2018年12月21日金曜日

もしかしてSPCCIは燃焼室が大きい方が有利だったりしないだろうか

エンジンについては何も知りませんので見当外れである可能性が高いのですが、圧縮着火で排気量2Lというのはあまり筋が良くなかったりしないだろうかという素朴な疑問です。

一般論としてガソリンエンジンは火花着火のため燃焼室が大きくなると火炎が行き渡らないという弱点があります。そのため気筒当たりの排気量の上限は600ml程度で、排気量を増やすためには気筒数を増やす必要があります。直4なら2.5L、V6で3.7L、V8で5Lくらいが上限ではないでしょうか。理想空燃比で燃料噴射を増やそうとしたら過給機で燃焼室内の空気の量を増やすしかありません。

一方圧縮着火のディーゼルエンジンは大型のエンジンを作るのが容易な反面、排気量が小さくなると熱損失が大きくなり環境性能と動力性能とを両立させるのが難しくなります。そういうわけで一般にはガソリンエンジンは乗用車向け、ディーゼルエンジンは大型車や鉄道や船舶向けという役割分担がなされています。

完全な圧縮着火のHCCIでしたらディーゼルエンジンと同様に気筒当たりの排気量が大きい方が有利なのではないかと思えます。火花着火を併用するSPCCIであっても、燃焼室内のすべての燃料を火花着火で燃やす必要はなく、火球の膨張で圧縮着火するなら燃焼室容積の上限は通常の火花着火エンジンよりも大きかったりしないでしょうか。直4の2Lでしたら通常の火花着火でも燃焼室内の燃料を燃やすことができますので、圧縮着火の長所を活かしきっていないのではないでしょうか。

また、燃焼室の容積が小さいと希薄燃焼のためにスーパーチャージャーで空気を多めに取り込む必要がありますが、燃焼室の容積が大きければ自然吸気でも空気を多めに取り込めます。理想空燃比の倍の空気を取り込みたければ直4で4Lとか、あるいは小さいサイズの車向けには直4で3Lとかの方がシンプルではないでしょうか。低負荷域では吸気と燃料噴射を絞れば済みますし、理想空燃比で火花着火に切り替えるなら吸気のみを絞って燃焼室中央付近でのみ燃焼させれば済むことで、いずれにせよ過給よりも簡単なはずです。気筒が大きくなれば機械抵抗損失では不利ですが、わざわざスーパーチャージャーをつけてエンジン出力の一部を過給に振り向けるのだって損失ですので、あとはどちらの方がましかという問題です。

理想空燃比での火花着火との切り替えを迅速に行いたければ、もはや妄想ですが日産の可変圧縮比エンジンのようなギミックで圧縮時の燃焼室容積を瞬時に切り替えたりする方が、少なくともスーパーチャージャーよりは筋が良さそうに見えます。

もともと欧州では排気量による課税ではなく出力による課税ですので、排気量を大きくしても税制面で不利になることはありません。排気量課税の日本でもハイブリッド車や電気自動車の普及に対応すべく今後走行距離課税に切り替えることが議論されています。日本では排気量2Lで5ナンバーの壁がありますが、既にデミオ以外はすべて3ナンバーです。そろそろ排気量を小さくすることにこだわる必要が無くなるのではないでしょうか。

(追記)調べてみたら、「技術的にはもっと排気量を大きくしたい」というインタビュー記事がありました。
排気量を増やすと、リーンバーン(希薄燃焼)領域を簡単に広げられるわけですよ。排気量を増やすだけならタダみたいなもの。タダで燃費を良くできるわけで、もうちょっと大きくしたいという思いはありますよね。
もし2.0Lの壁があるのでしたら、サイズの小さいデミオ用に2.0Lでスーパーチャージャー無しの1.3L相当で1.5L並の出力特性のエンジンがあってもよいのかもしれません。 普通の1.5Lエンジンよりもトルクが太くなりそうですし、1.5Lディーゼルエンジンで欧州や米国の環境規制に適合するよりは容易ではないでしょうか。

あるいはアテンザでしたら2.0Lの壁を意識する必要はないでしょうから、直4の4LでV6の3.7L相当の性能を持たせればエンジンの製造コストも安くなって一石二鳥ではないでしょうか。V6の3.7Lエンジンはおろか直6の3Lエンジンよりもコストが安いでしょうし、排気管の取り回しでも6気筒よりも4気筒の方が有利です。

2018年12月20日木曜日

マツダコネクトナビ地図データの有償更新

初期型の車では、マツダコネクトナビPLUSの無償更新期間が2018年12月17日限りで終了しましたので、引き続き最新の地図データを取得するためには有償での更新が必要です。てっきり地図データをダウンロードする際に1年分の料金をクレジットカードで払うものかと思いきや、公式サイトでの発表では、なんとSDカードを買い直す必要があるとのこと。SDカードは車両と紐づける必要があることから、入庫して旧SDカードを引渡、車両と紐づけられた新SDカードを装着することになります。3年更新用のSDカードで48600円(税込み)、1年用(更新なし)のSDカードで21600円(税込み)です。

有償で地図データを購入するのは既に3年以上乗っているユーザーであり、あと何年乗れるかもわからないのにわざわざ新規に3年更新用SDカードを買い直すのはリスクがあります。SDカードは特定の車両と紐づいていますので、他の車への移植は不可能です。かといって1年用は安物のポータブルナビ並の値段ですので割高感があります。1年分といっても半年くらいタイムラグがありますので。

ポータブルナビならゴリラの最高級品でも5万円しませんし、地図データの無償更新に対応しています。マツダコネクトナビと同レベルの安いのでしたら1万円~2万円で買えます。ポータブルナビでしたら車を乗り換える際にも移植できます。毎年地図データを買うくらいだったら最新の安物のポータブルナビを毎年買っても費用はほぼ同じで、かつ毎年性能が良くなります。SDカードを買うたびに入庫する必要もありません。

既存車両でAndroid AutoやCarPlayを使えるようにするための追加キットが3万円~5万円で販売されるとなれば、同じ金額をそちらに充当してGoogle Mapを使う方がナビの使い勝手が良いですし、地図データもそこそこ早めに追随します。Navitimeの「カーナビタイム」もCarPlayに対応しています。複数のナビアプリから好みのものを選べるのは魅力的です。しかしこれを可能にするためのハードウェア改修キットは日本では未発表です。

どうせお金をかけるなら小手先の対策でなく恒久的な対策をしたいものです。そうなるとやはりAndroid AutoやCarPlayを使えるようにするのが一番ではないかと思います。早く追加キットが発表されればよいのですが。ぼやぼやしていると車が先に寿命を迎えてしまいます。

2018年12月14日金曜日

新型MAZDA3 1.8Dのスペックの数字を拾ってみました

イタリアのサイトに1.8Dのスペックのみ数字が出ていましたので拾ってみました。尚、イタリアでは2.0G+マイルドハイブリッドも出るようですが、なぜかこちらのスペックはまだ公表されていません。2Lエンジンにも気筒休止が導入されたということがしれっと発表されているのになぜかあまり話題になりません。

【サイズ】
ハッチバックは全長が僅かに短くなった一方で、ホイールベース、トレッドともに僅かに拡大しそれでいて全高は下がりましたので、それだけでも安定性が増しているのではないでしょうか。全幅とタイヤ・ホイールのサイズは変わらず。

【重量】
AT車で現行1.5Dの1,360kgに比べて1,320kgと40kg軽くなっています。CX-3の1.8Dが1,300kgですので、20kgの差しかありません。車体の大きさがほぼ同じでリアサスペンションは両者ともトーションビームですので、重量に差が出るとしたら遮音材の量くらいでしょうか。同じエンジンを積んでいるCX-3では1.5Dから1.8Dに変更になった際に40kg重くなっていますが、同時に遮音材の重量も増えており、エンジン単体の重量はさほど違わないようです。リアサスペンションがマルチリンクからトーションビームになった分100kgほど軽くなっていますので、やはりCX-3と同様にNVH改善のために重量を増しているのでしょう。

ガソリンエンジン車の重量はまだ開示されていませんが、60kgくらい軽くなっているとしたら1.5Gで1,280kgから1,220kgにまで軽くなり、CX-3のガソリンエンジン車よりもさらに20kg軽くなりますので、現行よりも軽快に走るのではないでしょうか。

【エンジン】
CX-3と同じ。もともと1.8Dは変速機のトルク容量270NmまでEGRを使えるようにして環境規制に適合するのが目的ですので、大容量の変速機を積んでも最大トルクを増やす余地がないのでしょう。それでも270Nmに達しない2600回転以上でトルクが1割ほど増していますので、高回転で扱いやすくなっているのではないでしょうか。

【変速機】
6速のままです。それぞれの段の変則比も現行と同じです。しかし、最終減速比が4.056から4.095に増加しました。タイヤ外径は現行と同じですので、さらにローギアードになりました。せっかく軽くなったのにどうしてさらにローギアードにするのだろうかと思いましたが、たしかに1.8Dは高回転域で性能が向上していますし、低回転高負荷だとターボが効かない上に煤が出やすいため、EURO6からEURO6d tempになって厳しくなった環境規制に適合するために高回転域を重点的に使いたいのでしょうか。しかし現行1.5Dでもデミオディーゼルよりも2割ほど回転数が高く、時速100kmで2150回転くらい、時速150kmで3200回転くらいですので、日本の高速道路の速度域ならまだしも時速130km~時速160kmくらいの速度域で走る欧州の高速道路ではさすがにエンジン回転数が高すぎるのではないかと思えてきます。それだけNVHに自信があるということでしょうか。

【環境性能】
AT車の欧州複合燃費は4.7L/100km(約21.3km/L)です。1.5DのAT車の欧州複合燃費は4.4L/100km(約22.7km/L)ですので、軽くなったにも拘わらず燃費がむしろ悪化しているように見えます。CO2排出量も同様に1.5Dの114g/kmから121g/kmに増大しています。排気量が増えた影響でしょうか。欧州複合燃費でなくWLTCでどうなるのか気になるところです。

2018年12月11日火曜日

マツダコネクトのバージョンを70.00.110に上げました。

定期点検での入庫のついでにマツダコネクトのバージョンを70.00.110に上げてもらいました。バージョン70は2018年秋に改良されたCX-5やCX-8に最初から搭載されているもので、CarPlayやAndroid Autoに対応していると言われています。

しかし、CarPlayやAndroid Autoを使うためにはハードウェアがUSB On-The-Go規格に対応している必要があることから、既存車種で使うためにはハードウェアの改造が必要とされていますが、どのようにハードウェアの変更に対応するかについては、まだ正式には何もアナウンスされていません。よって既存車種では、現状ではCarPlayやAndroid Auto以外の機能のみ使うことになります。Bluetooth接続であればハードウェアに手を加えることなくソフトウェアのみで対応できないものかと思うものの、現状ではUSB接続必須とのことですので、したがってUSB On-The-Go規格が必須ということになります。

バージョンが59から70に上がったことで目立った変化があるかと思ったものの、見た目には全く変更がありません。動作が若干改善しているとの記述はあるものの、何がどう改善しているのか実感するに至っていません。唯一わかりやすいのは、ミュートボタンを押すと音源の再生が一時停止することくらいです。従来は音量がゼロになるだけで再生がずっと続いていました。

2018年12月9日日曜日

iceGUARD 6を購入(第二印象)

iceGUARD 6購入直後は一皮剥けるまで安定せず、高速道路でハンドルを取られやすかったですが、しばらく走るうちに落ち着いてきました。ただ、幸か不幸かまだ凍結路面を走らずに済んでいますので、まだドライ路面での挙動しかわかりません。

【騒音】
パターンノイズ・ロードノイズともにice GUARD 5plusよりもやや低減された印象。高速道路での移動が楽になりました。

【乗り心地】
同じホイールでタイヤだけ履き替えましたが、転がり抵抗減少を標榜しているせいかどうか知りませんが、荒れた路面で凹凸を拾ってごつごつする度合いが高まったように感じます。

【燃費】
様々な条件で走っていますし、特に冬季は気温の変動による空気圧の変動が大きいため、正確に測定することはできていませんが、全般的には、iceGUARD 5plusのときのように好条件で燃費が大幅に伸びることはない一方で、高速道路で高めの速度で走っていてもさほど燃費が悪化しない印象を受けます。

2018年11月11日日曜日

iceGUARD 6を購入(第一印象)

昨シーズンの終わりに冬タイヤのプラットフォームが露出しましたので今シーズン向けに新しい冬タイヤを購入しました。それまでの間に古い冬タイヤを履きつぶした結果、前4.2mm後4.0mmくらいまで使い切ることができました。

このたび購入したのは昨シーズンに登場したヨコハマのiceGUARD 6です。同じホイールでタイヤだけ履き替えましたので、185/60R16のままです。それまでは2015年秋に購入したiceGUARD 5plusを使ってきました。iceGUARD 5plusは冬タイヤ特有の高音のパターンノイズは少し聞こえる他はドライ路面でもウェット路面でもよく走り、夏タイヤのBluEarth-Aよりもよくできているのではないかと感心したくらいです。iceGUARD 6はまだ高価なのに対して型落ちのiceGUARD 5plusは3割ほど安いので、アイスバーンを走ることがなければiceGUARD 5plusでもよいのではないかと思えますが、冬タイヤは安全のための保険ですので、敢えてiceGUARD 6にしました。

まだドライ路面での状況しかわかりませんが、真っ先に気づいたのはパターンノイズが激減したことです。ヨコハマタイヤのカタログではiceGUARD 5plusに比べてパターンノイズが33%減少したとありますが、たしかに静かになった実感はあります。新品ということもあって少々ざらざらすることを除けば、もはや冬タイヤであることを実感しにくくなりました。

2018年10月25日木曜日

CX-8にガソリンエンジン車登場

CX-8の商品改良で従来からの2.2Lディーゼルエンジンに加え、2.5Lガソリンターボと2.5L自然吸気エンジンが登場しました。2.5Lターボは4WDのみ、2.5L自然吸気エンジンはFFのみと棲み分けています。もともと2.5Lターボはディーゼルエンジン車を販売できない国向けですのでCX-5と同様に日本向けにも搭載するのはわかりますが、2.5L自然吸気エンジンが出たのは意外でした。アーリーアダプター向けに高価な2.2Lディーゼルエンジン車が行き渡ったら次はもっと安いグレードで普及を図るのでしょう。

折しもアルファード・ベルファイアのマイナーチェンジが発表された直後ですので、そういえばアルファード・ベルファイアも一番安いグレードは2.5Lエンジンであることを思い出しました。アルファードは2.5Lエンジンであってもパワーに余裕があって運転が楽ですので、それならCX-8だって2.5Lエンジンでもある程度は走るのでしょう。マツダの2.5Lターボは3.7LのV6エンジンの代替ですし、2.2Lディーゼルは長距離巡航が得意で燃費が良いという点ではトヨタのハイブリッドモデルに近い位置づけでしょうか。

