2015年8月31日月曜日

デミオディーゼルの車速とディーゼルノック音

デミオディーゼルはアイドリング時と低速時にディーゼルノック音がしますが、中速域以上では「ぶーん」という低音しか聞こえません。今まで特に疑問に思わなかったのですが、実は時速120kmくらいまではどの速度域であってもエンジン回転数は1500回転から2000回転くらいの範囲に収まっています。同じエンジン回転数で同じトルクなのに、どうして低速域ではディーゼルノック音がして中高速域ではディーゼルノック音がしないのでしょうか。

マツダによるとディーゼルノック音の正体はコンロッドの伸縮に伴う振動とのことで、同じようにエンジンが回転していれば同じようにコンロッドが伸縮し、同じようにディーゼルノック音がしそうに思えるのですが、低速域と中高速域で一体何が違うのでしょうか。その原因を突き止めることができれば、ナチュラルサウンドスムーザーとは別のアプローチでディーゼルノック音を低減できたりしないものでしょうか。

速度域によって違うものがあるとすれば、まず変速段が思い当たります。時速80kmを越えればすべて6速で直結しますので、エンジンの駆動力がそのまま伝達されます。それに対してAT車はアイドリング時にはトルクコンバーターが介在していますし、低速域ではギアの切替が頻繁に発生していますので、滑りが発生しています。しかしMT車でもディーゼルノック音は発生しますし、MT車ばかりのトラックやバスでもディーゼルノック音は発生しますので、果たして変速機が原因なのか疑問です。単純にギアの違いということであれば、低速域向けの大きな歯車は歯の数が多い一方で、高速域向けの小さな歯車は歯の数が少ないため、歯車の形状の違いを疑ってみる方がよいのかもしれません。

次に思い当たるのはタイヤの回転速度の違いです。当たり前ですが、速度が違えばタイヤの回転速度も違います。ステアリングを握っていると、路面からタイヤを経て受ける力とエンジンから変速機を経て伝わる力の両方が感じられます。とすればタイヤから発生する力がエンジンにも伝わっているであろうことは容易に想像がつきます。もし何らかの理由でコンロッドの伸縮が相殺されるような要因があれば、ディーゼルノック音はしなくなります。あるいは、コンロッドの伸縮を押さえつけるような力がかかっても同様にディーゼルノック音がしなくなることでしょう。しかしそれが具体的に何なのかはわかりません。

二輪車は速度が低いと安定せずに倒れてしまいますが、速度が上がると倒れようとする力が回転運動によって反対側と交互にかかって相殺されるために安定してきます。もしかして、高速回転する車軸が何らかの寄与をしているのでしょうか。

2015年8月29日土曜日

デミオディーゼルの高速域でのエンジン回転数

デミオディーゼルは時速80kmで6速に切り替わり、そこから上の速度はすべて6速です。この速度域ではエンジン回転数が車速に比例します。エンジンのトルクが最大化される回転数は1500回転から2500回転であり、1500回転のときは約80km/h、2500回転のときは約135km/hです。高速道路で走る際にトルクの不足を感じることがありません。燃費重視で走るなら走行車線をのんびり走ればよく、100km/hで走ってもさほど燃費は落ちません。

アウトバーンでも推奨速度は130km/hであり、3車線の真ん中で流れに乗って走っているとこれくらいの速度です。道路規格の差を考慮すると結構のんびりしています。トラックの制限速度は日本と同じく80km/hですので、一番右の車線は80km/hレーンです。道路規格の割に制限速度が低く見えますが、アウトバーンを走る長距離トラックは40フィートコンテナを牽引するトレーラーや日本の10トントラックと同じかそれより大きいものが多いですので、その分制限速度も低めです。ところどころに100km/hや120km/hの速度制限がありますので、速度制限区間を通過するたびに頻繁に加減速します。80km/hと135km/hの間で最大トルクが出るとたしかに運転しやすいです。

