2019年9月23日月曜日

Mazda 2に試乗しました

Mazda 2の試乗車がディーラーに入りましたので、早速試乗しました。時間に余裕があったのとMazda 3やCX-30の陰に隠れて目立たないため、ガソリンとディーゼルの両方に試乗できました。

【タイヤ】
どちらも16インチでしたが、トーヨーのProxes R55という専用設計の新車装着タイヤでした。トーヨータイヤのウェブページにもまだ出ていません。Proxes R39と別の型番を起こしたあたり、いろいろ設計変更されていそうです。専用設計タイヤだと、履きつぶした後で市販タイヤを購入した際に乗り味が変わってしまいます。15インチならBluEarth-GTですので、市販タイヤと新車装着タイヤとの違いこそあれ、専用設計タイヤからの履き替えよりは影響が小さいのではないでしょうか。

【サスペンション】
トーションビームを眺めてみたところ、やや中央がくびれており、Mazda 3と同様に新設計のものかもしれないと思ったものの、DJ前期型のトーションビームも見てみたらほぼ同じものでした。ダンパーはかなり太いものがついていましたが、メーカー名までは読み取れず。

試乗しての感想は、デミオ以上Mazda 3未満でした。交差点で曲がるときの自然な感覚はMazda 3と同様です。デミオのときには「所詮デミオか」と思いましたが、Mazda 2ではかなり良くなっています。ブレーキをかけて停止するときの自然な感覚もMazda 3同様です。こういう所をみっちり作り込んでいるのには好感が持てます。トーションビームが従来と同じなのにどうやって改善したのでしょう。

荒れた路面を通過するとガタガタと揺すられるのはMazda 3と同様ですが、Mazda 3よりは角が取れている感じです。その代わり、車体が軽いせいか、あるいは車体の剛性に差があるのか、車格相応に揺れます。Mazda 2とMazda 3の違いがマイナーチェンジかフルモデルチェンジかの違いなのか、あるいは車格の違いなのかはまだわかりません。ガソリンエンジン車よりもディーゼルエンジン車の方が後ろが跳ねるのが気になりましたが、ディーゼルエンジン車は前が重いので余計に後ろが跳ねるのかもしれません。

Mazda 2はガソリンエンジン車もディーゼルエンジン車もDJ初期型に比べれば圧倒的に乗り心地が良いです。

【エンジン】
1.5Lガソリンエンジンに比較的余裕があるものの、ディーゼルエンジンの方が低い回転数を維持したまま加速できる分余裕がありますので、長距離走る分にはディーゼルエンジンの方が楽でしょう。でもそれくらいの差しかありません。昔と違って今ではディーゼルエンジン車とガソリンエンジン車とで差をつけませんので、街乗り主体ならガソリン、長距離乗るならディーゼルと用途に応じて決めれば十分でしょう。もっとも、街乗り主体のつもりでディーゼルエンジン車を買ってしまっても、乗り始めればどのみち走行距離が伸びますので、さほど問題ありません。5年で10万km乗れば燃料代だけで元が取れます。遠出する頻度が少し増えれば1年で2万kmなんてすぐです。価格差もせいぜい15万円程度です。ただし、ディーゼルエンジン車を買うとなると重量バランスがよく条件の悪い路面にも強いAWDが欲しくなってしまいますので、実際の価格差はもっと大きくなりますが。それに、ディーゼルのAWDとなると乗り出し300万円くらいしてしまいますので、Mazda 3との比較になってしまいます。

ガソリンエンジンだと一部の速度域でトルクが苦しい場面がありますので、ガソリンエンジン車にはばね下重量の軽い15インチホイールの方が合っているかもしれません。

1.5L自然吸気エンジンでもそこそこよく走りますので、将来Skyactiv-Xの1.5Lなんて載ったらストレスフリーで運転できそうです。その代わりBセグメントなのに350万円くらいしそうですので、むしろMazda 3やCX-30と比較されるかもしれませんが。

