2020年7月31日金曜日

クルーズコントロールの仕様変更について

Mazda 3やCX-30から採用されたクルーズコントロールは日本の道路で使うと急加速や急減速をするという理由で日本のユーザーから不評なようですが、開発者は本気で改善したと思っているようです。日本に住んでいるとマツダの開発者はテストドライバーの意見をきちんと聞いていないのではないかと思えてくるのですが、もしかして速度域の高い道路ではその方が合うのでしょうか。

クルーズコントロールの挙動が変なのは、設定された速度や車間距離と実際の速度や車間距離とのギャップが大きいときですが、流れている速度が高くてかつ速度ムラがなければそのようなギャップが生じにくいです。日本以外の高速道路では全般的に最高速度が高く、かつこれ以上だしたら危険な速度として最高速度が設定されていることから、最高速度を超過して走る車がほとんどなく、道路の最高速度をクルーズコントロールの設定速度にしておけばほぼ問題なく走れそうです。

しかるに日本の道路だと制限速度が低めな代わりに捕まる速度は他国並で、その間にグレーゾーンがあることや、全般的に遅い車や速度ムラのある車や遅いのに右車線に居座る車が多く、比較的混雑する道路ではとても走りにくいです。道路の最高速度をクルーズコントロールの設定速度にしておけばとりあえず走れますが、そうなると流れている速度よりも遅くなってしまい、自分は楽ですが後の車に迷惑がかかります。かといって設定速度を高めにすると流れが悪くて詰まってきたときに設定速度と実際の速度とのギャップが大きくなって急加速や急減速をします。むろん、日本でも空いている道路なら現状のクルーズコントロールの仕様でもさほど問題ないのですが、空いている道路を走っているドライバーの絶対数は少なく、ドライバーの大半は混雑する道路を走っています。

日本の道路に耐える仕様にすれば世界中どこでも通用しそうですし、今後100%人力で運転する機会が減少する世の中を見越して、クルーズコントロールのような運転補助や将来の自動運転に対しても過渡領域の作り込みをきちんと行わないと、本当の意味で「気持ちよく運転できる車」にはなりえないのではないかと思いますが、日本の特殊な道路事情のために開発のリソースをどこまで配分できるかは自動車メーカーの体力に制約されるかもしれません。次善の策として、日本仕様のみ第6世代車までのクルーズコントロールの制御アルゴリズムに戻すことならできるかもしれません。