2022年12月26日月曜日

日産自動車の電気自動車の値上げについて

2022年12月22日に日産自動車がリーフとサクラの値上げを発表したようです。メディア記事によればリーフの値上げ幅は最大で約100万円とのこと。

半導体不足による生産能力減少が原因ならより利幅の大きい製品の納期を変えずに利幅の小さい小型車の納期を長くするとか、利幅の大きい新製品を投入して利幅の小さい製品の改良を据え置くといったように、高額車の販売にシフトすることで実質値上げするのが定石です。マツダでは新たに投入したラージプラットフォームの販売に注力する一方で、BセグメントのMazda 2のフルモデルチェンジは後回しになっていて、欧州ではヤリスハイブリッドのOEM販売のみになりつつあります。今BセグメントをフルモデルチェンジしたらBセグメント購入層とマッチしない値段になってしまうからという可能性もありますが。マツダのラージプラットフォームはもともと利幅の大きい北米向けの車種を拡充させることが目的だったようですが、結果的に半導体不足による供給能力減への対応にも役に立っているようです。

同じ車種で値上げするにしても、装備を増やすなどしてより高額の商品にシフトするのが常で、全く同じ製品でカタログプライスだけを値上げするのは珍しいです。

自動車メーカーがなぜ同じ製品のカタログプライスの値上げをあまりしないかといえば、自動車というのは一回売ったらそれでおしまいの製品ではなく、人が一生のうちに何十年間も自動車に乗るからです。その長い付き合いの中で客の足元を見るような値上げをしたら嫌われてしまって、以降車を買ってもらえなくなるおそれがあります。短期的な値上げによって得るものよりも長期的な関係を失うことの方が大きいとの判断があるのでしょう。そのためフェアバリューの建前を維持しつつ、利幅の大きいフェアバリューに軸足を移す戦略が好まれるようです。

電気自動車の場合、主に蓄電池のコスト上昇による影響が大きいですが、普通の自動車メーカーなら電気自動車の販売台数が微々たるものですでの、電気自動車で赤字を出しても会社全体の財務への影響は僅少でしょう。

日産の場合は電気自動車の販売比率が他社よりも高いうえ、ガソリンエンジン車においても売れ筋の車といえばノート(含オーラ)とエクストレイルといったe-Powerの比率の高い車種しかありません。しかもノートは利幅の小さいBセグメント車です。セレナは日本では売れていますが、ミニバンは事実上日本専用車種です。そのため電気自動車の蓄電池コスト上昇の影響を他車種で吸収しにくい状況にあります。しかもリーフはともかくサクラは軽自動車市場で受け入れられるための戦略的な値付けをしていて売れ行き好調ですので、ただでさえ利幅が小さいのにコスト上昇で赤字になるおそれがあります。リーフはさほど数が出ていないとはいえ、サクラを大幅値上げする一方でリーフを値上げしなかったら電動化パワートレインのコスト上昇を理由にした値上げを正当化できませんので、リーフまで値上げせざるを得なくなったのでしょうか。日産はなまじ電動化を進めてきたせいで、電動化パワートレインのコスト上昇に対して脆弱な体質にあるのかもしれません。

しかしそれでも単純に値上げする以外の手段は無かっただろうかと思います。赤字覚悟で売りたくなければ生産を後回しにして納期を禁止的に長くするやり方もあり得たはずです。

また、電動化パワートレインといえばハイブリッド車比率の高いトヨタも同様であるはずですが、トヨタは電動化パワートレインのコスト上昇を理由にした値上げを今のところはまだ発表していません。車種のラインナップにせよ調達にせよ、日産は何らかの問題を抱えているように見えます。

2022年12月24日土曜日

久しぶりにMazda 3で雪道を走りました

Mazda 3に乗るようになってから、せっかく冬タイヤをつけているのにあまり雪道を走る機会がありませんでしたが、久しぶりに雪道を走ることになりました。ご参考までに冬タイヤはダンロップのWinterMaxx02です。

平地で除雪された圧雪路であれば特に不安はないのですが、山道でどの程度走れるのか、坂道やカーブで滑らないかどうかは走ってみないとわかりません。実際に走ってみて、「ここまでは大丈夫」とか「この辺りから滑り出す」といった経験を積むと、やっとどの程度の雪道まで大丈夫かわかるようになり、危なそうなら迂回するなり引き返すなり、あるいは最初から車での移動をやめるなりできます。

実際に走ってみたところ、山道であっても勾配が緩くて圧雪ならば問題なし。ただしカーブでたまに少し滑りました。FFですのでカーブでの後輪の踏ん張りには限度があり、やはり雪道ではAWDの方が安心です。積雪が数センチ増えるとたまに轍に足を取られて滑るようになりました。除雪直後であれば普通のアイスバーンですので、慎重に走っていれば特に問題ありませんでした。日頃からi-DMで急加速急減速急ハンドルをしないよう調教されていますが、そのような習慣は雪道で安全に走るのに役に立ちます。

除雪が入っていない道路では、轍は踏み固められていても真ん中には積雪があり、Mazda 3のように車高の低い車に乗っているとお腹を擦らないか心配なのですが、フロントバンパーの下の中央部分は黒いざらざらした樹脂パーツになっていて、雪を掻いても細かい傷が目立ちにくくなっています。あのデザインは雪道対策だったのですね。それでもやはり雪道はフォレスターやデリカD5のように車高の高い車の方が便利です。Mazda 3ではなるべく雪道を走りたくありません。

雪道を運転して大変なのは、フロントガラスが汚れやすいことです。なまじワイパーで拭き取ろうとするとフロントガラスの表面に汚れがまんべんなくついて、却って前が見えにくくなります。ウォッシャー液には不凍液が入っていますのでウォッシャー液を出しながら拭けば一時的には改善しますが、雪道ではフロントガラスに常時飛沫がかかりますので、一時しのぎでしかありません。さらに寒くなるとフロントガラスが汚れたまま凍りついてしまいます。デフロスタはフロントガラス内側の結露を乾かすのには効果的ですが、温風が吹き出すわけではありませんのでフロントガラス外側の凍結にはあまり効果がありません。

雪道ですので慎重にゆっくり走っていたのですが、到着時にi-DMの点数が2.2にまで下がっていました。走っているときにはさほど気になりませんでしたが、やはりそれなりに空転していたようです。

2022年12月23日金曜日

5代目プリウスのメーターパネル

5代目プリウスのメーターパネルは普通のメーターパネルとヘッドアップディスプレイの中間のような存在で前方に小さいディスプレイがあるようです。ドライバーにとって必要最小限の情報は視線移動を最小にする位置で表示され、それ以外の情報は横の大きなディスプレイに表示しているようです。気になったのはメーターパネルに庇がついていないことです。Mazda 3ですらAピラーが寝ているために昼時に後ろから日射が入り込んでメーターパネルで反射して見づらくなることがあるのですから、それよりもさらにAピラーの寝ているプリウスでどのように対策しているのか気になるところです。こればかりは実車に乗ってみなければわかりませんが、試乗した自動車評論家は誰も指摘していませんでした。いずれ公道で試乗した動画が出回れば何かわかるかもしれません。

5代目プリウスの価格

新型プリウスの価格がディーラーで発表されているようです。グレードは法人向けX、Kinto向けのU、真ん中のG、上位のZと分かれており、一般人が入手できるのはGとZのみです。うち廉価版のXとUは1.8L、一般人が入手できるGとZは2Lのみとなっています。1.8Lエンジン車はじきにトヨタレンタカーで出回るのではないかと予想します。PHEVについては未発表です。

GのFFの本体価格が320万円、ZのFFの本体価格が370万円、AWDは22万円増しです。いろいろオプションをつけたら乗り出し400万円前後ですので、カローラやインプレッサやMazda 3のSkyactiv-Gといった普通のCセグメントよりも1つ上のクラスで、シビックやMazda 3のSkyactiv-Xと同じ価格帯です。カローラとは別のクラスで棲み分けています。出力も190ps前後と同等です。燃費についてはプリウスの圧勝ですが、当然のことながらプリウスにはMTがありません。

自動車評論家は新型プリウスを絶賛していますが、乗り出し400万円ならそれくらいの出来でないと困りますし、そもそも日本では乗り出し400万円クラスのCセグメント車は現状あまり数が出ていません。同じ予算でハリアーやCX-60やレヴォーグを買えますし、家族で乗るなら速い車よりも広くて立派な車の方が好まれるでしょう。もっとも、Dセグメント車はこれからもっと値上がりするかもしれませんが。

欧州では環境規制対応のためにPHEVのみの販売とされていますが、ロシアから天然ガスを止められて光熱費が大変なことになっている中で高価なPHEV車を買う余裕があるのでしょうか。あるいは、EVを買う余裕がないからハイブリッド車にシフトするのでしょうか。

ロシアの影響をあまり受けていない北米では2Lのハイブリッド車が売れそうな感じがします。アメリカ人の購買力からすればさほど高価ではありませんし、それに何よりもパワーがあってかっこいい車が好まれます。となると利益率の高い北米で稼ぐ戦略でしょうか。

2022年12月17日土曜日

しっとりとした質感

車検に出したら代車で4代目プリウスが来ました。3代目とは打って変わってシャシーが良くなってしかもまともに走るようになりましたので、ストレスなく加速できすこぶる快適でした。燃料満タンで返却しましたが、燃費が良いので微々たる給油量でした。プリウスは変なシフトレバーと変なメーターパネルがなければよいのですが、カローラのハイブリッドならその辺りはまともです。

