2021年11月7日日曜日

次期Bセグメント車を妄想する

マツダのプレスリリースでは 「2022年前半よりロータリーエンジンを発電機として活用するマルチ電動化技術を搭載したモデルの導入を進める」とあり、あと数ヶ月すれば2022年前半ですので、いずれ何か発表されるのではないかと推測しますが、「こんなのが出たらいいな」という願望混じりに次期Bセグメント車のあり方を予想してみます。

1. シリーズハイブリッド車とプラグインハイブリッド車

Bセグメント車の本命はこれでしょう。床下に蓄電池を搭載することから、MX-30をスケールダウンして軽量化したSUVタイプではないでしょうか。名前は順当に行けばCX-20でしょうが、新機軸をアピールするためにMX-20を名乗る可能性もあります。Bセグメント車の価格帯に合わせるため、蓄電池搭載量を減らしてロータリーエンジンと発電機で代替して、Bセグメントの高級タイプとしそうです。ホイールベースを短くすると床下の蓄電池搭載量が減りますが、プラグインハイブリッド車に必要な蓄電池くらいは積むことができそうです。

エクステリアがMX-30風になるのかCX-30風になるのかわかりませんが、タウンユースの車でしたらMX-30風もありだと思います。その際、ホイールベースが短いと観音開き扉を設置するまでもなくなりますので、3ドアハッチバックになるのではないでしょうか。3ドアにすることで車体を軽量化できます。ただ、欧州向けなら3ドアでよいとしても日本のように3ドア車が嫌われる国もありますので、広く売るならCX-30風の5ドアハッチバックでしょうか。

蓄電池搭載量が多くて高価なプラグインハイブリッド車が上級グレード、蓄電池搭載量の少ないシリーズハイブリッド車がエントリーグレードでしょうか。どちらも電気モーターならではの低回転での太いトルクと精緻な姿勢制御によってMX-30EVと同じような上質な乗り味を期待できそうです。

シリーズハイブリッドには、単純にモーターを発電機として使用する日産方式と、高速域でエンジンをクラッチで車軸につないで直接駆動するホンダ方式とがあり、ロータリーエンジンを発電専用に用いるのでしたら日産方式の方が有利なのですが、それだと欧州の燃費規制に適合できずエンジンによる直接駆動も必要になったとのことですので、だとすればホンダ方式でしょうか。

シリーズハイブリッドといえども、日産ノートのWLTC燃費は28.4km/L、ホンダフィットのWLTC燃費は27.4km/L前後ですので、これくらいは出せないと商品力が劣りますが、果たして燃費に不利なロータリーエンジンでどこまでの燃費を達成できるか見ものです。最も効率的な領域ではレシプロエンジンに劣らないとは言われていますが、高速域でエンジン直結になれば最も効率的な領域から外れる可能性もあります。デミオEVのレンジエクステンダーは20km/Lくらいでしたが、Bセグメントでこの程度の燃費なら普通のガソリンエンジンでも達成できます。燃費で劣る分をロータリーエンジンの振動の少なさや軽さで補うこともできるかもしれませんが、それでも25km/Lを超えないとハイブリッド車としての魅力がありません。充放電制御を向上して電力回生率を高めれば燃費改善の余地がありそうです。また、デミオEVの頃よりもモーターが小型高出力化していますし、インバータも小型化されていますし、バッテリーの性能も良くなっていますので、これらの積み重ねでどこまで燃費を改善できるものでしょうか。

価格はノートやフィットハイブリッドのエントリーグレードの本体価格が200万円台前半ですが、マツダ車が標準装備が充実していることから、シリーズハイブリッド車はCX-3のディーゼルエンジン車と同じくらいの本体価格250万円くらい、蓄電池搭載量の多いプラグインハイブリッド車はCX-30のディーゼルエンジン車と同水準の本体価格300万円くらいでしょうか。

2. 当面はMazda 2ガソリンエンジン車を併売

1.5Lガソリンエンジンは2021年に改良型を投入したばかりですし、このクラスには安価な車両のニーズもあることから、ガソリンエンジンだけで走る車としてMazda 2のガソリンエンジン車をもうしばらく販売するのではないかと予想します。

たしかに、電動化を前提としたプラットフォームにガソリンエンジンだけを載せることは可能で、現にMX-30にもガソリンエンジン車はありますが、電動化を前提としたプラットフォームは床下に蓄電池を搭載することを前提としており、床が高くなっていますし、蓄電池を搭載すべき場所に蓄電池を搭載しないと車体の剛性が劣ります。車体が大きくなればその分重くなります。エンジンしか積まない車両にとっては設計上の無駄が多いように思われます。

もうしばらく販売するならマツダコネクトを第2世代にしてほしいですし、アダプティブクルーズコントロールを全車速対応にするためにも電動パーキングブレーキを導入してほしいところですが、安さを優先させるなら敢えて現状のままという選択肢もありえます。どのみち2025年までにはフェードアウトしますし。

ディーゼルエンジンがどうなるか気になるところです。本来ならば燃費が良くてCO2排出量が少ないことから、企業平均燃費の足しになるはずなのですが、ディーゼルエンジンには窒素酸化物等の排出量規制もあり、規制の厳しい欧州では販売されていないことから、企業平均燃費規制のために1.5Lディーゼルエンジン車の販売を継続する動機を見出しにくいです。ディーゼルエンジン車が販売されているのは日本くらいで、しかも直近の販売比率は30%程度です。しかもMazda 3やCX-30では1.8Lエンジンに移行している中で、Mazda 2だけは1.5Lのままです。たしかに既にあるものをそのまま積むことはできますが、そもそも安価なラインナップを残すことが目的でしたら高価なディーゼルエンジン車を残す意味がありません。低回転でトルクが太いのは電気モーターでも同様ですので、シリーズハイブリッド車で代替できます。

3. 一部地域ではCX-3のガソリンエンジン車も併売?

