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2021年10月17日日曜日

Mazda 3やCX-3向けのガソリンエンジン

CX-3の年次改良車の1.5Lガソリンエンジンは改良型ではないようです。CX-3に1.5Lガソリンエンジンを積んでいるのは日本向けだけで、方や改良型ガソリンエンジンの目的は欧州のCO2排出量規制(≒燃費規制)対応が目的ですので、欧州向けでないものにまで改良型ガソリンエンジンを積む動機が無いのかもしれません。

Mazda 3においても1.5Lガソリンエンジンを積むのは日本向けを除けばトルコ向け等ごく限られていて、これも欧州のCO2排出量規制とは関係ありませんので、年次改良車にも改良型ガソリンエンジンは積まれないのではないかと予想します。

では2Lガソリンエンジンはどうかというと、欧州向けのMazda 3の売れ筋はSkyactiv-Xに移行していて、2Lガソリンエンジンは廉価版という位置づけですので、あえて改良型ガソリンエンジンを積む動機がなさそうです。欧州向けMazda 2の1.5Lエンジンにおいても圧縮比12で4-1排気管で75psの廉価版と圧縮比14→15で4-2-1排気管で90psの上位版とが併売されています。

では欧州向けのCX-3の2Lガソリンエンジンは主力だからテコ入れされるかというと、こちらはそもそも12月限りで販売終了となる国が出ています。2Lガソリンエンジン車と1.8Lディーゼルエンジンとの組み合わせはCX-30と被りますし、CX-30ではすでにSkyactiv-Xがありますので、欧州向けはそちらに統合でしょうか。もともとCX-30はホイールベースを短くしてまで全長を欧州Cセグメント車の標準に合わせており、これは縦列駐車の多い欧州では重要なことです。そこまでして欧州のニーズに合わせているということは、そちらが本命なのかもしれません。そして価格に敏感な日本向けには安価なCX-3の1.5Lガソリンエンジン車を継続とか。

とはいえ、すでに開発済であれば従来型であっても改良型であっても製造コストは変わらないはずですし、マツダの生産ラインは混流生産が可能ですので、従来型エンジンを一定数生産する動機も無いはずです。どうせコストが同じなら燃費の良いエンジンを生産する方が皆が幸せになるのではないかと素人考えでは思うのですが、あえて従来型を残す理由が何かあるのでしょうか。

例えば欧州向け2Lガソリンエンジンにはマイルドハイブリッドと気筒休止がついていてSkyactiv-Xとの価格差が小さくなっています。燃費改善効果が乏しいのに高価な補機をつけてまでマイルドハイブリッドにしているのは、欧州では欧州メーカーがトヨタに匹敵するハイブリッド車を作る技術を持っていないために、マイルドハイブリッドでもハイブリッド車に含まれるという欧州ルールの産物であり、電動化比率のアリバイとして敢えてそうしているともいえます(裏返せば、欧州以外でそこまでする必要はない)。しかし改良型エンジンで製造コストが増えずに燃費が7%も向上するなら、企業平均燃費向上の足しになりますし、廉価版であるならなおさら費用対効果が重視されるはずです。

日本では罰金を課されるような企業平均燃費規制はまだ導入されておらず、税制上の優遇措置を受けられるかどうかが一つの目安になります。Mazda 2の改良型エンジンはこれをクリアできたからこそ日本でも発売されたのでしょう。CX-3やMazda 3でこのラインをクリアできないなら、敢えて改良型エンジンを積む動機が無いのかもしれません。

あとは走りの質の問題で、日本向けMazda 2はエンジンをあまり回さずに走る前提ですので、中回転域でのレスポンスが改善すれば効果があるのかもしれませんが、CX-3やMazda 3の1.5Lエンジンはアクセルを踏み込んだときには3000回転から4000回転くらいまで回す前提ですので、エンジン改良のスイートスポットを外れている可能性もあります。回転数を落とせるくらいトルクが太くなれば別でしょうが、さすがにそこまでの改善ではないでしょうし。目立った改善効果が期待できないなら、改良型エンジンの生産が安定して信頼性が確保されるまでの間は、信頼性の高い従来型エンジンで乗り切るというのもありかもしれません。

