2018年10月25日木曜日

CX-8にガソリンエンジン車登場

CX-8の商品改良で従来からの2.2Lディーゼルエンジンに加え、2.5Lガソリンターボと2.5L自然吸気エンジンが登場しました。2.5Lターボは4WDのみ、2.5L自然吸気エンジンはFFのみと棲み分けています。もともと2.5Lターボはディーゼルエンジン車を販売できない国向けですのでCX-5と同様に日本向けにも搭載するのはわかりますが、2.5L自然吸気エンジンが出たのは意外でした。アーリーアダプター向けに高価な2.2Lディーゼルエンジン車が行き渡ったら次はもっと安いグレードで普及を図るのでしょう。

折しもアルファード・ベルファイアのマイナーチェンジが発表された直後ですので、そういえばアルファード・ベルファイアも一番安いグレードは2.5Lエンジンであることを思い出しました。アルファードは2.5Lエンジンであってもパワーに余裕があって運転が楽ですので、それならCX-8だって2.5Lエンジンでもある程度は走るのでしょう。マツダの2.5Lターボは3.7LのV6エンジンの代替ですし、2.2Lディーゼルは長距離巡航が得意で燃費が良いという点ではトヨタのハイブリッドモデルに近い位置づけでしょうか。

せっかくですので価格を比較してみると、やはりCX-8の方が一回り安いです。ベースグレードの2.5L自然吸気エンジンで消費税込本体価格2,894,400円に対し、アルファードのベースグレードで3,376,080円です。アルファードの方が少々高いですが、なにぶんリセールバリューがとても高い車ですので、実質的な価格差はほとんどないと言えます。

次に真ん中の2.5LターボはProactiveで3,742,200円、L Packageで4,244,400円に対しアルファードの3.5Lでは下位グレードで4,652,000円、上位グレードだと7,028,640円と全然違います。Exclusive Loungeは内装が別格ですので同じグレードで比較するとしたらCX-8 L Packageの4,244,400円とアルファードGFの4,652,000円との比較でしょうか。これもリセールバリューを考慮するとアルファードの方がお買い得かもしれません。

CX-8のディーゼルエンジン車だと3,607,200円~4,460,400円、アルファードのハイブリッド車はExclusive Loungeを除くと4,384,800円~5,551,200円と一回り高いです。しかしそれでもアルファードは高いグレードほどリセールバリューが高いので、この価格差はリセールバリューの差といえるかもしれません。

CX-8内での各グレードの比較では、パワーもトルクも2.2Lディーゼルエンジンに引けを取らない2.5Lターボがディーゼルよりも少し安いのが目につきました。ディーゼルエンジンよりも補機類が少なくて製造コストが少し安いのと、長距離乗ると燃料代がかさむためでしょうか。2.5L自然吸気エンジンだと2.5Lターボよりも50万円ほど安く、それでも見た目は高いグレードと一緒です。

同じエンジンを積んだCX-5との比較では、下位グレードの価格差が小さい一方で、上位グレードの価格差が大きいです。また、CX-5の2.5LターボはL Packageしかない一方で、CX-8の2.5LターボはProactiveもありますので、4WDどうしの比較だと価格差がほとんどありません。CX-8の2.5L自然吸気エンジンはアルファードのベースグレードに合わせて低めの価格をつけているようで、廉価グレードであってもCX-9と同じ足回りであることを考えれば、お買い得に見えます。プレマシーよりはまだ一回り高いものの、だいぶ歩み寄ってきた感があります。

2018年10月23日火曜日

デミオの中古価格を調べてみました

デミオのガソリンエンジン車のエンジンが1.5Lになってから1.3Lの中古が安くなったかなと思って中古価格を少し調べてみました。1.3Lであってもアクセラ1.5Lよりもパワーに余裕がありますので、高速道路に乗らないなら1.3Lでも十分で、さらに安ければそれに越したことは無いと思った次第です。中古車といってもピンキリですのでとりあえずマツダ公式サイトで掲載される各ディーラーの中古価格を見てみました。

まず年式の新しい順で検索してみると走行距離数千km程度の13Sが乗り出し160万円くらいで出てきます。1.5Lの新車だと乗り出し200万円くらいしますので、それに比べれば一回り安いものの、1.3L末期は値引き幅が大きかったことを考えれば、中古といえどもさほど値下がりしていない印象です。登録未使用だともう少し高くなり、それなら1.3L末期に新車で買った方が得だったのではないかと思えてきます。

