも上位グレードが出てきて内装や装備が良くなりましたので、そうなると外装もそれに合わせたものが求められるようになったのではないでしょうか。

Mazda 2に限らずマツダのエンジンは将来の電動化を前提に熱効率優先の設計になっており、内燃機関では熱効率とパワーとの間にトレードオフがあることから、パワーが犠牲になっています。パワーがあって元気に走れる車を作れませんので、ゆっくり走っても気持ちよいとか、車内で快適に過ごせるとか見た目が良いといった要素で勝負せざるを得ません。デザイン優先でパワートレーンが犠牲になっているというよりもむしろ、現状のパワートレーンのもとではデザインでいろいろ補わざるを得ないのではないかと思えます。

2019年8月24日土曜日

Mazda 3を見かけました

高速道路を走っていたら、Mazda 3を2台見かけました。1台はソウルレッドのセダン、もう1台はポリメタルグレーのファストバックです。どちらも一番左の車線をゆっくり走っていましたので、1.5Lガソリンエンジンでしょうか。

ソウルレッドのセダンは、Cセグメント車にしては全長も全幅もそこそこ大きくて、昔のDセグメント車並みの大きさですがそれ故に、また後ろ姿がカクカクしていることもあって、昔のDセグメントのセダンのように見えます。ソウルレッドは本来はギラギラした色ですが、夏の強い日差しに当たると普通の赤に見えてしまい、なおのこと昔の車のように見えます。このセダンにはマシーングレーのような光沢感のある無彩色の方が合いそうに見えます。ソウルレッドのセダンに乗りたかったらMazda 6に乗った方がよいかもしれません。

ポリメタルグレーのファストバックは尻がぬめっとしているのが目立ちます。ポリメタルグレーは夏の強い日差しに当たるとメテオグレーマイカのような濃いグレーに見えます。メディアの写真では青みがかったグレーに見えますが、実車ではただの濃いグレーに見えます。光の当たり具合によって時折ぬめっとした感じに見えます。ぬめっとした尻を引き立たせるには格好の組み合わせですが、なにぶん濃いグレーですので、うなぎのような質感に見えます。高速道路でしたので真っすぐ走っていましたが、ワインディングをうねうねと走ったらなおさらうなぎのように見えそうです。オーナーになったあかつきには「うなぎ号」と名付けたくなります。気持ち悪いとかっこいいとが両立するプリンスのような存在です。Mazda3を購入するならポリメタルグレーのファストバックにしたいものです。

いつも思うのですが、カタログやメディア写真で見るのと実車で見るのとでは随分印象が違います。カタログはきれいすぎて実際に使っている場面をイメージしにくいです。購入する前に一度は実車を見ておかないと後悔しそうです。ある程度公道上で出回るまではあまり売れないのではないでしょうか。

2019年8月10日土曜日

DEQ-1000A-MZに接続したスマホナビから音声を出力したい

スマホをカーナビとして使う上でネックになるのが音声出力です。スマホをBluetoothやAUX経由で接続すればローテクに解決できるのですが、BluetoothやAUX以外の音源を再生できなくなります。スマホの音源をBluetoothやAUX経由で再生すれば音楽とナビ音声の両方が聞こえるようになりますが、音質が劣りますし、音楽再生操作をスマホ画面上でしかできませんので使い勝手も劣りますので、できればBluetoothやAUXを経由せずに音を鳴らしたいです。

DEQ-1000A-MZにはマツダコネクトからの音源のみを再生するスルーモードに加えて、DEQ-1000A-MZにUSBで接続してスマホの音源も混ぜて鳴らすことのできるミックスモードもあります。ミックスモードでマツダコネクトの音源とDEQ-1000A-MZに接続したスマホのナビ音声の両方を再生できれば丁度良いと思って試してみました。

スマホナビとしてまず試したのはYahoo!カーナビです。無料版スマホナビの中では最も地図情報の更新が早いうえ、オービス手前での警告等、日本人の痒い所に手の届く機能が充実しているためです。

【Android版Yahoo!カーナビ】
残念ながらナビ音声はスマホ本体のスピーカーからか細くなるばかりでした。どうやらUSB接続する場合には、Sound Tuneで再生する音楽しか再生できないようです。

【iOS版Yahoo!カーナビ】
こちらはナビ音声をDEQ-1000A-MZ経由で車のスピーカーから出力できました。なぜこのような違いが出るのかよくわかりませんが、もしかして、Yahoo!カーナビがApple CarPlayのみに対応しておりAndroid Autoに対応していないことが関係しているのでしょうか。

【Android AutoのGoogle Map】
Yahoo!カーナビではなければどうかと思って試してみましたが、こちらもだめでした。どうやらAndroidだとうまく行かないようです。

【iOS版Google Map】
こちらはナビ音声をDEQ-1000A-MZ経由で車のスピーカーから出力できました。ナビの使い勝手はYahoo!カーナビにまさるとも劣らず。あとは好みの問題ですが、実走行データに根差した所要時間計算および渋滞回避ルートの選定ではGoogle Mapの方がすぐれており、地図データの新しさや道のわかりやすさやオービス設置箇所等の独自情報についてはYahoo!カーナビ優位に見えます。平時にはYahoo!カーナビ、高速道路の渋滞時にはGoogle Mapというのも一つの使い分けかもしれません。

【iOS版のAppleの地図】
音は出ます。しかしソフトウェアが論外です。Apple純正ソフトウェアなのに、カーナビとして使用中に画面が暗くなるなんて初歩的な設計ミスはありえません。経由地の入力がまともにできません。せっかくGoogleがゼンリンと契約解除しましたので、ゼンリンと契約してゼンリンの地図データを使っていることを売りにすればGoogle Mapユーザーからの転移を見込めたかもしれませんが、ソフトウェアの出来が悪くて地図データ以前の問題です。

スマホナビの音声をDEQ-1000A-MZ経由で再生できることがわかりましたので、見えやすい所にスマホホルダーを取り付けてそこでスマホナビを使えばマツダコネクトをApple CarPlay/Android Autoに対応させなくても済みます。初期マツダコネクトをApple CarPlay/Android Autoに対応させるためのレトロフィットキットは高価ですので(初期型に取り付けようとすると5万円くらいかかります)、代わりに2万円でDEQ-1000A-MZを買って取りつければ、スマホナビの音声出力もできるようになるだけでなく、音質も大幅に改善します。

もちろん画面の大きさが異なりますが、マツダコネクトのディスプレイは7インチ、スマホの画面は5インチ~6インチですので、大差ありません。車は前に向かって走っていますので、縦長のディスプレイの方が前方の進路を表示しやすいことから、縦長表示できるスマホのディスプレイの方が有利ともいえます。スマホナビであれば車に乗る前に目的地設定することができますので、車に乗ったらすぐにナビの目的地案内を使うことができます。

唯一の弱点はコマンダーノブで操作できないことで、そうなると運転中にちょっとした操作をすることができませんので、車を安全な場所に停車させない限りカーナビの画面に触れることができません。また、DEQ-1000A-MZの仕様上、バッテリー電圧が低下すると音が鳴りません。そのため、エンジンを始動してから音が鳴るまで少々時間がかかります。

音楽再生については、マツダコネクトに挿したUSBメモリを音源とする限り特に問題ありません。こちらはコマンダーノブで操作できます。スマホ上のSound Tuneで音楽再生することももちろん可能で、Sound Tuneのイコライザーやエフェクトを使うこともできますが、こちらはコマンダーノブでの操作ができません。Sound Tuneは音楽プレイヤーとしてそこそこ便利ですし、特にAndroidスマホでは標準の音楽プレイヤーがありませんので、これがAndroid Autoに対応すれば便利なのではないでしょうか。

2019年7月21日日曜日

Mazda 3はマニュアルエアコンでもそこそこ凝っている

自動車の内装設計においてはボタンやダイヤル等の人間が直接触れる箇所の操作性や感触が入念に検討されていて、エアコンのボタンやダイヤルも同様にきちんと設計されているものですが、マニュアルエアコンは安物ということで旧世代のものを使い回したいい加減なものがはびこっています。

マニュアルエアコンは、暑いと感じればダイヤルを左に回す寒いと感じればダイヤルを右に回す、風量が欲しければダイヤルを右に回すという極めて直感的なUIなのに、ダイヤルの質感の低さがすべてを台無しにしています。ドライバーが運転中に触れる可能性のあるものは極力手探りで操作できることが望ましく、目視に頼ってはいけません。そういう意味ではボタンよりもダイヤルの方が有利です。タッチパネルは論外です。内気循環と外気循環の切り替えにしても、ボタンを探して押すよりもレバーをガコっと動かす方が操作が容易です。