せっかくですので価格を比較してみると、やはりCX-8の方が一回り安いです。ベースグレードの2.5L自然吸気エンジンで消費税込本体価格2,894,400円に対し、アルファードのベースグレードで3,376,080円です。アルファードの方が少々高いですが、なにぶんリセールバリューがとても高い車ですので、実質的な価格差はほとんどないと言えます。

次に真ん中の2.5LターボはProactiveで3,742,200円、L Packageで4,244,400円に対しアルファードの3.5Lでは下位グレードで4,652,000円、上位グレードだと7,028,640円と全然違います。Exclusive Loungeは内装が別格ですので同じグレードで比較するとしたらCX-8 L Packageの4,244,400円とアルファードGFの4,652,000円との比較でしょうか。これもリセールバリューを考慮するとアルファードの方がお買い得かもしれません。

CX-8のディーゼルエンジン車だと3,607,200円~4,460,400円、アルファードのハイブリッド車はExclusive Loungeを除くと4,384,800円~5,551,200円と一回り高いです。しかしそれでもアルファードは高いグレードほどリセールバリューが高いので、この価格差はリセールバリューの差といえるかもしれません。

CX-8内での各グレードの比較では、パワーもトルクも2.2Lディーゼルエンジンに引けを取らない2.5Lターボがディーゼルよりも少し安いのが目につきました。ディーゼルエンジンよりも補機類が少なくて製造コストが少し安いのと、長距離乗ると燃料代がかさむためでしょうか。2.5L自然吸気エンジンだと2.5Lターボよりも50万円ほど安く、それでも見た目は高いグレードと一緒です。

同じエンジンを積んだCX-5との比較では、下位グレードの価格差が小さい一方で、上位グレードの価格差が大きいです。また、CX-5の2.5LターボはL Packageしかない一方で、CX-8の2.5LターボはProactiveもありますので、4WDどうしの比較だと価格差がほとんどありません。CX-8の2.5L自然吸気エンジンはアルファードのベースグレードに合わせて低めの価格をつけているようで、廉価グレードであってもCX-9と同じ足回りであることを考えれば、お買い得に見えます。プレマシーよりはまだ一回り高いものの、だいぶ歩み寄ってきた感があります。

2018年10月23日火曜日

デミオの中古価格を調べてみました

デミオのガソリンエンジン車のエンジンが1.5Lになってから1.3Lの中古が安くなったかなと思って中古価格を少し調べてみました。1.3Lであってもアクセラ1.5Lよりもパワーに余裕がありますので、高速道路に乗らないなら1.3Lでも十分で、さらに安ければそれに越したことは無いと思った次第です。中古車といってもピンキリですのでとりあえずマツダ公式サイトで掲載される各ディーラーの中古価格を見てみました。

まず年式の新しい順で検索してみると走行距離数千km程度の13Sが乗り出し160万円くらいで出てきます。1.5Lの新車だと乗り出し200万円くらいしますので、それに比べれば一回り安いものの、1.3L末期は値引き幅が大きかったことを考えれば、中古といえどもさほど値下がりしていない印象です。登録未使用だともう少し高くなり、それなら1.3L末期に新車で買った方が得だったのではないかと思えてきます。

物は試し乗り出し価格の安い順で検索してみると、10年落ちのDE前期型デミオが乗り出し40万円くらいで出てきました。さすがにいまどき4ATはつらいですが、5MTでしたら遜色ありませんし、探せばMT車も出てきます。4ATが嫌ならCVTという選択肢もあります。

免許を取り立ての初心者が近所で練習するには手頃かもしれません。運転して楽しい車ですので、車の運転が好きになれば上達の足しになることでしょう。DE前期型デミオは長距離乗るにはつらいですが、どうせ初心者ならそんなに遠出はしないでしょう。万一こすったりぶつけたりても3年くらいで履きつぶすつもりでしたらさほど惜しくありません。3年乗れば1年当たり13万円程度ですので、カーシェアリングで毎月1万円使うのとほぼ同じコストです。

10年経っている車でも走行距離が数万km程度で、5万km超えの車はほとんど出てきません。走行距離の長い順で検索してみても最大で9万kmでした。過走行の車なんて値がつかないのでそもそも中古市場には出てこないのでしょうが、それにしてもそんな程度の距離で手放すなんて、よほど満足いかなかったのでしょうか。あるいは残クレでディーラーが引き取った車でしょうか。いずれにせよ年間数千kmしか乗らないならカーシェアリングでも十分ではないかと思えます。

2018年10月11日木曜日

GVC Plusに関する素朴な疑問

2018年10月11日にG-Vectoring Control Plus (GVC Plus)が発表されました。最初はCX-5から搭載されるようですが、いずれマツダの全車種に展開されるようです。プレスリリースによると、以下の効果が期待できるとのことです。
新たにブレーキによる車両姿勢安定化制御(直接ヨーモーメント制御)を追加することで、より高い安定化効果を実現しました。旋回中のドライバーのハンドル戻し操作に応じて外輪をわずかに制動し、車両を直進状態へ戻すための復元モーメントを与えることで安定性を向上。ヨー、ロール、ピッチの各回転運動のつながりを高い旋回Gの領域まで一貫させ、素早いハンドル操作に対する車両の追従性を高めるとともに、挙動の収束性を大幅に改善します。これにより、緊急時の危険回避能力を高めるとともに、高速走行時の車線変更や、雪道など滑りやすい路面環境においても、人間にとって制御しやすく、より安心感の高い動きを提供します。
実際に乗ってみれば効果を実感できるのでしょうが、このプレスリリースを読んだ時点でいくつかの素朴な疑問を抱きました。

1.なぜエンジントルクの制御ではなくブレーキによる制御なのか

GVC発表時には、エンジントルクを制御する理由として「ブレーキよりもエンジンの方がはるかに反応速度が速い、とりわけSkyactivエンジンは反応が速いため、理論通りに実装できる」ということが挙げられていました。それなら曲がりすぎないようにするためには同様にエンジントルクを増やせば済むはずです。どうして「反応が遅い」はずのブレーキで制御するのでしょうか。

思い当たるのは、エンジンとブレーキとで担っている領域が異なる可能性です。エンジントルクの制御では0.01G~0.05Gの微小なGの変動による揺れを抑え込むことに主眼が置かれます。ブレーキによる制御は「素早いハンドル操作」による「高い旋回Gの領域」に対して効果的とされていますが、このときに発生するGは0.2G~0.4Gくらいと1桁以上異なります。微小な振動を抑え込むときほどには素早い反応が求められているわけではない一方で、より大きな曲げモーメントを発生させる必要があります。

2.だったらコーナー脱出時にアクセルを踏めばよいのではないか

コーナー手前でブレーキをかけるのは難しいですが、コーナーから出るときにアクセルを踏んで加速するのは比較的簡単です。それくらい人力でできるのではないでしょうか。

たしかに通常のコーナーではさほど難しくありませんが、危険回避のために避けるときや急に車線を変更するときにはS字コーナーを曲がることになります。S字コーナーではコーナー入口から出口まで向きが変わっても等速を維持しないとうまく曲がれません。アクセルを踏んでからブレーキを踏んでなんてやろうとしても操作が追い付きません。しかも自分を含めて素人は大抵ステアリング操作が遅れます。急な操作であればなおさらです。本来ステアリング操作はコーナリングフォースを与えるための操作なので早めの操作が必要なのですが、曲がりたい方向にステアリングを切るという発想だと操作が遅れます。

そういうヘタクソのためにステアリング操作からドライバーの意図を汲み取って曲がりすぎないように補正するのが効果的なのかもしれません。

3.なぜハンドルを切る際の動作に言及されていないのか

車体を曲げることを目的としたトルクベクタリング自体は他社でとっくに実現していて、特にブレーキによって制御する方式は、駆動力の損失が生じる反面、デフに凝ったギミックを載せるのと違って構造が比較的シンプルです。曲げたい側の車輪にブレーキをかけることで姿勢を制御するなら、ハンドルを戻すときだけでなくハンドルを切るときにも効果があって然るべきですし、他社ではむしろそちらをアピールしています。しかしマツダではなぜかそちらは強調されていません。

まず思い当たるのは、コーナリングの際にブレーキをかけるなら、ハンドルを切ってからブレーキをかけるのでは遅くて、先に十分に減速してからハンドルを切る操作とブレーキを抜く操作を同時に行うことが必要です。しかし、ハンドルを切る前にブレーキを踏んで減速している時点では、車はどちら向きに曲がろうとしているのか判断できません。ではハンドルを切ってからブレーキをかけるのはどうかというと、内輪にブレーキをかけて無理やり曲がるのは、たとえそれが可能であっても、減速Gから横Gへと滑らかに繋ぐという考え方と両立しないのではないかと想像します。

もう一つの可能性としては、エンジントルクを絞る既存のGVCでも既に高めの速度でコーナーに突っ込んでも意外と曲がれてしまうため、敢えて内輪にブレーキをかけて無理やり曲げる動機が乏しいのかもしれません。

2018年9月4日火曜日

デミオ1.5LのWEB見積を取ってみました

2018年8月のデミオの商品改良でガソリンエンジンが1.5Lになりましたので、今買ったらどれくらいの値段になるのだろうと思って試しにWEB見積を取ってみました。

最初は15S Noble CrimsonのFFからです。金額を出すだけならタダということで自分の欲しいものを片っ端からつけてみました。安全装備を全部盛りにしたり、雪道で塩化カルシウム水を被るから防錆アンダーコートも欲しいなどと調子に乗っていろいろオプションをつけてみて、合計金額を出してみてびっくりしました。乗り出し価格が税込で2,448,972円でした。初期型のXD TouringのFFに安全装備を一通りつけたときの乗り出し価格とほぼ同じです。

もっとも、初期型でありがたがってつけた安全装備はHBCやBSM等、今や15Cにすら標準でついている代物ですので、エンジンにお金をかける代わりに安全装備やガラスにお金をかけているとも言えますが。デミオのガソリンエンジン車といえば15Cの本体価格が1,393,200円と軽自動車並みの値段でそれでいて安全装備がサポカーSワイド準拠とお買い得な車のはずなのですが、いろいろ装備をつけるといつの間にか高くなります。

絶対額はオプションに依存しますので、参考までに同じ条件でXD Noble Crimson FFで乗り出し価格を出すと税込み2,606,159円と15万円程度の差にしかなりません。ディーゼルエンジンだと自動車取得税と自動車重量税が免税なのに対し、ガソリンエンジン車だとこれらの税金が合計8万5千円ほどかかりますので、それで価格差が縮小しています。また、ステアリングシフトスイッチやフロントパーキングセンサー等、ガソリンエンジン車でオプションとしたものがディーゼルエンジン車では標準で装備されていたりします。

長距離乗らないなら迷わずガソリンエンジンといきたいところですが、長距離乗るなら3万km走れば燃料代の差で元が取れてしまうくらいの価格差です。年間3万km乗ったら1年後からはディーゼルエンジン車の方がトータルコストが割安です。長距離乗るなら高速道路を走る距離も長くなりますが、いくら1.5Lエンジンになってトルクが太くなって余裕があるといってもディーゼルエンジンのトルクには及びませんので、高速道路を走るならやはりディーゼルエンジンの方が楽です(MRCCをつけて制限速度で走行車線を走るとバスのような乗り心地で退屈ですが、それ故に長距離を走っても疲れません)。

ガソリンエンジン車を買うなら長距離乗らない前提で値段を出してみようということで、街乗り主体では不要な装備を削ってみました。

  • 高速道路をあまり走らないならMRCCは不要
  • 都会の道しか走らないならALHは不要(どうせハイビームにならない)
  • 雪道を走らないなら防錆アンダーコーティングは不要
  • 山道を走らないならステアリングシフトスイッチは不要(どうせエンジンブレーキを使わない)
  • 高速道路をあまり走らないならETC2.0は不要
  • 都会の道しか走らないならバックカメラクリーナーは不要(どうせそこまで汚れない)
これで乗り出し価格税込み2,188,373円にまで下がりました。普通の15Sとの装備の差はフォグランプとガラスくらいで、あとはエクステリアやインテリアの差だけです。足車と割り切って見栄えにお金をかけなければ200万円くらいまで下がります。15Cに常識的な装備を追加しても同じくらいします。

一方、ディーゼルエンジン車を買って山道や雪道を走るとなると安全性や重量バランスや乗り心地の面でAWDが欲しくなりますが、こちらは上記のXD Noble Crimson FFと同じ装備で金額を出すと乗り出し価格税込み2,811,359円です。ほぼ同じ条件でCX-3 20S Proactive FFだと乗り出し価格税込み2,884,708円とほぼ同じ値段です。CX-3 20Sの方がデミオディーゼルよりも燃料代が高いものの、遮音性が高い上に高速道路から街乗りまでオールラウンドにこなせるCX-3も快適そうで捨てがたいです。

CX-3から長距離向けの装備を省くなら16インチホイールのCX-3 20Sで十分で、このときは乗り出し価格税込み2,566,506円です。この場合、長距離用の装備を省いたデミオ15S Noble Crimsonとの価格差は40万円ですが、ほぼエクステリアデザインのみの差です。デミオ15S L Packageとの価格差だと30万円くらいでしょうか。CX-3を気に入って買う人はそういうしみったれた比較はしないでしょうけど。

2018年8月30日木曜日

デミオの商品改良(2018年8月)

2018年8月30日にデミオの商品改良が発表されました。ガソリンエンジン車は日本独自仕様をやめて国外向けの標準的な仕様になっています。

1.エンジン

《ガソリンエンジン》
最大の目玉はガソリンエンジンの排気量が1.3Lから1.5Lになったことです。公開された諸元データは以下の通りです。
  • 最大出力110ps/6000回転
  • 最大トルク141Nm/4000回転
  • 圧縮比12
デミオ用1.5Lエンジンは圧縮比12の廉価版と圧縮比13(RON91)または14(RON95)の上位版とがあり、日本向けは廉価版のようです。しかしほぼ同じ条件の北米向けヤリスセダンでの数字に比べて出力トルクともに微増しており、欧州の環境規制適合のための改良版であることが見て取れます(主に煤対策)。カタログでもCX-3用の2Lエンジンと同様に「マルチホールインジェクター」との記述があります。

尚、アクセラ用の1.5Lエンジンは圧縮比13(RON91)または14(RON95)の上位版に相当し、4-2-1排気管がついた出力115psのものですので、同じ1.5Lエンジンでも若干の差があります。

15MBも引き続きカタログには載っており、こちらは従来通り1.5Lエンジンの上位版に専用チューニングを施したものですので、通常の1.5Lガソリンエンジン車とは仕様が異なります。数字を見ると今までと同じですし、燃費表示もJC08モードのままですので、もしかしたらアクセラ1.5Lと同様に改良前の型ではないかと推測します。どのみち数が出ませんので新たな型式認定を取りに行くまでもないという判断なのでしょうか。