では日本向け2Lエンジンはというと、前述の通り、欧州向けに改良型エンジンを積むのであれば開発されるでしょうが、そうでなければわざわざ開発にリソースを割く動機がないのかもしれません。とはいえ、欧州向け2Lエンジンには気筒休止が搭載されていますので、日本向けにも気筒休止くらいはあってもよいのではないかと思います。6ATだと高速道路の速度域でエンジン回転数が上がってしまって他社のCVT車に高速燃費で負けています。新東名の120km/h区間だと15km/Lくらいしか出ません。今後東京から放射状に伸びる高速道路で120km/h区間が増える予定ですので、高速燃費の改善に力を入れてほしいものです。日本向けの導入するためには、気筒休止の制御を日本向けにも作り込む必要がありますが、ソフトウェア開発にリソースを割くほど優先順位が高くないのでしょうか。

2020年9月2日水曜日

ヤリスクロスとCX-3の価格

 トヨタのヤリスクロスの価格が発表されました。最安値をアピールするためのエントリーモデルのX“Bパッケージ” が1,798,000円(税込)であるのを除けば、1.5LガソリンエンジンモデルはCX-3の1.5Lガソリンエンジンモデルの価格と概ね一致します。CX-3の中で1.5Lエンジン車だけが魅力的な価格ですが、たしかにヤリスクロスの価格にマッチさせなければ売れません。そもそもCX-3の1.5Lエンジン車を出すこと自体がヤリスクロスのガソリンエンジン車へのマッチングでしょうし、事前にヤリスクロスの価格を予想してのことなのでしょうが、よく当たっていると思います。

ライズだとCX-3よりもやや安いですが、こちらはAセグメントですし1Lエンジンですので車格が違います。CX-3と競合するなら本命はヤリスクロスでしょう。というか、ライズに少し足すだけでヤリスクロスを買えるのでしたらそちらの方が魅力的かもしれません。

一方、ヤリスクロスのハイブリッド車の価格が200万円台前半なのに対してCX-3のディーゼルエンジン車の価格は200万円台後半で、CX-3の2Lエンジン車ですら200万円台半ばですので、これらはヤリスクロスに対して価格競争力があるようには見えません。どのみち今のCX-3の売れ筋は1.5Lガソリンエンジン車ですので、今更2Lエンジン車やディーゼルエンジン車を積極的に売る動機が無いのかもしれません。

そういえばと思って先代よりも安くなったというハリアーとCX-5の価格を比較してみると、ハリアーのガソリンエンジン車が300万円台、ハイブリッドが400万円台です。一方CX-5は2Lガソリンエンジン車が200万円台後半、ディーゼルエンジン車が300万円台前半と、CX-5の方が一回り以上安いです。ハリアーの2Lガソリンエンジン車の予算でCX-5のディーゼルエンジン車を買えます。どうやら同じ土俵で比較される車ではないようです。

2020年5月6日水曜日

CX-3と競合車種の価格を比較する

CX-3の1.5Lエンジン車は2Lエンジン車よりも50万円も安いですが、これはMazda 3の2Lエンジン車と1.5Lエンジン車との価格差20万円よりもかなり大きいです。となると競合車に合わせた戦略的な値付けだろうとの推測のもと、価格を見てみました。

まず、CX-3の1.5L車の価格は以下の通り。

  • 15S(2WD):189200円(税込)
  • 15S Touring(2WD):1991000円(税込)
真っ先に競合と推測されるライズの価格は以下の通り。
  • Z(2WD):2060000円(税込)
  • G(2WD):1895000円(税込)
  • X"S"(2WD):1745000円(税込)
ここで注意が必要なのはマツダ車は全般的に標準装備が多いため、乗り出し価格を同じに揃えようとすると、本体価格が少し上の車との比較が必要になることです。となるとZやGがターゲットになります。ライズはすべて1L3気筒ターボですが、性能的には1.5L自然吸気エンジンと同じくらいです。燃費については軽いライズの方が有利です。