物は試し乗り出し価格の安い順で検索してみると、10年落ちのDE前期型デミオが乗り出し40万円くらいで出てきました。さすがにいまどき4ATはつらいですが、5MTでしたら遜色ありませんし、探せばMT車も出てきます。4ATが嫌ならCVTという選択肢もあります。

免許を取り立ての初心者が近所で練習するには手頃かもしれません。運転して楽しい車ですので、車の運転が好きになれば上達の足しになることでしょう。DE前期型デミオは長距離乗るにはつらいですが、どうせ初心者ならそんなに遠出はしないでしょう。万一こすったりぶつけたりても3年くらいで履きつぶすつもりでしたらさほど惜しくありません。3年乗れば1年当たり13万円程度ですので、カーシェアリングで毎月1万円使うのとほぼ同じコストです。

10年経っている車でも走行距離が数万km程度で、5万km超えの車はほとんど出てきません。走行距離の長い順で検索してみても最大で9万kmでした。過走行の車なんて値がつかないのでそもそも中古市場には出てこないのでしょうが、それにしてもそんな程度の距離で手放すなんて、よほど満足いかなかったのでしょうか。あるいは残クレでディーラーが引き取った車でしょうか。いずれにせよ年間数千kmしか乗らないならカーシェアリングでも十分ではないかと思えます。

2018年10月11日木曜日

GVC Plusに関する素朴な疑問

2018年10月11日にG-Vectoring Control Plus (GVC Plus)が発表されました。最初はCX-5から搭載されるようですが、いずれマツダの全車種に展開されるようです。プレスリリースによると、以下の効果が期待できるとのことです。
新たにブレーキによる車両姿勢安定化制御(直接ヨーモーメント制御)を追加することで、より高い安定化効果を実現しました。旋回中のドライバーのハンドル戻し操作に応じて外輪をわずかに制動し、車両を直進状態へ戻すための復元モーメントを与えることで安定性を向上。ヨー、ロール、ピッチの各回転運動のつながりを高い旋回Gの領域まで一貫させ、素早いハンドル操作に対する車両の追従性を高めるとともに、挙動の収束性を大幅に改善します。これにより、緊急時の危険回避能力を高めるとともに、高速走行時の車線変更や、雪道など滑りやすい路面環境においても、人間にとって制御しやすく、より安心感の高い動きを提供します。
実際に乗ってみれば効果を実感できるのでしょうが、このプレスリリースを読んだ時点でいくつかの素朴な疑問を抱きました。

1.なぜエンジントルクの制御ではなくブレーキによる制御なのか

GVC発表時には、エンジントルクを制御する理由として「ブレーキよりもエンジンの方がはるかに反応速度が速い、とりわけSkyactivエンジンは反応が速いため、理論通りに実装できる」ということが挙げられていました。それなら曲がりすぎないようにするためには同様にエンジントルクを増やせば済むはずです。どうして「反応が遅い」はずのブレーキで制御するのでしょうか。

思い当たるのは、エンジンとブレーキとで担っている領域が異なる可能性です。エンジントルクの制御では0.01G~0.05Gの微小なGの変動による揺れを抑え込むことに主眼が置かれます。ブレーキによる制御は「素早いハンドル操作」による「高い旋回Gの領域」に対して効果的とされていますが、このときに発生するGは0.2G~0.4Gくらいと1桁以上異なります。微小な振動を抑え込むときほどには素早い反応が求められているわけではない一方で、より大きな曲げモーメントを発生させる必要があります。

2.だったらコーナー脱出時にアクセルを踏めばよいのではないか

コーナー手前でブレーキをかけるのは難しいですが、コーナーから出るときにアクセルを踏んで加速するのは比較的簡単です。それくらい人力でできるのではないでしょうか。

たしかに通常のコーナーではさほど難しくありませんが、危険回避のために避けるときや急に車線を変更するときにはS字コーナーを曲がることになります。S字コーナーではコーナー入口から出口まで向きが変わっても等速を維持しないとうまく曲がれません。アクセルを踏んでからブレーキを踏んでなんてやろうとしても操作が追い付きません。しかも自分を含めて素人は大抵ステアリング操作が遅れます。急な操作であればなおさらです。本来ステアリング操作はコーナリングフォースを与えるための操作なので早めの操作が必要なのですが、曲がりたい方向にステアリングを切るという発想だと操作が遅れます。