さて、車検上がりのMazda 3に乗り込むと、しっとりした車だと感じました。車内は狭いですが静粛性が高く、車体の剛性感が高く、ステアリングフィールがよく、造りのしっかりした車だと感じます。自然吸気ガソリンエンジンですので、ハイブリッド車のようにひゅーんと加速することはありませんが、その代わり、車が先に前に進んでいく感じがしません。

このような質感はカローラにもインプレッサにもなく、国産Cセグメント車の中では群を抜いています。車体は素晴らしいので、あとはSkyactiv-Gが車体に追いついてほしいものです。

2022年12月4日日曜日

マツダコネクトの音声入力で目的地を入力できました

運転中にはカーナビの目的地入力ができませんので(履歴やお気に入りからは選べますが)、音声入力を活用したいところなのですが、かつてマツダコネクトの音声入力を試した際には目的地入力がうまくいかず、マツダコネクトのマニュアルにも詳細の記載がないため、結局実用に至りませんでした。しかしマツコネ取説 実演【音声コマンド操作編】~音声操作 使わなきゃ損!~という動画参考にしたところ、以下の呪文で目的地を入力できることがわかりましたので試してみました。

  • 施設を探す
  • ○○県
  • (施設名)
登録されている目的地であれば入力できました。最初から施設名を述べて済ませたいのですが、マツダコネクトのナビはそこまで器用ではないようで、前の2つの呪文が必要なようです。これを唱えないと施設名を言っても受け付けてもらえません。目的地がナビに登録されていないとヒットしませんが、それは音声入力でなくても同様です。ダイヤルを回しながら文字を入力するよりも簡単です。他にもジャンルで探す(近くのコンビニ等)もあるのですが、使用頻度が低いですし、様々な種類の呪文を覚えきれません。電話に関しても、運転中に電話を取れるなら音声入力は必要ありませんし、コールバックするなら安全な場所に停車してからですので、音声入力の出番はあまりありません。

すでに目的地を入力済みで音声入力によって目的地を追加する際には自動で一番最初の目的地として設定されるようです。運転中にはルート編集ができませんので、音声入力で目的地の順番を並べ替えることができればよいのですが、まだそこまでできていません。

2022年11月30日水曜日

Mazda 3のマイルドハイブリッド

Mazda 3の2Lエンジン車にマイルドハイブリッドがつきましたので、そういえばどんな仕様だろうと思ってSkyactiv-Xのマイルドハイブリッドの仕様と見比べてみたら、モーターの仕様が違っていました。先に欧州向けに出た普通のエンジン向けのマイルドハイブリッドのモーターはMJ型、後から出たSkyactiv-X向けのマイルドハイブリッドのモーターはMK型でした。出力特性が異なり、MK型の方が最大出力が一回り大きく、また最大トルクを発生させる回転数が低めです。

他車種について調べてみたところ、Skyactiv-Gと組み合わせるMX-30のマイルドハイブリッドや、Mazda 3と同時にマイルドハイブリッド化されたCX-30のSkyactiv-GもMJ型です。CX-30もSkyactiv-X向けはMK型でした。では1.5LエンジンのMazda 2のマイルドハイブリッドシステムはどうなのだろうかと思って調べてみたら、なんとMK型と同じ数字でした(日本向けにはマイルドハイブリッド仕様が出ていないのでモーターの型式まではわからず)。

となるとSkyactiv-X向けおよびMazda 2向けのマイルドハイブリッドと、Cセグメント車のSkyactiv-G向けのマイルドハイブリッドとで仕様が異なることになります。電気モーターの一般論として、出力は熱容量に制約されます。その代わり、短時間であれば連続定格出力を超過して過負荷で使うこともできます。そのため、出力の数字はパワーの指標というよりもむしろ熱容量の指標だといえます。負荷の高い使い方をする場合には、出力に余裕を持たせます。となるとSkyactiv-Xの方がモーターの負荷が高いのではないだろうかと推測できます。たしかに、デリケートなエンジンですのでモーターアシストの場面が増えたとしても驚くに当たりません。Mazda 2のマイルドハイブリッドシステムはパワーに余裕がありますが、Bセグメント車はストップアンドゴーが多い前提ですので、モーターアシストの場面が多いのかもしれません。

2022年11月29日火曜日

Mazda 3の2Lエンジン車の最終減速比

Mazda 3の2Lエンジン車の最終減速比は1.8Lディーゼルエンジン車と同じく4.095ですが、そういえばBMアクセラの2Lエンジン車はどうだったっけと思い立って諸元表を参照したところ、4.325でした。ちなみに1.5Lガソリンエンジン車はBMアクセラ、Mazda 3ともに4.605、BMアクセラの1.5Lディーゼルエンジン車は4.056、Mazda 3のSkyactiv-Xは4.367。

せっかくですのでMazda 3の北米向けの2.5Lエンジン車はどうかと思って調べてみたところ、3.850でした。北米向けは加速性能が求められるかと思いきや、意外にもディーゼルエンジン車よりもハイギアードです。米国は高速道路の最高速度が70mphしかなくてしかも速度取締が厳しいので高速巡航よりも太いトルクでゆったりと乗りたいということなのでしょう。燃費は複合モードで30mpg(12.75km/L)でした。2.5Lターボはさらに燃費が悪くて26mpg(11.05km/L)。日本人の感覚からするとアメ車ですね。さすがにこのままでは日本では売れないと思います。アメリカ人ももう少し燃費性能を気にした方がよいのではないでしょうか。そういえば、マツダではかねてから「排気量を大きくしたほうが燃費に有利」としていますが、だとしたらこの2.5Lエンジンの燃費は一体何なのでしょう。米国基準は計測時の加速度が高いのでしょうか。

重量はどうかというとMazda 3の2Lエンジン車が1360kgに対してBMアクセラの2Lエンジン車1310kg、1.5Lディーゼルエンジン車が1360kgでした。同じエンジンで重量が大きくなったのにハイギアードになっているのですから、それならたしかにもっさりしているなと思いました。もっとも、最終減速比が低くても、ATの進段タイミングを遅らせて低めのギアで引っ張るように加速すれば問題ないという考え方もありえます。高速巡航時には回転数が低い方が静かで燃費が良いですし。実際、青信号発信で加速すると2Lエンジンでも3000回転くらいに達することがあります。

仕様の策定にあたっては様々な要素を考慮する必要がありますので、素人には計り知れませんが、一つの可能性としては燃費計測ルールがWLTCに変更になったことから、高速走行時の燃費の向上が必要になったのだろうかと思い当たります。もう一つ思い当たるのは、ATの制御ソフトウェアが進歩して、アクセルの踏み込み具合に応じて加速力をコントロールしやすくなったのだろうかというものです。

2022年11月23日水曜日

冬タイヤに履き替えました

例年よりも少し遅めですが、冬タイヤに履き替えました。走行距離が増えたおかげでサスペンションの当たりが取れて乗り心地が改善しましたが、それでも夏タイヤのときよりもゴツゴツします。しかし、僅かな差ではあるものの、ステアリングを切ったときの挙動が気持ちよくなり、運転して楽しくなりました。路面の状況がステアリング越しに伝わりやすくなったような気がします。

本来ならば新車装着タイヤや純正ホイールがベストバランスで、冬タイヤ等の新車装着タイヤ以外のタイヤや社外品のホイールを履くとバランスが崩れるものですが、どういうわけか冬タイヤの方が操縦安定性能が良く感じられます。もしかして純正のホイールよりも軽いので曲がりやすく感じられるのでしょうか。その代わり乗り心地に難がありましたが、サスペンションの当たりが取れて乗り心地が改善するにつれて、徐々にバランスがよくなってきたように感じます。

夏タイヤの方が落ち着いていてしっとりとした乗り味なのですが、現在の車の状態ではそれだとエンジンが車体に負けてやや退屈に感じられます。冬タイヤを履いた状態は、シャシーとしてのバランスが崩れているのかもしれませんが、エンジンとのバランスは良く感じられます。

2022年11月19日土曜日

Apple CarPlayでAppleの地図を使ってみました

CarPlayでGoogle MapやYahoo!カーナビを使ってみたことがありますが、使い勝手があまり良くないため、結局マツダコネクトのナビを使っています。Appleの地図はかつてはあまりに出来が悪かったため眼中にありませんでした。

マツダを語りたいだけのチャンネルにて「【純正顔負け】CX-60でCarPlayを使ったらまさかの機能が!案内表示で純正ナビ要らず?」という動画があり、そこではAppleの地図をカーナビにするとヘッドアップディスプレイにも表示されるとのことでしたので、Mazda 3ではどうかと思って試してみました。

結果は、Mazda 3ではAppleの地図を使ってもヘッドアップディスプレイに表示されることはなく、Google MapやYahoo!カーナビと同様でした。また、コマンダーノブでの操作が制約されており、しかもMazda 3のマツダコネクトはタッチパネルを使えませんので、満足のいく使い勝手ではありませんでした。しかし最新版のAppleの地図は昔ほどにはひどくなく、初期マツダコネクトのNNG製カーナビよりもましな程度にまで良くなっていました。

Google MapをCarPlayで使うと画面が白飛びしますので夜間モードで表示させないと実用に耐えませんが、Appleの地図では最初から暗い画面ですので、白飛びはしていませんでした。しかし画面が暗すぎますので昼間モードにできないものかと思って設定方法を探したものの見当たりませんでした。