次にヴェゼルの価格を見てみると、同じく2WD車の税込価格でも1.5Lガソリンエンジン車、ハイブリッド車ともに250万円~300万円となり、CX-3の2Lエンジン車やディーゼルエンジン車とほぼ同じ価格です。

CセグメントのCH-Rの価格は、ガソリンエンジン車で250万円前後、ハイブリッド車で300万円くらいと、CX-3の2Lエンジン車やディーゼルエンジン車とほぼ同じ価格で、CX-3の上位グレードの値付けがヴェゼルやCH-Rを意識したものであることが見て取れます。とはいえ、CセグメントのC-HRやBセグメントながら車内の広いヴェゼルと競合するためにはCX-3では難しくて、その役割をCX-30が担うようになったのではないでしょうか。CX-30もほぼ同じ価格です。

スズキのXbeeは2WD車の価格でほぼCX-3の1.5L車と同じ値段ですが、Xbeeの発売はだいぶ前ですので、今までは競合だと思っていなかったようです。となるとCX-3の1.5Lエンジン車の値付けは、最近よく売れているライズ/ロッキーを意識したものでしょうか。

2020年6月15日発売予定の日産キックスや2020年秋に発売予定のヤリスクロスの価格はまだ公表されておりませんが、おそらくライズより少し高いくらいでしょうか。もともと新興国向けのキックスならライズと同じくらいの価格にできるでしょうが、ヤリスクロスは主に欧州向けですし、パワートレインも一回り上ですので、もう少し高そうです。ヴェゼルと同じくらいでしょうか。

(2020年5月24日追記)その後キックスの価格が公表されました。e-Powerで280万円とヴェゼルやC-HRやCX-30と同じ価格帯でぶつけてきたようです。

2020年4月25日土曜日

今更ながらCX-3に1.5Lガソリンエンジン車が登場しました

2020年4月23日にCX-3の1.5Lガソリンエンジン車が発売されました。

とりあえず諸元データを見てみると、エンジンの圧縮比は13ですので、Mazda 3と同様に4-2-1排気管付で、4-2-1排気管無で圧縮比12のMazda 2と差をつけています。CX-3のエンジンルームだと4-2-1排気管をつけるスペースがあるようです。

変速機については、2Lエンジン車がMazda 3よりも最終減速比高めなのに対し1.5Lエンジン車ではMazda 3と同じ最終減速比になっています。1.5Lも2Lも同じエンジンを積んだMazda 3よりも100kg以上軽いので、よく走りそうです。CX-30との比較では2Lエンジンでも150kg軽く、1.5Lエンジンでは200kg近く軽いです。一方、1.5Lエンジンを積んだMazda 2よりも150kgほど重いです。しかしMazda 2の1.5Lエンジン車が最終減速比低めで低い回転数でゆったり走らせるのに対して、CX-3ではMazda 3と同様にローギアードで積極的にエンジンを回しますので、1.5Lエンジンの長所を生かしやすそうです。先代アクセラの1.5Lよりも70kg軽いため、1.5Lでも軽快に走れそうです。

2Lガソリンエンジン車と燃費を比較してみるとやはり1.5Lの方が1km/Lほど燃費が良いです。高速道路では差が縮まりますが、街乗りで燃費が良いのは魅力です。一方、Mazda 2よりも2km/Lほど劣ります。

装備については、コストを下げ2Lエンジン車と差をつけるためにMRCC、TSR、ALH無しですが、街乗り主体でしたらおそらく問題ないでしょう。LEDヘッドライトはカバーと一体になったユニットで1基10万円以上と高価ですので、コストを下げようとすると真っ先にここに手をつけることになります。ホイールは16インチのみですが、Bセグメントのシャシーですので16インチの方が合いそうです。

価格については、装備を簡略化することで2Lエンジン車よりも60万円ほど安いです。従来2Lエンジン車はCX-30の2Lエンジン車とさほど変わらない値段で、同じ値段でCセグメントのCX-30を買えるのにわざわざBセグメントのCX-3を買う動機はありません。CX-30ですらあと15万円出せばCX-5に乗れます。かといって今更CX-3のディーゼルエンジン車や2Lエンジン車を値下げするわけにもいかず、装備を簡略化した1.5Lエンジン車を出してCX-30のガソリンエンジン車よりも50万円ほど安くしたようです。