デミオディーゼルの設計上の最高速度は180km/hであり、このときの回転数は3250回転ほどです。トルクは落ちるものの加速性能の指標であるパワーのピークには達していませんので、燃費や音はともかくとして、理論上出せない速度ではありません。180km/hでリミッターがかかるらしいですが、あいにくこの速度を出したことがありませんので、どんな感じなのかはわかりません。たとえ動力性能上可能であるとしても、高級車と比べて重量と空力性能とホイールベースの差はいかんともしがたく、そんな速度を出す気になれません。デミオディーゼルはフロントヘビーなため直進安定性は良好ですが、その分後輪の荷重が小さく、横風が吹くと後ろが流されやすいです。

日本車は超高張力鋼を多用して車重が軽いのが特徴なのに対し、ドイツ車は重い鋼板や高い速度域に耐えられる足回りを使っている分車重も大きめで、例えばBセグメントのミニとCセグメントのアクセラでほぼ同じ重量です。軽ければ小さいエンジンでよく走り燃費も良いですが、高い速度域では重量があった方が走りやすいです。しかしそれでも、アウトバーンですら車格相応の速度で流れに乗って走っていればデミオディーゼルでも問題ありませんし、他の道路ではもっと速度域が低いので、コンパクトカーにそれ以上の高速安定性を持たせるのは過剰性能かもしれません。

デミオディーゼルと6AT

デミオディーゼルのATは、進段についてはさほど不満はありませんが、ハイギアードなため低速域でのトルク感が不足するのと、それでも時速80km以上はすべて6速ですので時速100km以上の速度域での燃費の悪化が気になるところです。CX-3と同じように過給圧を上げれば低速域での出足は改善するでしょうが、その分燃費が悪化しますし、高速域では効果がありません。

単なる妄想に過ぎませんが、もう1段か2段くらい増やして、最終減速比を上げて低速域での出足を良くした上で、高速域で変速比を下げて燃費を向上できたりしないものだろうかと思います。

しかし、日本の公道の速度域では問題ありませんし、アウトバーンでも意外と遅い車が多くて、時速200kmを越えて走れるのはごく一部の高級車に限られますので、今のところは段数を増やしてもあまり実質的な効果は無いということなのかもしれません。費用対効果を無視してコンパクトカーに8ATを導入しても変速機が大きく重くなることによる影響もあるのかもしれません。

また、デミオのように軽くて車高の高い車の場合、上の車格の車と比べて、速度が上がると空力面で不利になりますので、高速域での燃費の損失は空気抵抗の増加で説明できてしまうのかもしれません。そもそもコンパクトカーは横風に弱いので、燃費が悪化するような速度域で走るのは気が引けます(特に新東名は速度域が高い上に横風が強いので、横風の影響によって運転速度が制約されます)。

しかしそれでも、仮に今の6ATと同じ大きさ同じ重さ同じコストで8ATを作れるようになったら(なんとも無茶な要求ですが)、街乗りで我慢が必要という今のデミオディーゼルの大きな課題が解決し、今のようなニッチな用途ではなくもっと幅広い用途で使える車になるのではないでしょうか。もう一つの大きな課題である後輪への荷重の小ささとそれに伴う前後の重量バランスの悪さについては別の対応が必要ですが。

2015年8月28日金曜日

アクセラのマイナーチェンジ

2015年8月27日にアクセラの一部改良が発表されました。目玉は他車で導入された安全装備の導入と、売れ筋の15S Touringへの4WD車の導入ですが、1.5LのFFのAT車の燃費も向上しています。

JC08モード燃費がセダンで19.6km/Lから20.6km/Lに、ハッチバックで19.4km/Lから20.4km/Lへと向上しています。2L車のJC08モード燃費は19.0km/Lで、従来は排気量の違いにも関わらずカタログ燃費ではさほど違いがありませんでした。2L車の方が重量が50kg大きいのですが(エンジンが大きいだけでなく変速機のトルク容量も大きい)、1260kgと1310kgとの違いですので4%の差でしかありません。それに対して従来のカタログ燃費の差は2%でしたので、1.5L車の方が重量当たりの燃料消費が多かったことになります。おかげで低速域では排気量や重量の割によく走る車でした。改良後のカタログ燃費の差は7~8%であり、今度は1.5L車が燃費性能に振ったことが見て取れます。