【シート】
骨盤を立てるシートになっています。深く掛けると骨盤上部に当たる箇所が硬くて、ここで骨盤を立てているのがわかります。ガソリンエンジン車はネイビーのファブリック、ディーゼルエンジン車はブルーグレーのレザーですが、どちらも写真で見るよりも自然な色です。というか、どうして写真では不自然な色にするのか理解に苦しみます。ネイビーといっても写真に出ているような紺色ではなく、予備知識が無ければ濃いグレーに見えます。よく見ると腰の当たる部分の糸が紺色だったり、ドアの内張りの布が紺色だったりしますが、言われないと気が付きません。車の内装としてはしごくまっとうなものです。ブルーグレーも、やや青みがかったグレーで、車の内装としては別段違和感ありません。白のレザーよりも汚れが目立ちにくいのではないでしょうか。当初はどうしてこんな色にしたのだろうと思いましたが、ポリメタルグレーの色合いであることを思い出しました。マツダはソウルレッドを出した頃はソウルレッド推しでいたるところに赤の差し色を入れていましたが、マシーングレー推しになってからは赤の差し色の代わりにグレーの差し色を使うようになりました。今度の青系内装はポリメタルグレー推しでしょうか。

レザーシートは生地に張りがあって硬いので、しっかりフィットするシートが好みならファブリックの方が適していそうです。

【その他内装】
いつものデミオです。

【マツダコネクト】
従来型です。CarPlayやAndroid Autoに対応しているタイプのはずですが、スマホとケーブルを持ち込まなかったため試せていません。

【フロントグリル】
中の黒いメッシュは写真では網目模様に見えますが、プラスチック製でぶつぶつが外側に向かって飛び出しています。ぶつけたら簡単に壊れそうですが、それも歩行者保護のうちなのかもしれません。ピアノブラック塗装で、立体的なぶつぶつへの光の当たり方に応じて反射のしかたが異なるのが売りのようです。Bセグメントのくせにフロントグリルが凝っています。

上品な見た目ですが、エンジンも上品になってしまいましたので、初期どっかんターボの頃のようなやんちゃな見た目から変えるのはわからないでもありません。

【ライト】
デミオよりも少し細くなったとはいえ、他の車に比べれば比較的くりっとしています。ロービーム周辺のポジションランプの形状が変わったのと、ハイビームが四角いものに変更されています。

【ホイール】
写真で見たアルミホイールは派手でしたが、試乗車についていたのはメーカーオプションの16インチホイールで、安いせいか、デミオの15インチのアルミホイールと同様の普通の見た目でした。

【バンパーについているメッキパーツ】
無ければ間が抜けてしまうのでしょうが、機能の裏付けの無い単なる装飾です。安いグレードだと黒いプラスチックなのですが、そちらの方が落ち着いて見えそうです。

2019年9月15日日曜日

Mazda 2の新車装着タイヤ

ヨコハマタイヤが9月12日のMazda 2発売に合わせて、Mazda 2の新車装着タイヤの納入を開始した旨のプレスリリースを出しました。もともとBluEarth-GTはデミオの15インチの新車装着タイヤであるBluEarth-Aの後継ですし、BluEarth-Aは廃盤になっていますので、BluEarth-GTの採用は順当といえます。

「装着サイズは185/65R15 88S」とありますので、では185/60R16の方はどうなのだろうと思って探してみたところ、いつの間にかトーヨータイヤからProxes CF2の185/60R16が出ていました。リム幅5.5Jとまさにデミオ用です。ついこの間までトーヨーから出ているこのサイズはエコタイヤのNanoEnergy 3Plusしかなかったため、選択肢として真面目に検討していなかったのですが、タイヤの選択肢が増えること自体はありがたい話です。ただ、トーヨータイヤからプレスリリースが出ているわけではなく、これがMazda 2の16インチの新車装着タイヤであることを示す証拠は今のところありません。Proxes R39のように市販されていない形式となる可能性もまだあります。

→Mazda 2の実車で見たところ、16インチタイヤとして、Proxes R55というタイヤがついていました。専用設計タイヤのようですが、情報が出ていないためどのようなタイヤなのかわかりません。

ちなみにトーヨーの新車装着タイヤのページではProxes R39Aというのがあり、いつの間にかProxes R39から型番が変わっていました。デミオ専用タイヤですので、サスペンションセッティングの変更に合わせた仕様変更なのだろうかと推測するものの、R39とR39Aの違いが何なのかを知る手がかりがありませんので、もしかして単なるコストダウンなのだろうかと勘繰ってしまいます。

185/60R16の市販タイヤの他の選択肢といえば、エコタイヤを除けばブリジストンのRegno GRⅡやダンロップのLe Mans Vといったコンフォートタイヤくらいです。BluEarth-GTの185/60R16はまだ出ておりません(タイヤ屋曰く、BluEarth-Aの在庫が無くならない限りBluEarth-GTの製造を開始しないのではないかとのこと。事実上デミオ専用サイズのため、わからないでもありません)。ヨコハマのAdvan db V552も195/55R16ならありますが、185/60R16はありません。