一方、同じエンジンを積んだMazda 2よりも30万円ほど高いですが、エクステリア以外はMazda 2と同じですので、安さを求めるならMazda 2を選ぶでしょうし、長距離向けの装備をつけるならMazda 2の上位グレードを買った方が却って安かったりもします。それでもCX-3のエクステリアに魅力を感じる人にとってはかなり手が届きやすくなったのでないでしょうか。

このたびCX-30の1.5Lエンジン車が発売された背景を推測すると、高級路線、重厚路線をCX-30に譲って、CX-3は走りも内装も値段も軽快なパーソナルカーと位置付けようとしているのではないでしょうか。Bセグメント車とCセグメント車とを同じ土俵で比較したら内装も走りも車格相応の差が出てしまいますので、位置づけをずらそうとしているのでしょうか。従来ヴェゼルのような車を志向していたのが、ジュークのような車を志向するようになったかに見えます。また、Mazda 2も上品路線を志向するようになりましたので、もっと元気そうな車を求める人の受け皿となりそうです。CX-30同様にMazda 3も重くて高く、しかも走りはおとなしめですので、それでは物足りない人はCX-3を選ぶかもしれません。1.5Lエンジンの使い方としては一番バランスが取れていそうです。

ついでにCX-3の今後を予想してみると、日本では2LとディーゼルはCX-30と競合して売れなくなってフェードアウトし、1.5Lモデルのみがベリーサのように細々と売れ続けるのではないでしょうか。Mazda 2がフルモデルチェンジでどうなるかわかりませんが、Mazda 2に1.8Lディーゼルエンジンを積んだり電気自動車用の蓄電池を積んだりする場合には車高を上げた方が有利ですので、CX-3と統合された新しいSUVタイプの車になる可能性もあります。

2018年5月18日金曜日

CX-3の商品改良

2018年5月17日にCX-3の商品改良が発表されました。2018年3月にニューヨークモーターショーで発表されたのと同じものですが、詳細が発表されました。改良の要点はプレスリリースに記載の通りですが、特に以下が気になりました。
  • SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTUREの部分採用
  • 1.8Lディーゼルエンジン
  • 全車速追従機能付MRCCと電動パーキングブレーキ
  • JC08モード燃費表示の廃止
  • 2Lガソリンエンジンの改良
  • 価格
1.サスペンション

このタイミングでSKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTUREの部分採用とは意外ですが、アクセラと異なりCX-3は既にリアサスペンションはトーションビームですのでタイヤとサスペンションには手を入れられたようです。SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTUREは試作車が絶賛されていたようですが、今回はボディーはそのままですので、どの程度効果が出るのか楽しみです。

2.1.8Lディーゼルエンジン

改良型2.2Lエンジンと同様に急速多段燃焼を可能にする改良型ピエゾインジェクターが採用されたのは事前に出ていたスペックの数字からは意外でした。2.2Lエンジンの場合、性能が1割ほど向上している一方で、1.8Lエンジンは排気量が2割拡大しているにも関わらず性能向上は1割です。日経xTECHの記事によると、従来の1.5Lエンジンではトルク220Nm以上でEGRが使えなくなることで急速にNOxが増大していたとのことです。これでもWLTCまでは対応できていましたが、RDE (real driving emmissions)には対応できないことが1.8Lエンジン開発の動機とのこと。1.8Lエンジンでは270NmまでEGRを使えることでRDEに対応した由。

重量は1.5Lエンジンよりも30kg増えています。うち、静粛性向上のための重量増が10kgですので、1.8Lエンジンでの重量増は正味20kgです。1.5Lエンジンと2.2Lエンジンの重量差は80kgですので、2.2Lエンジンよりも60kg軽いことになります。1.5Lエンジンの置き換え用として、軽量化と燃費には相当注力したようです。