2022年11月13日日曜日

2022年10月マイナーチェンジのカローラの諸元表を見てみました

2022年11月12日にカローラのマイナーチェンジの試乗動画が解禁されたようで、いろいろな人が試乗動画を出しています。そういえばと思って諸元表をダウンロードしてみました。実際に運転してどうかについては試乗してみなければわかりません。

【パワートレイン】

ハイブリッドは最新のものに刷新。少し燃費が向上しています。かつてカローラツーリングのハイブリッド車に乗った際には意外と普通だなという印象で、ヤリスハイブリッドほどの魅力を感じませんでしたが、最新のハイブリッドシステムになってどう変わったか興味があります。

大きく変化したのはガソリンエンジンの方で、いずれもダイナミックフォースエンジン+ダイレクトシフトCVTが導入されました。カローラスポーツは2Lエンジンですが、セダンとツーリングはヤリスと同じ1.5Lエンジンです。

1.2Lターボエンジンは低回転でのトルクが太いのでダラダラ流して走る分にはすこぶる快適ですが、いざアクセルを踏み込んでみると排気量なりでしかなく見掛け倒しでしたので、「スポーツ」を名乗る車がこれで良いのだろうかと思いました。2L自然吸気エンジンを積んでやっと「スポーツ」らしくなりました。ヤリス1.5Lよりもさらにパワーに余裕がありますので、きびきびと走れそうです。

セダンとツーリングの出力とトルクは排気量なりです。重量が大きい分だけヤリスよりも最終減速比が少し高くなっており、低速力での加速力を補っています。では高速域での加速性能を犠牲にしているのかというとそうでもなく、発進時にはギア直結ですので無段変速部が若干高速寄りになっており、従来型の1.8Lエンジンと遜色なさそうです。ちなみに旧来の1.8Lエンジンは新東名での追い越し加速でも不足を感じない性能です。セダンとツーリングのガソリンエンジンで旧来のエンジンとCVTが採用されたのはコスト削減のためのようですが、ヤリスの数が出るようになったことから、ヤリス用のエンジンとCVTのコストがこなれてきたのかもしれません。Bセグメント車は利幅が小さいと言われますが、それでも必要とされているクラスですし、数が出ますので量産効果はあります。

【リアサスペンション】

セダンとツーリングでは、カローラクロスから導入されたトーションビームサスペンションが導入されており、エンジンが一回り小さくなったこともあり重量が40kgほど軽くなりました。パワートレインとあいまって、でかいヤリスになったようです。しかし、ヤリスの1.5Lエンジン車はパワーに余裕がありますので、日本の公道の速度域に合わせてその余裕を切り詰めれば一回り大きい車にも使えるのでしょう。カローラスポーツのリアサスペンションはダブルウィッシュボーンのままですので、車体が一回り小さいカローラスポーツの方むしろ重いです。

【室内寸法】

セダンとツーリングの室内寸法を見てみると、室内幅は車体幅が広い分だけカローラの方が広いですが、室内長と室内高は実はヤリスよりも少し小さいです。トランクルームにスペースを取られているようです。しかしホイールベースはカローラの方が長く、その分リアタイヤのタイヤハウスの飛び出しも小さいので、スペースをやりくりすればどうにかなっているのかもしれません。

【燃費】

ガソリンエンジン車ではパワートレインが刷新され、車体も軽量化されたため、大幅に向上しています。旧来の1.8Lエンジンよりもダイナミックフォースエンジンの1.5Lエンジンの方が燃費が良いのは理解できますが、意外なことに、1.2Lターボエンジンよりもダイナミックフォースエンジンの2L自然吸気エンジンの方が燃費が良いです。とりわけ郊外路と高速道路での燃費が著しく向上しています。ダウンサイジングターボをやめたのは燃費計測ルールの変更に伴うものでしょう。実燃費ベースで比較する場合にはダウンサイジングターボよりも自然吸気エンジンの方が有利というマツダの言い分が実証されています。

1.2Lターボエンジンの圧縮比が10、1.8Lエンジンの圧縮比が10.6なのに対し、ダイナミックフォースエンジンの圧縮比は13ですので圧縮比が効いていそうです。

【Mazda 3との比較】

さて本題のMazda 3との比較ですが、カローラセダンとMazda 3 1.5Lセダンと、カローラスポーツとMazda 3 2Lファストバックとをそれぞれ見ていきましょう。

まずは1.5Lから。パワー、トルク、重量、燃費ともにカローラ有利です。Mazda 3の1.5LエンジンはMazda 2に搭載された圧縮比14の高圧縮比タイプではなく旧来のエンジン(それでも圧縮比13)のままですので、高圧縮比エンジンを積めばカローラに対抗できる可能性があります。Mazda 3の1.5Lエンジン車はほとんど数が出ないために放置されているようですが、Mazda 2のエンジンが高圧縮タイプの統一されましたので、そろそろそちらに寄せた方がよいのではないでしょうか。排気量が同じですのでパワーとトルクは僅差ですが、燃費の差が重量の差よりも大きいのは、6ATの高速域での効率が劣るためでしょう。実際、郊外モードと高速道路モードの数字で大きく差がついています。

次に2Lですが、重量はほぼ同じですが、パワー、トルク、燃費ともにカローラ有利。こちらも郊外路や高速道路での燃費で大きく差がついています。マツダではMazda 2用の1.5Lエンジンの方がもともとの出来が良いうえ、さらに積極的に改良されているのに対し、2Lエンジンは放置気味です。Mazda 3の2Lエンジン車にはマイルドハイブリッドがついて燃費が若干改善した程度です。Skyactiv-Xと差をつけたいのかもしれませんが、Xは国産Cセグメント車の価格ではありませんので売れ筋の2Lエンジンをどうにかしないと売れないでしょうね。日本ではこのクラスの市場は限られており、足車として乗るなら2Lエンジンは必要ありませんし、もっとパワーを求める人は上のクラスの車を求めるでしょうから、このクラスで競っても定量的な影響はあまりなさそうですが、欧州ではまさに主力のクラスです。

カローラのマイナーチェンジ前はガソリンエンジンのパワートレインがSkyactiv-Xよりも古かったためにMazda 3の方が有利だったのですが、カローラがマイナーチェンジでダイナミックフォースエンジンを積んで逆転しました。販売台数からしてトヨタがマツダをライバル視する動機は全くないはずなのですが、そんなトヨタですら弱小のマツダを貪欲にパクるところにトヨタの底力を感じます。一方、マツダの1.5Lエンジンの斜め渦燃焼もダイナミックフォースエンジンのパクリなのではないかという気がします。ユーザーの立場では、各社切磋琢磨して全体のレベルが上がるのは歓迎です。

パクリといえばカローラツーリングWxBにマッシブグレーという専用色があり、さながらポリメタルグレーのパクリのような色です。とはいえ、自動車業界には色の流行があり、他社でも似たような色を採用していますので、一概にパクリとはいえないのかもしれませんが。

2022年11月12日土曜日

Mazda 3はなぜ売れなかったのか

レンタカーでBMアクセラ1.5Lに乗った後で改めてMazda 3に乗ってみると、内外装の質感や静粛性は全然違いますし、操縦安定性能についてもMazda 3の方がすぐれています。様々な面で良くなっており、BMアクセラとはレベルが違います。また、1.5Lエンジン車にパワーが無いのは否めませんが、2Lエンジンならゆったり流すこともできますし、エンジンを回せばそこそこ走ります。つくづく「いい車だな」と思います。

では運転して楽しいのはどちらだったかというと、BMアクセラ1.5Lだったりします。Mazda 3の2Lガソリンエンジン車に乗っているといつも「いい車なんだけど…」と思います。BMアクセラは前期型から後期型になってGVCが導入された際に前期型よりもどっしりとして静かな車になったという印象を受けましたが、今後期型をMazda 3と乗り比べると重量も質感も軽くていかにも日本車という印象を受けます。しかしそれでも車体とエンジンとのバランスが良く感じられます。一方、Mazda 3はSkyactiv-Gではエンジンが車体に負けている印象を受けます。例えるならばロードスターがポルシェになろうとしているような感じです。もしかしたらSkyactiv-Xを積んだ車だとエンジンの質感が高く、車体の質感とのバランスが取れるのではないでしょうか。

たしかに、BMアクセラはSkyactiv-Gを前提に開発された車ですし、BP Mazda 3はSkyactiv-Xを前提に開発された車ですので、本命のエンジンを積んだときに最もバランスが取れているのかもしれません。料理はバランスと言われますが、車も同様にバランスが大切なのかもしれません。

しかしそのSkyactiv-Xは走りの質感こそ絶賛されているものの、コストの高い補機をたくさんつけているせいでSkyactiv-Gよりも70万円高く、それでいて燃費性能の差はさほどなく、さらにハイオク推奨ですので燃料代ベースでの優位性はありません。動力性能と環境性能と操縦安定性能を高いレベルで両立させている車ならヤリスハイブリッドのようないまどきのトヨタのハイブリッド車がすでに実現していて、かつSkyactiv-X搭載のMazda 3よりも安いです。走りの質感だけのためにトヨタのハイブリッド車よりもさらに高い車を買えるのは熱烈なマツダファンくらいでしょう。