もっとも、Mazda 2で16インチタイヤを標準でつけるのはL Packageだけであり、S Packageまでは15インチです。S Packageで16インチのオプションがあるくらいです。デミオ時代に16インチだったXD S Packageは15インチになりました。BluEarth-GTに関する記事を見ると、BluEarth-Aに比べて操縦安定性が向上したとあります。BluEarth-Aは高速道路での安定性やグリップ力がProxes R39よりも劣りますが、操縦安定性の向上がもし本当なら15インチのBluEarth-GTでも十分かもしれません。185/60R16よりも185/65R15の方が汎用性が高くタイヤの選択肢も多いですし、それに16インチよりも15インチの方がタイヤもホイールも安いので、様々なメリットがあります。

2019年9月14日土曜日

Mazda 3の後ろを走ってみました

高速道路を走っていたら前方に特徴のある尻が見えました。この尻にピンときたらMazda 3のファストバックということで、せっかくですのでリアサスペンションの挙動を見てみようと思って、走っている様子を眺めてみることにしました。色は黒っぽく見えましたが濃紺のように見えました。真後ろから見るとさほどぬめぬめとはしておらず、むしろリアハッチが凹んでいるのが目立ちます。

Mazda 3の走行時の挙動を眺めてみると、まず車体がまったくぶれません。比較のために追越車線を走る車の後ろ姿を見てみると、車体がゆさゆさと揺れています。Mazda 3は路面のうねりを越えると車体もそれに合わせて動きますが、あくまでも路面に追随して動いているだけで、即座に収束し余計な揺れがありません。乗り心地は悪そうに見えますが、操縦安定性は良さそうに見えました。乗り心地の悪い分は人間の体をサスペンションにすることで補うのでしょうが、ドライバーはともかく同乗者はどうするのでしょう。

トンネルに入ると、車体のシルエットとテールランプだけが見えましたが、テールランプの光る部分の形状がDJデミオのと同じ、円の下半分を切り取ったような半円形ですので、後ろ姿がデミオでした。もしかしてデミオのことをMazda 3と勘違いしていたのだろうかと思ってトンネルを出た後で二度見しましたが、やはりリアハッチは凹んでいますし、マフラーは2本出しですので、デミオではなくMazda 3でした。こういう姿はカタログやメディア写真では見えませんので、実車で見て初めて気がつきました。

2019年9月12日木曜日

デミオディーゼルで5人乗りしました

実質1人~2人乗りのデミオですので3人乗りとか4人乗りとかを稀に経験する程度でしたが、このたび初めて5人乗りを経験しました。明らかに重くなったのを感じましたが、それでもアクセルを踏めばちゃんと加速して公道で常識的な速度で走れるのはさすがディーゼルエンジン車だと感心しました。もちろん平均燃費がみるみる下がっていくのは上り坂と同様で、必要なエネルギー量が多い以上致し方ないことです。

乗り心地は極めて良好。後輪に荷重がかかってリアサスペンションがきちんと仕事をするようになると全く跳ねません。それだけでなく、後輪の接地が良くなることで快適かつ滑らかに曲がれます。不思議なのは、人を下ろして一人で運転してからもリアサスペンションの動きが良く感じられたことです。いままでろくに荷重がかからなかったせいでリアサスペンションの動きが渋かったのが、荷重がかかることで当たりが取れたのでしょうか。

2019年9月8日日曜日

骨盤を立ててみました

着座姿勢を直そうとして左足を突っ張って腰を浮かしてみたところ、骨盤が立った姿勢になりました。通常の椅子の設計では腰骨の辺りを支えるのですが、腰を浮かして体をシート背面に押し付けると骨盤の上が支えられます。たしかにマツダの開発者の言う通り、ここを支えると骨盤が立ちます。AT車では左足は他に何もしていませんので、左足を突っ張れる程度にシートを前に出し、左足で体をシートに押し付けるようにすれば容易に再現できます。もちろんこの姿勢を長時間維持するのは無理ですが。

骨盤が立つとどうなるかというと、まず路面からの入力を体でいなせるようになって姿勢が安定します。そうなると路面の状況が手に取るようにわかるようになり、たしかに歩いているような感覚になり、路面からの突き上げが苦にならずむしろ運転が楽しくなります。