この1.8Lエンジンはアクセラにも採用されて1.5Lエンジンを置き換えるでしょうが、2.2Lエンジンを置き換えるには至らないでしょう。もともとアクセラは2.2Lでは大きすぎて1.5Lでは小さすぎますので、従来の1.5Lエンジンと改良後の2.2Lエンジンの中間くらいのスペックで150psで出れば2.2Lエンジンが不要になりそうですが(日本国外仕様のアクセラ用2.2Lディーゼルエンジンは150ps)、今回の1.8Lエンジンの性能ではそれは難しそうです。かといって、CX-5やアテンザ用のディーゼルエンジンは将来はFR用の縦置きになりそうですので、そうなるとそのままではFFのアクセラに積むことができません。どうなるのでしょう。

デミオの1.5Lディーゼルエンジンを置き換えられるかというと、ただでさえフロントが重いのにさらに20kg重くなると操安設計が大変です。デミオでは過給圧がそこまで高くないので(AT車で250Nm、MT車で220Nm)、むしろAT車でもMT車同様に最大トルクを220Nmに抑制することで1.5Lのまま環境規制に適合することを考えた方が良さそうです。1.8Lエンジンと同様の改良を1.5Lエンジンにも施すことでエンジンの軽量化や性能向上が見込めるかもしれません。20kgくらい軽量化されるとその分ノーズが軽くなって曲がりやすくなります。トルクが不足する分は回転数で補うことにして、ATのセッティングを変更して最大トルク220Nmでも支障しないように低めのギアで引っ張ればCX-3とは異なる軽快な走りが実現できるかもしれません。デミオディーゼルはコンパクトカーらしからぬ重厚な乗り味が魅力ですが、CX-3がある以上、キャラクターを分けた方がよいのではないでしょうか。

3.全車速追従機能付MRCCと電動パーキングブレーキ

これがあると渋滞のときに楽ですし、電動パーキングブレーキの採用でスペースに余裕ができますので、デミオにも採用されればそれに越したことはありませんが、価格差およびかけられるコストの差を考慮すると難しいかもしれません。全車速追従機能有のCX-3と全車速追従機能無のデミオを比較すると、多少高くても全車速追従機能有のCX-3が魅力的に見えます。特にCX-3の2Lガソリンエンジン車はデミオの1.5Lディーゼルエンジン車と同じ予算で買えますので。

4.JC08モード燃費表示の廃止

JC08モード燃費は実燃費が2割引きくらいですので別段当てにしているわけではありませんが、モノサシが変わってしまうと同じ条件で比較できなくなりますので、1.8Lディーゼルエンジンの燃費性能が1.5Lエンジンに比べてどう変化したかがわかりにくいです。もしかしたら敢えてわかりにくくしているのかもしれませんが。WLTCモード燃費自体は実際に運転したときの実燃費の数字に近いので、本来ならばこちらを基準に比較した方がよいと思います。

5.2Lガソリンエンジンの改良

CX-5用と同様の改良が加えられています。その結果、出力とトルクが微増しています。それでいて燃費の数字が少し悪化していますが、遮音材を増やして重量が10kg増えた影響でしょうか。2LエンジンはCX-3には余裕がありますので、気筒休止が採用されれば燃費が良くなるかと期待しましたが、今回は気筒休止の採用はならず。

ガソリンエンジンの改良はEURO6に適合するためのもので、特にkm当たりのPM排出量を10分の1にすることが求められています。同様の規制は1.5Lガソリンエンジンにも適用されますので、1.5Lエンジンにも同様の改良が施されるのではないでしょうか。

6.価格

ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車ともに本体価格3万円ほどの上昇です。ディーゼルエンジンが1.8Lになったり、静粛性が向上したり全車速追従機能が付いたり、従来はメーカーセットオプションが標準装備されたりしていますので、価格差以上に改善しているように見えます。もっとも、CX-3はサイズを除けばCX-5と競合し、価格が近いにも関わらず車格相応の差がありますので、CX-3ならではの魅力をどこに持たせるかが鍵でしょう。