価格面で比較対象になるのはメルセデス・ベンツAクラスやFFになったBMW1シリーズかもしれず、「どれか好きな方を選んでいいよ」と言われたらSkyactiv-XのMazda 3を選ぶ可能性がありますが、ベンツを買う人はベンツであることに価値を見出しているでしょうし、BMWにしても同様です。そもそもこのクラスはさほど数が出ません。

現状では、Skyactiv-Xのコストがこなれておらず、本命となるべきだったSkyactiv-XのMazda 3を受け入れる人の数があまりにも少ないのではないでしょうか。当初の目論見では価格も燃費もガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車の中間とされていましたので、もし目論見通りのコストで実現していたらもっと売れていたかもしれません。少なくとも、そのような選択肢がもしあったら自分で買うときにはSlyactiv-Xにしたことでしょう。

2022年11月6日日曜日

久しぶりにレンタカーでBM後期型アクセラに乗りました

レンタカーのクラス指定でインプレッサかヤリスハイブリッドかはたまたMazda 3かと期待していたところ、まさかのアクセラが来ました。2018年4月登録で4年半で9万km走った個体です。レンタカーは年間2万kmくらい走りますので、この時期に残っているアクセラならたしかにこれくらいの走行距離でしょうね。

【総評】

運転して楽しい車。パワーが乏しいので加速は全然よくありませんし、高速道路での追い越し加速は絶望的ですが、それ以外の場面では意外と走れてしまいますし、燃費も良好。アクセラもまだ捨てたものではありません。

【パワートレイン】

1.5Lですので加速は大したことないのですが、エンジンをしっかり回しますので、走らせている感はあり、体感的にはさほどストレスを感じません。また、一般道では他の車の加速も緩慢ですので、流れに乗って走る分には十二分です。少しアクセルを踏むだけで制限速度を超えてしまうような車よりも一般道では扱いやすいです。

高速道路では追い越し加速の性能は全然良くありません。基本的には一般道向けの車だと思います。

いまどき珍しい自然吸気ガソリンエンジン+ATの組み合わせですので扱いやすいです。

【ブレーキ】

個体差かもしれませんが、比較的深く踏み込まないとブレーキが効きません。Mazda 3だとある程度踏み込んでから踏力でコントロールするのですが、アクセラの場合はそうでもなく、ブレーキが甘い印象。

ATですのでエンジンブレーキは扱いやすいです。もともと最終減速比が高めでエンジン回転数高めですので、エンジンブレーキをかけると6000回転くらいまで上がります。

【操縦安定性能】

ノーズが軽いので曲がるのは比較的得意です。ただ、Mazda 3と比べてしまうとMazda 3の方がもう少し良いかなと思えてきます。

高速道路では安定して走りますので巡航速度高めでも走れます。今回はレンタカーでしたのでクルーズコントロール無しでしたが、追従型クルーズコントロールをつけて走行車線で流す分には楽に走れそうです。

【乗り心地】

足回りの当たりが完全に取れているせいか、Mazda 3よりは安楽な乗り心地です。タイヤが205/60R16というのもありますが。

【シート】

定評あるアクセラのシートですので運転しやすく疲れにくいです。この前レンタカーでヤリスハイブリッドに乗った際にはレンタカーグレードのシートが良くなかったのか背中が痛くなりましたが、アクセラではそのようなことはありません。

【静粛性】

エンジン音は意外と遮音されていますし、信号待ちで停車中にはロードノイズがなくて静かですが、ロードノイズが大きいので、Mazda 3と比べるとややうるさい印象。軽快な乗り味とあいまってMazda 3よりも少し下の車格の車というか普通の日本車に乗っているような印象を受けます。

【燃費】

特に燃費を気にしなくても18km/Lは走れますし、燃費に有利な条件なら20km/Lで走れます。Bセグメントのガソリンエンジン車並の燃費です。Bセグメントよりも一回り重い割には健闘しています。燃料タンクの容量が53L、実効容量45Lと大きめですので、満タンで900kmくらい走れます。

アクセラ1.5Lはこんなに燃費が良いのにどうしてMazda 3の2Lの燃費が悪いのか謎です。

【他車との比較】

アクセラ1.5Lと同じクラスの車というとインプレッサ1.6Lとカローラスポーツ1.2Lターボでしょう。どれも乗ったことがありますが、自然吸気エンジン+ATのアクセラが最も自然な加速感です。ダウンサイジングターボは低回転のトルクが太いのが魅力ですが、高負荷域では排気量なりです。インプレッサは素晴らしい車ですが、CVTに馴染めませんでした。高速道路の追い越し加速で非力なのはどれも一緒です。

Mazda 3との比較では、アクセラの方が軽いので軽快な走り。さすがに今ではレンタカー屋でも見かけませんが、BM前期型はもっと軽快でした。

2022年9月22日木曜日

もしSkyactiv-Xを発電専用エンジンにするなら

例によってエンジンのことを何も知らないド素人の素朴な疑問です。

Skyactiv-Xが難しいのは、圧縮着火できる領域が狭く、走行用エンジンとして使うためには火花着火との切り替えが必要だったり、理想空燃比での燃焼から瞬時に希薄燃焼に切り替えるためにスーパーチャージャーが必要だったりと、広い領域でエンジンを使用するためではないかと推測します。また、Skyactiv-Xの熱効率が従来型のエンジンに比べて著しく高いわけではないのは、非効率的な領域も使う必要があるからかもしれません。その結果、走行用エンジンとして使う場合には「走りは素晴らしいけれども費用対効果に劣る、物好きな人向けのエンジン」となってしまいます。

もしそうだとしたら、最も効率の良い圧縮着火できる領域だけで使う発電専用エンジンとして使う場合には各種の補機を省略してもっとシンプルなコストの安いエンジンにできる可能性があります。ロータリーエンジンも発電専用に使うならさほど燃費が悪くないのと同様です。

電気モーターだけで走るシリーズハイブリッドなら電気モーターの太いトルクで滑らかに加速できますので走りが良いですし、エンジンだけで走る車と違って回生ブレーキを使えますので燃費に有利です。エンジンにいろいろな補機をつけるくらいでしたら代わりにモーターといくばくかの蓄電池をつけた方が費用対効果が良さそうです。

発電用エンジンとしてロータリーエンジンと比較するなら、ロータリーエンジンほど小型軽量ではありませんが、熱効率では圧倒的に有利でしょう。

問題は発電専用エンジンにした場合に本当にシンプルで低コストになるかどうかです。日産がエクストレイルにe-Powerを導入した際には、わざわざ発電用に可変圧縮比エンジンを導入しています。これは低負荷時には(燃焼室容積を減らして)圧縮比を高めて熱効率を上げると同時に、高負荷時にには燃焼室容積を増やして(その分圧縮比を下げて)トルクを向上させることができるためとされています。エンジンにそのようなコストをかけることが許されるのでしたら圧縮着火エンジンを使うことも全く非現実的というわけではなさそうですし、最初からエンジンの排気量に余裕を持たせるなら可変圧縮比のような特殊な機構も必要ないのではないでしょうか。エクストレイルの発電用エンジンが1.5L3気筒ですので(北米や中国で走行用エンジンとして使われているものと同じ)、MX-30の発電用エンジンとしてすでにある2L4気筒のエンジンを積むなら排気量に余裕がありそうです。

2022年9月8日木曜日

久しぶりにレンタカーでMazda 2に乗りました

だいぶ前にMazda 2に乗ったことがありましたが、そのときは一般道しか走りませんでした。今回は高速道路も走りました。

小さな車体に1.5Lエンジンですからパワーに余裕があるはずなのですが、いざ乗ってみるとエンジン回転音の大きさが気になりました。Mazda 3の2Lエンジン車と同じくらいのパワーウェイトレシオですし、デミオ1.5Lと違って比較的低いギアを使って加速しますので、動力性能自体には特に不満がありませんでしたが、エンジン回転音が大きいせいか、パワーに余裕がなさそうな印象を受けました。山道を走る分には楽しそうですが、長距離を走ると疲れそうです。

もっとも普段乗っているのがMazda 3ですので車内の静粛性が全然違うのでしょう。Mazda 3は2Lエンジンはむろんのこと、1.5Lエンジンをぶん回しても遠くで鳴っているような感じです。この辺りは車格相応の差なのでしょうが、Mazda 2がフルモデルチェンジしたらどうなるか楽しみです(そもそもMazda 2が出るのかどうかもわかりませんが)。

上り坂ではシフトダウンしてエンジン回転数が上がりますが、坂の上まで来て勾配がゆるくなるとシフトアップして回転数が下がりました。アクセルを緩めたわけでもないのに自動で回転数が下がりましたが、一体どういう制御をしているのでしょう。勾配に応じた制御をしているのでしょうか。

レンタカー用の廉価版ですし、走行距離からして圧縮比12の従来型のエンジンのようでした。2022年1月の商品改良からはすべてのグレードで圧縮比14のエンジンを積むようになりましたので、もしそちらに乗っていればもっとトルクに余裕が感じられたかもしれません。いずれレンタカーでも圧縮比14のエンジンを積んだMazda 2が出回るでしょうから、いつか乗ってみたいものです。ヤリス1.5Lくらいのパワー感を期待します。

レンタカーでしたのでクルーズコントロールがついていませんでしたが、やはり高速道路ではクルーズコントロールが欲しいですね。

燃費は車載燃費計でも満タン給油でも18km/L程度。そんなに飛ばしたわけではないのですが。Bセグメントのガソリンエンジン車なら20km/Lには届いてほしいものです。