欧州ではCX-3の販売が終了したようですが、日本では1.5Lガソリンエンジン車のみ残っています。これも、ガソリンエンジン車としてなら床下に蓄電池を搭載することを前提としたプラットフォームは不要ですので、ガソリンエンジン車のみ安価なCX-3をMazda 2のSUV版として残すことはあり得ます。

4. まさかのAセグメント車は?

マツダは軽自動車から撤退して久しいですが、蓄電池を搭載する自動車は軽ければ軽いほど蓄電池搭載量が少なくて済みますのでコスト面で有利ですし、もちろん環境にも良いです。Aセグメント車向けのエンジンを新規に開発するのは現実的ではありませんが、電気モーターのサイズをひと回り小さくするのはさほど難しくありません。しかも小型軽量のロータリーエンジンならAセグメント車のエンジンルームにも収まるかもしれません。これは他社にない差別化要因です。シリーズハイブリッド車で本体価格を200万円未満に収めれば、日本の軽自動車の市場を取りに行ける可能性があります。軽自動車の売れ筋はN-BOXに代表されるトールハイトワゴンで、車両価格は200万円くらいしますので決して安くはありません。また、田舎ではガソリンスタンドが急速に減少しており給油が不便ですので、夜間に自宅で充電できる電気自動車は魅力的です。

とはいえ、プラグインハイブリッドにすると蓄電池搭載量が増えて割高になりますので、現在の蓄電池のコストのもとでは電気自動車として販売するのは難しそうです。それでも2025年にエンジンだけで走る自動車がフェードアウトする頃までには蓄電池のコストが下がってきて、価格面でMazda 2を代替する車に育つ可能性があります。

すでにダイハツロッキー/トヨタライズではシリーズハイブリッド車が出ていて、WLTC燃費は28.0km/L、本体価格は2,116,000円〜です。ガソリンエンジン車よりも30万円高い程度です。たしかにAセグメント車としては結構な値段ですが、ロッキー/ライズがもともと高く売れる車だからこそできたことでしょう。

2021年11月3日水曜日

ゆるツアラーとしてのMazda 3 20S

1年半以上Mazda 3 20Sに乗り続けてみて、だんだんこの車に合った乗り方がわかってきました。基本的にこの車は、少なくとも日本の公道の速度域では、飛ばすよりも低回転でゆっくり走った方が気持ち良いです。マツダの「カーラインナップ」ではMazda 3ファストバックは「5ドアスポーツ」と標榜していますが、全然スポーツ走行できていませんので、もしかしてマツダの想定する顧客ではないのではないかと思ってしまいます。

自然吸気ガソリンエンジン車かつ6ATですので高速道路では回転数が上がりがちで、あまり落ち着きません。クルーズコントロールをつけていれば車が巡航速度に応じてエンジンを回してくれますのでエンジン回転数はあまり気になりませんし、必要に応じて追い越し加速するときには、踏めばそれなりに加速してくれますが、やはり高速道路では低回転でトルクの太いディーゼルエンジン車が一番楽だと思います。

一方、信号のない一般国道を巡航する際にはエンジン回転数が1300回転くらいまで下がりますのでとても静かです。車内で音楽を聴くにはうってつけの環境です。路面に追随する固めの足も、この速度域でしたら道路を走っている実感があって楽しめます。ディーゼルエンジン車がこの速度域で巡航すると、エンジンへの負荷が低すぎてアイドリング時のようにカラカラとしてあまり気持ちよくありません。

ノーズが軽いので曲がるのは比較的得意な方だと思いますが、ワインディングでもガツガツ走る気にはならず、コーナー手前でエンジンブレーキで減速すれば曲がれる程度の速度で走りたくなります。ワインディングでメリハリをつけて走りたかったら1.5Lの方が楽しいと思います。

エンジンを回してゆっくり走りたかったら1.5L、一般道でエンジンを回さずにゆっくり走りたかったら2L、高速道路でエンジンを回さずに快適に走りたかったらディーゼルというところまではわかりますが、速く走りたかったら何に乗ればよいのでしょうね。Xは乗ったことがありませんのでわかりません。Xといえどもそんなにパワーがあるわけではありませんので、わかりやすいハイパフォーマンスカーに乗りたかったらシビックの方が向いているのでしょうか。

しかし、「一般道でゆっくり走りたかったらマツダがいいですよ」なんて広告を打ってもあまり人の心には訴えかけそうな気がしません。普通の人なら「ゆっくり走るだけなら軽で十分では」と思うことでしょうから、新規の顧客を獲得できそうな気がしません。広告を打って伝わりそうなのはエクステリアやインテリアといったデザインくらいで、そういう意味ではたとえ見掛け倒しと言われようともデザインに力を入れるのはありかもしれません。