2023年9月21日木曜日

PHEVに関する素朴な疑問

池田直渡「週間モータージャーナル」内の「復活のロータリー「ROTARY-EV」で、マツダは何をつくったのか」という記事はMV-30 Rotary-EVの本質を記した秀逸な記事で、たしかにそれを読むとなるほどと思います。PHEVは自宅で充電できてEVを運用できる環境の人がたまに遠出するときのために車にエンジンと発電機を積んでいる、たまにしか使わないエンジンは小さくて軽い方がよいと言われればそうなのだろうと思います。

一方、素朴な疑問も沸き起こってきます。そもそも普段使いの街乗り用途と、たまにしか使わない遠出用途という相反する用途を果たして1台の車にまとめる必要があるのでしょうか。普段使いの街乗り用途では日産サクラのような小型EVを使い、たまに遠出するときには飛行機や新幹線等の公共交通機関+現地レンタカー、場合によっては出発地でレンタカーを借りたりする(こちらは高速代や燃料代が結構かかるので、コスト面では公共交通機関利用に対してさほど優位性はない)方がコストが安いのではないでしょうか。CセグメントのPHEVなら1台500万円。小型EVなら1台200万円くらい。それに公共交通機関+現地レンタカーの旅費を5年分加えても合計で300万円くらいではないでしょうか。

田舎では駐車スペースに余裕があり、車の複数台持ちが珍しくありませんから、普段の足車としては自宅で充電できる小型EV、たまに遠出するとき用に資本コストが比較的安いガソリンエンジンの少し大きめの車を置いておくのでもよいでしょう。普通のガソリンエンジン車は燃費が良くありませんが、それを言ったらロータリーエンジンだって決して燃費は良くありません(RX-7の時代の10倍の燃費性能を確保した技術力はすごいですが)。滅多に乗らない車を持つことに意味があるのかといえば、近所にレンタカー店舗がないような田舎なら意味があるでしょうし、必ずしも新車を買う必要はありませんので、中古車を買ったり、今まで何年も乗ってきて減価償却の進んだ古い車を遠出用として敢えて残しておくといったやり方もあるでしょう。

めったに使わない遠出用途のために、なぜエンジン+発電機+燃料タンクを車に積みっぱなしにしなければならないのでしょうか。重いものを積めばPHEVに必要なバッテリー容量も増えてしまいます。ロータリーエンジンは比較的小型軽量ではあるものの、そもそもエンジンも発電機も積まなければもっと軽くできます。

車は移動の手段なのですから、車単体の性能よりも、ライフスタイル全体の中での車の使い方を考える方がよいのではないでしょうか。