そういう意味ではマニュアルエアコンも決して捨てたものではないのですが、とかく安かろう悪かろうがはびこっていて、安いんだからこれで我慢しろと言わんばかりです。たしかにエアコンは車の安全性や走りに必須かといえばそうではありませんが、しかしドライバーが運転中に操作する可能性のある機器のUIは安全性に直結します。

そんな中、Mazda 3のマニュアルエアコンはフルオートエアコン同様にダイヤルやボタンの操作性が考慮されています。ボタンが多い印象を受けますが、それでも温度調整と風量調整はダイヤル式になっています。ある意味最強の組み合わせかもしれません。こういう所で手を抜かないところにMazda 3の本気を感じます。

Mazda 3のフルオートエアコンだと運転席側と助手席側とで別々に温度設定できますが、中のコンプレッサーは一緒ですので結局風量で調整しているに過ぎません。それなら各自でルーバーを操作しても一緒です。人間の体感に根差したものは人間が直接操作するのが確実です。しかも、前方注視義務のあるドライバーと異なり、助手席の人には多少余裕がありますので、暑さ寒さの調整くらい自分でやれば済むことです。

2019年7月20日土曜日

遅ればせながらデミオ1.5Lガソリンエンジン車に試乗しました

1.3Lガソリンエンジン車ならレンタカーや代車で今まで何度も乗りましたが、1.5Lガソリンエンジン車はレンタカーでもまだ出回っていませんので、今まで乗る機会がありませんでした。Mazda 2を検討するにあたって1.5Lエンジンがどのような感じか知りたかったので試乗した次第です。

【走る】
《エンジン》
発進時の第一印象は今まで以上にどっしりした感じで、初期型ディーゼルエンジン車に初めて乗ったときの印象に似ています。本当にこれが国産コンパクトカーなのでしょうか。エンジン回転数が上がらずにしずしずと動きます。市街地でゆっくり走る分には低い回転数で走りますので快適ですが、加速度を上げてみようとアクセルを踏み込むと急激にエンジン回転数が上がります。もともとマツダの1.5Lガソリンエンジンは2000回転くらいでトルクが伸び悩んでから3000回転くらいで急激にトルクが伸びる特性があって、パワーが足りないとすぐに3000回転くらいまで回ります。アクセラ1.5Lのようにもとから非力な車ではこの回転域を多用しますので最初からそういうものと思えますが、デミオのAT車では低い回転数で粘ろうとするため、重苦しくなって耐えられなくなったら唐突に回転数が上がる印象を受けます。どうやらATの制御がディーゼルエンジンのものと共通らしいですが、トルクの太いディーゼルエンジンでは問題ないとしても、ガソリンエンジンは1.5Lであっても自然吸気エンジンですので排気量相応のトルクしかないことから、トルクの不足する箇所が出てくるようです。従来の1.3Lエンジンの場合、もとからパワーがありませんので最初からそこそこ高めの回転数でしたし、小さくて軽い1.3Lエンジンの方が軽快に回る印象があります(その代わりアクセルを踏み込んでも伸びしろがない)。日本の道路向けでしたらこちらの方が自然な加速感だったのかもしれません。

1.5Lエンジンは本来はデミオ向けで、日本やタイのような一部の国を除きデミオのエンジンは1.5Lです。一方、アクセラ向けのエンジンは2Lが標準で速度域の低い日本でのみ1.5Lエンジンが売れています。しかし、乗り比べてみると非力なアクセラの方が自然な運転感覚です。しかしそれは速度域の低い日本の道路だからそう感じるに過ぎず、デミオ向けの1.5Lエンジンは、速度域の高い道路では、3000回転くらいで一気に巡航速度まで加速して高速巡航時には2000回転くらいに落とす、追い越し加速時には3000回転で一気に加速するという使い方を想定しているのかもしれません。

《シャシー》
試乗コースは市街地のまっすぐな道なのですが、路面が荒れているため、荒れた路面での乗り心地を体感できます。乗り心地は1.3Lの頃からのデミオと同じです。同じ道をMazda 3で走ったときには意外と突き上げがありましたが、それでも突き上げがすぐに収束していました。デミオの場合はそこまで輪郭が鋭くありません。角が取れている代わりに収束するまで僅かに時間がかかります。Mazda 2ではMazda 3と同じような乗り心地になるのではないかと予想しますが、実際のところは乗ってみないとわかりません。

【曲がる】
交差点を曲がるときの感覚は、これはすごいと感心したMazda 3と異なり、所詮デミオです。試乗したのはデミオなのですから当然です。Mazda 2になって足回りがどれくらい良くなるのか楽しみです。

市街地走行のみでしたので、ワインディングでのコーナリングがどのような感じかはわかりません。エンジンが重くなったわけではありませんので、曲がる性能については1.3Lエンジン車と同様なのではないかと予想します。

【止まる】
排気量が増えた分だけエンジンブレーキの効きがよいですし、エンジン負圧を用いたブレーキ倍力装置もよく効きますので、全般的にブレーキの効きは良い印象です。デミオの1.3Lエンジン車やアクセラの1.5Lエンジン車よりもブレーキペダルの踏み込み度合いは小さめです。それでもガソリンエンジン車ですのでブレーキ操作感はディーゼルエンジン車よりも自然で、停止時のブレーキリリースも楽です。

【ディーゼルエンジン車との比較】
これならディーゼルエンジン車でなくてもよいのではないかと感じました。1.5Lエンジンは良い意味でディーゼルエンジンらしからぬところが持ち味ですので、乗り味はさほど違いません。ノーズが軽い分だけガソリンエンジン車の方が曲がりやすいでしょうし、ブレーキ操作感もガソリンエンジン車の方が自然ですので、全般的にはガソリンエンジン車の方が運転しやすいのではないでしょうか。

唯一ディーゼルエンジンが有利なのは中間加速です。トルクが太いため、2000回転くらいでそこそこ加速できますので、いつの間にか速度が高くなっています。試乗後にディーゼルエンジン車に乗って帰宅したとき、むしろこちらの方が軽快なのではないかと感じたくらいです。試乗したガソリンエンジン車は15インチホイール、ディーゼルエンジン車は16インチホイールですので、通常なら15インチホイールのガソリンエンジン車の方が出足が軽いはずなのですが。

そうなるとDJ初期型のような、「ディーゼルエンジンは重厚な上位グレード、ガソリンエンジンは軽快な廉価版」という位置づけが意味をなしません。Mazda 2ではガソリンエンジンの廉価版でも上位グレードと同等の安全装備をつけられるようになりましたが、今の1.5Lエンジンのもとでは、たしかに差をつける意味がありません。

【Mazda 3との比較】
シャシー性能については、デミオでは勝負になりません。Mazda 2になってどこまでMazda 3に近づけるか楽しみですが、こればかりは実車に乗ってみないと何ともいえません。今のところ、Mazda 2に試乗できるのは早くて2019年10月頃でしょう。

Bセグメントのデミオ/Mazda 2とCセグメントのアクセラ/Mazda 3との間の最大の違いは運転する際の気持ち良さで、こればかりは車格相応の差があります。デミオも素直で扱いやすくて道具としてはなかなかのものですが、あくまでも移動の足と感じられます。内装が良くても安全装備が充実しても、乗り味はあくまでも移動の足です。これはディーゼルエンジン車であっても同様です。一方、アクセラは非力な1.5Lエンジン車で近所に買物に行くだけでも気持ち良いです。

Mazda 3とMazda 2とで見積を取ってみるとガソリンエンジン車値段の差は70万円くらい、Mazda 2のディーゼルエンジン車とMazda 3のガソリンエンジン車との値段の差は50万円くらいです。しかしMazda 2のディーゼルエンジン車とMazda 3のガソリンエンジン車とでは燃料コストが大幅に異なりますので、実質的な価格差はやはり70万円くらいです。5年乗るとしたら年間14万です。月1万強で気持ち良さを買うかどうかです。

自動車のフルオートエアコンは本当に必要十分なのか

昔の自動車用エアコンは原始的だったため、温度設定できるフルオートエアコンがさも立派そうな扱いを受けていますが、本当にそれでよいのでしょうか。単にデンソーの汎用品をポン付けしているだけで、デンソーのカタログの中から高い車には高い製品を安い車には安い製品をつける程度の安易な仕事になっていないでしょうか。それが果たしてマツダの標榜する人間中心の車作りなのでしょうか。