そういうヘタクソのためにステアリング操作からドライバーの意図を汲み取って曲がりすぎないように補正するのが効果的なのかもしれません。

3.なぜハンドルを切る際の動作に言及されていないのか

車体を曲げることを目的としたトルクベクタリング自体は他社でとっくに実現していて、特にブレーキによって制御する方式は、駆動力の損失が生じる反面、デフに凝ったギミックを載せるのと違って構造が比較的シンプルです。曲げたい側の車輪にブレーキをかけることで姿勢を制御するなら、ハンドルを戻すときだけでなくハンドルを切るときにも効果があって然るべきですし、他社ではむしろそちらをアピールしています。しかしマツダではなぜかそちらは強調されていません。

まず思い当たるのは、コーナリングの際にブレーキをかけるなら、ハンドルを切ってからブレーキをかけるのでは遅くて、先に十分に減速してからハンドルを切る操作とブレーキを抜く操作を同時に行うことが必要です。しかし、ハンドルを切る前にブレーキを踏んで減速している時点では、車はどちら向きに曲がろうとしているのか判断できません。ではハンドルを切ってからブレーキをかけるのはどうかというと、内輪にブレーキをかけて無理やり曲がるのは、たとえそれが可能であっても、減速Gから横Gへと滑らかに繋ぐという考え方と両立しないのではないかと想像します。

もう一つの可能性としては、エンジントルクを絞る既存のGVCでも既に高めの速度でコーナーに突っ込んでも意外と曲がれてしまうため、敢えて内輪にブレーキをかけて無理やり曲げる動機が乏しいのかもしれません。

2018年9月4日火曜日

デミオ1.5LのWEB見積を取ってみました

2018年8月のデミオの商品改良でガソリンエンジンが1.5Lになりましたので、今買ったらどれくらいの値段になるのだろうと思って試しにWEB見積を取ってみました。

最初は15S Noble CrimsonのFFからです。金額を出すだけならタダということで自分の欲しいものを片っ端からつけてみました。安全装備を全部盛りにしたり、雪道で塩化カルシウム水を被るから防錆アンダーコートも欲しいなどと調子に乗っていろいろオプションをつけてみて、合計金額を出してみてびっくりしました。乗り出し価格が税込で2,448,972円でした。初期型のXD TouringのFFに安全装備を一通りつけたときの乗り出し価格とほぼ同じです。

もっとも、初期型でありがたがってつけた安全装備はHBCやBSM等、今や15Cにすら標準でついている代物ですので、エンジンにお金をかける代わりに安全装備やガラスにお金をかけているとも言えますが。デミオのガソリンエンジン車といえば15Cの本体価格が1,393,200円と軽自動車並みの値段でそれでいて安全装備がサポカーSワイド準拠とお買い得な車のはずなのですが、いろいろ装備をつけるといつの間にか高くなります。

絶対額はオプションに依存しますので、参考までに同じ条件でXD Noble Crimson FFで乗り出し価格を出すと税込み2,606,159円と15万円程度の差にしかなりません。ディーゼルエンジンだと自動車取得税と自動車重量税が免税なのに対し、ガソリンエンジン車だとこれらの税金が合計8万5千円ほどかかりますので、それで価格差が縮小しています。また、ステアリングシフトスイッチやフロントパーキングセンサー等、ガソリンエンジン車でオプションとしたものがディーゼルエンジン車では標準で装備されていたりします。

長距離乗らないなら迷わずガソリンエンジンといきたいところですが、長距離乗るなら3万km走れば燃料代の差で元が取れてしまうくらいの価格差です。年間3万km乗ったら1年後からはディーゼルエンジン車の方がトータルコストが割安です。長距離乗るなら高速道路を走る距離も長くなりますが、いくら1.5Lエンジンになってトルクが太くなって余裕があるといってもディーゼルエンジンのトルクには及びませんので、高速道路を走るならやはりディーゼルエンジンの方が楽です(MRCCをつけて制限速度で走行車線を走るとバスのような乗り心地で退屈ですが、それ故に長距離を走っても疲れません)。