2022年8月7日日曜日

日本仕様のMazda 2にマイルドハイブリッドは搭載されるか

日本仕様のMazda 3の2Lエンジン車へのマイルドハイブリッド搭載が発表されたばかりですが、Mazda 3でできるならMazda 2でもできないものかと思います。マイルドハイブリッドを搭載することで1km/Lほど燃費を向上できるのでしたら、日本国内で売れ筋のMazda 2のガソリンエンジン車に搭載すれば企業平均燃費への効果を期待できそうに見えます。

とはいえ、現状Mazda 2にマイルドハイブリッドが搭載されているのは欧州向けMT車のみで、日本で主流のAT車にマイルドハイブリッドを搭載しようとしたら追加の開発が必要になります。開発リソースはラージプラットフォーム向けのSkyactiv-Xやスモールプラットフォーム向けのマルチ電動化ソリューションに重点的に配分されているでしょうから、先の長くない自然吸気ガソリンエンジンのために開発リソースを割く余裕がないのかもしれません。

よしんば開発リソースが割かれたとして費用対効果があるのかといえば、これも厳しそうです。Mazda 3の諸元データを見た限りでは、マイルドハイブリッドは市街地モードでは意外と効果が無くて郊外モードや高速道路モードの方が数字の伸びが良いです。BセグメントのMazda 2、とりわけガソリンエンジン車は街乗りの比重が大きいでしょうから、だとすると環境面ではさほど効果を期待できないのかもしれません。街乗りで効くのは低回転域のトルクですので、すでに導入済の斜め渦燃焼エンジンの方が効果を期待できるということなのでしょう。

そもそもBセグメントの自然吸気ガソリンエンジン車は登録車のボトムラインですのであまりコストを掛けると価格競争力を失ってしまいますし、小さい車ほど利幅が小さいので、たとえ売れても利益が出ません。マイルドハイブリッドには補機がつきますのでコストが上がりますが、ハイブリッド車の売れている日本市場でフルハイブリッド車との価格差が小さくなれば、だったらフルハイブリッドでいいやということになります。

では自然吸気ガソリンエンジンの他社の車との比較ではどうかというと、やはり国産Bセグメント車はレベルが高いですね。

ヤリスの1Lエンジン車とほぼ同等。ヤリスの1.5Lエンジンとの燃費差は平均で1km/Lくらい、とりわけ高速道路モードでは1.8km/Lも差がついています。廉価版ならヤリス1Lエンジン車とマッチできれば十分ですが、上位グレードならヤリス1.5Lエンジン車と同等のレベルを目指してほしいものです。

フィットの1.3Lガソリンエンジン車とほぼ同等ですが、郊外モードや高速道路モードの数字は劣ります。Bセグメント車で高速道路を走ることはあまりないでしょうから実走行ベースでの平均燃費にはあまり影響ないかもしれませんが、マツダの6ATの課題が浮き彫りになっています。

スイフトの1.2Lガソリンエンジン車よりも燃費性能が優れているのは、重量の差を考慮すれば大したものです。それでも高速道路モードの数字は僅差で負けています。スイフトにはマイルドハイブリッド車もあり、ほぼ同じ条件で燃費を比較できますが、平均で1km/Lくらいの差で、特に市街地モードでは2.2km/Lも差があるのに対し、高速道路モードでは0.3km/Lの差しかありません。Mazda 3のマイルドハイブリッドでは市街地モードよりも郊外モードの方が効果がありましたが、同じマイルドハイブリッドでどうしてこんなに違うのでしょう。モーターアシストをどこで使うかについての考え方の違いによるものでしょうか。

こうして見ると、Mazda 2のガソリンエンジン車は現状でもヤリス1.5L以外には負けておらず、国産Bセグメントのガソリンエンジン車としては平均的なレベルにあるようです。ヤリスの方が少し軽いですし、3気筒エンジンやCVTの方が燃費に有利とはいえ、ヤリス1.5Lの出来の良さが際立っています。できればヤリス1.5Lと同水準を目指したいものの、開発リソースと費用対効果の面で踏み切れないといったところでしょうか。

2022年8月4日木曜日

日本仕様のMazda 3とCX-30の2Lエンジンにマイルドハイブリッド

2022年8月4日にMazda 3とCX-30の年次改良で2Lエンジンにマイルドハイブリッドがつく旨のプレスリリースが発表されました。環境規制の厳しい欧州向けでは最初からマイルドハイブリッドがついていましたが、コストに厳しい日本向けでは今までマイルドハイブリッド無しで販売されていました。マイルドハイブリッドがつくことで少々値段が上がりますが、もともと日本向けモデルが値上げされている中で、2Lエンジンモデルにはマイルドハイブリッドがつきましたので、その分少々お値打ち感が出ています。

まだマイルドハイブリッド仕様に乗ったことがないのでどんな感じかわかりませんが、今までマイルドハイブリッド無しの2Lエンジン車に乗ってきて思うのは、2Lエンジン車の変速比と最終減速比がディーゼルエンジン車と同じですので、低回転でゆったり乗ろうとすると時折トルクの不足を感じます。モーターアシストによってトルクの谷間を埋めることができればもっと気持ちよく運転できるのではないでしょうか。特に2Lエンジン車は燃費が悪く、長距離を走ろうとすると残りの燃料を気にしながら燃費を稼ぐためにエンジン回転数を抑えて緩慢に走る必要があり、静かで快適である一方で、運転して楽しくありません。せっかくよくできた車なのに日本の道路とマッチしないせいで楽しく運転できないのはもったいないです。

WLTC燃費への効果については、欧州ではあるとされていて、日本ではあまりないとされてました。おそらく、欧州の方が速度域が高く、加速度も高めであることから、日本よりもアクセルを踏み込む場面が多いのではないでしょうか。一方、日本では速度も加速度も緩慢ですので、そこまでアクセルを踏まなくても運転できてしまいます。それでも、実燃費ベースで改善が見られるならばありがたいですし、その実燃費を我慢せずに得られるのでしたらなおありがたいです。

諸元データを見ると、WLTC燃費は平均値が15.6km/Lから16.4km/Lに向上しています。理屈からすれば、市街地では電力回生と発進時のモーターアシストが効く一方で、高速道路ではアクセルを踏みっぱなしですので効果が無いかと思いきや、意外と高速道路モードでも17.7km/Lから18.4km/Lに向上しています。変速時のトルクの抜けをモーターで補うことで巡航速度までの加速時間を短縮できているのでしょうか。

1.5Lエンジン車の燃費と比較すると、ほぼ互角にまで追いついてきました。さすがに市街地モードの燃費は1.5Lエンジン車に及びませんが、高速道路モードの数字は同じ、郊外モードでは逆転しています。ただし、Mazda 3の1.5LエンジンはMazda 2と異なり斜め渦燃焼の改良型ではなく従来型ですので、まだ伸びしろがあります。とはいえ、あまり数の出ないMazda 3の1.5Lエンジンにそこまで開発費をかける動機はなく、むしろ廉価版としたいのかもしれません。

Skyactiv-Xの燃費と比較すると、まだ1km/L程度の差がありますが、2Lエンジンにマイルドハイブリッドがついたことから、同じくマイルドハイブリッドのついているSkyactiv-Xと同じ条件で比較できるようになり、純粋のエンジンの差を比べることができるようになりました。70万円の価格差で燃費の差は約1km/L。Xはハイオク推奨ですので燃料代はXの方がかかります。あとは走りの差です。燃費目当てでXを買う人はいないでしょうが、燃費≒二酸化炭素排出量ですので環境規制対応では重要です。実際、環境規制の厳しい欧州ではXに誘導するような値付けをしています。日本市場ではそこまで環境規制が厳しくないことから、ひとまず売れ筋の2Lエンジン車の燃費を底上げしたのでしょう。

よくわからないのは、2LエンジンでJC08モード燃費の表示が復活していることです。競合最近のマツダ車はすべてWLTC表示ですので、他社の車との比較のためでしょうか。

マイルドハイブリッドを搭載した結果、重量が20kg増えています。ディーゼルエンジン車との重量差が40kgまで縮まりました。

2022年4月29日金曜日

マツダコネクトでTVを無効化したい

世に出回っている「TVキャンセラー」という商品は走行中にTVがDVDが画面に表示されるようにするためのもので、それについてはいろいろな情報が出回っているようですが、ここで取り上げるのは「TV視聴機能そのものを無効化したい」という、本来の意味でのTVキャンセラーのことです。

トヨタ車はTVチューナーがディーラーオプションなのに対し、マツダ車はどういうわけか安全装備をつけるとメーカーセットオプションでTVチューナーが抱き合わせでついてきます。そのため、マツダ車を購入する際にTVチューナーを排除することが困難です。TVチューナー分が実質無料ならさほど害がないのかもしれませんが、しっかり金を取られます。マツダはもともと車にとって本質的な機能を標準装備する一方で、そうでないものはオプションにするメーカーなのですが、どういうわけかTVチューナーについてはしぶとく抱き合わせ販売をしてきます。パーキングブレーキを引いているとき以外には画面に表示されないようになっていることからもわかる通り、TVは本来運転にとって不要であるどころか邪魔なものです。「需要があるから」ということならトヨタのようにディーラーオプションにすれば済むことなのに、トヨタにできることですらしません。マツダがこの姿勢を改めない限り、次に乗り換える車はトヨタ車にしようかとすら考えているくらいです。