そもそも温度設定機能なんて昔の家庭用エアコンにもついていたようなもので、温度センサーと安いチップで簡単に制御できます。それ自体は別にありがたがるほどのものではありません。それ以上におかしいと思うのは、人間の暑さ寒さの体感というのはあくまでも本人が暑いと感じるか寒いと感じるかの問題であって、決して気温の数字によって決まるものではないと考えるからです。冷房の設定温度を28℃にしろなんて余計なお世話です。不特定多数を乗せる公共交通機関なら平均的な嗜好に応じて設定温度を決めることに意味があるかもしれませんが、乗っている人の自由にできることが乗用車の存在意義です。

家庭用エアコンにおいては、温度を設定する形でしかエアコンの効きを調整できませんので、とりあえず温度を設定してみるものの、暑いと感じれば設定温度を下げ、寒いと感じれば設定温度を上げるという形で調整します。温度調整は本人が暑いと感じるか寒いと感じるかの問題であり、設定温度は単なる目盛りでしかありません。それは自動車用エアコンでも同様で、マニュアルエアコンであろうとフルオートエアコンであろうと、結局暑さ寒さの体感に応じて目盛りを上げたり下げたりしているだけです。

暑さ寒さの感じ方は人それぞれであるだけでなく、同じ人であっても同じ気温で暑いと感じるときもあれば寒いと感じるときもあります。様々な要因がありますが、一つは体温の問題です。体温が高ければ暑いと感じますし、体温が低ければ寒いと感じます。犬は体温が高いため総じて暑がりです。体を動かせば体温が上がりますし、じっとしていれば体温が下がります。夏に外を歩いていて車に乗った直後には体温が高いため暑く感じますが、車に乗ってしばらくするとあまり体を動かさないため体温が下がってきて同じ温度でも寒く感じるようになります。また、体温には時間による周期変動もあり、人間の深部体温は夕方に最も高くなり明け方に最も低くなります。家庭用エアコンの「おやすみモード」や「快眠モード」のたぐいで設定温度が徐々に上がっていくのはそのためです。エアコンの温度センサーで計測できるのは空気の温度でしかなく、人間の体温を計測しているわけではありませんし、ましてや深部体温なんて車載のセンサーでは計測のしようがありません。

もう一つは湿度の問題です。同じ気温であっても空気中の水蒸気量に応じて潜熱の量が異なりますので、例えば28℃であっても湿度が低ければ快適ですし逆に22℃であっても湿度が高ければ蒸し暑く感じます。夏場の蒸し暑さの目安になるのは最低気温で、空気中の水蒸気量が多くて潜熱が多いと、夜間の放射冷却によっても空気中の熱量が十分に減少せずに、最低気温が高くなります。湿度をコントロールすることなしに気温だけコントロールすることに一体何の意味があるのでしょうか。当初は暑く感じても、エアコンをつけているうちに除湿されますので、同じ設定温度でもだんだん寒く感じられるようになります。人間の暑さ寒さの体感に合わせようとしたら一定の設定温度に保つ制御では十分ではありません。

自動車用のエアコンにおいて温度による制御が意味を持つのは、夏に車を駐車して車内の温度が高くなったときです。始動直後にはフルパワーで冷やして、ある程度気温が落ち着いてきたら出力を落とすということを自動でやってくれます。しかしエアコンの出力制御だけで対処できるのはよほどの高級車だけで、大衆車では人力で窓を開けたり扉を開けたりして暑い空気を出して外気と入れ替える制御と併用されます。それなら窓を閉めてからおもむろにエアコンをつけても大差ありません。

自動車特有の制約としては、移動体であるが故に走る場所によって気温や換気の度合いが異なるということが挙げられます。アスファルトの舗装道路の上では暑いですし、森の中では涼しいです。しかしそれはドライバーにとっては自明なことですので、機械に判断させるよりも人間の任せる方が簡単かもしれません。速度が高ければ換気量が多い一方で、交差点で停止中にはラジエーターに冷気が当たらず、かつ暑い空気が空気取入口付近に滞留しますので、同じ設定温度でも急に暑くなったりします。温度制御があればある程度対応できるものの、交差点での停止時にアイドリングストップがかかる時代になると、たとえ温度制御をしても肝心のエアコンが止まってしまいます。そうなると暑くなりますので、停車中であってもエンジンを始動してフルパワーでエアコンを動かします。それはあまり利口なやり方に感じられません。

人間が自らの体感に基づいて主体的に判断する領域と機械がアシストする領域とがあり、あるべき姿に即してそれらをどのように切り分けるかを考えるというのは車作りに共通したもので、それならば同様の考え方がエアコンにも適用されるべきです。ローテクというのは人間の体感に直結したものであるが故に意外とあなどれず、下手な電子制御はローテクに及びません。人間の体感に合わせるためならば敢えて安い部品を採用するという選択肢もありえます。電子制御を人間の体感に合わせるのは結構大変な作業です(だからこそ一見地味なMazda 3の走りはすごいと思います)。エアコンについてはダイキンのような空調専業メーカーの技術の後追いにならざるを得ませんが、自動車特有の制約を考慮した上で人間の体感に沿ったエアコンを作れたら、それは素晴らしい成果となることでしょう。

2019年7月18日木曜日

Mazda 2発表

2019年7月18日にデミオの商品発表とMazda 2への名称変更が発表されました。詳細は各種発表資料をご参照いただくとして、ここでは気になった点を列挙します。

【グレード名】
装備の充実に伴い、名称が1ランク上がっています。
15C→15S
15S→15S Proactive
15S Touring→15S Proactive S Package
15S Touring L Package→15S L Package
XD→XD Proactive
XD Touring→XD Proactive S Package
XD Touring L Package→XD L Package

最上位がL Package、次がS Package、廉価版がProactiveとの位置づけようです。これにレンタカー/営業車グレードの15Sとモータースポーツベース用の15MBという構成です。

【エクステリア】
Mazda 3と同様の顔になりました。他車種に合わせる意図もあるでしょうが、最大の理由は、LEDヘッドライトの性能が向上してフォグランプが不要になったためではないでしょうか。従来の顔のままフォグランプだけ無くすと間延びしますので、フォグランプが無い前提で顔を変える必要があります。尚、これに伴い全グレードでLEDヘッドライトになっています。ただし、最下位の15Sのみヘッドライトの仕様が異なるようで、アダプティブLEDヘッドライトを選択できません。

フロントグリルのメッシュが細かくなったのに合わせてアルミホイールのデザインも変更になりました。

従来、15Cを除きシャークフィンアンテナに統一されていましたが、下位グレードはコストダウンのためか標準ではツノアンテナに戻りました。しかしメーカーセットオプションはすべてDVDドライブ・TVチューナー・シャークフィンアンテナとの抱き合わせですので、何がしかメーカーセットオプションをつけると選択の余地なくシャークフィンアンテナになってしまいます。実質的には変わらないでしょう。

しかしフルモデルチェンジではありませんので、それ以外のエクステリアに変更ありません。後ろから見るとそのまんまです。

塗色は、ダイナミックブルーが廃止され、代わりにセラミックメタリックが標準で選択できるようになりました。ポリメタルグレーはまだありません。

【インテリア】
L Packageのレザーシートはブルーグレーに、S Packageのファブリックシートは黒系からネイビーに、Proactiveのシートは茶系に変更になっています。写真で見る限りではどうしてこんな色にしたのか意図を理解できておりません。色だけでなく材質や質感を含めて、実車で見てみないとわからないでしょう。マシーングレーのような無彩色の外装とマッチしそうに見えます。

【エンジン】
ディーゼルエンジンは依然として1.5Lのままです。今のエンジンルームでは1.8Lエンジンは入りきらないのでしょうか。おかげで、日本その他一部の国でのみ1.5Lディーゼルエンジンが細々と続くことになりました(欧州ではディーゼルエンジン無しになり、北米ではもともとMazda 2の販売自体が無し)。1.5Lエンジンは特に改良されていないようで、従来のままの数字です。とはいえ、1.5Lエンジンのままでも220NmまででしたらNOxの排出量はさほど増えません(AT車で250Nmまで出すと欧州の環境規制をクリアできず)。

15MBのエンジンは2018年の商品改良時には改良前エンジンでしたが、やっと他のグレードと同様の改良版エンジンになりました。

【燃費】
1.5LディーゼルエンジンでもWLTCモード燃費が表示されるようになりました。もちろん見た目の数字は下がっていますが、普段走っているときの実燃費はWLTCモード燃費よりも少し良くて、平均で22km/Lくらいはコンスタントに出ています。今回のWLTCモード燃費の数字が少し低いのは静粛性確保のために30kgほど重くなったせいでしょうか。

また、15MBでWLTCモード燃費が表示されるようになったことから、他のガソリンエンジングレードと燃費を比較できるようになりました。15MBのエンジンは4-2-1排気管付圧縮比14ですので、4-2-1排気管無しで圧縮比12のエンジンと比べて燃費が5%ほど良いです。そのかわり日本ではハイオク指定ですので燃料代は少し余計にかかりますが。