車両重量はガソリンエンジンで10kg増となっている一方でディーゼルエンジンでは変更がないため、おそらく遮音材を盛ったわけではなくガソリンエンジン重量の差によるものでしょう。排気量が増えて10kgしか差が無いとなると、4-2-1排気管は採用されていないものと見て取れます。4-2-1排気管がついていればカタログにもその旨の記載があるはずで、現にCX-3ではそうなっていますが、デミオのカタログにはその記載がありません。4-2-1排気管がある方が圧縮比を高くできる分だけ燃費が良くなりそうに見えますが、もともとが下位グレードを含む1.3Lエンジンの代替ですし、重量とコストを抑えることを優先させたのでしょう。

G-ベクタリングコントロールが搭載されてサスペンションセッティングが変更されてからはガソリンエンジン車でも乗り心地が良くなり高速走行しやすくなりましたので、あとはエンジンのパワーに余裕があればと思っていたところですので、1.5Lエンジンの搭載はありがたいです。

値段もほぼ据え置きですので、下位の15Cは軽自動車と変わらない値段で良く走り安全な車を買えることになります。軽自動車よりも車内が狭いですが、なぜ軽自動車の車内が広いのか少し考えてみれば、何を犠牲にして車内を広くしているかがわかるでしょう。唯一気がかりなのはレンタカーで1.5Lのクラスになりはしないかということです。1.5Lのデミオに乗るつもりで1.5Lのクラスの代金を払うのは別に構いませんが、後席に人を乗せるつもりでCセグメント車を借りようとしてBセグメントのデミオが来たら困ります。

《ディーゼルエンジン》
一方、ディーゼルエンジンは1.5Lのままで数字も変化なし。アクセラ1.5Lと同様にフルモデルチェンジまではこのままのようです。環境規制への適合が求められる欧州向けではディーゼルエンジン車の販売を休止しており、CX-3と異なり1.8Lディーゼルエンジンが搭載されているわけでもありません。そもそもデミオのエンジンルームは1.5Lディーゼルエンジンがギリギリ入るサイズですので、少しでも大きかったら今のデミオのエンジンルームには入りません。

デミオでしたら270Nmまで必要ありませんし、MT車なら変速機のトルク容量に合わせて220Nmに抑えられていますので、1.8Lディーゼルエンジンを採用しなければならない動機はまだありません。デミオに1.8Lディーゼルエンジンを積む気がないならなおのこと、1.8Lエンジンの技術をバックポートした1.5Lエンジンをフルモデルチェンジ時に出してほしいものです。今の1.5Lエンジンでもあまりディーゼルエンジンらしくありませんが、さらに軽くなればよりいっそうガソリンエンジンの運転感覚に近づくのではないでしょうか。

2.変速機

ガソリンエンジン車のMTが6速になっています。最終減速比は15MBと同じです。ATは従来と同様で最終減速比も1.3Lのものと同じです。その代わりトルクが太くなったのに合わせてATのセッティングを変えているようです(あまりキックダウンせずに済むようになることで実燃費の向上に寄与している由)。

調べてみたら、欧州版は75PSと90PSのエンジンでは5MTとの組み合わせ、115PSのエンジンのみ6MTとの組み合わせでした。5MTの場合5速100km/hで2510回転ですので、150km/hで4000回転弱。UKならまだしもアウトバーンの真ん中車線で4000回転前後なのは疲れそうです。それなら6MTならどうかと思って15MBから数字を拾ってみると、6速100km/hで2410回転となり、高速域での回転数は少し下がるようです。日本仕様では税制に合わせてエンジン出力を絞る必要が無いため、110PSで6MTとなっているようです。

3.ホイール

15S Touring L Packageのみ16インチホイールを履いており、これは他の国外向けと同様です。ただ、16インチホイールを履くとタイヤサイズが185/60R16という特殊なサイズになり、ホイールのリム幅も5.5Jというこれまたマイナーなサイズになります(16インチホイールのリム幅は6.0から6.5くらいが標準です)。さらに、新車装着タイヤとしてトーヨーのProxes R39がもれなくついてきます。走りはともかくロードノイズが大きく燃費も良くありません。16インチの純正ホイールは重いので、高速域での安定性はともかく、出足は鈍くなります。

高速走行時に15インチホイールで操縦安定性に不満が無ければ15インチにした方がタイヤとホイールの選択肢が広くなるように思えます。16インチだとタイヤの選択肢がLe Mans VやBluEarth-Aくらいしかありませんが、15インチだと185/65R15という標準的なサイズのため、Regnoも選べます。また、15インチホイールの方が出足が軽いので街乗りには向いています。

ただし、15S Touring L Packageにすると16インチホイールしか選択肢が無いため、15インチホイールを選びたければ15S Touringにグレードを落とす必要があります。

4.燃費

今回からガソリンエンジン車はWLTCモードのみの表示となっています(除15MB)。同じモノサシで比較できないため、カタログ燃費がどう変化したかは不明ですが、エコカー減税グリーン税制ともに非適用という時点でカタログ燃費は悪化したことが見て取れます。あとは実燃費ですが、これは実際の走行データが無いとわかりません。今回は気筒休止は見送られたようですが、今回のエンジン改良の目的は欧州での環境規制への適合(煤対策)ですし、時間の制約もありますので、間に合わなかったなら仕方ありません。

ディーゼルエンジンに変更がないため、ディーゼルエンジン車の燃費表示はJC08モードのままで、数字に変更がありません。おそらく次のフルモデルチェンジまではこのままでしょうか。

5.装備

残念ながらCX-3と異なり電動パーキングブレーキがつかず、したがって全車速対応型アダプティブクルコンもありませんが、値段の差を考えればやむを得ないかと。

6.窓ガラス

従来は上位グレードの車体後部でダークリンテッドガラスが採用されていましたが、このたびさらに進めて上位グレードではフロントガラスでスーパーUVカットガラスが、フロントドアではスーパーUVカットガラスに加えてIRカットガラスが採用されています。IRカットは夏の車内温度上昇抑制にかなり効果がありますので、夏場の運転がいくぶん楽になりそうです。

7.シート

アテンザやCX-3と同様に高減衰ウレタン採用とあります(出典はここ)。CX-3と異なりサスペンションやタイヤには手を付けていないようですので、あまり積極的にアピールしていません。

2018年6月24日日曜日

デミオディーゼルのブレーキ

マツダのガソリンエンジン車はリニアなブレーキを旨としていて、デミオのガソリンエンジン車でもアクセラのガソリンエンジン車でもブレーキペダルの浅い位置ではあまり効かず、深く踏み込んで踏力を掛けると効くのですが、デミオディーゼルはブレーキペダルの浅い位置でもブレーキが強く効くように感じます。

よくあるカックンブレーキかと思いきや、強く踏み込めばもっと効きますし、急ブレーキを踏めば助手席に置いた荷物が吹っ飛ぶくらい効きますので、全般的に効きがよいのでしょう。ブレーキペダルの踏み込み量で制動力をコントロールするのではなく踏力で制動力をコントロールすれば問題ないはずなのですが、i-DMで青点灯する程度の常用最大ブレーキ力を発生させるのに必要な踏力が小さく、そこから先はすべて非常ブレーキとなり、弱いブレーキをかけたいときに調整しにくいのと、停止時にブレーキを抜く加減が難しいため、扱いにくく感じます。アクセラのガソリンエンジン車だとブレーキペダルを半分踏み込んだ辺りから効き始めますが、デミオディーゼルだとブレーキペダル半分で常用最大です。

ブレーキの構造は同じはずなのにガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車とでどうしてこんなに違うのだろうと思って推測するに、ブレーキ倍力装置の動作が異なるのではないかと思えてきました。ガソリンエンジン車では通常、エンジンの負圧を用いた倍力装置が使われていますが、吸気バルブの無いディーゼルエンジンではエンジンの負圧を使うことができないため、どうしているのだろうと思って調べてみたら、ディーゼルエンジンではバキュームポンプを使っているとのこと。そうなると、エンジン回転数によらずブレーキが強く効くことになります。

一方、デミオの1.3Lエンジンがアクセラの1.5Lエンジンのような小さなエンジンはエンジンの負圧も小さいので、倍力装置がさほど効かず、そのためにブレーキペダルを深く踏み込んで踏力を強く加えないとブレーキが効かないのかもしれません。

そうはいってもガソリンエンジン車に比べてディーゼルエンジン車のブレーキはコントールしにくく感じますので、ドライバーの意図に応じてブレーキ倍力装置のエアバルブの開き具合を調整できないものかと思います。日本仕様は速度域が低いことを前提に、制動力よりもコントロールのしやすさを重視してもよいのではないでしょうか。もしかして、CX-5等に使われているのと同じ容量のバキュームポンプを積んでいるのでしょうか。

2018年6月20日水曜日

アクセラの重量増

最近のアクセラの諸元データを見ていたら、1.5LのAT車の重量が1,280kgになっていました。デミオ用に開発された小型AT(トルク容量は同じ)が導入された際に登場当初の1,270kgから1,260kgに減少したはずだったのに、いつの間に重くなったのだろうと思って過去の諸元データを調べてみたら、2016年7月にフロントグリルの形状が変わったりG-ベクタリングコントロールが導入されたりした際に1,280kgになっていました。たしかにこの時点から静粛性がいくぶん改善されたとの記事を見かけますので、きっと遮音材を盛ったのでしょう。

前期型に比べて軽快さが若干損なわれたように感じたのですが、エンジンのトルクがそのままで僅かながら重量が増えていれば、たしかにそう感じるかもしれません。

次期アクセラはリアサスペンションがトーションビームになる予定で、そうなると100kgほど軽くなりますので、1.5Lエンジンのままでもパワーに余裕ができるかもしれません。その1.5Lエンジンも欧州仕様のデミオ向けに環境対策を施した改良版がもうじき出るはずで、そうなると2Lエンジンや2.5Lエンジンの実績から、僅かながら性能向上が見込めます。

2018年6月18日月曜日

レーンキープアシストを使ってみました

代車としてあてがわれたアクセラ15S Proactiveは半年前に登録されたばかりの新しい車でしたので、レーンキープアシストが標準装備されていました。デミオやCX-3ではまだレーンキープアシストが装備されておらず、アクセラ以上にのみ装備されています。

レーンキープアシストは時速60km以上かつ車線の白線や黄色い線がはっきり見えて比較的線形の良い道路で作動して、車線から逸脱しそうになると電動パワーステアリングが介入して車線中央に戻そうとします。動作しているときにはアクティブ・ドライビング・ディスプレイ上でレーンの表示が出ます(車線逸脱警報システム動作時と同様)。実際に使ってみたところ、動作速度は厳密に時速60km以上というわけでなく、時速55kmくらいから動作するときもありました。しかし、これくらいの速度域だと確実に動作するわけではありません。

レーンキープアシストがどのように動作するのか試してみたかったので敢えてズボラな運転をしてみたところ、コーナーでは電動パワーステアリングの手ごたえを感じます。ステアリングを切り始めるタイミングは心なしか早めに感じますが、きっとそれが本来のタイミングなのでしょう。G-ベクタリングコントロールとあいまって、そこそこ高めの速度でも車が勝手に曲がるような感覚ですが、あくまでも安全な領域から逸脱しそうになるときのみ介入してきますので、普通に運転する分には介入を感じることがありません。介入のタイミングや感度は設定画面で調整することができますので、介入の仕方が不快に感じられる場合には、介入タイミングを遅くしたり感度を低くしたりできますし、機能をオフにすることもできます。

マツダのレーンキープアシストが日産のプロパイロットやスバルのアイサイトと異なるのは、安全な状況では介入せずドライバーの主体性に委ねる点です。プロパイロットやアイサイトのような半自動運転が実現したからといってドライバーの注意義務がなくなるわけではありませんが、機械任せの運転では退屈ですので集中するのが難しいです。また、常時介入するシステムはドライバーの体感と一致すれば便利な反面、ドライバーの体感と一致しないと不快に感じられます。ヒューマンエラーに対するバックアップが必要なときだけ機械が介入して、それ以外の場面ではドライバーが主導権を握るというのは、人と機械の役割分担としてはよく練られていると感じます。「自動で何でもできる」というようなわかりやすいキャッチコピーではありませんが、そういうことよりも安全な運転がどのような運転なのかを真面目に考える方が好ましいと考えます。

レーンキープアシストは主に高速道路向けの機能であることから、クルーズコントロールと組み合わせて使う機会が多いかと思います。緩いコーナーではステアリングに軽く手を添えていると自動で電動パワーステアリングのアシストが入りますので、運転が楽です。

あいにく代車には追従型クルコンがついていなかったため、追従型クルコンとの組み合わせでどのように動作するかを試すことはできませんでしたが、こうなると高速道路での走行で機械任せにできないのは追越時の進路変更くらいです。ちなみに進路変更時にウインカーを出していればレーンキープアシストが介入することはありませんが、某地域のように進路変更時にウインカーを出さないような所では進路変更時にレーンキープアシストが介入してきますので不快な思いをすることでしょう。

せっかくここまでできるのでしたら、もっと欲張ってほしいものです。カメラで前方のレーンを識別しているのですから、コーナーの形状が見えているはずです。それならばコーナー手前でアクセルを少し抜いてステアリングを切ったり、コーナー出口で少し加速したりといった加減ができるともっと気持ちよく走れるのではないでしょうか。

2018年6月8日金曜日

タイムズカーレンタルのC2クラスにアクアやアクセラ15XD

レンタカーを予約しようとタイムズカーレンタルのサイトを操作していたら、1.5Lのハッチバック車を対象としたC2クラスにデミオ1500というのがあり、もしやデミオのガソリンエンジンが1.5Lになるのかと思いつつ料金と車種のページを見たところ、2018年6月1日から料金体系が変更になったとのことで、C2クラスに1.5Lクラスのハイブリッド車やディーゼルエンジン車が含まれていました。デミオ1500というのは単なるデミオディーゼルのことでした。これらのエコカーはかつてはもう1段上位のクラスでC2クラスよりも割高だったはずなのに、いつの間にか割安なC2クラスに統合されていました。

車種指定してもなお割安なC2クラスでレア車たるアクセラ15XDをまる1日試乗できるのは面白そうだと思いましたが、さすがに扱っている店舗はさほど多くありません。北海道のタイムズカーレンタルで扱っていますし、北海道では比較的長距離を走りますので、話の種にアクセラ15XDに乗ってみるのも面白いかもしれません。

また、C2クラスを利用するのは大人3人ないし4人で移動することを目的とするときですが、クラス指定だとフィットハイブリッドやアクアに当たる可能性もあり、そうなると目算が狂います。フィットはともかくアクアに大人4人で乗るのはありえません。幸いその手のエコカーはハッチバックですので、1.5LクラスセダンのM2クラスを指定しておけば確実にCセグメント車に当たります。

2018年5月29日火曜日

欧州向けエンジンのEuro 6d TEMP対応

2018年5月23日付のMazda Motor Europeのプレスリリースにて、2018年7月以降生産の欧州向けマツダ車が全車Euro 6d TEMP対応になったとの発表がありました。2017年7月以降の新形式および2019年7月以降に登録されるすべての新車はEuro 6d TEMP対応が義務付けられています。

