2022年9月22日木曜日

もしSkyactiv-Xを発電専用エンジンにするなら

例によってエンジンのことを何も知らないド素人の素朴な疑問です。

Skyactiv-Xが難しいのは、圧縮着火できる領域が狭く、走行用エンジンとして使うためには火花着火との切り替えが必要だったり、理想空燃比での燃焼から瞬時に希薄燃焼に切り替えるためにスーパーチャージャーが必要だったりと、広い領域でエンジンを使用するためではないかと推測します。また、Skyactiv-Xの熱効率が従来型のエンジンに比べて著しく高いわけではないのは、非効率的な領域も使う必要があるからかもしれません。その結果、走行用エンジンとして使う場合には「走りは素晴らしいけれども費用対効果に劣る、物好きな人向けのエンジン」となってしまいます。

もしそうだとしたら、最も効率の良い圧縮着火できる領域だけで使う発電専用エンジンとして使う場合には各種の補機を省略してもっとシンプルなコストの安いエンジンにできる可能性があります。ロータリーエンジンも発電専用に使うならさほど燃費が悪くないのと同様です。

電気モーターだけで走るシリーズハイブリッドなら電気モーターの太いトルクで滑らかに加速できますので走りが良いですし、エンジンだけで走る車と違って回生ブレーキを使えますので燃費に有利です。エンジンにいろいろな補機をつけるくらいでしたら代わりにモーターといくばくかの蓄電池をつけた方が費用対効果が良さそうです。

発電用エンジンとしてロータリーエンジンと比較するなら、ロータリーエンジンほど小型軽量ではありませんが、熱効率では圧倒的に有利でしょう。

問題は発電専用エンジンにした場合に本当にシンプルで低コストになるかどうかです。日産がエクストレイルにe-Powerを導入した際には、わざわざ発電用に可変圧縮比エンジンを導入しています。これは低負荷時には(燃焼室容積を減らして)圧縮比を高めて熱効率を上げると同時に、高負荷時にには燃焼室容積を増やして(その分圧縮比を下げて)トルクを向上させることができるためとされています。エンジンにそのようなコストをかけることが許されるのでしたら圧縮着火エンジンを使うことも全く非現実的というわけではなさそうですし、最初からエンジンの排気量に余裕を持たせるなら可変圧縮比のような特殊な機構も必要ないのではないでしょうか。エクストレイルの発電用エンジンが1.5L3気筒ですので(北米や中国で走行用エンジンとして使われているものと同じ)、MX-30の発電用エンジンとしてすでにある2L4気筒のエンジンを積むなら排気量に余裕がありそうです。