ついてしまったものはしょうがないので、せめてTVチューナーを外したいのですが、マツダのFAQを見ても情報が出てきません。B-CASカードがあるのかと思ってMazda 3の電子説明書を調べてみたところ、「本機は、コンテンツ権利保護専用方式 (ソフトウェア方式) を採用しています。そのため、B-CASカードは不要です。」という記述が見つかりました。

ネット上で検索すると、運転中にTVを見られるようにするための装置の取り付け方法を説明した資料が見つかりましたが、マツダコネクトのディスプレイの下のカバーを外して車載コンピューターを引き出してといった操作が必要であることまではわかりましたが、どうすればTVチューナーを取り外せるのか、あるいは無効化できるのかについては情報が得られませんでした。

ではTVアンテナを外すのはどうかと思って調べたところ、屋根上のトサカアンテナを排除するために新開発のリアガラスアンテナがついているとのことで、リアハッチの内装をはがしてアンテナ線を見つけて取り外すことができれば、それでやっとTVアンテナを取り外すことができるようですが、一般人にはなかなかハードルが高いです。これだけTVが車の奥深くまで組み込まれていたらディーラーオプションにするのは無理で、メーカーセットオプションにするしかなさそうです。しかし、ここまでして車に執拗にTVを組み込もうとするマツダの意図は一体何なのでしょう。

2022年4月26日火曜日

レンタカーでCX-5のディーゼルエンジン車に乗りました

普段はCX-5のような高い車には乗らないのですが、大人4人が乗れる車をレンタカーで借りる必要があり、トヨタレンタカーは駅から遠く、駅から近いタイムズカーレンタルはアクセラもインプレッサもキャンセル待ちという大義名分を得てCX-5に乗りました。

結論から申し上げれば、たしかにこれは売れますね。第6.5世代車ですが、第7世代のMazda 3と乗り比べてみてもいいですね。

【個体】

現行型CX-5ですが、マツダコネクトは第1世代のものです。66000km以上走行した車でしたが、やれた感じはしませんでした。AWDです。

【パワートレイン】

2.2Lディーゼルエンジンでトルクが460Nmもありますのでトルクに余裕があり、しかも車内にはカラカラ音が入ってきませんので、良い意味であまりディーゼルエンジンらしくありません。低負荷域でダラダラ走る分には大排気量の自然吸気ガソリンエンジン車のような印象です。V8の4Lエンジン車だとこんな感じだろうかと思うものの、あいにくV8の4Lエンジン車には乗ったことがありませんのでわかりません。いまどきそんな車が市場に出ることもないでしょうし。

アクセルを踏み込んだときにぐも-という音が聞こえますので、たしかにディーゼルターボだなと思う程度です。車外ではわずかにカラカラ音がしました。

前の車に追いつきたかったら少しアクセルを踏み込むだけですので実に楽です。少しだけ高速道路を走りましたが、中間加速で有利な車ですので、高速道路での追い越し加速も楽です。

【操縦安定性】

重心の高さがやや気になるものの、その割には意図した通りに曲がります。GVC+のおかげでしょうか。あるいはAWDであることも影響しているのでしょうか。初代CX-5の頃からそうですが、車高が高いのに乗用車みたいに運転できるのはさすがだと思います。しかしこの車の本質はあくまでも高速ツアラーであって、スポーツカー的な使い方は本来の用途ではありません。

【乗り心地】

第7世代車に比べればややダルではありますが、高速道路を巡航するときにはこちらの方が快適です。大人4人乗りの高速ツアラーとしてはカテゴリーキラーだと思います。1人乗り2人乗りの高速ツアラーでしたらMazda 2のディーゼルでしょうが、やはり快適さや内装の質感については車格相応の差を感じます。

【装備】

普段乗り慣れないサイズの車ですので狭い所での取り回しに自信がありませんでした。360°ビューモニターがあれば前方や横のカメラ画像が見えたのですが、ステアリング右下のモニターボタンを押しても限られた範囲しか映らずあまり役に立ちませんでした。

車線から逸脱するとどこからともなくぶーんという音が聞こえてきましたが、あれが車線逸脱警報だったのでしょうか。あまり警報という感じがしませんでした。

アダプティブクルーズコントロールがついていましたが、使う機会がありませんでした。

【燃費】

車載の燃費計で当初は9km/Lくらい、走り終えた時点で16km/Lくらいでしたので、図体がでかくて重いからディーゼルでもこんなものかなと思いましたが、満タン給油での燃費は19km/Lを超えていました。Mazda 2のディーゼルの平均燃費が22km/Lくらいですので、重量を考慮すればよくやっています。排気量に余裕があるのが燃費に良い影響を及ぼしているのでしょうか。

2022年4月5日火曜日

夏タイヤに交換しました

夏タイヤに交換したというただそれだけのことですが、予期されていたこととはいえ、交換直後に乗り心地が良くなりました。やはり新車装着タイヤの方がバランスが良いですね。

今までの夏タイヤでの通算走行距離と冬タイヤでの通算走行距離を振り返ってみたら、冬タイヤでの走行距離の方が少し長かったです。冬タイヤは3シーズン弱、夏タイヤは2シーズンで、1年のうち4ヶ月半が冬タイヤ、残り7ヶ月半が夏タイヤですので、単純に1ヶ月当たりの平均走行距離で見ても冬タイヤの方がたくさん走っています。積雪期にはあまり車で遠出しない一方で、夏タイヤの季節にはゴールデンウィークと夏休みとシルバーウィークがありますので、夏タイヤの方が走行距離が伸びて然るべきです。

振り返ってみると、夏タイヤの季節に飛行機+レンタカーを利用するのはさほど難しくないのに対し、冬タイヤの季節にレンタカーを利用すると温暖な地方であっても山間部で積雪しますので夏タイヤしか履いていないレンタカーでは走りにくいですし、かといってレンタカーが冬タイヤを履いているような積雪地帯で不要不急の運転をする気にもなれませんので、夏タイヤの季節の方がレンタカーを使いやすいというのは思い当たります。

2022年3月13日日曜日

Mazda 3は良くも悪くも4人乗りロードスター

Mazda 3が一般に発売される前のインタビュー記事で開発主査が「4人乗りロードスター」というのを掲げていましたが、当時は実車に乗る機会がなかったため、実感が湧きませんでした。しかし実車に2年以上乗ってみると良くも悪くも4人乗りロードスターだと感じます。

まず良い点からですが、ホイールベースが2725mmもある割には気持ちよく曲がります。多分にGVC+の効果もあるのかもしれませんが、コーナーでステアリングを切ると、あたかもステアリングホイールが適切な位置に吸い込まれるような感覚があります。気持ちよく曲がるのは先代アクセラもそうでしたが、それが純化されたような印象を受けます。次に、一般道をゆっくりと走ると地面を踏みしめるような感覚があります。ロードスター的な用途で走らせる分には後席に人が座れるし荷室も広いし屋根がついているし静かだし、実用的な車だと感じます。ロードスター的な使い方をするなら、ロードスターよりも長距離を走りやすいのではないでしょうか。Mazda 3の2Lガソリンエンジン車とロードスターの1.5Lエンジン車とがほぼ同じパワーウェイトレシオで、パワー感は無いけれどもゆっくり走る分には気持ちよく走れる程度のパワーはあります。エンジンを回すのが好きな人には1.5Lという選択肢もあり、近所に買物に行くだけでも楽しいですが、いかんせんパワーがありませんので遠出をするには覚悟がいります。

悪い点というか、開発コンセプトに合わない点は、高速道路でどっしりと走るのには向いていないということです。サスペンションの当たりが取れてくるにつれてだいぶ乗り心地がよくなってきましたが、路面の凹凸をコツコツと拾いますので、ドイツ車のような高速GTカー的な乗り味とは異なります。図体が一回り大きくてもあくまでもライトウェイトスポーツカー的な乗り味ですので、高速道路で長距離走るとせわしなくて疲れます。極端に例えるなら、舗装道路を裸足で走るような感覚です。舗装道路を走るときにはせめてクッションの効いた運動靴を履きたいものです。商品改良でフラット感を高めるセッティングに変更されたとのことですが、商品改良後の実車に乗ったことがありませんので、どの程度改善されたのか知りません。高速道路で長距離を走りたかったらCX-5やもっと上の車格の車を買えということなのかもしれませんが、Mazda 2のディーゼルエンジン車でも高速道路には強いので、やはり開発コンセプトの問題ではないでしょうか。同じCセグメントならCX-30の方が乗り心地も含めてもっと実用性に振っているかもしれません。

高速道路にあまり向かないというのは「パワーが無い」という意味ではありません。他社の同クラスに比べれば控えめですが、不足することはありません。アクセルを踏めば追い越し加速でも特に不自由ありません。ブレーキも、踏力をしっかりかければ効きます。しかしパワーと足とは別の話で、速度を出せることと、その速度で気持ちよく運転できることとは別の話です。

そういう車だとわかったうえで、実用性を損ねないライトウェイトスポーツカーが欲しい人にはベストマッチではないかと思います。ロードスター1台で済ませるためには相当なやせ我慢が求められますが、Mazda 3ならこれ1台で済みます。一方、高速道路に強い車とは向いている方向が全然違いますので、同じ尺度で比較するのは無意味ではないかと考えます。