【変速機】
Mazda 3では中容量ATの変速比が一部変更になりましたが、Mazda 2ではガソリンエンジン・ディーゼルエンジンともにATの変速比に変更なし。一方、ディーゼルエンジンのMTはバックのみ若干ローギアードになった他、ガソリンエンジンのMTは4速5速6速が若干ハイギアードになっています。

最終減速比については、AT車では変更なし。ガソリンエンジンのMTでは若干ハイギアードになり、ディーゼルエンジンのMTでは若干ローギアードになりました。ディーゼルエンジン車ではWLTC燃費表示に伴いディーゼルのMTを燃費スペシャルグレードにする必要が無くなったことから、走りやすくしたように見受けられます。ガソリンのMT車をハイギアードにしたのは、4速5速6速をローギアードにしたことを補うものでしょうか。その分1速2速3速がハイギアードになっています。つながりやすさを重視したものでしょうか。

【シャシー】
Skyactiv第2世代に合わせるべく、大幅に手を入れたようです。操縦安定性の向上と乗り心地の向上は歓迎しますが、これは能書きだけではわかりませんので、実際に乗ってみるまで何とも言えません。併せて、シートも骨盤を立てるシートに変更されました。今までのデミオのシートの出来もなかなか良いと思いますが、Mazda 3を試乗した際にシートの出来の良さに感心しましたので、同様のシートが導入されるのは楽しみです。

ホイールサイズが若干変更になっています。XD Touringでは16インチホイールでしたが、XD Proactive S Packageでは従来のXD同様に15インチアルミホイールが標準になりました。ただし、メーカーセットオプションで2万円出すと16インチホイールを選べます。従来は15インチホイールだと高速安定性がやや及ばず、やむなく16インチホイールを選びましたが、185/60R16という特殊なサイズ故にタイヤの選択肢が乏しいことから、15インチホイールでも高速域で安定して走るのでしたら出足が軽くて乗り心地が良くて安い15インチの方がありがたいです。15インチだと185/65R15という標準的なサイズで、16インチでは選べないBluEarth-GTも選べます(Regnoはやっと16インチでも選べるようになりました)。たとえコストダウンのためだとしても、上位グレードでホイールのサイズをケチる必要はありませんので、15インチでもまともに走る足になったことを期待しております。

CX-3と同様に専用設計タイヤを導入するとのことですが、新車装着タイヤがどこのメーカーのどの製品なのか気になるところです。

【長距離向け装備】
ガソリンエンジンの廉価版(15Sと15MBを除く)でも10万円のセーフティークルーズパッケージをつけると全車速対応型MRCCやアダプティブLEDヘッドライトやレーンキープアシストといった長距離運転で絶大な威力を発揮する装備をつけられるようになりました。交通標識識別システムはProactive以上で標準装備です。

Mazda 3の1.5Lガソリンエンジン車ではオプションでも付けられない装備なのに、Mazda 2ではガソリンエンジンの廉価版でも付けられますので、Mazda 2のガソリンエンジン車はお買い得だと思います。Mazda 2の方がほぼ同じ1.5Lエンジンで圧倒的に軽いですし。

Proactiveには標準ではステアリングシフトスイッチがついていませんが、2万円のショップオプションでつけられる他、15S Proactiveでは7万円のスポーティーパッケージで本革巻きステアリングと合わせて購入できます。ステアリングシフトスイッチは山道ではあれば便利ですが、ガソリンエンジン車ではスポーツモードにセットして低めのギアで走れるようにすることでも対処できますので、無くてもどうにかなるかもしれません。

【その他装備】
上位グレードでは電動パワーシート付です。しかし電動パワーシートのメリットはシートポジションを記憶させておいて複数人で乗ってもすぐに自分に合ったポジションにできることですので、一人で乗るなら手動で調整する方が早いです。自動防眩ルームミラーもついていますが、今まで必要を感じたことがありません。

ショップオプションでルームミラー付近にメガネを収納するスペースをつけることができます。運転中にサングラスをかける人や運転用メガネをかける人にとっては収納しやすく邪魔になりませんので便利だと思います。

【静粛性】
Mazda 3と同様に遮音材を盛って静粛性を高めたようです。ディーゼルエンジンであってもエンジン音はさほど気になりませんし、新車装着タイヤのトーヨーのProxes R39
でなければロードノイズもさほど気になりません。初期型で気になるのは風切り音とBピラーの隙間から入ってくるノイズです。外から入ってくる音については隙間を塞いだり制振したりすることで対処できますので、その辺りが改善されればよいのですが、これも実車に乗ってみないとわかりません。

【マツダコネクト】
フルモデルチェンジではありませんので、従来型です。たしかに新型の方が画面の解像度が高いですが、従来型であってもさほど不自由を感じません。

Apple CarPlayとAndroid Autoに対応しましたので、出発前にスマホで目的地設定しておいて、車に乗るときにスマホを接続することでエンジン始動後すぐにカーナビが使えるのは便利だと思います。とりあえず最初はSDカードの地図データを購入するにしても、3年以上経過して有償で地図データを更新するくらいでしたらスマホのカーナビを使った方が便利でしょう。3年もすればさらに性能が良くなるでしょうし。

Mazda 3と異なりスピーカーの設置場所から見直されたわけではありませんので、音については従来通りでしょうか。それでもカロッェリアのDEQ-1000A-MZをつなげば音が激変しますので、当面はそれで乗り切ればよいのではないでしょうか。

【価格】
オンライン見積で10万円のセーフティークルーズパッケージをつけた場合のグレード別乗り出し価格は以下の通りです(パックdeメンテ無し)。

15S Proactive:2,327,370円
15S Proactive S Package:2,455,457円
XD Proactive:2,535,270円
XD Proactive S Package:2616557円

たしかに値段は上がっておりますが、装備がだいぶ増えましたので、同じ装備で比較するなら初期型の上位グレードと最新型の最下位グレードとの比較になり、そうなると車の出来が毎年良くなっているにもかかわらず初期型からほとんど値上がりしていません。

ProactiveとS Packageの差額は8万円くらいです。15S Proactiveは鉄チンホイール、ウレタンステアリングのときの値段ですので、条件を揃えれば差額8万円くらいになります。ガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車との差額は16万円くらいです。燃料コストが4円/kmほど違いますので、4万km乗れば燃料代だけで元が取れます。5年乗るなら年間8000kmペースですので、長距離乗る人にとってはディーゼルエンジン車の方が安くつきます。

しかしそれでも短距離移動主体の人にはディーゼルエンジンは向きませんし、たとえ長距離乗るとしてもガソリンエンジン車には独自の軽快さがあります。装備の面でも、初期型ではガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車で差がありましたが、今ではガソリンエンジン車でも遜色ありません。また、ディーゼルエンジンは初期どっかんターボの頃は高速道路で圧倒的な加速力でしたが、エンジンに煤が貯まるにつれて吸気性能が落ちますし、何度かのECU書き換えを経て街乗りで扱いやすくなった反面、高速道路ではおとなしくなりましたので、それなら敢えてディーゼルエンジンでなくてもよいのではないかという気もします。

鉄チンホイールやウレタンステアリングを気にしない人にとっては、事実上の最下位グレードである15S Proactiveがお買い得に見えます。たしかに国産コンパクトカーとしては安くありませんが、他に類を見ない安全装備や長距離向け装備てんこ盛りでこの値段です。Mazda3で長距離向け装備をつけようとすると2Lガソリンエンジン車以上のグレードに誘導されますので、乗り出し300万円です。

アルミホイールは見た目だけであって安物のアルミホイールは全然軽くありません。見た目といってもどうせ運転中には車内から見えません。また、運転中に手袋をつける人には本革巻きステアリングは必要ありません(手袋をつけると革が摩耗しやすい)。素手で触るなら本革巻きの方が感触がよく滑りにくいというメリットがありますが、素手で触ると程度の差こそあれステアリングに手汗がつきますのでこまめな清掃が必要です(手袋なら洗うだけ)。

全般的に走りや安全に関係するものは下位グレードまで広く装備されるようになり、走りや安全と関係なく好みで選ぶものについてはオプションという形になっており、車としては健全だと思います。唯一気に入らないのは未だにメーカーセットオプションでDVDドライブやTVチューナーが抱き合わせになっていることくらいです。これだけスマホが普及してApple CarPlayやAndroid Autoも使えるようになった時代にどうして旧態依然とした円盤やテレビを見る装置を押し付けられなければならないのかよくわかりません。しかも停止中以外は映像が表示されない代物です。ドライバー以外がテレビを見たかったらスマホのワンセグだってあります。本来ならこんなものはショップオプションなり社外品で十分なはずですが。