2018年4月11日水曜日

CX-3向け1.8Lディーゼルエンジン

CX-3用に1.8Lのディーゼルエンジンが搭載されることになり、ディーラーではそれに基づいて商談が行われているようです。最大出力は116ps(4000回転)、最大トルクは270Nm(1600-2600回転)とのこと。

最大トルクが1.5Lディーゼルエンジンと同じなのは中容量変速機のトルク容量270Nmの制約に合わせて過給圧を調整したのではないかと推測します。最大トルクの出る回転数が1600回転から2600回転となり、性能曲線上でトルクが頭打ちになっている回転域が拡大していますので、エンジンの素性としては出力の向上分に見合った性能向上があるのではないでしょうか。トルク自体は1.5Lディーゼルエンジンでも十二分にありますが、出力=トルクx回転数である以上、低回転域での出力は現状の変速機のトルク容量に制約されることになります。僅かな性能向上のために大容量変速機を採用したり6速のまま中容量変速機のトルク容量を拡大するのはあまり現実的ではないのでしょう。

最大出力116psが出る回転数は4000回転のままですので、4000回転のときのトルクが10%増えたことになります。排気量が1.5Lから20%増えた割に出力は10%しか増えておらず、残りの10%は煤対策(吸気側に貯まった煤の吸出し?)なり燃費なりに振り向けられているのかもしれません。エンジンについて知見がありませんので、どのようにすれば煤対策ができるのか見当がつきませんが、排気量が20%増えて最大トルクが同じということは燃料の濃度は下がるはずです。

CX-3ユーザーは短距離走行の多い都市住民が多いでしょうから、煤対策のために暫定スペックで1.8Lディーゼルエンジンを導入したのでしょうか。デミオよりも1割重いCX-3ならこの出力向上で十分かもしれませんが、デミオよりも2割重いアクセラではまだ物足りません。

一方、デミオではAT車の最大トルクが250Nm、MT車の最大トルクが220Nm(小容量ATのトルク容量)に抑えられており、排気量に対する燃料噴射が抑制されていますので、排気量に余裕を持たせる必要はあまり無いかもしれません。

仮に出力が20%向上したとしても、依然として2500回転まではトルクも回転数も同じで、トルクのピークが3000回転くらいまで広がるくらいでしょうか。6速で走る高速道路での追越加速は向上するかもしれませんが、MTならまだしもATでトルクバンドのピークを拡大してもあまり効果がありません。低い速度域ではこれ以上エンジントルクを向上させるよりも変速機にお金をかけて例えば8ATを導入し、併せて1.8Lディーゼルエンジンに合わせて設計を最適化しトルク容量を拡大できれば動力性能を向上できるでしょう。

もしアクセラに1.8Lディーゼルエンジンを積むとしたら、1.5Lディーゼルエンジンのときと同じようにギアを下げてエンジン回転数を上げるでしょうから、3000回転くらいまでは常用しそうです。となると現状のトルク容量のままでも1.8Lディーゼルエンジンが本来の性能を発揮できれば実用回転域での性能向上に寄与するかもしれません。アクセラはフルモデルチェンジを間近に控えていますので、もし1.8Lディーゼルエンジンが搭載されるとしたらこちらが本命かもしれません。

→と期待していたのですが、CX-3の商品改良時に発表資料によると1.8Lディーゼルエンジンは270NmまでEGRが効くことを目的に開発されたエンジンとのことで、だとすると変速機のトルク容量以前に環境基準に適合するためには270Nmまでしか出せないということになります。その代わり、高回転域でのトルクがだいぶ太くなっていますので、3000回転あたりを常用するアクセラ1.5Lディーゼルではこのままでも性能向上に寄与するかもしれません。これが2.2Lディーゼルエンジン車を代替できるかどうかわかりませんが。

