2021年10月17日日曜日

Mazda 3やCX-3向けのガソリンエンジン

CX-3の年次改良車の1.5Lガソリンエンジンは改良型ではないようです。CX-3に1.5Lガソリンエンジンを積んでいるのは日本向けだけで、方や改良型ガソリンエンジンの目的は欧州のCO2排出量規制(≒燃費規制)対応が目的ですので、欧州向けでないものにまで改良型ガソリンエンジンを積む動機が無いのかもしれません。

Mazda 3においても1.5Lガソリンエンジンを積むのは日本向けを除けばトルコ向け等ごく限られていて、これも欧州のCO2排出量規制とは関係ありませんので、年次改良車にも改良型ガソリンエンジンは積まれないのではないかと予想します。

では2Lガソリンエンジンはどうかというと、欧州向けのMazda 3の売れ筋はSkyactiv-Xに移行していて、2Lガソリンエンジンは廉価版という位置づけですので、あえて改良型ガソリンエンジンを積む動機がなさそうです。欧州向けMazda 2の1.5Lエンジンにおいても圧縮比12で4-1排気管で75psの廉価版と圧縮比14→15で4-2-1排気管で90psの上位版とが併売されています。

では欧州向けのCX-3の2Lガソリンエンジンは主力だからテコ入れされるかというと、こちらはそもそも12月限りで販売終了となる国が出ています。2Lガソリンエンジン車と1.8Lディーゼルエンジンとの組み合わせはCX-30と被りますし、CX-30ではすでにSkyactiv-Xがありますので、欧州向けはそちらに統合でしょうか。もともとCX-30はホイールベースを短くしてまで全長を欧州Cセグメント車の標準に合わせており、これは縦列駐車の多い欧州では重要なことです。そこまでして欧州のニーズに合わせているということは、そちらが本命なのかもしれません。そして価格に敏感な日本向けには安価なCX-3の1.5Lガソリンエンジン車を継続とか。

とはいえ、すでに開発済であれば従来型であっても改良型であっても製造コストは変わらないはずですし、マツダの生産ラインは混流生産が可能ですので、従来型エンジンを一定数生産する動機も無いはずです。どうせコストが同じなら燃費の良いエンジンを生産する方が皆が幸せになるのではないかと素人考えでは思うのですが、あえて従来型を残す理由が何かあるのでしょうか。

例えば欧州向け2Lガソリンエンジンにはマイルドハイブリッドと気筒休止がついていてSkyactiv-Xとの価格差が小さくなっています。燃費改善効果が乏しいのに高価な補機をつけてまでマイルドハイブリッドにしているのは、欧州では欧州メーカーがトヨタに匹敵するハイブリッド車を作る技術を持っていないために、マイルドハイブリッドでもハイブリッド車に含まれるという欧州ルールの産物であり、電動化比率のアリバイとして敢えてそうしているともいえます(裏返せば、欧州以外でそこまでする必要はない)。しかし改良型エンジンで製造コストが増えずに燃費が7%も向上するなら、企業平均燃費向上の足しになりますし、廉価版であるならなおさら費用対効果が重視されるはずです。

日本では罰金を課されるような企業平均燃費規制はまだ導入されておらず、税制上の優遇措置を受けられるかどうかが一つの目安になります。Mazda 2の改良型エンジンはこれをクリアできたからこそ日本でも発売されたのでしょう。CX-3やMazda 3でこのラインをクリアできないなら、敢えて改良型エンジンを積む動機が無いのかもしれません。

あとは走りの質の問題で、日本向けMazda 2はエンジンをあまり回さずに走る前提ですので、中回転域でのレスポンスが改善すれば効果があるのかもしれませんが、CX-3やMazda 3の1.5Lエンジンはアクセルを踏み込んだときには3000回転から4000回転くらいまで回す前提ですので、エンジン改良のスイートスポットを外れている可能性もあります。回転数を落とせるくらいトルクが太くなれば別でしょうが、さすがにそこまでの改善ではないでしょうし。目立った改善効果が期待できないなら、改良型エンジンの生産が安定して信頼性が確保されるまでの間は、信頼性の高い従来型エンジンで乗り切るというのもありかもしれません。

では日本向け2Lエンジンはというと、前述の通り、欧州向けに改良型エンジンを積むのであれば開発されるでしょうが、そうでなければわざわざ開発にリソースを割く動機がないのかもしれません。とはいえ、欧州向け2Lエンジンには気筒休止が搭載されていますので、日本向けにも気筒休止くらいはあってもよいのではないかと思います。6ATだと高速道路の速度域でエンジン回転数が上がってしまって他社のCVT車に高速燃費で負けています。新東名の120km/h区間だと15km/Lくらいしか出ません。今後東京から放射状に伸びる高速道路で120km/h区間が増える予定ですので、高速燃費の改善に力を入れてほしいものです。日本向けの導入するためには、気筒休止の制御を日本向けにも作り込む必要がありますが、ソフトウェア開発にリソースを割くほど優先順位が高くないのでしょうか。