2019年6月30日日曜日

Mazda 3に試乗しました

定期点検のついでにMazda 3に試乗しました。試乗したのは15S TouringのAWDです。ホイールは18インチ、タイヤはブリジストンのTuranza。試乗コースは市街地です。

【エクステリア】
見た目はかなり立派です。同じソウルレッドでも先代よりもきれいに見えます。すぐ近くのアテンザと比べるとボンネットが随分低いです。LEDヘッドライトの性能が向上してフォグラングが不要になりましたので、それに合わせて従来フォグランプがついていた場所のエクステリアデザインの考え方を変える必要があります。Mazda 3のハッチバック車では、かつてフォグランプがあった場所のフロントバンパーに皺をつけていますが、この部分はまだ実績が乏しいため、今後改良の余地があるかもしれません。

【インテリア】
内装は先代よりも立派になり、一つ上の車格の車のように見えます。ただ、運転中は前方を注視していますので、内装にはさほどこだわりはありません。

【座席】
背もたれの傾斜角、座面の前後と高さの調整に加えて、座面をせり上げる機能があります。あまりせり上げると膝裏に圧迫感を感じますので、小柄な人はあまりせり上げない方がよいかもしれません。前席は頭がつかえることなく問題なく座れます。ハッチバックの後席はギリギリ頭が天井に触れるかどうかくらいですが、それを除けばハッチバックの後席であっても別段狭くありません。セダンにも乗り込んでみましたが、こちらは後席の頭上に余裕があります。

【トランクルーム】
数字の上では先代よりも容積が少し落ちているようですが、2人乗りで長距離を移動するという観点では、荷物を積む上で問題ありません。セダンの方が荷室の容積が大きいため、後席に人を乗せるならセダンの方がよいでしょう。ハッチバックは実質2人乗りだと思います。ちなみにセダンのトランクを開けると奥の方では塗装した鉄板がむき出しになっています。しげしげと眺める場所ではありませんので、割り切っているのでしょうか。

ハッチバックのリアハッチやセダンのトランクを開ける際にはエンブレムの下のボタンを押してエンブレムを押し上げますが、初めての操作でもスムースに開けられます。

【視認性】
マツダコネクトの画面は横方向に拡大したおかげで画面が大きく見やすくなりました。もしかして解像度も上がっているのでしょうか。アクティブドライビングディスプレイはフロントガラスに投影するタイプで、広い面積で投影できるようになりました。座高が高くても高さを調整すれば問題なく見えます。後ろの窓が小さいのは相変わらずですが、後方を見る分には特に問題ありません。斜め後ろの視界についても、運転中は特に気になりませんでした。セダンでも後の窓は小さいです。

試乗車には360°ビューモニターが付いていました。車庫入れの際にはバックモニターを見るよりも360°ビューモニターを見る方が扱いやすいです。メーカーオプションですが付けた方がよいでしょう。バックモニターや360°ビューモニターのおかげで車庫入れ時でも斜め後ろの視界には問題ありません。

速度計はアナログ風の映像になりました。デジタルよりもこちらの方が視認性が良いです。映像なのにさほど違和感が無いのは、解像度が高いためでしょうか。タコメーターも先代の廉価版についていたデジタルのは非常に見にくかったのですが、MAZDA3のは大きく見やすくなりました。

i-DMのランプは速度計の両脇にあります。従来の車種ですとメーターの中央にあって否応なしに目立ちましたので白点灯するたびに気分を害しましたが、MAZDA3のは点灯しているのは見えるものの、見ようと思わなければ視界に入っても脳が認識しません。

【パワー】
Mazda 3の1.5LエンジンでAWDといえばマツダ車のラインナップの中でもパワーウェイトレシオは1400kg/111ps=12.61kg/psと最弱で、しかも18インチホイールですが、街乗りで加速する際には特に不便を感じません。このパワー感は謎です。リアサスペンションがトーションビームになってバネ下重量が減少した効果が総重量増加の効果を上回っているのでしょうか。だったら総重量も抑制していればもっと軽快に走るのではないかと思うものの、世界的には2Lエンジンが主流ですので、そこまでして1.5Lエンジン向けに軽くする動機が無いのかもしれません。1.5Lでもっと軽快に走りたかったら16インチホイールの15Sを買うという選択肢もあり、これならバネ下重量がさらに軽くなります。おそらく16インチの方が出足が軽いはずですが、18インチであっても街乗りでは不自由しません。たしかに少しアクセルを踏み込むとすぐに3000回転なり4000回転なりに上がりますが、先代よりも重くなっているはずなのに、先代に比べるとなぜかエンジン回転数がさほど上がりません。4000回転まで上がるのはごく一瞬です。

1.5Lエンジンも欧州の環境規制対応でマルチホールインジェクターを採用して燃焼効率を向上して煤を出にくくしていますので、その効果でしょうか。スペックの数字だけ見ると向上しているようには見えないのですが、実用的な使い方をする分には効率が上がっているのかもしれません。陸橋の上り坂でもパワーの不足を感じませんでした。しかし、山道でどうなるかは実際に走ってみないとわかりません。

高速道路を走行しなかったため、追越加速の際にどうなるかはわからず。しかし、高速巡航中にはさほどパワーを必要としませんので、アダプティブクルコンをつけてダラダラ走る分には全然気にならないのではないかと推測します。

【走る曲がる止まる】
Mazda 3で秀逸だと思ったのは、走る曲がる止まるのすべてにおいて車の挙動が自然で素直で扱いやすいことです。相当入念に作り込まれているのではないでしょうか。特に停止直前のブレーキをリリースする際の挙動も自然で、ブレーキリリース時に神経を使うデミオディーゼルとは全然違います。これは運転する上ではとても重要なことなのですが、スペックの数字に出るものではありませんので、こればかりは実際に運転してみないとわかりません。まだ長い距離を走っていませんので推測でしかありませんが、これだけ扱いやすければ長距離乗っても疲れないのではないでしょうか。1車線の曲がりくねった道を走ると時速30kmでも速く感じますので、酷道や林道でそういう道を運転してみて車の挙動や運転のしやすさや疲れにくさを体感するのがおそらく最もわかりやすいのではないかと思います。

まだおろしたてでサスペンションがなじんでいないのか、路面の凹凸からの突き上げは大き目です。しかし運転している限りはさほど気になりません。最近のマツダ車はホイールが大きいからといってただちに乗り心地が悪いわけでもありませんので、16インチタイヤで改善するかどうかは実際に乗ってみないとわかりません。

【ステアリング】
ステアリングホイールは細いですが、しっとりとしていて滑りにくいので、扱いやすく感じます。ステアリングスイッチも小型化されていますので、見た目がすっきりしています。その分メーター類が見やすいです。

【パーキングブレーキ】
電動パーキングブレーキですので、アクセルを踏めば自動で解除され、そのまま走り出すことができます。さらにオートホールドもついていて、これをオンにすると信号待ちで停止しているときにブレーキを離すことができますので足が楽です。停止してアイドリングストップに入ったらブレーキペダルから足を離すことができます。ブレーキペダルを踏んでいませんので、停止中に意図せずしてエンジンが始動することがありません。発進時にはアクセルを踏むだけです。特に信号待ちの多い街乗りで威力を発揮します。一旦これで味をしめたらもはやオートホールド無しの車には戻れそうにありません。

【静粛性】
ディーラーの営業さんと話しながら乗りましたので、静粛性についてはきちんとチェックしませんでしたが、ロードノイズやエンジン音によって話し声がかき消されることはありませんでしたし、エンジン回転数が上がってもエンジン音はさほど響きませんので、そういう意味では静粛性は向上しているのかもしれません。回転数が上がればエンジン音も大きくなりますが、決して不快な音ではありませんので、おそらく選択的に遮音されているのでしょう。

【カーオーディオ】
検証できず。「走るオーディオルーム」という触れ込みが本当かどうかはとても気になるのですが。

【マツダコネクト2】
検証できず。この辺りはレンタカーでまる1日借りて使い込んでみないとわからないでしょう。1.5Lなので車載通信機も無し。

【装備】
1.5LではパドルシフトやアダプティブLEDヘッドライト等の長距離向けの装備をオプションでもつけられないのですが、市街地での試乗では特に不自由なし。田舎ではハイビームでないと前が見えませんので、アダプティブLEDヘッドライトをつけられないのだけが心残りです。パドルシフトがある方が下り坂でエンジンブレーキをかける際に楽なのですが、いまどきのAT車は下り坂でブレーキを踏めば自動でシフトダウンしてエンジンブレーキがかかりますので、たまに山道を走る程度でしたらブレーキパッドが減るのを気にせずにブレーキを踏めばよいのかもしれません。