2017年6月28日水曜日

CX-3の2Lガソリンエンジン車発売

マツダより、CX-3の2Lガソリンエンジン車の発売が発表されました。もともと海外向けには1.5Lディーゼルエンジン車と2Lガソリンエンジン車との2本立てでしたが、今まで日本では1.5Lディーゼルエンジン車のみでした。しかしディーゼルエンジンは長距離巡航向けである一方、日本でのCX-3のターゲットは都市住民ですので、街乗りで扱いやすいガソリンエンジン車が無いのと、CX-3のディーゼルエンジン車の価格設定が割高だったこともあり、さほど売れていませんでした。CX-3のターゲット顧客の求めるものをもっとリーズナブルな値段でという要望のもとに発売されたのはCX-3のガソリンエンジン車です。

【重量】

  • FFではディーゼルエンジン車よりも30kg軽く、4WDではディーゼルエンジン車よりも40kg軽量ですが、デミオで1.5Lディーゼルエンジン車と1.3Lガソリンエンジン車との間の重量差が100kgあることを考えると、2Lガソリンエンジン車はさほど軽くない印象。
  • アクセラ2Lとの比較では70kg軽いです。1.5Lディーゼルエンジンでアクセラと比較すると100kgの差がありますので、同じエンジンでの比較でしたら100kgの差が出るはずのなのですが、70kgしか差が出ないということは残り30kgを遮音や乗り心地向上に振り向けているのでしょうか。


【パワートレーン】
  • ガソリンエンジン車にはMTの設定無し(欧州向けには当然MTあり)。タウンユースを想定か。
  • ATは1.5Lディーゼルエンジン車と同じもの。
  • エンジン出力は148ps。欧州向けでは2Lエンジンは120psですが、日本向けでは本来の出力のように思いきや、実はアクセラ2Lの155psよりは少し低いです。
  • 2800回転で最大トルク192Nm。これもアクセラ2Lでは4000回転で196Nmでしたので、高回転でのトルクをアクセラ2Lよりも少し絞っており、低回転域でのトルクを重視した特性のようです。
  • 高回転域でのトルクをアクセラ2Lよりも絞っている理由がよくわからないのですが、CX-3は車体の割に太いタイヤを履いていますので、フルパワーで走行すると足回りとのかねあいで何か支障があるのでしょうか。
  • アクセラよりも70kg軽い上に2Lエンジンですのでトルクには余裕がありそうです。タウンユースに限定してもアクセラ1.5Lガソリンエンジン車よりもかなり快適に走れそうです。
【価格】
  • 同じグレードでの比較で1.5Lディーゼルエンジン車よりも約30万円安い価格設定。アクセラでは2Lガソリンエンジン車と1.5Lディーゼルエンジン車とでほぼ同じ価格なので、2Lエンジンにしては割安な設定といえるのか、あるいはCX-3の1.5Lディーゼルエンジン車が割高なのか。
  • かつてのアクセラ2Lガソリンエンジン車よりも20万円ほど安い価格設定。
  • ホンダヴェゼルの1.5Lガソリンエンジン車よりも約20万円高い価格設定。
  • 4WDで比較するとC-HRの4WDの1.2Lガソリンターボ車とほぼ同価格。一方、FFのディーゼルとハイブリッドで比較するとCX-3の方が10万円ほど安い設定。
  • 同じく4WDで比較するとスバルXVのAWDの2Lガソリンエンジン車とほぼ同じ価格。
  • CX-2のガソリンエンジン車であってもXVの1.6Lガソリンエンジン車よりも一回り割高。
  • 価格で見る限り、車体が一回り大きいCH-RやXVを競合として意識している模様。
【総評】
  • CX-3を気に入って買う場合、街乗りで使い勝手が良い上に価格も一回り安いガソリンエンジン車の方がディーゼルエンジン車よりも魅力的に見えます。ガソリンエンジン車は燃費は劣るものの、都市住民は通勤で車に乗りませんので、そもそも燃料代で大きな差がつくほどの距離は乗りません。
  • 同じ価格のXVやCH-Rとの比較では、車体が小さく車庫入れが楽と言えますが、その分車内が狭いので、4人で乗るのは難しそうです。