1.5L車の燃費向上はATの制御の改良によるものとあり、変速比や最終減速比に変更がありませんし、2L車のカタログ燃費に変更が無いことから、エンジンやATの細かい制御を改善したというよりも、単にギアの進段のタイミングを早めてエンジン回転数を下げるようにしたのではないかと想像します。今まで1.5L車にしては低速域でも十分なトルク感が感じられる走りでしたが、低速域でのトルク感をデミオガソリンエンジン車並に落としたのでしょうか。一方、高速域では6速のままですので、高速域でのトルクの細さは変わりません。

1.5L車のカタログ燃費向上のきっかけになったのは、エコカー減税の燃費基準が平成27年度基準から平成32年度基準に変更になり、従来のカタログ燃費では減税率が小さくなったことでしょう。前述の通り、1.5L車と2L車の違いは主に価格と税額の違いです。製造コストはさほど違いませんし、装備の違いについても15S Touringでしたら2L車並です。アクセラの1.5L車は圧倒的なコストパフォーマンスの良さが売りですので、走りがおとなしくなっても税金対策が急務だったのでしょう。

カタログ燃費はともかくとして実燃費がどうなのかについては、実際に乗ってみないとわかりません。トルクが足りないと感じてキックダウンしまくるようになったら実燃費はむしろ悪化しますので、あまり変な制御にはしないのではないかという気もしますがどうなのでしょう。スイフトのCVT車みたいに燃費重視のセッティングで踏んでも加速しない車になってしまうと、たとえ安くても車としての魅力が損なわれてしまいます。

遅ればせながらガラコしました

ワイパーの届かない所の雨水で視界が悪いのが気になりましたので、ある日、意を決してガラコしました。塗って乾かして拭き取る作業自体は簡単でしたが、洗車して窓ガラスをきれいに拭いて乾かす下準備が大変でした。その後夏休み期間中の猛暑や道路の混雑に辟易して遠出する機会がなく、雨の日に運転する機会も無かったのですが、やっと雨の日に高速道路を運転する機会がありました。

前面窓ガラスへの効果はてきめんで、ワイパーをかけるときれいに水を撥ね、横に移動した水がすぐに後ろへと流れていきます。特に高速道路ではワイパーをかけなくても風で吹き飛ばされて後方に流れていきます。ただ、運転していると水が下から上に上がっていくように見えて妙な感じです。レインセンサー式のオートワイパーを使っていると、センサーが反応してワイパーが動き出すのが遅くなったような気がします。

一方、後方窓ガラスにはもともと風が当たりにくいので、せっかく水を撥ねても流れていくことはありません。ワイパーをかけた所だけ視界が確保される程度です。もともとハッチバック車の宿命として後方窓ガラスが汚れやすく、特に夜間の後方視界確保が課題でした。撥水加工のおかげで水滴が大きくなった分は視界が改善しましたが、もともと窓ガラスが汚れやすいので、前面窓ガラスほどの効果は感じられません。セダンのように前方から風を流せる形状の方が後方視界に関しては有利に思えます。

2015年8月9日日曜日

クロソイド曲線とi-DM

i-DMで求められる走りと伝統的なコーナリングのテクニックとが異なる場合があります。

1952年以降に工事された国道には円曲線の前後に緩和曲線としてクロソイド曲線が挿入されていますので、レーンの中心線に沿って速度一定で走る場合、緩和曲線上で一定速度でハンドルを切るだけです。円曲線に入ったらハンドルを動かさずにそのまま通過し、再び緩和曲線に入ったらレーンに沿ってハンドルを戻します。ただレーンの中心線に合わせて走るだけでゆっくりとハンドルを切ることになりますので、どれくらいハンドルを切ればよいのか気にする必要すらありません。スローイン・ファーストアウトもアウトインアウトも必要ありません(その代わり緑点灯しかしませんが)。

当然、走行速度にも依存しますが、道路構造令上の設計速度以内で走る場合には速度一定で安全に走れます。道路交通法上の制限速度は道路構造令上の設計速度よりも概ね時速20kmほど低いため、常識的な速度で走る限りはレーン中心線に沿って一定速度で走って何の問題もありません。急加速と急減速のできない大型トラックであっても車線幅が広くてかつ勾配が無ければ、曲線通過時であってもそこそこ速く走れます。同様に、フロントヘビーなデミオディーゼルであっても高規格な道路では楽に走れます。