【注目度】
ディーラーへの来客の7割くらいがMazda 3目当てとのことで、一般人からは相当注目されているようです。営業さんも出払っていましたので、来客数自体も増えているようです。注目されることと売れることは必ずしも一致しませんが、注目されなければ売れることはありません。

【価格】
15S TouringのFFで見積を取ってもらったら乗り出しで300万円弱になって、1.5L自然吸気ガソリンエンジン車のくせに高くなったものだなと思ったものの、カローラスポーツ(1.2Lターボ)やインプレッサ(1.6L)のオンライン見積でも実は同じくらいします。トヨタは高くても売れますし、スバルはオプション無しなら安いものの、標準装備のものが少なくて片っ端からオプションをつける必要があり、しかもそのオプションが高いので、オプション付きの値段だとカローラスポーツと同じくらいします。Mazda 3は標準装備でもいろいろついていますので、オプションでつけるものがさほどありません。ナビのSDカードは5万円くらいしますが、他社で純正ナビをつけたら未だに20万円くらいします。同じ装備で比較すれば値段は同じくらいですし、それでいて内装外装には圧倒的な差がありますので、1.5Lについては他車との比較では割の良い買物かもしれません。

【Mazda 3に向いているのはこんな人】
  • 低い速度でも気持ちよく運転したい
  • パワーが無くて遅くて免許にやさしい車に乗りたい
  • 車内で過ごす時間を気持ちよく過ごしたい
どうせ日本の公道の速度域では速く走る余地なんてありませんし、日本の公道では遅い車ほど大手を振って走っていますので、速い車に乗ってもイライラするだけです。走行距離が短ければ速くても遅くても所要時間はさほど違いません。それならイライラせず気持ちよく過ごせる方がよいでしょう。

【総評】
自動車を公道での移動の手段とみなす人にとってはとても良くできた車だと思います。一方、パワーとかスピードといった数字で表せるようなわかりやすい評価軸では特に優れた点が無いため、従来からの評価軸で評価しようとすると何が良いのかさっぱりわからない車だと思います。操安設計についても、路面からの突き上げは結構ありますので、従来からの乗り心地の考え方では褒めることができません。そのため、自動車評論家は今まで慣れ親しんだ手法を使うことができず、何をどう評価したらよいのか困っているのではないでしょうか。一般人の評価と評論家やマニアの評価とではかなり違ってくるのではないかと推測します。

余計な情報を入力せず、実際に運転して気持ち良いかどうか、長距離走って疲れないかどうかという、素人にでもわかる判断基準を適用するのがよいと思います。これは実際に乗ってみないとわかりません。

2019年6月26日水曜日

Mazda 3 15S Touringの仕様に関する素朴な疑問

Mazda 3の1.5Lガソリンエンジン車の上位グレードである15S Touringは、オプションであっても以下を装備することができません。

  1. クルージング&トラフィック・サポート
  2. アダプティブLEDヘッドライト(ALH)
  3. パドルシフト
  4. 前側方接近車両検知(FCTA)
  5. 交通標識認識システム
  6. マツダコネクトの車載通信機
1.は渋滞する高速道路向け、2.はハイビーム必須の田舎向け、3.は山道向け、5.は土地勘の無い道路向けですので、街乗り用と割り切ればついていなくてもさほど困りません。

一方、理解に苦しむのは、15S Touringでは18インチホイールのみでオプションであっても16インチホイールを選べないことです。下位グレードの15Sは16インチホイールのみですし、2Lガソリンエンジン車の下位グレードやSkyactiv-Xの下位グレードではオプションで16インチホイールを選ぶことができる中、唯一15S Touringだけは18インチホイール必須になっています。「街乗り用と割り切るなら16インチで十分、それでも18インチホイールが欲しい人はオプションでどうぞ」というならわかるのですが、街乗り用と割り切るべきグレードで16インチホイールを選べないというのは一体どういうことなのでしょう。

15Sにはフルオートエアコンが付かないとか、スーパーUVカットガラス(フロントドア)+IRカットガラス(フロントガラス/フロントドア)がメーカーセットオプションになっているとか(なぜかCD / DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(フルセグ)と抱き合わせ)とか、内装が若干シンプルになっているといった差はありますが、16インチのタイヤを選びたければ15Sの方がましかもしれません。ホイールが軽い方が街乗りでの出足が軽いですし、タイヤのクッションが大きい分、衝撃の吸収でも有利です。走行距離が延びなければタイヤ交換はさほど必要ないかもしれませんが、18インチのタイヤよりも16インチのタイヤの方が安価です。

2019年5月30日木曜日

DEQ-1000A-MZがあれば音源はUSBメモリで十分

バッテリー電圧降下対策でiPod touchをつなぐのをやめてUSBメモリを音源としています。従来はiPod touchをつなぐとiPod側のDACを経由し、USBメモリをつなぐとマツダコネクト側のDACを経由していましたが、DEQ-1000A-MZを使うようになってからは、常にDEQ-1000A-MZ側のDACとアンプを使いますので、音質に差が出ません。そのため、DEQ-1000A-MZを使うようになってからiPod touchを使う理由が無くなりました。

折しもiPod touchの新型が出ましたが、車載用音源はUSBメモリで間に合っていますので、敢えてiPod touchの新品を購入する動機がありません。iPod touchの256GBモデルが43800円に対して、256GBのUSBメモリなら3000円程度で購入できます。将来CarPlayを使えるようになったらiPod touch側で操作できるという利点もありえますが、どうせCarPlayを使うならカーナビも使いたくて、そうなるとiPod touchではなくiPhoneが必要になります。

2019年5月12日日曜日

DEQ-1000A-MZに不向きな音源

DEQ-100A-MZを入れてから音質の向上を実感するのは、音源のノイズまで忠実に再現されるときです。高速道路を走行中に突然車内で異音が聞こえてきて、一体どこから何の音が発生しているのだろうかと慌てつつ、念のため曲を早送りしてみると、ノイズの無い次の曲では異音が消えていたりします。ライブ録音のようなノイズの多い音源はやめた方がよいでしょう。

2019年5月11日土曜日

デミオディーゼルのブレーキその2

たまにマツダのガソリンエンジン車に乗るとブレーキが素直で扱いやすく感じます。吸気バルブの無いディーゼルエンジンだとエンジンブレーキが弱く、代わりにフットブレーキが強めですので、ブレーキペダルでの踏力の調整に気を遣います。特に踏みはじめの微妙なコントロールが難しいため、停止直前のブレーキの戻しは難しいです。また、トルクが太くて上り坂では楽な反面、エンジンブレーキが弱いため下り坂で走りにくいです。前に重いエンジンを積んでいることもあいまって、ディーゼルエンジン車は下りの山道は苦手です。

エンジンブレーキで速度を調整する際、エンジンブレーキが弱いのに合わせて早めにアクセルペダルを戻すのですが、その癖がついているとガソリンエンジン車に乗ったときにエンジンブレーキが効きすぎてしまいます。一方、ガソリンエンジン車はフットブレーキを強く踏む必要がありますので、全体では辻褄が合っていますし、慣れてしまえばガソリンエンジン車の方がブレーキは扱いやすく感じます。

もっとも、長距離巡航時、とりわけ空いている高速道路を走るときにはほとんどブレーキを踏みませんので、ブレーキ操作に関する癖はさほど問題になりません。追越加速が楽であることや、エンジン回転数の低さ、燃料コストの安さなど、長距離走行においては様々なメリットがあります。

反対に、ブレーキをかける機会の多い街乗り主体の乗り方であれば、迷わずガソリンエンジン車をお勧めいたします。加減速の多い短距離走行の繰り返しだとディーゼルエンジンに負担がかかるだけでなく、ブレーキの扱いやすさの観点からもガソリンエンジンの方が向いています。

2019年4月29日月曜日

DEQ-1000A-MZを入れてから音が鳴るまで時間がかかるようになりました

DEQ-1000A-MZの音には満足していますが、従来に比べて音が鳴るまでの時間が長くかかるようになりました。特にしばらく乗らないでいるとバッテリーの電圧が降下して電圧が不足するのか、ある程度走ってオルタネーターを回してバッテリー電圧がある程度上がって初めて音が鳴るようになりました。バッテリー電圧が不足するときには、音が鳴りだすまで数分から10分くらいかかります。アイドリングストップ用の大容量のバッテリーをつけていてもこうですので、出力が向上している代わりにそれだけ電気を食うのでしょう。純正アンプですとその辺りのバランスが取れているように思えます。