ガソリンエンジン車を買うなら長距離乗らない前提で値段を出してみようということで、街乗り主体では不要な装備を削ってみました。

  • 高速道路をあまり走らないならMRCCは不要
  • 都会の道しか走らないならALHは不要(どうせハイビームにならない)
  • 雪道を走らないなら防錆アンダーコーティングは不要
  • 山道を走らないならステアリングシフトスイッチは不要(どうせエンジンブレーキを使わない)
  • 高速道路をあまり走らないならETC2.0は不要
  • 都会の道しか走らないならバックカメラクリーナーは不要(どうせそこまで汚れない)
これで乗り出し価格税込み2,188,373円にまで下がりました。普通の15Sとの装備の差はフォグランプとガラスくらいで、あとはエクステリアやインテリアの差だけです。足車と割り切って見栄えにお金をかけなければ200万円くらいまで下がります。15Cに常識的な装備を追加しても同じくらいします。

一方、ディーゼルエンジン車を買って山道や雪道を走るとなると安全性や重量バランスや乗り心地の面でAWDが欲しくなりますが、こちらは上記のXD Noble Crimson FFと同じ装備で金額を出すと乗り出し価格税込み2,811,359円です。ほぼ同じ条件でCX-3 20S Proactive FFだと乗り出し価格税込み2,884,708円とほぼ同じ値段です。CX-3 20Sの方がデミオディーゼルよりも燃料代が高いものの、遮音性が高い上に高速道路から街乗りまでオールラウンドにこなせるCX-3も快適そうで捨てがたいです。

CX-3から長距離向けの装備を省くなら16インチホイールのCX-3 20Sで十分で、このときは乗り出し価格税込み2,566,506円です。この場合、長距離用の装備を省いたデミオ15S Noble Crimsonとの価格差は40万円ですが、ほぼエクステリアデザインのみの差です。デミオ15S L Packageとの価格差だと30万円くらいでしょうか。CX-3を気に入って買う人はそういうしみったれた比較はしないでしょうけど。

2018年8月30日木曜日

デミオの商品改良(2018年8月)

2018年8月30日にデミオの商品改良が発表されました。ガソリンエンジン車は日本独自仕様をやめて国外向けの標準的な仕様になっています。

1.エンジン

《ガソリンエンジン》
最大の目玉はガソリンエンジンの排気量が1.3Lから1.5Lになったことです。公開された諸元データは以下の通りです。
  • 最大出力110ps/6000回転
  • 最大トルク141Nm/4000回転
  • 圧縮比12
デミオ用1.5Lエンジンは圧縮比12の廉価版と圧縮比13(RON91)または14(RON95)の上位版とがあり、日本向けは廉価版のようです。しかしほぼ同じ条件の北米向けヤリスセダンでの数字に比べて出力トルクともに微増しており、欧州の環境規制適合のための改良版であることが見て取れます(主に煤対策)。カタログでもCX-3用の2Lエンジンと同様に「マルチホールインジェクター」との記述があります。

尚、アクセラ用の1.5Lエンジンは圧縮比13(RON91)または14(RON95)の上位版に相当し、4-2-1排気管がついた出力115psのものですので、同じ1.5Lエンジンでも若干の差があります。

15MBも引き続きカタログには載っており、こちらは従来通り1.5Lエンジンの上位版に専用チューニングを施したものですので、通常の1.5Lガソリンエンジン車とは仕様が異なります。数字を見ると今までと同じですし、燃費表示もJC08モードのままですので、もしかしたらアクセラ1.5Lと同様に改良前の型ではないかと推測します。どのみち数が出ませんので新たな型式認定を取りに行くまでもないという判断なのでしょうか。

車両重量はガソリンエンジンで10kg増となっている一方でディーゼルエンジンでは変更がないため、おそらく遮音材を盛ったわけではなくガソリンエンジン重量の差によるものでしょう。排気量が増えて10kgしか差が無いとなると、4-2-1排気管は採用されていないものと見て取れます。4-2-1排気管がついていればカタログにもその旨の記載があるはずで、現にCX-3ではそうなっていますが、デミオのカタログにはその記載がありません。4-2-1排気管がある方が圧縮比を高くできる分だけ燃費が良くなりそうに見えますが、もともとが下位グレードを含む1.3Lエンジンの代替ですし、重量とコストを抑えることを優先させたのでしょう。

G-ベクタリングコントロールが搭載されてサスペンションセッティングが変更されてからはガソリンエンジン車でも乗り心地が良くなり高速走行しやすくなりましたので、あとはエンジンのパワーに余裕があればと思っていたところですので、1.5Lエンジンの搭載はありがたいです。