【要旨】
《対象》
  • 2017年7月生産分からの全車
  • ただし2019年にフルモデルチェンジが予定されているMazda 3は対象外
  • ガソリンエンジンは1.5L, 2L, 2.5L(欧州向けに販売されていない1.3Lと2.5Lターボは対象外)
  • ディーゼルエンジンは1.8Lと2.2L(1.5Lは今回の対象外)
《ガソリンエンジン》
  • 直噴エンジンながら煤フィルターをつけずに規制に適合
(新しい規制では煤の量の上限値が10分の1に減少。煤の出やすい直噴エンジンでは対策が必要。ディーゼルエンジンのDPFと同様に煤フィルターで対応する会社もあり)

《ディーゼルエンジン》
  • 2.2LエンジンはSCR装着で対応
  • 1.8LエンジンはNOx吸蔵還元触媒で対応(SCR不要)
  • 1.8Lエンジンは1.5Lエンジンの置き換え
【感想】
《ガソリンエンジン》
  • 2.5Lエンジンや2Lエンジンの改良内容はCX-5やアテンザの商品改良時の発表の通り。
  • 商品改良未発表の1.5Lエンジンでも同様の技術を用いた改良がなされるものと思われます。2.5Lエンジンや2Lエンジンでは改良によって、出力やトルクの数字が微増していますが、Mazda 2の1.5Lエンジンの諸元データの数字を見る限り、最大出力の増加が見受けられません。
  • 今回のプレスリリースは環境規制への適合についてのものですので、1.5Lエンジンで気筒休止が実装されるかどうかについては言及なし。
《ディーゼルエンジン》
  • 後処理装置なしでEURO 6に適合したのがマツダのディーゼルエンジンの売りでしたが、さすがにEURO 6d TEMPだと後処理装置なしでは難しいようです。
  • 日本向けのCX-3やアテンザの商品改良の発表では、NOx吸蔵還元触媒やSCRには言及されていませんでした。
  • 後処理装置はコスト引き上げ要因ですので、後処理装置が不要な市場向けには後処理装置なしで販売する可能性もあります。
  • 欧州向けMazda 2に1.8Lディーゼルエンジンが搭載されるのか、あるいは当面ディーゼルエンジン車が販売されないのかは不明(2018年5月29日現在Mazda 2のラインナップに1.5Lディーゼルエンジン無し)。
  • 欧州向けCX-3のディーゼルエンジンは既に1.8L。NOx吸蔵還元触媒付ということになります。
  • 欧州向けMazda 3ではまだ1.5Lディーゼルエンジンの販売あり。
  • 1.5Lエンジンに1.8Lエンジン開発時の技術をバックポートして最大トルクを220Nmに抑制すれば欧州向けを含めてMazda 2向けに復活できるのではないかと期待するものの、今回のプレスリリースでは言及がないため今後どうなるかは不明。
  • 欧州以外の市場向けに1.5Lディーゼルエンジンを搭載したMazda 2を引き続き販売するかどうかも不明。
《Mazda 3》
  • Euro 6d TEMPの規制によりフルモデルチェンジ車の販売は2019年7月までに開始しなければならないというタイムリミットが課されています。
  • おそらく最初は日本向けに販売され、その後段階的に他の市場向けにも販売されるでしょうから、逆算すると2019年初頭には日本向けのフルモデルチェンジ車が販売されることになるでしょう。
  • あるいは、日本国外の市場の中で、欧州向けは比較的早くフルモデルチェンジするのではないでしょうか。
  • Euro 6d TEMPは火花着火エンジンと圧縮着火エンジンとでNOx規制の上限値が異なるのですが(ディーゼルエンジンを想定した圧縮着火エンジンの方がNOx規制が緩い)、Skyactiv-Xはどちらに分類されるのでしょう。圧縮着火の方がNOxが出やすいことを考慮するという趣旨からすれば圧縮着火エンジンに分類されるのが妥当に見えますが。
【Euro 6d対応】
  • 2020年1月以降の新形式および2021年以降に登録される新車はEuro 6d対応が求められます。
  • Euro 6d TEMPではRDEでのNOx排出量の規制値が台上試験でのNOx排出量の2.1倍まで許容されますが、Euro 6dではRDEでのNOx排出量の規制値が台上試験での規制値の1.5倍まで縮小します。
  • ここまで厳しくなってくると、Euro 6dに対応するエンジンを作れれば、環境規制の厳しい米国向けにも販売できるのではないでしょうか。
  • これから市場に投入されるSkyactiv-XとSkyactive-D第2世代はEuro 6d対応が求められます。

2018年5月18日金曜日

CX-3の商品改良

2018年5月17日にCX-3の商品改良が発表されました。2018年3月にニューヨークモーターショーで発表されたのと同じものですが、詳細が発表されました。改良の要点はプレスリリースに記載の通りですが、特に以下が気になりました。
  • SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTUREの部分採用
  • 1.8Lディーゼルエンジン
  • 全車速追従機能付MRCCと電動パーキングブレーキ
  • JC08モード燃費表示の廃止
  • 2Lガソリンエンジンの改良
  • 価格
1.サスペンション

このタイミングでSKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTUREの部分採用とは意外ですが、アクセラと異なりCX-3は既にリアサスペンションはトーションビームですのでタイヤとサスペンションには手を入れられたようです。SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTUREは試作車が絶賛されていたようですが、今回はボディーはそのままですので、どの程度効果が出るのか楽しみです。

2.1.8Lディーゼルエンジン

改良型2.2Lエンジンと同様に急速多段燃焼を可能にする改良型ピエゾインジェクターが採用されたのは事前に出ていたスペックの数字からは意外でした。2.2Lエンジンの場合、性能が1割ほど向上している一方で、1.8Lエンジンは排気量が2割拡大しているにも関わらず性能向上は1割です。日経xTECHの記事によると、従来の1.5Lエンジンではトルク220Nm以上でEGRが使えなくなることで急速にNOxが増大していたとのことです。これでもWLTCまでは対応できていましたが、RDE (real driving emmissions)には対応できないことが1.8Lエンジン開発の動機とのこと。1.8Lエンジンでは270NmまでEGRを使えることでRDEに対応した由。

重量は1.5Lエンジンよりも30kg増えています。うち、静粛性向上のための重量増が10kgですので、1.8Lエンジンでの重量増は正味20kgです。1.5Lエンジンと2.2Lエンジンの重量差は80kgですので、2.2Lエンジンよりも60kg軽いことになります。1.5Lエンジンの置き換え用として、軽量化と燃費には相当注力したようです。

この1.8Lエンジンはアクセラにも採用されて1.5Lエンジンを置き換えるでしょうが、2.2Lエンジンを置き換えるには至らないでしょう。もともとアクセラは2.2Lでは大きすぎて1.5Lでは小さすぎますので、従来の1.5Lエンジンと改良後の2.2Lエンジンの中間くらいのスペックで150psで出れば2.2Lエンジンが不要になりそうですが(日本国外仕様のアクセラ用2.2Lディーゼルエンジンは150ps)、今回の1.8Lエンジンの性能ではそれは難しそうです。かといって、CX-5やアテンザ用のディーゼルエンジンは将来はFR用の縦置きになりそうですので、そうなるとそのままではFFのアクセラに積むことができません。どうなるのでしょう。

デミオの1.5Lディーゼルエンジンを置き換えられるかというと、ただでさえフロントが重いのにさらに20kg重くなると操安設計が大変です。デミオでは過給圧がそこまで高くないので(AT車で250Nm、MT車で220Nm)、むしろAT車でもMT車同様に最大トルクを220Nmに抑制することで1.5Lのまま環境規制に適合することを考えた方が良さそうです。1.8Lエンジンと同様の改良を1.5Lエンジンにも施すことでエンジンの軽量化や性能向上が見込めるかもしれません。20kgくらい軽量化されるとその分ノーズが軽くなって曲がりやすくなります。トルクが不足する分は回転数で補うことにして、ATのセッティングを変更して最大トルク220Nmでも支障しないように低めのギアで引っ張ればCX-3とは異なる軽快な走りが実現できるかもしれません。デミオディーゼルはコンパクトカーらしからぬ重厚な乗り味が魅力ですが、CX-3がある以上、キャラクターを分けた方がよいのではないでしょうか。

3.全車速追従機能付MRCCと電動パーキングブレーキ

これがあると渋滞のときに楽ですし、電動パーキングブレーキの採用でスペースに余裕ができますので、デミオにも採用されればそれに越したことはありませんが、価格差およびかけられるコストの差を考慮すると難しいかもしれません。全車速追従機能有のCX-3と全車速追従機能無のデミオを比較すると、多少高くても全車速追従機能有のCX-3が魅力的に見えます。特にCX-3の2Lガソリンエンジン車はデミオの1.5Lディーゼルエンジン車と同じ予算で買えますので。

4.JC08モード燃費表示の廃止

JC08モード燃費は実燃費が2割引きくらいですので別段当てにしているわけではありませんが、モノサシが変わってしまうと同じ条件で比較できなくなりますので、1.8Lディーゼルエンジンの燃費性能が1.5Lエンジンに比べてどう変化したかがわかりにくいです。もしかしたら敢えてわかりにくくしているのかもしれませんが。WLTCモード燃費自体は実際に運転したときの実燃費の数字に近いので、本来ならばこちらを基準に比較した方がよいと思います。

5.2Lガソリンエンジンの改良

CX-5用と同様の改良が加えられています。その結果、出力とトルクが微増しています。それでいて燃費の数字が少し悪化していますが、遮音材を増やして重量が10kg増えた影響でしょうか。2LエンジンはCX-3には余裕がありますので、気筒休止が採用されれば燃費が良くなるかと期待しましたが、今回は気筒休止の採用はならず。

ガソリンエンジンの改良はEURO6に適合するためのもので、特にkm当たりのPM排出量を10分の1にすることが求められています。同様の規制は1.5Lガソリンエンジンにも適用されますので、1.5Lエンジンにも同様の改良が施されるのではないでしょうか。

6.価格

ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車ともに本体価格3万円ほどの上昇です。ディーゼルエンジンが1.8Lになったり、静粛性が向上したり全車速追従機能が付いたり、従来はメーカーセットオプションが標準装備されたりしていますので、価格差以上に改善しているように見えます。もっとも、CX-3はサイズを除けばCX-5と競合し、価格が近いにも関わらず車格相応の差がありますので、CX-3ならではの魅力をどこに持たせるかが鍵でしょう。

2018年5月15日火曜日

平成32年度燃費基準値とデミオガソリンエンジン車の燃費性能

エコカー減税の基準となる平成32年度燃費基準値の資料を参照しました。これによると、デミオのガソリンエンジン車は燃費基準値がJC08モード燃費で23.7km/L、燃費基準値+10%が25.8km/Lです。それに対してJC08モード燃費が24.8km/Lですので、+10%には達せず、最低限のエコカー減税になっています。

平成32年度燃費基準は余裕をもってクリアできていますので、もし23.7km/Lをクリアすることだけが目的なら、1.3Lエンジンでなく1.5Lエンジンでも燃費スペシャルなチューニングをすれば達成できなくもないのではないかと思えてきます。アクセラの1.5Lエンジン車のJC08燃費が20.4km/Lですので、アクセラより2割軽いデミオでしたら1.5Lエンジンでも24.9km/Lを狙えてもおかしくありません。あとは大排気量低負荷で使う場合の熱効率の悪さをどう補うかですが、気筒休止を1.5Lエンジンにも導入できれば低負荷時の排気量が0.75Lにまで減少しますので、燃料噴射を抑制しやすくなります。

CX-3の2Lガソリンエンジン車のJC08モード燃費は17.0km/Lですので、平成32年度燃費基準未達となり、エコカー減税の土俵に乗りません。だからこそWLTCモード燃費表示を全面に出さざるを得ないのでしょう。アクセラの1.5Lガソリンエンジン車は平成32年度燃費基準をギリギリでクリアしていますので、アクセラよりも50kg軽いCX-3に1.5Lガソリンエンジンを積めば平成32年度燃費基準をクリアできたことでしょう(+10%は微妙ですが)。おそらくエコカー減税の土俵から降りて走りやすさを重視したためかもしれません。そもそも排気量が2Lである時点で1.5Lエンジンよりもベースとなる自動車取得税が高いですし、エコカー減税を気にするくらいコストに厳しかったら高価なCX-3を購入することはないでしょう。もし2Lガソリンエンジンに気筒休止を導入できれば多少は燃費が良くなるでしょうが、17.0km/Lからの燃費向上だとエコカー減税は厳しそうです。

ハイブリッドでない自然吸気ガソリンエンジン車がエコカー減税適用ラインに乗るのはなかなか大変です。エコカー減税はトップランナー方式ですので年々ハードルが上がっていきますが、これ以上ハードルが上がったらもはや自然吸気ガソリンエンジンでは無理なのではないかと思えてきます。Skyactiv-Xならきちんと作り込めば燃費性能が向上しそうですが、Skyactiv-Gも併用されることになっており、Skyactiv-Gの改良が今後どうなるのか気になるところです。

2018年5月13日日曜日

もし日本仕様のデミオに1.5Lガソリンエンジンを搭載するとしたら

デミオの海外仕様の大半は1.5Lガソリンエンジンを積んでいますが、日本仕様は1.3Lガソリンエンジンです。日本仕様のガソリンエンジンが1.3Lであるのにはいくつかの理由が考えられます。

  1. 燃費
  2. コスト
  3. 競合車種
  4. 値付け
1.燃費

日本人は燃費に敏感で、さほど乗らなければ燃料コストに大きな差が出ないにも関わらずアピールポイントになります。ハイブリッド車は燃費が良い代わりに価格が高く、本来ならかなりの距離を乗らないと元が取れないにも関わらず、プリウスやアクアのようなハイブリッド車はとても売れています。

また、エコカー減税を獲得するためにも燃費性能が必要です。しかし、ディーゼルエンジン車が免税なのに対してガソリンエンジン車は厳しくて、現状の1.3Lエンジンの場合、FFのAT車でやっと平成32年度燃費基準達成でかろうじて最低限のエコカー減税が適用されているのを除けば、4WDで平成27年度燃費基準+10%、MTでは平成27年度燃費基準+5%ですので、既にエコカー減税から脱落しています。15MBは燃費度外視のスポーツグレードですのでそもそもエコカー減税の土俵に乗っていません。

しかもエコカー減税は縮小傾向にあって、このままだとガソリンエンジン車はすべてエコカー減税から脱落しかねません。1.3Lエンジン車がすべてエコカー減税から脱落してしまったら敢えて燃費のために1.3Lエンジンを載せる必然性はなくなります。あるいは、気筒休止で燃費を改善する積極策もありますが、パワーに余裕のない1.3Lエンジンで気筒休止を実装してもさほど効果を期待できませんので、もしやるとしたら1.5Lエンジンで気筒休止を実装する方が燃費競争で有利かもしれません。

