2016年6月17日金曜日

i-DMとタイヤの摩耗

昨年は7000km走行時に点検でタイヤローテーションを実施してから冬タイヤに交換するまで15000kmほど走行してしまい、FF車かつフロントヘビーなため、前輪のタイヤが随分減ってしまいました。夏タイヤに戻す際にタイヤローテーションを実施して、それから8000kmほど走行し、前輪で合計15000km走行しました。同じ距離を走っていれば前後とも同じくらいタイヤが減っているはずなのですが、現在前輪につけているタイヤはあまり減っておらず、後輪のタイヤの溝の倍くらい溝が残っています。

同じ車、同じタイヤ、同じ走行距離、同じドライバーで、走る道も高速道路から林道までほぼ満遍なく走っていますので、この部分で違いが出ることはありません。心当たりがあるとすれば、運転技量の違いです。現在後輪につけているタイヤを前輪につけていたときにはi-DM 2nd Stageあたりをうろうろしていましたが、現在前輪につけているタイヤは主にi-DM 4th Stageのときに前輪で使っています。

i-DMによって滑らかな運転を意識するようになってから危険回避以外では急ブレーキをかけないようになりましたし、曲がるときもコーナー手前で減速して前輪に荷重を移動させてから少ない舵角で曲がるようになりました。円曲線では舵角一定で走るようになり、修正舵が減りました。これらの影響で、タイヤが減りにくくなったようです。

「新型プレマシー ダイナミックフィールの統一感」マツダ技報No.28 (2010) p.15に「山門らの研究⑷では,一般走行領域においてG-Gダイアグラムを円形にするエキスパートドライバの走りを車両運動力学的に解析した結果,これが各輪タイヤへの負荷が最小となるような運転ストラテジであることが明らかにされている。」とあり、参照元は(4)山門 誠:横運動に連係して加減速を制御する車両の横運動特性に関する検討,自動車技術会学術講演会前刷集 No.8-08,p9-14(2008)です。あいにく参照元論文は入手できていませんが、著者の山門氏は日立時代にG-ベクタリングコントロールの理論を日立評論に掲載されている方です(「安全走行を支援する新しい車両運動制御技術「G-Vectoring制御」」日立評論Vol.91 No.10 784-785)。

理屈としては前から知られていたものの、いざタイヤの溝という形で視覚化されると効果を実感します。i-DMには「無駄な動きが無くなって速くなる」という効果もあるようですが、前の車の速度に制約されることの多い日本の公道ではむしろ「疲れにくくなる」「安全運転を心がける」「タイヤが減りにくくなる」「タイヤのグリップ力に余裕が生じてスリップしにくくなる」というメリットの方がわかりやすいかもしれません。