値段もほぼ据え置きですので、下位の15Cは軽自動車と変わらない値段で良く走り安全な車を買えることになります。軽自動車よりも車内が狭いですが、なぜ軽自動車の車内が広いのか少し考えてみれば、何を犠牲にして車内を広くしているかがわかるでしょう。唯一気がかりなのはレンタカーで1.5Lのクラスになりはしないかということです。1.5Lのデミオに乗るつもりで1.5Lのクラスの代金を払うのは別に構いませんが、後席に人を乗せるつもりでCセグメント車を借りようとしてBセグメントのデミオが来たら困ります。

《ディーゼルエンジン》
一方、ディーゼルエンジンは1.5Lのままで数字も変化なし。アクセラ1.5Lと同様にフルモデルチェンジまではこのままのようです。環境規制への適合が求められる欧州向けではディーゼルエンジン車の販売を休止しており、CX-3と異なり1.8Lディーゼルエンジンが搭載されているわけでもありません。そもそもデミオのエンジンルームは1.5Lディーゼルエンジンがギリギリ入るサイズですので、少しでも大きかったら今のデミオのエンジンルームには入りません。

デミオでしたら270Nmまで必要ありませんし、MT車なら変速機のトルク容量に合わせて220Nmに抑えられていますので、1.8Lディーゼルエンジンを採用しなければならない動機はまだありません。デミオに1.8Lディーゼルエンジンを積む気がないならなおのこと、1.8Lエンジンの技術をバックポートした1.5Lエンジンをフルモデルチェンジ時に出してほしいものです。今の1.5Lエンジンでもあまりディーゼルエンジンらしくありませんが、さらに軽くなればよりいっそうガソリンエンジンの運転感覚に近づくのではないでしょうか。

2.変速機

ガソリンエンジン車のMTが6速になっています。最終減速比は15MBと同じです。ATは従来と同様で最終減速比も1.3Lのものと同じです。その代わりトルクが太くなったのに合わせてATのセッティングを変えているようです(あまりキックダウンせずに済むようになることで実燃費の向上に寄与している由)。

調べてみたら、欧州版は75PSと90PSのエンジンでは5MTとの組み合わせ、115PSのエンジンのみ6MTとの組み合わせでした。5MTの場合5速100km/hで2510回転ですので、150km/hで4000回転弱。UKならまだしもアウトバーンの真ん中車線で4000回転前後なのは疲れそうです。それなら6MTならどうかと思って15MBから数字を拾ってみると、6速100km/hで2410回転となり、高速域での回転数は少し下がるようです。日本仕様では税制に合わせてエンジン出力を絞る必要が無いため、110PSで6MTとなっているようです。

3.ホイール

15S Touring L Packageのみ16インチホイールを履いており、これは他の国外向けと同様です。ただ、16インチホイールを履くとタイヤサイズが185/60R16という特殊なサイズになり、ホイールのリム幅も5.5Jというこれまたマイナーなサイズになります(16インチホイールのリム幅は6.0から6.5くらいが標準です)。さらに、新車装着タイヤとしてトーヨーのProxes R39がもれなくついてきます。走りはともかくロードノイズが大きく燃費も良くありません。16インチの純正ホイールは重いので、高速域での安定性はともかく、出足は鈍くなります。

高速走行時に15インチホイールで操縦安定性に不満が無ければ15インチにした方がタイヤとホイールの選択肢が広くなるように思えます。16インチだとタイヤの選択肢がLe Mans VやBluEarth-Aくらいしかありませんが、15インチだと185/65R15という標準的なサイズのため、Regnoも選べます。また、15インチホイールの方が出足が軽いので街乗りには向いています。

ただし、15S Touring L Packageにすると16インチホイールしか選択肢が無いため、15インチホイールを選びたければ15S Touringにグレードを落とす必要があります。

4.燃費

今回からガソリンエンジン車はWLTCモードのみの表示となっています(除15MB)。同じモノサシで比較できないため、カタログ燃費がどう変化したかは不明ですが、エコカー減税グリーン税制ともに非適用という時点でカタログ燃費は悪化したことが見て取れます。あとは実燃費ですが、これは実際の走行データが無いとわかりません。今回は気筒休止は見送られたようですが、今回のエンジン改良の目的は欧州での環境規制への適合(煤対策)ですし、時間の制約もありますので、間に合わなかったなら仕方ありません。

ディーゼルエンジンに変更がないため、ディーゼルエンジン車の燃費表示はJC08モードのままで、数字に変更がありません。おそらく次のフルモデルチェンジまではこのままでしょうか。