たまにしか乗らない使い方かつ短時間走行の繰り返しですと、音が鳴りだす前に目的地に到着してしまいますので、音は良いのに肝心の音が出ない状態になります。もっとも、少ししか乗らないなら音質にこだわる必要がありませんので、DEQ-1000A-MZをつけなければ済むことです。一方、長距離乗る場合には、音が鳴らないとしても最初の10分程度ですので、乗車時間の大半は音が鳴ることになります。長距離乗るのでしたら音質を改善するための投資をしてもよいのではないでしょうか。

車載用のiPod touchを常時接続しているのですが、これが少々バッテリーを食うようですので、代わりにUSBメモリを使うようにしました。これだと比較的早く音楽再生が始まります。

2019年4月12日金曜日

車載インバータを使ってみました

車載インバータはいろいろなメーカーから製品が出ており、値段もそんなに高くありません。その中の一つを評価のため使ってみました。

評価対象はBESTEK製の300Wタイプで、USBの口が2つ(2.4A)とAC100Vの口が2つついているタイプです。インバータの容量が300Wあってもあいにくデミオのシガーソケットの容量は12Vx10A=120Wしかありません。USBの口にスマホを2つつないでフルパワーで充電すると21.6W。AC電源は残り100Wです。普段車の中で使うもので電気を食いそうなものといえばノートPCくらいで、1台~2台くらいなら充電できそうですので、車載用としてはこの程度の容量で十分なのかもしれません。とはいえ、容量120Wのインバータを常時フルパワーで使うとすぐに壊れそうですので、300Wはパワーの余裕分でしょうか。

停電時の非常電源として使うとなるとさすがに120Wでは足りなくて、そういうときのためにバッテリーから直接電源を取れるようにバッテリーケーブルとセットにした製品もあります。アイドリングストップ車は大容量かつ充放電スピードの速い高価なバッテリーを装備していますので、非常用電源として活用することも考慮すれば、少しは元が取れるかもしれません。

しかし停電時の非常電源として使うとなると300Wでも足りず、1000Wとか1500Wとかのより大型の製品が必要になるかもしれません。そうなるともはやシガーソケットから電源を取ることはできませんので、バッテリーから直接電源を取る非常電源としてのみ使うことになりますので、車載ではなく非常時のみ車に持ち込む形になりそうです。

今後自動車のバッテリーを非常電源として活用することを想定するなら、まずはシガーソケットの容量を10Aから50Aくらいまで拡大してほしいものです。電気自動車やプラグインハイブリッド車のようにせっかくバッテリー容量が大きくてもシガーソケットの容量に制約されてしまっては宝の持ち腐れです。

さて、300Wタイプに話を戻すと、使う上で最も困ったのはインバータの置き場所です。マツダの小型車はただでさえ収納スペースが少なめですので、せめてドリンクホルダーに収まる形ならよいのですが、四角いインバータはシフトレバー後ろの四角い小物入れしか置き場所がありません。さらに困ったことに電源ケーブルの出る方向とUSBケーブルやACケーブルの出る方向が反対側ですので、縦置きできません。

また、安い車の内装品はプラスチックですが、インバータのケースは金属製で角の面取りもしていませんので、無防備に車の小物入れに入れると収納のプラスチックに傷がつきそうです。この辺りの設計上の配慮の無さから推測するに、車内で常用することは想定されておらず、あくまでも非常用電源としての用途が想定されているのではないかと感じました。

USB電源からのスマホの充電くらいでしたら問題なくできますが、その程度の用途でしたらインバータなど無くても従来からのUSBアダプタで十分です。

2019年3月11日月曜日

デミオディーゼルを購入する際に予算化すべき項目

車を購入する際には車両本体やオプション価格だけでなく、税金や保険等も考慮した総費用で判断すべきというのはよく知られていますが、デミオディーゼルを購入する際には他にも予算化すべき項目がありますので注意が必要です。長距離を乗っても疲れない車に乗るとつい走行距離が増えてしまいますので、走行距離に応じてかかる費用は購入時に予算化しておくべきです。通常は車は移動の手段ですので、せっかく車を購入しても他の費用を賄えずに車に乗る機会が減少してしまったら本末転倒です。

1.タイヤ代

走行距離が延びればその分タイヤが消耗しますので買い替えが必要です。特に185/60R16は選択肢が少ないので全般的に高くつきます。5年乗れば夏タイヤ冬タイヤそれぞれ2サイクルくらい使います。夏タイヤは新車装着タイヤがありますので購入するのは1回分で済みますが、冬タイヤは2回分購入するうえに、最初にホイールも購入することになります。合計で30万円くらいは見ておく必要があります。

2.燃料代

デミオディーゼルはkm当たりの燃料代が5円と安いのが特長ですが、それでも10万km走れば燃料代が50万円かかります。

3.オイル代

ディーゼルはオイル代が高いとまことしやかに言われますが、金額は大したことありません。年間15000円程度、5年で75000円程度です。

4.高速代

高速代は普通車で24円/kmと実は結構高いです。100km乗ったら高速代が2400円もかかります。高速道路中心に10万km走ったら高速代だけで240万円します。新車購入費用と同じくらいかかります。5年で20万km走れば高速代だけで480万円します。国産高級車並です。

5.宿代

泊りがけで出かければ宿代がかかります。1泊5000円のビジネスホテルであっても年間50泊したら25万円です。5年で125万円かかります。1泊8000円のビジネスホテルに泊まれば5年で200万円です。

上記全部足し合わせると車両を所有することにかかる総費用は5年10万kmで700万円~750万円くらいします。新車購入費用の約3倍です。ベンツCクラスやBMWの3シリーズを買ってろくに乗らずにほったらかしているのと同じくらいかかります(どういうわけか東京ではそういう使い方をする人が結構多いです)。5年20万kmでしたら1000万円くらいです。ベンツEクラスを買える金額です。しかもそれでいて高速代や燃料代や宿代は物として残りませんので、残るのは安い国産コンパクトカーだけです。過走行の国産コンパクトカーなんてリセールバリューはほとんどありませんので、リセールバリューの差を考慮すればベンツよりもお金がかかっています。それにもかかわらず見た目は貧乏そうに見えますので、車で見栄を張りたい人には全くお勧めできません。

一方、旅行によって得られる経験に価値を認める人には良い買物だと思います。車を移動の手段と割り切る人なら、車本体にはあまりお金をかけずに旅行にお金をかけた方が楽しいのではないでしょうか。それに、公共交通機関を使って同じ頻度で旅行しようものならこんな金額では済みません。

2019年2月3日日曜日

DEQ-1000A-MZでやっと音が鳴りました

気を取り直して再度繋いでみました。前回なかなか赤いコネクタに入らなかったのですが、一度入ってからは入りやすくなったようで、奥までかっちり入りました。エンジンをかけると普通にマツダコネクトに接続している音源から再生されました。どうやら前回正常に機能しなかったのはケーブルの接触が悪かったようです。同様の症状の出る人はコネクタが奥まできっちり入るまで着脱を繰り返してみるとよいかもしれません。

マツダコネクト側での音源の選択や再生・停止の動作は通常通り可能ですし、マツダコネクト側での音量調整も可能です。音源側の音圧を高くするため、マツダコネクト側の音量を大き目にして、リモコンで操作するDSP側の音量を下げるのがコツのようです。

DSPの設定は特に凝ったことをしておらず、DJデミオ純正スピーカー向けのプリセットを選んだだけですが、音楽再生が始まった瞬間に音が激変したことを感じました。今までは6か所のスピーカーからそれぞれ音が鳴っていた感じだったのですが、普通に音楽を聴いているときの環境に近くなりました。もはやこれなしには過ごせません。マツダコネクトに標準で着いているDACやアンプよりもDSPについているものの方がまともでしょうし、特にデミオについているマツダコネクトのオーディオユニットは他車種よりも安物のようですので、とりわけ効果を実感できるのではないでしょうか。慣れてしまえばありがたみを感じなくなるかもしれませんが、しばらくは車に乗るのが楽しみになりそうです。

とはいえ、暫定的につないだだけですので、電源ケーブルがまだ片付いていません。コネクタがアクセルペダルの近くにありますので、きちんと電源ケーブルを隠さなければなりません。スカッフプレートを取り外して、さらに運転席側のフロントサイドトリムを取り外すと電源ケーブルを通せるようになります。スカッフプレートに丁度良い切り欠きがありますので、そこに通します。また、運転席のシートの乗っているレールの上にケーブルを通すとシートを前後に動かした際に挟んで断線するおそれがありますので、ケーブルはレールの下に通します。スカッフプレートを手だけで取り外そうとしたらなかなか外れなかったのですが、棒をねじ込んで梃子の原理で押し上げれば外せます。一旦外せれば、次回以降の着脱は比較的容易です。