2022年2月13日日曜日

360°ビューモニターはバック以外で重宝する

車庫入れくらいサイドミラーを見れば簡単にできるからバックモニターは不要とか、いわんや360°ビューモニターなど不要という考え方もあるようですが、たしかにバックで駐車するときでしたらバックモニターとサイドミラーがあれば十分だったりします。実は360°ビューモニターが便利なのはむしろバックのとき以外です。

まず、コンビニや高速道路のパーキングエリアに多い前進駐車のとき。マツダ車はFF車のくせにノーズが長くて前方の見切りが良くないので、どれくらい前まで寄せられるかわかりにくいです。さらにMazda 3のように車高の低い車の場合には、フロントバンパーが縁石に当たる恐れがあります。そんなとき、ステアリングホイール右下のボタンを2回押すと前方の画像と360°ビューモニターの画面が表示されますので、前向きであってもまっすぐかつギリギリまで入れられます。

次が狭い道ですれ違うとき。本来サイドミラーを見ながら車幅感覚をつかめれば問題ないはずのものですが、サイドミラーは通常後ろの車を視認できる角度に設定されており、真下を見るようにはセットされていません。また、そもそもサイドミラーで見えるのは後ろ側だけであり、前側は見えません。360°ビューモニターだと側面が真下まで全部見えますのでギリギリまで寄せられます。右下のボタンを1回押すと側面のカメラ画像が表示されます。

狭い駐車場等で曲がるとき、前方のクリアランスがどの程度あるのか、切り返しが必要かどうかもわかります。

狭い路地から出て左右を確認したいときには、右下のボタンを3回押すと前方の魚眼レンズ画像が表示されますので、左右の様子がわかります。

こうしてみると、バックモニターもさることながら、フロントモニターも必要なのではないかと思えてきます。運転席から見えるのは車の周囲のごく一部で、大半は死角ですので。

2022年2月12日土曜日

トルクの細い車にこそクルーズコントロールを

マツダは今時珍しく自然吸気ガソリンエンジンを続けています。自然吸気ガソリンエンジンは高回転でトルクが太くなる一方で、低回転ではトルクが細いのが特徴です。さらにマツダ車は6速ATとの組み合わせですので、パワーに余裕のない車で高速道路を走ると6速ではトルクが細いし5速ではエンジン回転数が高すぎるという状況に遭遇します。そのため、6速と5速との間を行ったり来たりしてせわしないです。ギアの切り替えはATがやってくれるものの、ギアが変われば必要なアクセルペダルの踏み込み量も変わってきますので、アクセルペダルのコントロールがせわしないです。

しかしクルーズコントロール任せにすればアクセル操作もギアの切り替えも機械がやってくれますので、ドライバーの負担が軽減されます。これで自然吸気ガソリンエンジン車での高速道路での運転のしにくさが解消されます。そういう点からは、ガソリンエンジンの安い車にこそクルーズコントロールがほしいものです。

幸い、最近はBセグメント車にまでクルーズコントロールが普及しており、ルーミーのようなAセグメント車ですら上級グレードには追従型のクルーズコントロールがついていますので、クルーズコントロールの省略されたレンタカーに乗るのでなければだいぶ楽になりました。ルーミーで高速道路を走るのは苦痛ですが、それでもクルーズコントロールのおかげでいくぶんましです。車選びの際、高速道路をそこそこの頻度で走る可能性があるなら、クルーズコントロール付きのグレードを選んだ方がよいのではないでしょうか。

これがトルクの太いディーゼルエンジン車だと高速道路では6速に入れっぱなしでアクセルペダルのコントロールだけで楽に走れてしまいますので、混雑する高速道路や対面通行の高速道路もどきで前車に追従する必要があるとき以外はあまりクルーズコントロールの必要を感じません。クルーズコントロールを使うとむしろ退屈します。

欧州でダウンサイジングターボが流行したのは、かつて欧州複合燃費では低負荷での燃費が重視されたために低負荷で燃費のよいダウンサイジングターボが有利だったというのもあるでしょうが、それだけでなく、欧州では高速道路の利用が多いため、多少実燃費が悪くてもトルクの太い車の方が高速道路で運転しやすいというのもあるかもしれません。

2022年2月7日月曜日

Skyactiv-Xの3気筒1.5L版は作られるのだろうか

かねてからSkyactiv-Xの4気筒2L版から1気筒を取り去った3気筒1.5L版が噂されていますが、今後のスモールプラットフォームのラインナップを予想すると、居場所が見当たりません。

スモールプラットフォームのうち、Cセグメント車向けにはSkyactiv-Xの4気筒2L版があり、1.8Lディーゼルエンジンがあり、2Lガソリンエンジンがあります。Skyactiv-Xはエンジン単体の熱効率を高めていますし、補機が多くてディーゼルエンジンよりも重くてかさばりますので、そこにさらに発電機やモーターや蓄電池を乗せる余地は無さそうに見えます。せいぜいマイルドハイブリッド止まりでしょう。Skyactiv-Gは欧州ではマイルドハイブリッドですが日本ではマイルドハイブリッド無しとなっており、いずれにせよCセグメント車向けの廉価版という位置付けのようです。Skyactiv-Xが3気筒1.5LになってもSkyactiv-Gの2Lよりも製造コストが高いでしょうし、パワーもトルクも劣ります。

電気モーターで走る車については、発電用ロータリーエンジンとバッテリーとの組み合わせが公表されており、さらに、2022年秋にMX-30に搭載される予定であることまでは公表されています。最もコストの安いシリーズハイブリッドであってもSkyactiv-Xを含むエンジンを動力とする車よりも燃費が良いのではないでしょうか。そうでなければ存在意義がありません。どうせコストをかけるのでしたら環境性能の良い方を選ぶのではないでしょうか。

Skyactiv-X 1.5Lの本命はBセグメント向けでしょうが、このクラスは電動化を進めるべきでしょうし、廉価版なら旧来のガソリンエンジン車を継続することでまかなえそうです。もし3気筒化しても振動が増えないように設計できるのでしたら、その技術でSkyactiv-G 1.5Lを3気筒化すれば、トヨタのヤリス用の1.5Lエンジンと同様になり、燃焼室容積が500mlと効率の良い領域になりますので、安価に燃費を改善できるのではないでしょうか。これを廉価版に積むのはありかもしれません。また、4気筒から3気筒にすることで大きさも少し小さくなります。もしこれをSkyactiv-Xで実現しようとしたらコスト次第ではないでしょうか。

2022年2月6日日曜日

いつの間にか冬タイヤでも乗り心地が良くなっていました

妙に乗り心地が良いので、もしかして前回のタイヤ空気圧調整から日数が開いてタイヤ空気圧が下がったのではないか、高速道路で速度を出したらタイヤバーストしやしないかと心配だったのですが、給油時に空気圧を測ったら指定の空気圧でした。

乗り心地が良いといっても、橋の継ぎ目のような小さい段差を越えるときにはコツコツしますし、決してふわふわしているわけではありません(16インチホイールだったらもう少しふわふわしているのかもしれませんが)。GVC+はサスペンションとの協調制御ですので、やっと足回りの当たりが取れてGVC+が本来想定する足回りになったのかもしれません。

2022年1月19日水曜日

トヨタ車の出来が良くなってきた今、マツダ車の存在意義は何だろう

最近になって、トヨタレンタカーでいろいろなトヨタ車に乗るようになりましたが、TNGA世代になってからのトヨタ車の出来の良さに感心します。特に、意図した通りに走る曲がる止まるという車の基本性能が向上し、その部分についてはマツダ車と被っています。ハイブリッド車も、3代目プリウスのような燃費重視でまともに走らないセッティングとは違って、今では違和感なく加速できます。トヨタ車のアクセルペダルは吊り下げ式ですが、オルガン式に劣らない操作感で、そういうところにトヨタの底力を感じます。

こうなると、1人乗り2人乗りならもうヤリスハイブリッドでもいいのかなと思えてきます。現に、欧州向けではヤリスハイブリッドにマツダのバッジをつけるだけでそのまま売るようですし(ラリーで勝ちまくっている車として欧州で知名度の高いヤリスをわざわざマツダディーラーで買う物好きが一体どれだけいるのか知りませんが)。

アクセラハイブリッドはマツダのビジネスには全くインパクトを与えなかった反面、トヨタの車づくりには絶大なインパクトを与えたようで、今のトヨタの利益や時価総額が絶好調であることからすれば、マツダにとっては面白くないかもしれません。5年半前に、「トヨタがマツダの持っている良いものを認めて本気を出したらマツダなんてひとたまりもないのではないか」と書いたことがありますが、ある程度はその通りになっているような気がします。

しかし、落ち着いて考えてみると、マツダ車にあってトヨタ車にないものがいくつかあるようにも思えます。

1. デザイン

トヨタの豊田章男社長はご自身が走り屋ということもあってか「もっと良い車を」と号令をかけ続けていますが、どうやら「もっと美しい車を」という号令はかけていないようで、エクステリアデザインやインテリアデザインについてはマツダ車が優位を保っているように見えます。ただ、美しさと使い勝手の良さとの間にはトレードオフがあって、たとえばトヨタ車のナビのディスプレイは見た目は二の次で大きいですし、ナビの下やグローブボックスの上に小物置きがあったりしますが、マツダ車は美しさのために痩せ我慢しています。