もしこのような道路で運転しにくいと感じる人は、おそらく速度を一定に保つのが苦手なのかもしれません。平坦路ではさほど難しくありませんが、道路には往々にして起伏があり、勾配のある道路、特に下り勾配でエンジンブレーキだけで速度を一定に保つのはたしかに難しいです。しかしこれはコーナリングのテクニックとは別の話ですので、問題を切り分けて考える必要があります。

もう一つ考えられるのはそもそもレーン中心線をキープできない場合で、せっかくレーン中心線に沿って走れば楽に走れるのに、レーン中心線から外れるせいで余計なハンドル操作が必要になってしまいます。これもコーナリング以前の問題です。前を走っている車を見ていると、要領よく走るつもりで曲線の内側にはみ出す車が多いですが、そのせいで滑らかな運転から逸脱しますし、そもそもセンターラインからはみ出すのは危険です。

しかし国道であっても線形の制約によって十分に緩和曲線を確保できない場所や規格外の急曲線があることが多々あります。そのような場合には事前に警告がありますので、線形に注意しながら十分に速度を落とす必要がありますが、そのような急曲線の多い区間は制限速度も低めに設定されていますので、これも常識的な速度で走る限りはさほど問題ありません。

規格外の急曲線を通過する場合には、緩和曲線手前までに十分に減速し、緩和曲線上で徐々にハンドルを切りながらブレーキをゆっくりと緩めていくとタイヤのグリップ力を活用しながら滑らかに運転できます。同様に円曲線通過後は緩和曲線上でハンドルを戻しながら加速します。

緩和曲線の無い曲線を通過する要領は交差点を左折するときと同じで、事前に十分に減速してから車速に見合った速度でハンドルを切るしかありません。大きくハンドルを切るためにはその分車速を下げる必要がありますので、必然的にスローイン・ファーストアウトになります。

2015年8月8日土曜日

i-DMで3rd Stageに昇格しました

最近はi-DMの目的は滑らかな運転であって点数は結果でしかないと考えて、あまり点数を意識せずに運転していたのですが、久しぶりに点数を見たらなんと3.5点でした。いつの間にかこんなに下手になっていたのかと驚きながらよく見ると3rd Stageになっていました。もとから運転のうまい人はコツを掴めば2週間くらいで3rd Stageに到達するようですが、もともと運転がうまかったわけではありませんので、半年以上かかりました。

ここまで来られたのもひとえにマツダのi-DMのおかげで、他社の車に乗っていたら運転が改善することもなかったことでしょう。i-DMは数百万円の大枚をはたいて車を買ってくれた顧客に対して「ヘタクソ!」と言い切ってしまう、とても野心的なシステムなのですが、運転がうまくなる方が気持ちよく運転できますし、長時間運転しても疲れにくくなりますし、燃費も良くなりますので、長い目で見ればユーザーエクスペリエンスの改善に貢献しているのではないでしょうか。

もっとも、i-DMは単に「ヘタクソ!」と言うだけのシステムではなく、「急加速、急減速、急ハンドルを避ける」という明確な指針に基づいていますので、「なぜ白点灯したか」「どうすれば白点灯させずに済むか」がわかりやすく、運転操作の改善に結びつきやすいからこそ「ヘタクソ!」と言うことに意味があるのではないかと考えます。

2nd Stageだった頃は4点台後半をうろうろしていて、平均点が4.7点くらいでしたので、3rd Stageに昇格したことを考慮しても2nd Stageの4.8点が3rd Stageの3.5相当なのでしょう。この点数でしたら、当分の間はステージを気にせず運転操作の改善に専念することになりそうです。たしかに白点灯の基準が厳しくなっていて、普通の角を曲がる際にも気を付けないと白点灯するようになりました。当面はここが課題になりそうです。尚、3.5点だったのは昇格直後にたまたま点が低かったようで、しばらく走ったら平均点が4.4まで上がっていました。

ちなみにi-DMは運転操作の滑らかさを評価するシステムですので、たとえ車庫入れが下手で何度も切り返しても、運転が滑らかである限り減点されません。通常は車庫入れの際には微速で走行しますので、よほどのことがない限り白点灯しません。急ブレーキでは減点されますので、車間距離を十分に取って周辺の状況をよく見ながら先読みして運転することは求められますが、i-DMは必ずしも運転技量全般を評価することはできません。