2019年2月2日土曜日

とりあえずSound Tuneを単体で使ってみました

DEQ-1000A-MZはまだ稼働できていませんが、Sound Tuneというスマホアプリ自体は単体でも使えますので、そちらで音楽再生してみました。DEQ-1000A-MZを通さないと車種ごとのタイムアライメントの補正はできませんし、車内のスピーカーごとの設定もできませんが、それ以外の音源側の設定はこれだけでもできます。 

アプリの一番左のLibraryのアイコンをクリックすると音楽プレイヤーが表示されます。スマホの音源が自動で表示されますので、あとは普通に音楽プレイヤーとして使うだけです。真ん中のアイコンがイコライザーで、何種類かのプリセットと、2種類のカスタム設定があり、好みに応じて設定できます。iOS標準のイコライザだとプリセットの中からしか選べませんが、こちらは任意で設定できます。これでイコライザー付きの音楽プレイヤーとして使うことができます。

イコライザーのいくつかのプリセットを試してみたところ、それぞれ違うものの、著しく違うわけではありません。あまり加工しすぎたら音楽でなくなってしまいます。iOSのMusicアプリから再生する場合よりも音量が小さめですので、マツダコネクト側の音量を一回り上げる必要があります。iOSの場合、標準のMusic以外で音楽再生することが想定されていないようで、Sound Tuneを立ち上げた状態で接続しないと標準のMusicアプリから再生されます。音量が小さかったらSound Tuneからの再生、音量が大きかったらMusicからの再生とわかりやすいのですが、意図した通りの音楽プレイヤーで再生されないことがあるのは不便です。iOSにデフォルトの音楽再生アプリを指定する設定項目があればよいのですが。

2019年2月1日金曜日

カロッツェリアマツダ車専用 デジタルプロセッシングユニット DEQ-1000A-MZを購入しました


速く走ることには興味がありませんが、車での移動を快適に過ごしたいと思っておりますので、車内での音楽再生環境の改善には興味があります。マツダコネクト本体の改善に期待するくらいならサードパーティー製品をつける方が手っ取り早いだろうと思い発注しました。

本体が到着する前に取扱説明書と取付説明書をパイオニアのサイトからダウンロードできましたので、一足先に取付方法を予習しました。取付説明書では運転席側のフロントスカッフプレートと運転席側のフロントサイドトリムという2枚のプラスチックカバーを取り外すよう書いてあるため、まずフロントスカッフプレートを外そうと試みました。前後の爪は簡単に外れたものの、そこから先で思うように外れません。しかし中を覗き込んでみたら、チューナーアンプユニットが見えました。直接接続することもできそうですが、そうすると配線が外を這うことになりますので、安全上の観点からもなるべくプラスチックカバーの中に通したいものです。

予約注文したのですが初期ロットが瞬殺されてしまったようで、ずっと音沙汰なしでしたが、1か月半くらい経ってから突然発送されました。早速取り付けてみました。チューナーアンプユニットのコネクタは20ピンのものと24ピンのものと2種類ありますが、DJデミオは24ピンのものを使います。アクセルペダル付近に下向きにつながっているコネクタが2か所あるのですが、奥にある大きい方のコネクタがスピーカーとつながっているものです。比較的新しい車種だと20ピンのようですが、20ピンのケーブルも付属していますので問題ありません。一通り繋いでみたものの電源が入らず。調べてみたところ、24ピンのコネクタがやたら固くてなかなか奥まで入らないようです。たしかに完全に入った手ごたえはありませんでした。気を取り直して再度差し込もうとしたのですが、なかなか入らず。DSPの白いコネクタを車に挿すのは比較的容易でしたが、車のスピーカーケーブルのコネクタを赤いコネクタに挿すのに苦労しました。赤いコネクタから生えている金属の棒が白いコネクタの穴に正しく入らず引っかかっているようでしたので、コネクタの向きを少しづつずらしながら押し込んだら、やっと入りました。赤いコネクタの方を先につないでから白いコネクタを車に挿すことでやっと電源を取れるようになりました。金型が良くないのか、工作精度が低いようです。

次はスマホにつないで設定ですが、特に凝ったことをするつもりはありませんので、DJデミオ向けのセッティングに変更しただけでした。とりあえずスマホの音源を鳴らしてみましたが、リモコン経由でないと音量を調整することすらできないのは不便でした。また、コマンダーノブの音楽再生用のボタンを使えなくて、音源を選択することすらできなくなりました。しかしこれは正常な動作ではありませんので、何かあるのかもしれません。

そうしているうちにUSB経由で鳴らしていた音源まで音が出なくなりました。正常なときには電源ランプが青点灯するのですが、このときには赤く点滅していました。どうやら保護機能が働いて電源が切れたようですが、原因がよくわかりません。ただでさえ操作が不便なのに音まで出なくなってしまってはDSPをつなぐ意味がありませんので、一旦取り外しました。そのためまだ音質を評価するに至っていません。

普段は古いiPod touchを車載用にして音楽再生しているのですが(古いiPodの活用法としてこれに勝るものなし)、古いiPod touchだとSound Tuneに対応していないため、DSPに接続しても操作が全くできません。かといって普段使っているスマホを車に乗るたびにいちいち車につなぐのも面倒です。

とりあえずせっかくのマツダコネクトの操作性を殺してしまうのは実にもったいないので、BOSEのようにメーカーオプションに採用してもらってマツダコネクトと一体で操作できるようUIを改善するのが次のステップではないでしょうか。間にDSPを挟むにしても従来通りの操作で音楽再生できるようにしてほしいものです。

音が鳴るようになるまでもうしばらく頑張ってみるつもりですが、一旦ここで切ります。

2019年1月26日土曜日

車のシガーソケットはいつまで必要なのだろうか

シガーソケットはもともとは車内のDC12V電源でニクロム線のライターを加熱するためのものでしたが(ガス欠が無く常時使用できるすぐれもの)、今や喫煙率が低下し、シガーライターは新車には装備されておらず、単にDC12V電源を取るためのスロットになってしまいました。

車では長年使われていて汎用性があるのは確かですが、いまどきの給電ポートに比べて場所を取りますし、車以外では全く汎用性がありません。USBで給電しようとすると専用のDCアダプターを装着する必要があります。スマホを充電できる程度の2A対応の製品は広く出回っていますが、PCに給電できるDCアダプターは滅多に見かけません。LenovoのThinkPad用なら販売されていますが9000円程度と高価です。

そうしているうちにUSB PD対応のUSB Type-Cが普及しつつありますので、そろそろそういう車外で汎用性のあるものに置き換えることを検討する時期に差し掛かっているのではないでしょうか。もっとも、しばらくはシガーソケットのニーズもあるでしょうから、USB Type-Cからシガーソケットへのアダプタはあった方がよいかもしれません。シガーライターについては、USB Type-Cからシガーソケットへのアダプタをシガーライターとセットで販売すれば済むことです。

マツダコネクトにmicroSDスロットがほしい

マツダコネクトのUSBメモリからの音楽再生も機能面では当初に比べてだいぶこなれてきました。あとは立ち上がりがもっと早ければと思う程度です。物理的にはUSBメモリをUSBスロットに挿すと出っ張りが邪魔ですのでこれを何とかしたくなってきます。せっかくですのでスマホのようにmicroSDを挿せれば場所を取らずに済みますし、USBスロットを空けることができます。microSDも128GBや256GBの製品の値段がだいぶこなれてきており、USBメモリと同じくらいの値段で購入できますので、手持ちの音源をすべて格納できます。スマホではとっくに実現していることですので、スマホ用の汎用部品で実装できないものでしょうか。いまどき使いもしないCD/DVDのスロットを潰せば十分に余裕があるはずなのですが。

2019年1月20日日曜日

どういうわけか帰宅直前にDPF再生が始まる

長距離を走れば途中でDPF再生が始まるものですのでそれ自体は別段気になりませんが、自宅にもうじき到着する段になってDPF再生が始まるのはとても気になります。体感的には長距離移動後の2回か3回に1回くらいの割合で帰宅直前にDPF再生が始まります。それまでの間にいくらでもDPF再生を開始するチャンスがあったはずで、もっと早めにDPF再生が始まっていれば帰宅前に完了していたはずなのに、どういうわけか帰宅直前になってDPF再生が始まり、エンジンを停止するとエンジンを冷却するためのファンが延々と回り続けます。

せっかくカーナビに自宅の位置情報を登録しているのですから、自宅に接近する前にDPF再生を開始し、自宅到着前にDPF再生を完了させることはできないものでしょうか。