さらに、従来のJC08モード燃費から、より実燃費に近い基準へと変化しており、特に高速走行時や高負荷時の燃費性能が重視されるようになっていますので、新しい基準に適合するエンジンが求められます。JC08モード燃費では1.5Lエンジンの方が不利でしょうが、WLTCモード燃費表示に切り替える際にもし1.5Lエンジンの方が実燃費で有利なら、数字が良くなる可能性があります。欧州でも燃費性能の競争がありますが、こちらは欧州複合モード燃費ですのでモノサシが異なりますし、1km当たりのCO2排出量というモノサシもあります(だからCO2排出量の少ないディーゼルエンジンが有利)。

一般に排気量が拡大すると燃費が悪化する傾向にありますが、1.8Lディーゼルエンジンを開発する過程で、排気量を増やしても燃費を悪化させない工夫がなされましたので、これを1.5Lエンジンにも適用すれば燃費を向上できるかもしれません。そうでなくてもCX-5向けに導入された2Lガソリンエンジンの改良と同様の改良はいずれ1.5Lエンジンにも導入されるでしょうが、CX-3の燃費の数字を見る限りでは、燃費へのインパクトはほぼ無いようです。

2.コスト

コストには2種類あります。開発コストと製造コストです。1.3Lエンジンと1.5Lエンジンとの比較では、製造コストにはさほど差が無いのではないかと推測します。開発コストはハードウェア開発だけでなく、ソフトウェア開発や型式認定取得のコストも含まれます。開発コストについては数の出るモデルの方が1台当たりの開発コストの配賦が小さくて済みます。1.3Lエンジンは日本とタイ向けのデミオ専用であるのに対し、1.5Lエンジンは欧州その他各国のデミオ用や、世界各国のアクセラ用に生産されています。ロードスター用の1.5Lエンジンのベースでもあります。

今後次世代エンジンを開発するにあたって、1.3Lエンジンと1.5Lエンジンの両方を開発する場合の開発コストと、1.5Lエンジンのみ開発する場合の開発コストとを比較したら、1.5Lエンジンのみ開発して日本仕様のデミオにも1.5Lエンジンを積んでしまった方が安くつく可能性もあります。タイ向けには現状の1.3Lエンジンをそのまま使い続けるという選択肢があります。

3.競合車種

競合車種との比較では、ヴィッツやフィットの自然吸気ガソリンエンジン車では1.3Lエンジンを積んでいますし、スイフトやノートは1.2Lエンジンです。日本の公道ではこれくらいの動力性能があれば走れてしまいます。さすがに高速道路で長距離を走るのには厳しいですが、それは他のBセグメント車でも同様ですし、高速道路で楽に走りたかったらトルクの太いディーゼルエンジン車という選択肢があり、ガソリンエンジンの排気量が少し増えたくらいではディーゼルエンジンの優位は揺らぎません。アクセラは1.5Lガソリンエンジンと1.5Lディーゼルエンジンの両方がありますが、全く競合していません。

尚、競合車種との比較においては、価格や動力性能だけでなく、燃費性能の競争もあることに注意が必要です。

4.値付け

値付けについては、他の商品とのバランスを考慮して異なる性能の商品には異なる値段をつける必要があり、1.5Lガソリンエンジン車につけられる値段は1.3Lガソリンエンジン車以上1.5Lディーゼルエンジン車未満ですが、価格差が最大で30万円の中で中間の価格をつけると「もう少し足せばもっと高性能なものを買える」という状況になり、あまり売れそうにありません。かといって1.3Lエンジン車とほぼ同じ値段で1.5Lエンジン車を売れば1.3Lエンジン車の中古価格が著しく下落します。

とはいえ、CX-3では競合車が1.5Lガソリンエンジンなのに対して2Lエンジンを搭載し、しかも1.5Lディーゼルエンジン車よりも30万円安くしましたので、1.5Lエンジン車の値段で2Lエンジン車を売っています。アクセラでは2Lガソリンエンジン車の代替で1.5Lディーゼルエンジン車を同じ値段で販売しているのに対して、CX-3では2Lガソリンエンジン車を安くしています。最近のマツダは値付けについては柔軟なのではないでしょうか。ただし高価なCX-3においてはデミオほど燃費性能に対するプレッシャーが無いことに注意が必要です。それにCX-3のガソリンエンジン車はさほど売れているわけではありません。

上記を踏まえながら今後デミオに搭載されるであるガソリンエンジンを推測すると以下が思いつきます。
  1. 改良型1.5Lエンジン(気筒休止で燃費性能にチャレンジ)
  2. 改良型1.3Lエンジン(細かい改良の積み重ねで燃費性能をブラッシュアップ?)
  3. 現行1.5Lエンジンのお下がり(90psに減格する等燃費重視のセッティングでどこまで燃費を追及できるか)
  4. 現行1.5Lエンジンのお下がり(本来の性能のままなら性能は向上するが燃費は確実に悪化)
  5. 現行1.3Lエンジンを使い続ける(性能向上は全くないがとりあえずコストはこれが一番安い)
1と2を比較すると1の方が費用対効果にすぐれているように見えます。コスト重視であれば3と4と5で、ともに開発コスト回収済みとすればあとは製造コストの差ですが、それもさほど無さそうです。手っ取り早く性能を向上させるなら2より3や4の方が割安ですが、4では燃費性能は期待できません。3なら1.3Lエンジンと同じ値段で売るのに抵抗がありません。ただし、3で燃費性能が向上するなら日本向けでもとっくにやっているはずです。燃費の測定方法が変わればまた違ってくるでしょうが。

3と4は新エンジンと旧エンジンの共存を想定したものですが、航空機では旧世代エンジンと新世代エンジンの併用があって、例えばエアバスではNew Engine Option (NEO)とCurrent Engine Option (CEO)の両方が販売されています。CEOの方がコストが安かったり納期が短かったり、従来機種と整備を共通化出来たりといった独自の利点があります。それらの利点が自動車でどの程度あてはまるのかはよくわかりませんが。

タイ市場には1.3L縛りがありますが、だからといってタイ市場だけのために1.3Lエンジンを改良するのは費用対効果が良くないので、エコカー優遇税制の適用を受けられる限り現行エンジンで引っ張る可能性があります。

個人的には1が最もありがたいですし、どのみち1は欧州の環境規制に適合するために必要だと思いますが、1.3Lエンジンも残さなければならないとなると、上位グレードで1、下位グレードで5と併用するのが現実的かもしれません。今の1.3Lエンジンだって日本の公道ではちゃんと走ります。しかもアクセラ1.5Lよりもパワーに余裕があります。数の出る1.5Lエンジンには開発コストをかけ、1.3Lエンジンには極力コストをかけないという考え方を取ると1と5になります。2は費用対効果が悪いですし、3と4は、走行性能はともかく、エンジン自体の燃費性能には限度があり、現在の欧州仕様よりも燃費性能が改善することはありません。

1のさらに上にはSkyactiv-Xのマイルドハイブリッドもありえますが、ディーゼルエンジンと並んで最上位グレードでしょうから、現行のガソリンエンジン車とは別物でしょう。

日本国外仕様のMazda 2

デミオのガソリンエンジンモデルは国によって1.3Lだったり1.5Lだったりしますので、少し調べてみました。

【1.3L】
  • 日本:競合するヴィッツやフィットが1.3Lエンジン搭載。日本の公道では速度域も加速度も低め。ディーゼルエンジン車販売あり。
  • タイ:タイのエコカー優遇税制は1.3L以下のガソリンエンジン車と1.5L以下のディーゼルエンジン車が対象。エンジン仕様は日本向けと同じ。ディーゼルエンジン車販売あり。
【1.5L】
  • 欧州:RON95。欧州ではエンジン出力によって税金や保険料が決まるため、75ps(圧縮比12)、90ps(圧縮比14)、115ps(圧縮比14)と複数種類の出力で販売。1.5L自然吸気90psで1.2Lターボとほぼ同等。欧州の道路は速度域が高めなのと、競合メーカーが低回転でトルクの太いダウンサイジングターボを採用しているため、一回り排気量の大きい自然吸気エンジンで対応。ディーゼルエンジン車販売あり(のはずでしたが、よく見たらディーゼルエンジン車のラインナップが消えていました)。
  • 米国:トヨタのヤリスセダンとして販売。RON91。106hp、14.2kgm(圧縮比12?)。ディーゼルエンジン車販売なし。ハッチバックのヤリスも1.5Lエンジンのみ。
  • オーストラリア:RON91。廉価版は圧縮比12、上位グレードは圧縮比13。ディーゼルエンジン車販売なし。
  • インドネシア:RON91。圧縮比13。ニッチな輸入車という位置づけのため廉価版なし。ディーゼルエンジン車販売なし。
【販売なし】
  • 中国:小型車のニーズが乏しい
  • インド:未進出
  • ブラジル:メキシコ工場からの輸出が頓挫
網羅的に調べたわけではありませんが、大きな市場で見る限り、1.3Lエンジンは日本とタイのみで圧縮比12のRON91仕様が供給されているようです。1.5Lエンジンはデミオ用だけでもRON91仕様とRON95仕様、廉価版は圧縮比12、上位版は圧縮比13(RON91)または圧縮比14(RON95)とあります。さらにアクセラ用にも圧縮比13のRON91仕様と圧縮比14のRON95仕様がある他、欧州向けでは出力が抑制されていたりして、これも何種類かあります。

ソフトウェアでいかようにでも調整できるのでしたらいっそのこと1.5Lエンジンに統一してしまって日本向けに圧縮比12の90ps仕様を出せばよいのではという気もしてきます。現に欧州向けの圧縮比12の75ps仕様なら1.3Lエンジンでも実装できそうに見えますが、敢えて1.5Lエンジンになっています。タイ向けでは税制上の理由で1.3Lエンジンを残さざるを得ませんが、改良型の開発は1.5Lエンジンのみにして、タイ向けの1.3Lエンジンは現行仕様のものをそのまま使い続けるという選択肢もあります。例えばパワーに余裕のない1.3Lエンジン向けに気筒休止を実装しても、開発コストに見合ったメリットをあまり期待できません。

CX-3のガソリンエンジンは2Lに統一されていますが、これはアクセラ用と異なり低回転でのトルクを太くした仕様です。日本市場向けでも競合するヴェゼルやジュークの廉価版が1.5Lエンジンである一方で、CX-3は2Lエンジンですので、必ずしも競合車種に合わせなければならないという考え方ではないようですし、値付けについてもCX-3向けでは1.5Lディーゼルエンジン車よりも安くする等、柔軟に対処しているように見えます。

2018年5月3日木曜日

タイトコーナーのコーナリング

今までヘアピンカーブのようなタイトコーナーのコーナリングが苦手でなかなかうまく曲がれなかったのですが、このたびヘアピンカーブの連続する山道を走った際に、やっときれいに曲がれるようになりました。感覚的には、コーナーの突き当りで止まるようなつもりで一気に減速し、停止直前にブレーキを残したまま素早くかつ大きくステアリングを切ってそのままUターン、向きが変わりだしたらアクセルを踏み込んで一気に加速といった感じです。これでi-DMがずっと青点灯します。ちなみにDレンジだと加速時にもたつきますので2速固定です。

要は四輪の書に書いてある通り、というか教科書通りのごく基本的なことですので、できる人にとっては何を今更という程度のものですが、今まではステアリングを切るスピードと量が足りなかったせいでうまく曲がることができていませんでした。デミオディーゼルはフロントヘビーでフロントの慣性力が大きめというイメージがあって、ミドルコーナーのときと同様に早めにステアリングを切ろうとしていたのですが、タイトコーナーでは目いっぱいステアリングを切っても曲がるまで減速すべきだったのです。よく考えてみれば交差点で左折やUターンをするときには微速時に目いっぱいステアリングを切って曲がりますので、同じように曲がるのでしたら同じような運転操作が求められます。

2018年5月1日火曜日

マニュアルモード時のパワーステアリング

山道を登る際にマニュアルモードで2速固定なり3速固定にすることがよくあるのですが、気のせいか、Dレンジのときよりもパワーステアリングが軽くなっているように感じます。山道ではたしかにステアリングを右に左に切りますので、パワーステアリングが軽くなるのは運転しやすいです。

てっきり単なる車速感応式かと思いきや、もしかして加速度センサーで上り坂を検知しているときにマニュアルモードになるとステアリングを切る機会が増えると予測してパワーステアリングを軽くしているのでしょうか。まっすぐな上り坂ならアクセルを踏み込むだけで済みますが、コーナーの手前でアクセルを抜いてコーナーの出口でアクセルを踏み込む際には、Dレンジだとギアが高すぎて思うように加速しない感があり、そうなるとマニュアルモードにしますので、上り坂でマニュアルモードになるならばコーナーが連続すると推測するのはありかもしれません。できることならDレンジでも運転しやすくなるようATの制御ソフトウェアをさらに作りこんでくれるとありがたいのですが。

油圧式パワステでしたらエンジン回転数が上がるにつれてアシストが強くなりますので、マニュアルモードにしてギアを下げてエンジン回転数を上げればパワステが軽くなりますが、電動パワステにはそのような性質はありません。もしあるとすれば意図的に油圧式パワステと同じ味付けをしている可能性があります。

しかし、そもそもステアリングが軽く感じられるのは気のせいという可能性もあります。アクセルの踏み込みに対して加速しやすくなることでアクセルが軽く感じられ、そのためにコーナー手前でしっかり減速しやすくなることで、単にコーナー手前で速度が低下しているだけということならば、単純な車速感応式パワーステアリングであっても軽くなります。結果的に運転しやすくなればそれでよいので、シンプルな機構であっても体感に影響するならば、別にそれでも構いません。

2018年4月30日月曜日

予見性リコールの後でまとまった距離を走ってみました

インジェクターとバルブスプリングが交換され、ついでにオイルも交換されてエンジンの調子が良くなったことを期待して、まとまった距離を走ってみました。代車やレンタカーでガソリンエンジン車に乗った後に再びディーゼルエンジン車に乗ると高速道路や長距離巡航で楽なことを実感します。

エンジンの調子は概ね良好なのですが、気になったのは時速60km程度の中速域での巡航時、少しアクセルを踏み込んだときに「ココココココ」というノッキング音が聞こえてくることです。リコール前には急な上り坂や高速道路の追越加速時といった低回転高負荷時にノッキング音が聞こえてきましたが、これは本来燃焼されるべき燃料が失火して煤になったせいではないかと推測します。しかし中速域での巡航時といえば最も負荷が低い状態のはずです。巡航時であればエンジンも十分に温まっています。過給圧が不足しているのでしょうか。ターボの不具合でなければよいのですが。

ディーゼルエンジンは低速域での加減速が苦手ですので、それで煤が出るのは有り得るとしても、長距離巡航はディーゼルエンジンが最も得意としているはずで、それで燃焼に不具合が出るのは困ります。