5.装備

残念ながらCX-3と異なり電動パーキングブレーキがつかず、したがって全車速対応型アダプティブクルコンもありませんが、値段の差を考えればやむを得ないかと。

6.窓ガラス

従来は上位グレードの車体後部でダークリンテッドガラスが採用されていましたが、このたびさらに進めて上位グレードではフロントガラスでスーパーUVカットガラスが、フロントドアではスーパーUVカットガラスに加えてIRカットガラスが採用されています。IRカットは夏の車内温度上昇抑制にかなり効果がありますので、夏場の運転がいくぶん楽になりそうです。

7.シート

アテンザやCX-3と同様に高減衰ウレタン採用とあります(出典はここ)。CX-3と異なりサスペンションやタイヤには手を付けていないようですので、あまり積極的にアピールしていません。

2018年6月24日日曜日

デミオディーゼルのブレーキ

マツダのガソリンエンジン車はリニアなブレーキを旨としていて、デミオのガソリンエンジン車でもアクセラのガソリンエンジン車でもブレーキペダルの浅い位置ではあまり効かず、深く踏み込んで踏力を掛けると効くのですが、デミオディーゼルはブレーキペダルの浅い位置でもブレーキが強く効くように感じます。

よくあるカックンブレーキかと思いきや、強く踏み込めばもっと効きますし、急ブレーキを踏めば助手席に置いた荷物が吹っ飛ぶくらい効きますので、全般的に効きがよいのでしょう。ブレーキペダルの踏み込み量で制動力をコントロールするのではなく踏力で制動力をコントロールすれば問題ないはずなのですが、i-DMで青点灯する程度の常用最大ブレーキ力を発生させるのに必要な踏力が小さく、そこから先はすべて非常ブレーキとなり、弱いブレーキをかけたいときに調整しにくいのと、停止時にブレーキを抜く加減が難しいため、扱いにくく感じます。アクセラのガソリンエンジン車だとブレーキペダルを半分踏み込んだ辺りから効き始めますが、デミオディーゼルだとブレーキペダル半分で常用最大です。

ブレーキの構造は同じはずなのにガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車とでどうしてこんなに違うのだろうと思って推測するに、ブレーキ倍力装置の動作が異なるのではないかと思えてきました。ガソリンエンジン車では通常、エンジンの負圧を用いた倍力装置が使われていますが、吸気バルブの無いディーゼルエンジンではエンジンの負圧を使うことができないため、どうしているのだろうと思って調べてみたら、ディーゼルエンジンではバキュームポンプを使っているとのこと。そうなると、エンジン回転数によらずブレーキが強く効くことになります。

一方、デミオの1.3Lエンジンがアクセラの1.5Lエンジンのような小さなエンジンはエンジンの負圧も小さいので、倍力装置がさほど効かず、そのためにブレーキペダルを深く踏み込んで踏力を強く加えないとブレーキが効かないのかもしれません。

そうはいってもガソリンエンジン車に比べてディーゼルエンジン車のブレーキはコントールしにくく感じますので、ドライバーの意図に応じてブレーキ倍力装置のエアバルブの開き具合を調整できないものかと思います。日本仕様は速度域が低いことを前提に、制動力よりもコントロールのしやすさを重視してもよいのではないでしょうか。もしかして、CX-5等に使われているのと同じ容量のバキュームポンプを積んでいるのでしょうか。

2018年6月20日水曜日

アクセラの重量増

最近のアクセラの諸元データを見ていたら、1.5LのAT車の重量が1,280kgになっていました。デミオ用に開発された小型AT(トルク容量は同じ)が導入された際に登場当初の1,270kgから1,260kgに減少したはずだったのに、いつの間に重くなったのだろうと思って過去の諸元データを調べてみたら、2016年7月にフロントグリルの形状が変わったりG-ベクタリングコントロールが導入されたりした際に1,280kgになっていました。たしかにこの時点から静粛性がいくぶん改善されたとの記事を見かけますので、きっと遮音材を盛ったのでしょう。

前期型に比べて軽快さが若干損なわれたように感じたのですが、エンジンのトルクがそのままで僅かながら重量が増えていれば、たしかにそう感じるかもしれません。

次期アクセラはリアサスペンションがトーションビームになる予定で、そうなると100kgほど軽くなりますので、1.5Lエンジンのままでもパワーに余裕ができるかもしれません。その1.5Lエンジンも欧州仕様のデミオ向けに環境対策を施した改良版がもうじき出るはずで、そうなると2Lエンジンや2.5Lエンジンの実績から、僅かながら性能向上が見込めます。