2. 安全装備

今のところ、マツダ車の方が気前よく標準装備してくれています。今ではトヨタ車にもほぼ同様の装備がありますが、メーカーオプションになっていてその分値段が上がります。

3. 過渡領域の作り込み

これがマツダ車の最大の特長ではないかと思うものの、99%の精度を99.9%に詰めていくような、ある意味「違いが分かる男のゴールドブレンド」のようなものですので、一部の層には刺さるものの、大多数の人は気にしないのではないでしょうか。

ある程度は味付けの問題で、日本市場向けには道具に徹したさっぱりとした味付け、大柄な車が好まれる北米向けには鷹揚な味付け、速度域の高い欧州向けにはもう少し煮詰めたような味付けにする傾向がありますが、精度を高めて初めて可能な味もあります。

今のところマツダ車は実力以上に評価されるプレミアムブランドとは思えませんが、「これがマツダ車の乗り味だ」というのが認知されればスペシャルティ・カーくらいにはなれるかもしれません。

4. ドライバー優先の車作り

自動車が工業製品である以上、どのメーカーも人間を中心に据えるものです。一口に人間中心といっても様々な方向性があって、例えばホンダは「人間のための空間を広く、機械のための空間を小さく」という形で体現していますし、軽自動車メーカーは収納スペースを含めたスペースユーティリティーや、狭い駐車スペースでも乗り降りしやすいスライドドアを重視しています。トヨタは運転に不慣れな人、運転に興味のない人にもとっつきやすい車を作ることで車社会の間口を広げており、これはこれでれっきとした人間中心の車作りだと思います。

そのような中でマツダ車がドライバーの運転する楽しみを追求する会社であることは周知の通りです。あいにく日本では財布の紐を握っている人があまり運転する楽しみを追求しない傾向がありますので、それが市場シェアに反映されていますが。

5. 変態エンジン

ロータリーエンジンやSkyactiv-Xや小型車向けディーゼルエンジンといった他社にないエンジンを持っているのがマツダの独自性ですが、他社がやらないのにはそれなりの理由があるともいえます。ロータリーエンジンは発電用エンジンとして復活しそうですが、ロータリーエンジンの熱狂的なファンが求めているのは高回転まで吹け上がるスポーツエンジンであって、熱効率の良い領域で大人しく回り続ける発電エンジンに対して同じように熱狂できるかどうか定かではありません。Skyactiv-Xはもっとコストがこなれてこないと「違いがわかる男のエンジン」の域を出ません。しかしそんな不器用さを愛する人も中にはいるかもしれません。見方によっては、そのような実用性の伴わない物語性こそがプレミアムブランドの本質ともいえます。

2022年1月17日月曜日

Skyactiv-Gによるシリーズハイブリッドは可能か

ロータリーエンジンと蓄電池によるマルチ電動化技術が2018年に公表されています。これは同じ技術を用いて蓄電池容量に応じてレンジエクステンダーEV、PHEV、シリーズハイブリッド車を作り分けるというものです。このうちレンジエクステンダーEVの開発が中止されたことが2021年6月に判明しました。

レンジエクスデンターEVはEVに関する規制の産物で、発電用エンジンによる走行距離が蓄電池による走行距離を超えてはならないとか、蓄電池を使い切ってからでないと発電用エンジンを使ってはならないといったルールがあり、蓄電池走行時には発電用エンジンが死重になることから、小型軽量のロータリーエンジンに白羽の矢が立ちましたが、なにぶん規制は人為的なものですので、そこに開発リソースを振っても空振りに終わるリスクがあります。それならロータリーエンジンと燃料の代わりに蓄電池を余計に積んだ方がリスクが低いでしょう。

残るはPHEVとシリーズハイブリッドですが、果たしてこれらにロータリーエンジンは必要なのでしょうか。たしかにロータリーエンジンは小型軽量ですし、原理的に燃費が悪いといっても、発電専用エンジンとして熱効率の良い領域だけで使うならレシプロエンジンの燃費に比べてさほど劣らないとされています。

しかしシリーズハイブリッドは高速域での燃費が悪く、そのためにホンダは75km/h以上ではエンジン直結で駆動しています。欧州の燃費規制が厳しくなると高速域の燃費改善のためにエンジンによる直接駆動が必要になり、そうなると、変速機がよほど高性能でない限り、ロータリーエンジンが苦手とする領域で使わざるを得なくなり、燃費が頭打ちになってしまうのではないでしょうか。75km/h~180km/hの領域でエンジンで直接駆動しようとすると、エンジン回転数に2倍以上の差がついてしまいますが、何段かに変速しようとすると結局ATまたはCVTを積むことになり、高価で重量のある変速機が不要というシリーズハイブリッドの利点が損なわれます。

ではロータリーエンジンよりも熱効率にすぐれたSkyactiv-Gを使えばよいかというと、その場合、そもそもシリーズハイブリッドにする意味があるのかを考える必要があります。ハイブリッド車の利点は電力回生とそれによるモーターアシストと、そこから派生してエンジンにとって効率の良い領域に特化できることです。エンジン駆動をメインにすればマイルドハイブリッド、モーターを主たる動力源にするのがシリーズハイブリッド、エンジン駆動とモーター駆動の比率を自在に操作できるのがトヨタのTHSⅡです。エンジン駆動車の燃費においてTHSⅡに匹敵するものは存在しません。さらにいえば、エンジン駆動車で最も燃費が良いのがヤリスハイブリッドですので、単純に燃費だけを追求するならヤリスハイブリッドをOEM販売するのが最も効率的です(トヨタディーラーで買えるヤリスハイブリッドをわざわざマツダディーラーから買う物好きが一体どれだけいるのかはともかくとして)。

エンジンの熱効率の良い領域が広ければ、その分エンジンで直接駆動した方が熱効率が良いです。シリーズハイブリッドは電力回生できる一方で、エンジン直接駆動に比べて発電機とモーターによる熱損失が発生しますし、蓄電池製造時に温室効果ガスを排出しますし、そもそも蓄電池は高価です。

しかしそれでも定量的にはノートのWLTC燃費が28.4km/L、フィットハイブリッドのWLTC燃費が29.4km/Lなのに対し、Mazda 2の欧州向けマイルドハイブリッド車のWLTC燃費がMT車で21.3km/L、AT車で19km/L程度ですので、少なくとも燃費だけを比較する場合にはマイルドハイブリッドでは全然足りません。シリーズハイブリッドは高速域での燃費に不利とされていますが、ノートの高速道路モードのWLTC燃費は27.2km/Lであり、これはガソリンエンジン単体では達成できない水準です。75km/h以上でエンジン直接駆動に切り替えるフィットの高速道路モードのWLTC燃費は27.4km/Lですので、たしかにエンジン直接駆動の方が燃費が良いものの、コストを考慮すればノートの燃費もなかなかのものです。

ということを考えると、Skyactiv-Gによるシリーズハイブリッド車があってもよいのではないかと思えてきます。折しも1.5Lエンジンには燃費改善のための改良が施されたばかりですし、ラージプラットフォーム向けのPHEV車はロータリーエンジンではなく直列4気筒エンジンが採用されることが公表済です。

2022年1月11日火曜日

国産Cセグメント車乗り比べ

普段乗っているMazda 3に加え、レンタカーでインプレッサをカローラにも乗ることができましたので、ざっくりと比べてみました。あいにくシビックには乗ったことがありませんのでわかりません。

【乗り味】

主観的な言い方になってしまいますが、Mazda 3はねっとり、インプレッサはかっちり、カローラ(セダン)はさっぱり、カローラスポーツはカローラ(セダン)とMazda 3の中間で、一見こってりしているようでいて、実はさっぱり。どれも狙い通りの場所にハンドルを切ることができて、最近の国産Cセグメント車はレベルが高いですね。

【ブレーキフィール】

どれも良好ですが、特にMazda 3のブレーキは踏力の微妙な加減に反応するように感じます。

【室内の広さ】

アメリカ人向けに作られているインプレッサが一番広く、次はバランスの取れた日本向けカローラ、欧州向けに作られているカローラスポーツはやや狭く、Mazda 3はエクステリアデザイン重視かつ囲まれ感重視でさらに狭いです。トランクルームは全長の短いカローラスポーツが一番狭いです。運転する分には狭くても平気ですが、同乗者にはインプレッサのような広い車が好まれるでしょうね。

【着座位置】

高い順にインプレッサ>日本向けカローラ>カローラスポーツ>Mazda 3。着座位置の低い車は前面窓の天地寸法も小さめですので、その分ドライビングポジションを合わせるのが難しいです。また、SUVは着座位置はやや高くなるものの、ボンネットが分厚いので窓の天地寸法は大したことありません。

【視界】

これもインプレッサ>カローラ>カローラスポーツ>Mazda 3の順です。

【静粛性】

これは意外と甲乙つけ難いですが、強いて言えばMazda 3がやや静粛性が高く感じます。

【燃費】

燃費についてはトヨタのハイブリッドが圧勝ですし、高速道路ではディーゼルエンジンが有利であることは明白ですので、ガソリンエンジンで比較するなら、Mazda 3>インプレッサ>カローラ1.8Lエンジン>カローラスポーツ1.2Lターボでしょうか。Skyactiv-Gは熱効率重視の設計ながら、6ATのレシオカバレッジが最近のCVTよりも狭くて損をしているように思えます。インプレッサは燃費に不利な水平対向エンジンの割にはがんばっているように思えます。トヨタの1.8Lエンジンは設計が古いですし、ダウンサイジングターボは低負荷以外では実燃費が良くありません。