ここで気をつけなければならないのは、体が路面からの入力をいなしやすくなっている一方で、路面からの突き上げ自体は決して無くなっていないことです。デミオディーゼルとりわけ前期型はあまり乗り心地がよくありません。足は固めで路面からの入力で車体が揺さぶられます。後輪に荷重がかかるとDYプラットフォーム本来のシャシー性能を発揮できるようでもっとしっとりとした乗り心地になりますが、後席や荷室が空いている状態で乗ると車体後部がポンポン跳ねます。サスペンションが仕事をするためにはある程度の荷重が必要なようで、軽い車はどうしても車格相応の乗り心地になってしまいます。初期どっかんターボとの組み合わせではまさにじゃじゃ馬でした。

それにも関わらず長距離の移動は全く苦になりません。高速道路を走るだけなら1日に600km~700kmくらい走っても疲れませんし、時折一般道も走るなら500kmくらい、田舎の国道だけなら400kmは平気で走れます。もっともそれはドライバーにとっての話であって助手席に乗る人にとってはこんな小さな車の助手席では落ち着かないかもしれませんが。

そのようなことを踏まえつつMazda 3に対する試乗記事をいろいろ見ていると、路面からの突き上げを指摘するものを多く見かけます。実際に試乗してみるとたしかにその通りに感じます。行きつけのディーラーの試乗コースの中に路面の荒れた箇所があって、いろいろな車種で乗り比べてみるとシャシーの違いがわかります。アクセラ2.2Lディーゼル(18インチ)ではさすがアテンザ用のリアサスペンションを使っているだけあって荒れた路面を感じさせず氷の上を滑るような乗り心地でしたが、アクセラ1.5Lガソリン(16インチ)やデミオではそこそこ突き上げを感じます。Mazda 3の1.5Lガソリン(18インチ)に試乗した際にも車格不相応なごつごつとした突き上げがあり、シャシー設計を工夫してもさすがに突き上げは無くならないのかと思いました。

他の条件を一定とするならごつごつした乗り心地よりも滑るような乗り心地の方が望ましいでしょう。しかしそれ以上に大切なのは「何を評価軸にするか」です。シャシーの総合力は最終的には「長距離乗っても疲れない」という実際に長距離を走ってみれば誰にでもわかる感覚に収斂します。それを達成できるならそれ以外の部分で多少のことは大目に見てもよいのではないかと思います。いずれMazda 3で長距離乗れる機会があればぜひ確かめてみたいものです。短時間試乗した限りでは「でかいデミオ」とか「上品なデミオ」といった言葉が思い浮かびますが、「でかいデミオ」も意外と捨てたものではありません。

2019年9月2日月曜日

デミオディーゼルの後輪への荷重

書類の入った段ボールを数箱運ぶことになり、荷室に入りきらなかったので後席にも置きました。後輪に荷重がかかる方が乗り心地が良いことは既に知られていますが、それだけでなく走る曲がる止まるのすべてにおいて挙動が安定し、i-DMで青点灯が増えました。

もちろん重くなった分出足は鈍りましたし、アクセルを離した際の速度低下の度合いも大きくなりました。また、燃費も重量なりに悪化しました。しかし少々重くなっても太いトルクで補えますので、重くなる前と比較しなければ別段問題ありません。ブレーキフィールは向上しました。重くなった分だけ走行抵抗が増えたのと、後輪に荷重がかかることでリアブレーキも効かせることができるためでしょうか。停止直前にアクセルを抜く際にもガソリンエンジン車のような自然な挙動になりました。曲がることに関しては効果が絶大で、前後の重量バランスが少々改善しただけでなく、後輪に荷重がかかることでリアサスペンションが本来の性能を発揮しますので、曲がるのが容易になりました。車はパワーよりもバランスだということを実感します。

燃費を度外視して走りを良くするのでしたら、後席にバラストを置くと効果的かもしれません。災害備蓄用のペットボトルの水の入った段ボールでも置いておけばそう簡単には荷崩れしません。それに30万円余計に払ってAWD車を買うよりも安くつきます。

満車荷重できちんと走るのはありがたいことですが、デミオのようなBセグメント車は通常は1人乗りないし2人乗りなのですから、後席に荷重のかからない状態での操安設計はもう少しどうにかならないものでしょうか。1.5Lディーゼルエンジンに1.8Lディーゼルエンジンの技術をバックポートして数十kg軽量化するだけでも結構効いてくると思います。トルク220Nm以内の負荷に収めるのでしたら1.5LディーゼルエンジンでもNOx排出量がさほど増えませんので、欧州の環境規制にも適合するはずです。MT車は現に最大トルク220Nmですので、AT車もそれに合わせて、低めのギアで引っ張るようにすればトルクの不足を補えます。あるいは後ろ側に遮音材を盛って重くするのも効くと思います。