もう一つ気になったのは燃費です。以前なら22km/Lくらい簡単に出るはずの状況で20km/Lくらいしか出ません。煤ができにくくなったのなら燃料を無駄にしない分だけ燃費が良くなっているはずなのですが(実際、2月のリコール入庫の直後には短期間だけ燃費が改善しました)、対策品のインジェクターのパフォーマンスの問題でしょうか。

2018年4月24日火曜日

デミオのガソリンエンジンの新車とアクセラ1.5L前期型の中古とどっちが買いか

デミオのガソリンエンジン車の新しいのに乗ってみたら前期型と比べて随分良くなっていていることに感心しました。1人乗りまたは2人乗りという制約はあるものの、街乗りから日本の高速道路までオールラウンドにこなせるのではないかと思います。一方、非力で高速道路で全然加速しないことに目をつぶればアクセラ1.5Lも捨てがたくて、非力とはいえ1.5Lエンジンは出来がよいですし、アテンザと同じシャーシーを使っているだけあって、シャーシーの性能とそこから得られる乗り味には車格相応の差があります。静音材の量にも車格相応の差があるように見受けられます。

もちろん新車価格にもまた車格相応の差がありますので、デミオにすれば浮いたお金で他に何ができるかと考えてしまうのですが、そういえばアクセラの前期型は後期型が出てから中古価格が下がっているし、アクセラ1.5Lに乗るなら軽快な前期型の方が楽しいということを思い出して中古価格を調べてみたら、前期型なら120万円~150万円で買えることがわかりました。これならデミオのガソリンエンジン車の安いグレードの新車価格と同じくらいです。だとすると同じ予算でどちらにするかと悩む余地があります。

比較の対象はデミオのガソリンエンジンの新車とアクセラ1.5L前期型の中古です。デミオはG-ベクタリングコントロールのついた2016年秋モデル以降がよくて、さらに2017年秋モデルなら安全装備が標準で装備されていますので、買うなら新車だと思います。一方、アクセラ1.5Lは本来は軽快な乗り味が身上ですが、G-ベクタリングコントロールがついてからはエンジンが非力なのに重厚な乗り味になってしまって物足りなく感じます。前期型となれば必然的に中古になります。幸い、2016年夏にG-ベクタリングコントロール付の後期型が投入されてから前期型の中古価格が下がりましたので、デミオの新車と同じ予算で比較できるようになりました。

道具としての扱いやすさを求めるならデミオの新車だと思います。際立った長所が無い代わりに際立った短所もありません。街乗りから日本の高速道路までそつなくこなします。パワーの余裕は全くありませんが、アクセルを踏んでエンジンを回せば一応走ります。一方、アクセラ1.5Lは近所に買い物に行くだけでも気持ちよく、海岸沿いのような平坦地のワインディングで運転すれば楽しいです。FF車にしてはノーズが軽い方ですのでよく曲がります。パワーが無いため必然的にエンジン回転数を上げて走らせることになり、低めの速度でもエンジン音が高らかで体感速度が高めで、ゴーカートのように遊びで乗る分には楽しい車です。その反面、パワーが乏しい分ギアが低めですので高速道路では全然加速しません。もっとも、巡航速度に乗ってしまえばあとはパワーは必要ありませんので、クルーズコントロールを活用して一定速度を維持すれば高速道路を走れないこともありません。後席はデミオよりも広いですが、大人4人で乗ると全然加速しませんので、デミオと同様に実質2人乗りです。長所短所がはっきりしているため、用途に合えば楽しい車ですが、合わなければ使い勝手が悪いです。

安全装備についてはデミオの新車の方が充実しています。しかし安全装備が有用なのは周りに車が多い環境であって、車の密度が低い場所では安全装備が少なくてもさほど問題ありません。車体が小さいデミオは取り回しが楽で、特に駐車スペースが制約されている場所では小さいデミオの方が楽です。全般的に都市部の足車向きでしょう。アクセラ1.5LはCセグメント車の中では全長全幅ともに大き目ですが、意図した通りにコントロールしやすいため、狭い道でも意外と苦になりません。車の少ない田舎、とりわけ標高差の小さい海沿いや平野で乗るならアクセラ1.5Lの安全装備の乏しさやパワーの乏しさはさほど問題にならず、むしろデミオよりも車を運転する楽しさを感じやすいでしょう。

2018年4月22日日曜日

予見性リコールでインジェクターとバルブスプリングを交換しました

高速道路を走行中に突然エンジン警告灯が点灯しました。車の取り扱い説明書を見ても予見性リコールの内容を見てもディーラーに連絡して入庫しろとしか書いてありませんし、エラーコードを吐き出すわけでもありませんので、原因究明のためにも、念のため入庫予約しました。

異常な振動や異音といったわかりやすい症状が無いため、おそらく煤ではないかと予想して、マニュアルモードにして低いギアでエンジン回転数を上げて走っていると、半日くらいしてエンジン警告灯が消えました。やはり煤だったかと思ったものの、ディーラーで診断プログラムを走らせてみないとエンジン警告灯が点灯した原因がわかりませんので、予約した通りに入庫することにしました。

診断プログラムを走らせてみると、一部の気筒の失火が記録されていました。そういえば高速道路の追越加速や急な上り坂のように回転数の割に負荷がかかる状況では「ココココココ」というノッキング音が聞こえていましたので、やはり失火によるものだったようです。アクセルを踏み込めば公道で必要な加速度は確保できていましたので、加速力の不足に気づきませんでした。こうなると予見性リコールの対象となりインジェクターとバルブスプリングの交換になりますので、代車をあてがわれて即入院となりました。エンジンを取り出して整備できる整備ラインが空くまで日数を要するとのことでしたので、長くかかることになりました。

2月にリコールで入庫したときには不具合が記録されておらず、煤を飛ばしただけで終わりました。その直後はエンジンの調子も良く、短距離走行を繰り返していたわけでもないのにたった2か月でエンジン警告灯が出るほど煤が貯まる理由が思い当たりません。

車を引き取りに行くと、インジェクターとバルブスプリングが交換されていました。インジェクターは煤のつきにくい新製品、バルブスプリングは強めのものとのこと。エンジンをばらしての作業ですのでオイルも交換されていました。ECUを書き換えた際のカリブレーションが良くなかったようだとのことです。予見性リコールが発表された後ですから自己負担無しですが、そうでなければ走行距離10万kmを超えていてメーカー特別保証が切れていますので、インジェクターのような高価な部品を交換するとなると高額の負担が発生するところでした。

久しぶりに乗ってみるとエンジンが軽やかに回ってすっと前に出る印象を受けましたが、それまでガソリンエンジンの代車に乗っていましたので、そのせいかもしれません。あるいはオイル交換の効果もあるかもしれません。ガソリンエンジン車だと意識的にアクセルを踏んでエンジンを回す必要がありますが、ディーゼルエンジンだと少しアクセルを踏むだけでぐいぐい走っていきますので、やはり長距離乗るならディーゼルの方が楽です。

2018年4月21日土曜日

マツダコネクトナビで「スマートIC考慮」でルート検索したい

マツダコネクトナビで検索すると、標準ではスマートICを使わないルートで検索されます。スマートICを使うルートに設定するためには、変更画面を呼び出して「スマートIC考慮」のボタンを押した上で再度検索する必要があります。

たしかに、スマートICはETC専用なのでETC車載器の無い車をスマートICに誘導しないよう、標準ではスマートICを使わないルートで検索するというのもわからないでもありません。しかし、車にはETC車載器がついているかついていないかのどちらかであり、ETC車載器がついているならスマートICを使うことに何ら問題ありませんので、事前の検索条件設定画面で「スマートIC考慮」を有効にするかどうかを設定できるようにすべきです。

もちろん、ETC車載器がついていてもETCカードを挿していなかったり、あるいはETCカードの有効期限が切れているという可能性もあります。しかしそのような場合には通常のインターチェンジを利用する場合であってもETC専用レーンに入ってしまったら通過できないわけですから、ETCカードの有無は検索条件に影響するようなものではないのではないかと考えます。

2018年4月15日日曜日

G-ベクタリングコントロール付のデミオガソリンエンジン車に乗りました

デミオのガソリンエンジン車の代車をあてがわれましたので、最新のデミオガソリンエンジン車に乗ることができました。タコメーターがついていませんし、最新モデルにも関わらずトサカアンテナではなくツノアンテナですので、一番安い13Cにメーカーセットオプションをつけて13Sに近づけたものでした。ツノアンテナを見て最初は初期型かと思いましたが、車検証を見たら最新モデルでした。わざわざ13Cだけツノアンテナにするあたり、やはりツノアンテナの方がコストが安いのでしょうね。レンタカー屋は見栄えを気にしないでしょうし。

【安全装備】
2017年12月モデルですので、サポカーS・ワイドの安全装備が全車標準で装備されています。おかげでレンタカー用の一番安いグレードでも安全装備が充実していて助かります。DJデミオ初期型にはないリアパーキングセンサーまでついています。初期型ではXD Touring以上の上位グレードでメーカーオプションで装備したようなものが標準装備されているにも拘わらず価格はほぼ同じですので、実質値下げといえます(メーカーオプションで安全装備をつけるとDVDプレイヤーやTVチューナーを抱き合わせで買わされますのでそれなりの金額になります)。

ハイビームコントロールはなかなかハイビームに入らないため意外と使えないのですが、アダプティブLEDヘッドライトを実装するためにはその前提としてLEDヘッドライトが必要ですので、安価なハロゲンヘッドライトではハイビームコントロールしか選択肢がありません。それでも、ハイビームコントロールにはオートライトが必要ですので、一番安いグレードでもオートライトがついています(オートワイパーも)

【装備】
13Cであってもメーカーセットオプションのコネクティビティパッケージをつけるとだいぶ使い物になります(「大仏買物になります」ではない)。コネクティビティパッケージをつけると以下が使えます。カーナビと音楽と電話が使えると実用上差し支えないレベルになります。
  • マツダコネクトナビ
  • Bluetooth
  • USB+AUX接続端子
  • ハンズフリーマイク
  • 6スピーカー
  • i-DM(スコア&アドバイス)

それでもレンタカー用の安いグレードですので、以下のものがありません。
  • LEDヘッドライト
  • フォグランプ
  • フロントグリルのピアノブラック塗装
  • フルオートエアコン
  • タコメーター
  • ヘッドアップディスプレイ
  • パドルシフト
  • クルーズコントロール
クルーズコントロールはあるに越したことはないものの、どのみち高速道路でしか使わないものですので、街乗り主体のグレードなら無くても困りません。パドルシフトはエンジンブレーキをかけるときに楽なのですが、これも街乗り主体でしたら山道を走ることがあまりないでしょうから、無ければ無いなりにどうにかできます。13C以外ではショップオプションでパドルシフトをつけられるようです。ヘッドアップディスプレイはクルーズコントロールのモードを表示させる上では必要ですが、速度を読み取るなら普通のアナログメーターの方が視認性が良いです。

タコメーターが無いのは物足りませんが、所詮AT車ですし、安いグレードについているデジタルタコメーターは視認性が悪いため、つけないというのも一種の割り切りに思えます。さすがにMT車の一番安いグレードにタコメーターがついていないのはいかがなものかと思いますが。

エアコンはローテクなマニュアルエアコンの方が直感的に操作できます。暑いと感じたら設定気温の低い方にノブ回し、寒いと感じたら設定気温の高い方にノブを回すだけで済みます。正直、フルオートエアコンの存在意義がよくわかりません。装備されているマニュアルエアコンは見た目がなんとも安っぽいですが、エアコンは見た目よりも中身です。

LEDヘッドライトはカバーを含めたユニットになっており、壊れるとユニットまるまる交換で、1個10万円くらいします。普通のハロゲンヘッドライトでしたらカバーを交換するだけで済みます。また、LEDヘッドライトは明るい反面、光が広がりにくいです。アダプティブLEDヘッドライトが必須でなければハロゲンヘッドライトの方がいろいろ便利です。

ワイパーは見た目よりも中身の方が大切ですのでアンテナと同様にコストの安いものをつけているかと思いきや、CX-3用のと同じものが標準装備されていて、13Cのくせに立派です。突起が少なくなることで風切音や空気抵抗が少なくなるのでしょうか。

【内装】
DJデミオは内装にお金をかけている車ですので安いグレードであっても見た目は似ているのですが、いたるところでプラスチックを多用しており、上位グレードと比較すると安っぽいです。ではそれで何が問題かというと、別に思い当たりません。どのみち運転中は前方を注視していますので内装をしげしげと眺めている場合ではありません。

【街乗り】
まずは町中で移動してみると、アクセラ15Sよりも車体が軽い分パワーに余裕があるため、青信号発進時でもエンジン音が気になりません。ただ、非力で遅い車にありがちですが、アクセルペダルが重く感じられます。アクセラ15Sは非力なりに踏めば意外と加速しますし、アクセルペダルが重く感じることもありませんでした。

低排気量ガソリンエンジン車に乗る際にはしっかりアクセルを踏むのがコツで、パワーが無いと言う前に、まずはしっかりエンジンを回して本来のパワーを絞り出してみるとよいでしょう。幸い、マツダのガソリンエンジンは踏んでも燃費が悪くなりません。ディーゼルエンジン車に比べて体感速度が高めですので、しっかりアクセルを踏んで思いっきり加速しても大した速度にはなりません。

G-ベクタリングコントロールのおかげでディーゼルエンジン車のようなどっしりとした乗り味です。さすがにG-ベクタリングコントロール付のアクセラ15Sと同等というわけにはいきませんが、それでもG-ベクタリングコントロールがつく前のアクセラ15Sには近づきました。デミオディーゼルはもともとどっしりしているためG-ベクタリングコントロール有無の違いを感じにくいのですが、デミオのガソリンエンジン車やアクセラの1.5Lガソリンエンジン車だと直進時に違いがわかりやすいです。軽くてパワーの無い車の方が効果を体感しやすいのかもしれません。

G-ベクタリングコントロール導入前のガソリンエンジン車は先代のDEデミオ同様に国産コンパクトカーなりの乗り心地で、よく言えば軽快、悪く言えば安っぽくて、アクセラに比べて車格相応の差がありましたが、デミオも随分偉くなったものだなと感じます。デミオのガソリンエンジンの一番安いグレードといえばマツダ車の中でも最も安い車ですが、それでこの乗り味というのはなかなかお買い得です。高速道路や山道をあまり走らないのでしたらディーゼルでなくても13S Touringでも十分かもしれません。

当たり前ですが街乗りではガソリンエンジンの方が騒音も振動も少なく、どうして都市住民向けのCX-3が当初ディーゼルエンジンのみで発売されたのか疑問です。アイドリングストップからの復帰が滑らかですし、DPF再生のような面倒なものもありません。ガソリンエンジンも直噴ですので、多少は煤がつくのかもしれませんが、1.5Lディーゼルエンジンに比べれば煤に関するトラブルも少ないです。街乗り主体でしたらガソリンエンジンの方が乗りやすいと思います。13S Touringでしたら装備や内装もディーゼルエンジン車に見劣りしませんし。

【アイドリングストップ】
信号待ちで停止時にアイドリングストップを効かせようとしてブレーキペダルを普段通りに踏み込んでもアイドリングストップに入りません。かなり深くブレーキペダルを踏み込んで初めてアイドリングストップに入ります。初期型だとアイドリングストップに入りたくない場合には意識的に浅めにブレーキペダルを踏む必要があり却って疲れましたが、それが不評だったのか、意識的に深めにブレーキペダルを踏み込んで初めてアイドリングストップに入るセッティングに変更になったようです。ブレーキペダルを強い力で踏み続けていると疲れますので、アイドリングストップを効かせたかったらギアをNレンジに入れる方が楽でしょう。

【高速道路】
G-ベクタリングコントロールがつく前のデミオのガソリンエンジン車にレンタカーで乗った際には、時速80kmを超えたあたりから国産コンパクトカーなりの騒音振動になって、所詮デミオかと落胆し、それがディーゼル購入の決め手になりました。そのイメージがありましたのでG-ベクタリングコントロール付のデミオのガソリンエンジン車はどうなったろうかと気になっていたのですが、実際に乗ってみると高速道路を走るのが苦にならず、高速道路で長距離乗っても全然疲れませんでした。G-ベクタリングコントロールは小さくて軽い車が高速走行する際には効果があるように思えます。

日本の高速道路で常識的な速度で走る分には全く不足がありません。もちろんディーゼルエンジン車ほどの余裕はありませんので追越加速時にはアクセルを目一杯踏む必要がありますが、さらに踏み込んでキックダウンスイッチのお世話になる必要はありません。比較の対象が古いですが、感覚的にはSkyactivの2Lエンジンを積んだプレマシーと同じくらいでしょうか。また、巡航速度域でアクセルの踏み込み量を調節すると必要に応じてシフトダウンしたりシフトアップしたりしますが、変速がスムースで、意図した通りの力が出ます。パワーが乏しいので追越加速は厳しいものの、一旦巡航速度に達すればあとは快適に走ります。

15インチタイヤかつ純正のBluEarth-Aですので高速コーナーでタイヤの横剛性が不足するかと懸念しましたが、いざ走ってみるとG-ベクタリングコントロールのおかげか特に問題なく走れました。

嬉しいのは、これが15インチタイヤで実現できていることです。16インチタイヤに比べるとかっちりした感じは薄れますが、乗り心地は特に問題ありません。16インチだと185/60R16という特殊なサイズのため、タイヤの選択肢がBluEarth-AかLE MANS Vくらいしかありませんが、標準的な185/65R15ならTURANZAやREGNOやADVAN dBもあります。

アクセラ15Sとの比較は微妙で、パワーについては明らかにデミオの方が余裕があります。一方、アクセラの方がホイールベースもトレッドも一回り大きくて高速安定性が良いですし、シャーシもアテンザと同じものを使っていますので、高速安定性についてはやはりアクセラに一日の長があります。遮音についてもアクセラの方がお金をかけています。それでも、買うとしたらどちらにするかと問われれば値段が全然違いますのでデミオ13Cの方がお買い得かもしれません(ただしBMアクセラ前期型中古だと同じくらいの値段)。もちろん、後席に人を乗せる前提でしたらデミオはありえませんが、さりとてアクセラ15Sも非力ですので快適に走れるのは2人乗りまでです。

【山道】
スポーツモードにすれば楽に登れます。緩い坂でしたらスポーツモードも不要です。楽に走れますが、楽しいというほどではありません。全般的にデミオのガソリンエンジン車は癖がなく、実用の道具に徹している感があります。

【燃費】
さすがにディーゼルエンジン車よりも燃費が劣ります。高速道路で長距離乗って、街乗り分と合わせて平均19.0km/Lでした。JC08モード燃費の約8割です。ディーゼルですと平均22.0km/Lくらいは簡単に出せますし、レギュラーガソリンと軽油との価格差を考慮すると燃料コストの差がさらに開きます。しかもディーゼルエンジンの場合、高速道路での実燃費がモード燃費よりも良好ですので高速道路を走る距離が長ければ長いほど燃費に差がつきます。

燃費もさることながら、満タン給油での走行可能距離が600kmくらいですので長距離乗ると給油の頻度が増えるのがやや不便です。ディーゼルエンジン車だと燃費が悪くても700kmくらいは確実に走ります。燃費が良ければ無給油で900kmくらい走れます。走行可能距離0kmで給油するわけではなく、実際には残り100kmくらい余裕を持たせて給油しますので、満タン給油からの走行距離500kmと700kmとの比較になります。

他の条件を同じにして比較するとガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車との価格差は30万円、ガソリンエンジン車の燃料コストが約7円/km、ディーゼルエンジン車の燃料コストが約4.5円ですのでkm当たりの燃料コストの差は約2.5円。5年で12万km走れば燃料代の差でディーゼル有利です。逆にそれ以下であれば多少燃料代が高くついてもガソリンエンジン車の方が安くつきます。

【塗色】
レンタカーの定番はシルバーですので、ソニックシルバーでした。トヨタ車のシルバーと見比べてみると、アルミフレークが少なめなのか艶やかな感じで、光の当たり具合によってはセラミックメタリックに似たような色合いに見えます。少し青が入っているのでしょうか。

【価格】
今回乗ったのは13Cにメーカーセットオプションでコネクティビティパッケージをつけ、ディーラーオプションでETCをつけただけのものです。本体価格が税込み1,393,200円、コネクティビティパッケージが税込み54,000円、ETCは27,340円、マツダコネクトナビSDカードプラスが48,600円合計で1,523,410円、諸経費込みで乗り出し1,716,650円です。いまどきの軽自動車の新車価格と同じくらいです。N-BOX等のトールハイトワゴンでいろいろオプションをつけると200万円近くになる時世です。予算に余裕があれば装備の充実した13S Touringにしてもさほど高くありませんが、走りは一緒です。

軽自動車並の値段で街乗りから高速道路までそつなくこなせて、サポカーS・ワイドの安全装備が標準装備されていて、しかも万一追突された場合の後席の安全性も高い車ですので、実にお買い得だと思います。マツダの藤原専務へのインタビュー記事では「デミオのガソリン、一番安いのがおすすめ」とありますが、実際に乗ってみると確かにその通りだと思います。

【総評】
これならディーゼルエンジン車でなくても長距離の移動もこなせてしまいそうです。13S Touringにでもして浮いたお金を他の楽しいことに使えば、人生もっと楽しくなりそうです。といっても長距離乗ると燃料代だけで元が取れてしまいますので、結局ディーゼルにするかもしれませんが。

2018年4月14日土曜日

2.2Lディーゼルエンジン初期型にもサービスキャンペーン

2018年4月13日付で2.2Lディーゼルエンジン車の初期型に対してエンジン制御プログラムを最新のものに書き換えるサービスキャンペーンが発表されました。1.5Lディーゼルエンジン初期車でもサービスキャンペーンでDE精密過給制御やナチュラルサウンド周波数コントロール等が実装されましたので、2.2Lディーゼルエンジン初期車でも同様にしないと高価な2.2Lエンジン初期型のユーザーが取り残されてしまいます。また、これから中古市場に出るであろう車の商品価値を高めることは、中古価格の向上、下取り価格の向上、ひいては新車販売価格の引き上げに貢献しますので、営業政策上も必要なことなのでしょう。

どのみちエンジン制御ソフトウェアは最新のものに統一してしまった方が管理は楽で、あとはエンジン制御ソフトウェアのリコールで国土交通省と協議するついでに協議してしまうのが手間がかかりませんが、同日に発表された2.2Lディーゼルエンジン車のリコールはエンジン制御ソフトウェアとは関係ないものです。もしかして1.5Lディーゼルエンジン車のエンジン制御ソフトウェアのサービスキャンペーンの協議を踏まえて2.2Lディーゼルエンジンでも同様のサービスキャンペーンを実施することにしたのでしょうか。

内容は1.5Lディーゼルエンジン車のものと同様なのですが、唯一異なるのが改善の内容の中に「AT車はトランスミッション制御プログラムも最新プログラムに更新します。」という文が含まれていることです。DE精密過給制御にATの制御プログラムの変更が果たして必要なのか疑問ですが、2.2Lディーゼルエンジンはもともとシーケンシャルターボでターボラグが小さめですし、パワーにも余裕がありますので、加速しすぎないようにギアを高めにするのでしょうか。

2018年4月11日水曜日

CX-3向け1.8Lディーゼルエンジン

CX-3用に1.8Lのディーゼルエンジンが搭載されることになり、ディーラーではそれに基づいて商談が行われているようです。最大出力は116ps(4000回転)、最大トルクは270Nm(1600-2600回転)とのこと。

最大トルクが1.5Lディーゼルエンジンと同じなのは中容量変速機のトルク容量270Nmの制約に合わせて過給圧を調整したのではないかと推測します。最大トルクの出る回転数が1600回転から2600回転となり、性能曲線上でトルクが頭打ちになっている回転域が拡大していますので、エンジンの素性としては出力の向上分に見合った性能向上があるのではないでしょうか。トルク自体は1.5Lディーゼルエンジンでも十二分にありますが、出力=トルクx回転数である以上、低回転域での出力は現状の変速機のトルク容量に制約されることになります。僅かな性能向上のために大容量変速機を採用したり6速のまま中容量変速機のトルク容量を拡大するのはあまり現実的ではないのでしょう。

最大出力116psが出る回転数は4000回転のままですので、4000回転のときのトルクが10%増えたことになります。排気量が1.5Lから20%増えた割に出力は10%しか増えておらず、残りの10%は煤対策(吸気側に貯まった煤の吸出し?)なり燃費なりに振り向けられているのかもしれません。エンジンについて知見がありませんので、どのようにすれば煤対策ができるのか見当がつきませんが、排気量が20%増えて最大トルクが同じということは燃料の濃度は下がるはずです。

CX-3ユーザーは短距離走行の多い都市住民が多いでしょうから、煤対策のために暫定スペックで1.8Lディーゼルエンジンを導入したのでしょうか。デミオよりも1割重いCX-3ならこの出力向上で十分かもしれませんが、デミオよりも2割重いアクセラではまだ物足りません。

一方、デミオではAT車の最大トルクが250Nm、MT車の最大トルクが220Nm(小容量ATのトルク容量)に抑えられており、排気量に対する燃料噴射が抑制されていますので、排気量に余裕を持たせる必要はあまり無いかもしれません。

仮に出力が20%向上したとしても、依然として2500回転まではトルクも回転数も同じで、トルクのピークが3000回転くらいまで広がるくらいでしょうか。6速で走る高速道路での追越加速は向上するかもしれませんが、MTならまだしもATでトルクバンドのピークを拡大してもあまり効果がありません。低い速度域ではこれ以上エンジントルクを向上させるよりも変速機にお金をかけて例えば8ATを導入し、併せて1.8Lディーゼルエンジンに合わせて設計を最適化しトルク容量を拡大できれば動力性能を向上できるでしょう。

もしアクセラに1.8Lディーゼルエンジンを積むとしたら、1.5Lディーゼルエンジンのときと同じようにギアを下げてエンジン回転数を上げるでしょうから、3000回転くらいまでは常用しそうです。となると現状のトルク容量のままでも1.8Lディーゼルエンジンが本来の性能を発揮できれば実用回転域での性能向上に寄与するかもしれません。アクセラはフルモデルチェンジを間近に控えていますので、もし1.8Lディーゼルエンジンが搭載されるとしたらこちらが本命かもしれません。

→と期待していたのですが、CX-3の商品改良時に発表資料によると1.8Lディーゼルエンジンは270NmまでEGRが効くことを目的に開発されたエンジンとのことで、だとすると変速機のトルク容量以前に環境基準に適合するためには270Nmまでしか出せないということになります。その代わり、高回転域でのトルクがだいぶ太くなっていますので、3000回転あたりを常用するアクセラ1.5Lディーゼルではこのままでも性能向上に寄与するかもしれません。これが2.2Lディーゼルエンジン車を代替できるかどうかわかりませんが。

ディーゼルエンジンに煤飛ばしモードは可能か

DPFに煤が貯まったら自動的にDPF再生モードに入ってDPFに貯まった煤を焼きますが、同様にエンジンの吸気系に煤が貯まったら自動で煤飛ばしモードに入ることはできないものでしょうか。

DPF再生モードはエンジン制御ソフトウェアだけで可能ですが、煤飛ばしモードを実装するためにはATの制御ソフトウェアをいじって低いギアで高いエンジン回転数を維持することになるのではないかと想像します。エンジンとATとの協調制御はとっくに実現していますので、あとはソフトウェアの作り込み次第でしょう。原理は簡単ですが、そのままだと運転感覚が著しく変わりますので、燃料噴射を工夫することで極力運転感覚に違和感を与えないようにするのが鍵ではないかと想像します。

本質的な対策はEGRも含めて吸気系の設計を改善することではないかと思うものの、既に1.5Lディーゼルエンジンが市場に出回っている以上、既存のエンジンがなるべく不具合を起こさないようにする手立ては必要ではないでしょうか。

2018年2月19日月曜日

走行距離が10万kmを超えました

納車から3年強を経てやっと走行距離が10万kmを超えました。本来ならもっと早いペースで10万kmを超えているはずだったのですが、途中でペースダウンしたため、当初予想よりも長くかかりました。長距離乗っても苦にならないというのはこの走行距離の示す通りです。

10万kmを超えるとメーカー特別保証が効きませんし、過走行車として下取りは全く当てになりませんが、かといって車を買って乗らないのが一番無駄だろうということで、今までかかった費用をもとにkm当たりの単価を計算してみました。

まず固定費用としての車両価格と点検費用と税金と保険と駐車場代ですが、全部合わせて350万円くらいです。10万で割るとkm当たり35円です。ここでは仮に下取り0とします。次は変動費用で燃料代はkm当たり約5円、高速道路料金は区間によって異なるものの、標準でkm当たり約25円です。実際には1回利用ごとにターミナルチャージ150円がかかったり大都市近郊区間では割り増し料金があったりするのですが、走行距離の大半が高速道路走行とはいえ一般道の走行もありますし、大都市近郊区間以外では休日割引もありますので、おおざっぱに均すとだいたい25円/kmくらいになります。限界費用は30円/kmくらいです。固定費用と限界費用の合計で65円/kmくらいです。こうしてみると改めて高速代の高さを実感します。高い車を買っても普通車である限り高速代は同じですので、長距離走るならもっと高い車でもkm当たり単価への影響はあまりないのかもしれません。車は高い買い物ですが、高速道路はそれ以上に高い買物のようです。

では、標準的なケースである年間走行距離1万kmで3年後の下取り価格が100万円であるケースでkm当たり単価を計算してみるとどうなるでしょうか。まず固定費用は350万円から下取り分を差し引いて250万円。3万kmで割ると80円強です。これに燃料代と高速代を加えるとkm当たり110円くらいになります。短距離走行だと平均燃費が悪くなりますので、km当たり燃料コストがやや増大するものの、せいぜい5円/kmが7円/kmに増える程度ですので、固定費用や高速代に埋もれてしまいます。また、短距離走行がメインだと高速代もあまりかかりませんので、実際には90円~100円/kmくらいでしょうか。下取りを考慮してもやはりたくさん乗った方が単価が安くなりますので、どうせ買うなら過走行を恐れずに乗るのがよさそうです。

次に、買ってもほとんど乗らないケース、3年で1万kmくらいしか走らない場合に同様にkm単価を出してみると、固定費用は同様に250万円として距離で割ると250円/km。短距離利用の場合には高速代がほとんどかかりませんので、260円~270円/kmくらいでしょうか。下取り価格がもっと高ければ200円/kmくらいまで下がるかもしれませんが、それでも固定費がかさみますので高くつきます。ほとんど乗らないならカーシェアリングの方が安くて、普通に乗っても月1万円くらいしかかからず、3年乗って36万円です。km単価にしてもせいぜい50円くらいです。

ちなみに公共交通機関との比較では、新幹線は500kmで1万円~1万5千円くらいですので20円~30円/kmとさすがに長距離乗る分には安いです。飛行機でもJALやANAの特定便割引運賃のkm単価は同じくらいです。安い飛行機ではさらにkm単価が下がり、東京札幌間1000kmで1万円と10円/kmにまで下がりますので、長距離移動では飛行機以外の選択肢を思いつきません。高速バスはだいたい100kmにつき1000円くらいですので10円/kmとさらに安いです。在来線特急の運賃料金はだいたい高速バスの1.5倍から2倍くらいで、15円~20円/kmです。

しかし、すでに車を保有しているなら限界費用との比較になり、これは車の走行距離に依存しません。一方、公共交通機関の運賃は人数に比例しますので、4人で乗れば100円/kmくらいかかります。複数乗車、特に子供連れでしたら当然のことながら車の方が安いです。さらに、公共交通機関利用であっても現地の足が必要となるとレンタカー代がかかり、だいたい1日乗ると燃料代込みで1万円くらいかかりますので、仮に200km走行で1万円ですと50円/km加算することになり、さらに高くなります。

2018年2月18日日曜日

走行可能距離表示

長距離を走ると燃料の残が気になります。走行可能距離が0になった時点で給油すると40L給油できますので4L分(60~100km)の余裕はあるものの、これも使い切ると燃料ポンプに空気が入り込んでエンジンが始動しなくなりますので、やはり走行可能距離の表示は気になります。

カーナビに表示される目的地までの距離と走行可能距離の表示とを見比べて十分に余裕があればよいのですが、ギリギリを狙うと途中でDPF再生が始まったときにみるみるうちに走行可能距離が減少していって、結局燃料が足りなくなります。途中で渋滞に巻き込まれる場合にも燃費が悪化して走行可能距離が減少します。また、カーナビ推奨ルートよりも走りやすいルートの方が距離が長い場合には、当初の推奨ルートから離脱した時点で目的地までの距離が増えます。DPF再生や不慮の燃料消費を考慮するといつも100kmくらい余裕を持たせることにしています。

燃料が微妙に足りない場合には途中で給油しますが、1000円分入れれば200km分くらいの余裕が出ます。8Lくらいですので、L単価が数円高くてもせいぜい数十円の差でしかありませんから、無理して安いスタンドを探す必要もありません。

2018年2月10日土曜日

エンジン制御プログラム更新後に高速道路を走ってみました

エンジン制御プログラムが更新され、出かけるのが楽しみと思っていた矢先、早速高速道路を走ることになりました。DE精密過給制御が導入されても街乗りでの加速が楽になるのが主で、高速道路では追越加速が楽になる程度かと思っていましたが、意外と高速道路でも乗りやすくなりました。

1.直進安定性

冬タイヤを履いていることもあり、あまり速度を出すつもりになれないのですが、なぜか直進安定性が向上して高速巡航が楽になりました。

直進安定性の向上の原因として真っ先に思い浮かぶのはG-ベクタリング・コントロールですが、サービスキャンペーンではDE精密過給制御とナチュラル・サウンド・周波数コントロールの記載しかありませんし、G-ベクタリング・コントロール向けにサスペンションセッティングの最適化も必要なはずです。Gモニターを見てみるとGの細かい変動が前よりも少なくなったのではないかと思えてきたものの、Gの細かい振動が皆無になったわけではありませんので、きちんと計測してみないとわかりません。

ナチュラル・サウンド・周波数コントロールは騒音低減だけでなく、騒音の元になる振動を相殺していますので、エンジン由来の振動は減少しているのかもしれません。

2.高速コーナー

タイヤの横剛性が低いと安定して通過できないのですが、従来よりも走りやすくなったような気がします。今のところ気のせいでしかありませんが、これは曲線通過速度を計測するとわかりますので、引き続き注視してみようと思います。

3.追越加速時の速度の伸び

従来よりも速度が伸びるようになりました。アクセルを踏んでから加速度が立ち上がるまでの時間が短くなったにせよ、加速度自体は向上していませんのでエンジンの性能によるものではないのではないかと推測します。むしろ、ナチュラル・サウンド・周波数コントロールの影響でエンジン音の低音成分が減少したことで、エンジン音を基準にした体感速度が低下したためにいつの間にか高い速度に到達してしまうのではないかと推測します。

4.燃費

同じような道を同じように走っているだけなのに、なぜか燃費が良くなりました。従来24km/Lくらいだった道で26km/Lを超えました。これはエンジンの煤を飛ばして燃焼効率が良くなったためでしょうか。あるいは、DE精密過給制御はアクセルの踏み込み速度が低いときにはあまり燃料を吹きませんので、高速巡航時には燃料を節約できているのでしょうか。

その後も燃費は好調で高速道路走行時に自己ベスト2位の平均燃費29.7km/Lを出したり、ある程度まとまった距離を走っても27km/Lくらいで走れています。

2018年2月7日水曜日

G-ベクタリング・コントロールは何が効いているのか

今までの経験上、G-ベクタリング・コントロール付の車に乗ると高めの速度でコーナーに突っ込んでも意外と曲がれてしまいます。本来、遠心力は走行速度と曲線半径によって一意に決まるもので、遠心力がタイヤのグリップ力を超過すれば当然曲がれませんので、G-ベクタリング・コントロールがあろうが無かろうが曲がれる速度は同じであるはずです。

しかし実際には車内には0.01Gから0.05G程度の微小な揺れが常に発生していて、それはG-Bottleを置いてみたりGモニターを表示させたりすれば可視化できます。路面の細かい凹凸によって振動が発生しますので、震動による揺れ自体を無くすことはできません。その揺れは直進時にも曲線通過時にも発生していて、曲線通過時には遠心力による横Gに加えて、揺れによる横Gも発生しています。路面の凹凸は左右の前輪に前後方向の力を加えるだけでなく、左右の前輪にかかる荷重が変化すればタイヤのグリップ力も変化しますので、左右のタイヤのグリップ力の差異によってコーナリングフォースが発生します。これが横Gになるわけです。揺れによる横Gが加わった状態で限界を越えないのが曲がれる速度になりますので、揺れのせいでコーナリング性能を無駄にしていることになります。曲線通過時の横Gが0.2Gの場合と0.25Gの場合とでは体感速度がかなり違います。

しかも、遠心力による横Gはコーナーに入るにつれて徐々に大きくなるものですから同乗者にも予測しやすく身構えやすいのにに対し、常に発生する揺れを個々の振動レベルで予測して身構えることは不可能です。同乗者が揺すられなくなるのはこの余計な揺れが無くなるためでしょう。実際、G-ベクタリング・コントロールでコントロールしている加速度は通常は0.01G、最大でも0.05Gとのことで、何を打ち消そうとしているかが見て取れます。

尚、コーナー手前で減速してコーナー出口で加速するというマクロレベルのコーナリングについては、そもそも減速時にはアクセルオフですのでエンジントルクの制御によってコントロールすることは不可能です。コーナリングで最も難しいのは減速のタイミングですので、ここを制御できないということはマクロレベルのコーナリングをエンジントルクによって制御することはできないということです。

ところで素朴な疑問なのですが、G-ベクタリング・コントロールは車速とステアリング切り角のみから最適なエンジントルクを計算しているとありますが、どういうロジックで計算しているのでしょう。車速を時間で微分すれば加速度を計算できますし、それをさらに時間で微分すれば躍度を計算できます。また、ステアリング切り角を時間で微分すれば変化率を計算できます。また、車速とステアリング切り角から本来発生すべき横Gを計算できます(ステアリング切り角が0のときには横Gが0であるべき)。市販車は弱アンダーステアですので、曲線内側に逸脱している場合にはエンジントルクを増やして車体を曲線外側に向ける必要がありますし、逆に曲線外側に逸脱している場合にはエンジントルクを絞って車体を曲線内側に向ける必要があります。しかしこの際、前後方向の速度データだけではどちらの方向に逸脱しているかわからないように思えるのですが、どうやって識別しているのでしょう。

曲線が内側に寄れば直進方向のベクトルが僅かに短くなり、逆に曲線が外側に寄れば直進方向のベクトルが僅かに長くなることから、これを車速の変化として識別しているのではないかと推測します。では直進時にはどうかというと、そもそも実際の道路には完全な直線というものはほとんど存在しませんし、たとえ完全な直線であってもステアリング切り角が厳密に0ということはありえなくて、直進しているときですら小さな修正舵を当てることで半径の大きな左カーブと右カーブを交互に走っていることになります。となれば車は常に曲線上を走っていることになります。

前後方向の揺れについては簡単で、曲線での左右方向の逸脱を補正してもなお本来あるべき位置よりも前に出ていればエンジントルクを絞り込んで後ろに下げればよいですし、逆に本来あるべき位置よりも後ろに下がっていればエンジントルクを増やして前に出せばよいことになります。実際には左右方向の揺れと前後方向の揺れがありますので、それぞれ合算して最適なベクトルを算出するのでしょう。だからこそベクタリング・コントロールとなるのではないかと想像します。

2018年2月4日日曜日

リコール対応でエンジン制御プログラムを更新しました

リコールがありましたので入庫してきました。エンジンそのものに特に不具合は感じていなかったのですが、リコール対応の副産物としてエンジン制御プログラムが最新になるのに際して、初期型でもDE精密過給制御とナチュラル・サウンド・周波数コントロールが利用できるようになることが同時発表のサービスキャンペーンにより判明しました。

DE精密過給制御とナチュラル・サウンド・周波数コントロールは代車で体験していましたので、制御プログラムで対応できるものなら初期型にも反映してほしいとかねてから思っていました。あいにく型式に係るものは国土交通省の許認可が必要で、単独での変更では手間がかかりますが、リコール対応するとなればどのみち国土交通省との協議が必要で、どうせエンジン制御プログラムに手を加えるなら古いプログラムに手を加えるよりも最新のプログラムに統一した方が工数が少なくて済みますし、ユーザーの利益にもなるということではないかと推測します。

しかし、サービスキャンペーンにはG-ベクタリング・コントロールが実装されたという記述はありませんので、実際にはG-ベクタリング・コントロール有りと無しの2種類があるものと思われます。G-ベクタリング・コントロールを実装するにあたってはサスペンションセッティングも変更したとのことですので、エンジン制御プログラムの変更だけではG-ベクタリング・コントロールを実装できません。

あとはナチュラル・サウンド・スムーザーがつけば申し分ないものの、こちらはエンジンを分解しないと取り付けられませんし、リコールのついでというわけにもいかないでしょうから、初期型につけるのは現実的ではありません。その結果、ナチュラル・サウンド・スムーザーはついていないけれどもナチュラル・サウンド・周波数コントロールのついている個体が発生することになります。

入庫予約の際に「作業時間は1時間半ほど」と言われました。制御プログラムの書き換えだけでしたらそんなに時間がかかることはないでしょうが、エンジンを回して煤を飛ばす作業があるためでしょう。

実際の入庫は1時間半強でした。ディーラーでの説明によると、冷温始動時に煤が出やすいことから、燃焼室内の温度に応じて燃料噴射の設定を変えるようにした由。また、ディーラーで見せていただいた資料によると、交差点での右左折時の加速(徐行時からの加速)でもたつくことに対処したという記述に加え、コーナーからの脱出時のステアリングを戻しながらの加速(時速50km程度)でもたつくのにも対処したとのことでした。

【第一印象】
低速での出足が激変。単にDE精密過給制御付のデミオと同じになっただけのはずなのですが、初期型の個体で出足が変わるとその変化に驚きます。街乗りでは随分扱いやすくなりました。感覚的には15インチホイールXDの初期型よりも出足が軽いです。ただし、今までのエンジン制御に合わせたアクセルの踏み方をしていましたので、慣れないうちは踏みすぎてしまいました。しばらくして慣れてくると加速時にi-DMで青点灯させやすくなりました。

【コーナリング時】
今までもさほど不便を感じていなかったので、果たして効果があるのかと疑っていました。いざ走ってみるとコーナーの出口であまりアクセルを踏まなくても微小なアクセルコントロールをしやすくなったような印象を受けました。i-DMで青点灯しやすくなりました。

【高速道路での追越加速】
今までもさほど不自由していなかったのですが、これもアクセルを踏んでから加速を開始するまでのわずかなタイムラグが解消したような印象を受けました。加速度自体には差はありません。

【エンジン音】
ナチュラル・サウンド・スムーザーがついていませんので、カラカラ音については従来のままですが、低い音が小さくなったように感じました。高速巡航時にはもともと車内にカラカラ音が入ってきませんので、ひと昔前のガソリンエンジン車の音に近づいてきました(さすがにいまどきのガソリンエンジン車と同等というわけにはいきません)。高速巡航時にはエンジン音があまり気にならなくなった反面、ロードノイズや風切り音が気になるようになりました。

【ノッキング音】
従来は低回転で高負荷をかけると「ココココココ」とノッキング音がしましたが、入庫時にエンジンを空ぶかしして煤を飛ばしたせいか、ノッキング音がしなくなりました。たまにはエンジンをしっかり回した方が良さそうです。

【燃費】
正確に計測したわけではありませんが、燃費自体は今まで通りに見えます。加速するまでの間が短くなっただけで、加速度自体が変化しているわけではありませんので。

【総評】
アクセルを踏んだときに一瞬もたつく感じがしなくなったおかげで、ぬるぬる加速するようになりました。アクセルペダルの物理的な反力には何ら違いはありませんが、従来はアクセルペダルを踏んでから加速に反映されるまでの間があたかもアクセルペダルの反力を大きいかのように感じさせていました。2016年1月モデル以降はこれが当たり前ですが、やっと初期型もまともに加速するようになりました。今回の入庫は初期型ユーザーにはかなり効果がありますのでおすすめです。