2017年6月5日月曜日

Skyactiv-G 120とSkyactiv-G 100の性能曲線

欧州ではSkyactiv-G 2.0は出力120PSに抑えられていてSkyactiv-G 120と呼ばれています。Skyactiv-G 2.0の性能曲線をもとに最高出力を120PSに抑えると、だいたい4000回転くらいで燃料噴射を絞ってトルクを落とします。しかしSkyactiv-G 2.0の最大トルクは4000回転未満で発生しますので、4000回転以上回さなければ実用上問題ないということになります。元祖ダウンサイジングターボのVWはシフトチェンジの速い多段変速機を採用して極力ギアを高くすることでエンジン回転数を抑えることで、ダウンサイジングターボが苦手とする高回転域を避けています。マツダもVWとは別のアプローチでシフトチェンジの速い多段ATを採用しています。

公道で普通に運転する上で重要なのは最高出力よりも低回転でのトルクですが、わざわざターボをつけなくても、排気量を大きくしてエンジン制御ソフトウェアをいじって出力を絞るだけでダウンサイジングターボに似たような出力特性を実現できます。エンジン排気量が一回り大きくなっても製造コストに大差なく、ターボが不要な分だけむしろコスト競争力があります。また、自然吸気エンジンの方が高負荷域での燃費が良いというのがマツダの主張です。

1.5LエンジンのSkyactiv-G 100も同様に5000回転以上で出力を絞っていますが、トルクのピークは3000回転くらいですので、これも実用上問題ありません。車体の重いアクセラに1.5Lエンジンを組み合わせると、低負荷時には2000回転くらい、発進時や上り坂の高負荷時には3000回転くらいになりますが、3000回転になる頻度は高いものの、公道を普通に運転している限り4000回転を越えることはありません。Skyactiv-G 100は出力の割に低回転域のトルクが太くなり、1.2Lターボエンジンと同じような出力特性になります。

CX-3ならアクセラよりも100kg軽いので、日本の公道の速度域なら1.5Lエンジンでも十分に見えますし、競合するホンダヴェゼルや日産ジュークも廉価版は1.5L自然吸気ガソリンエンジンを採用しています。表面的な数字を見る限りでは、CX-3にガソリンエンジンの廉価版を投入するとしたら競合と同じく1.5L自然吸気エンジンを採用するのが順当に思えます。

仮にCX-3に1.5Lガソリンエンジンを採用しないとしたら、そのエンジン特性によるものではないかと想像します。アクセラ場合、普通にアクセルを踏むだけだと非力な車でしかありませんが、マツダの1.5Lエンジンは1000回転から2000回転にかけてはトルクがフラットな一方で、2000回転から3000回転にかけて急激にトルクが太くなりますので、加速力が必要になったら積極的にアクセルを踏み込んで3000回転くらいでパワーを引き出して走ると楽しい車です(特に低いギアで引っ張れるMT車ならなおさら)。そういう走りが楽しいのはそれを支える足回りあってのものですが、ひるがえってCX-3を見てみると、町中をおとなしく走る分にはすこぶる快適である反面、無駄に太いタイヤのせいか足回りが犠牲になっていて、積極的にアクセルを踏み込んで走る気になれません。マツダの1.5Lエンジンだと2000回転くらいでパワーが足りないとすぐにキックダウンで3000回転に上がってしまいますので、せわしない印象があります。自らの意思でアクセルを踏み込んで回転数を上げるのでしたら苦になりませんが、普通に走りたいだけなのにむやみにエンジン回転数が上がると非力な印象ばかりが残ります(アクセラ1.5Lもワインディングでは楽しい車ですが、高速道路を走る頻度が高い場合には同様の理由によりおすすめできません)。むしろ低い回転数で余裕を持って走れるトルクの太いエンジンの方がCX-3という車のキャラクターに合っているのかもしれません。

かといって素の2Lエンジンのままでは価格競争力がありません。そこで欧州仕様と同様に120PSに出力を落とせば115PSの1.5Lエンジンと見かけ上の出力はほぼ同じになりますので値段を下げやすいですし、低回転域でのトルクの太いダウンサイジングターボエンジンのような出力特性になります。これなら低負荷時には1000回転くらい、少し負荷が上がっても2000回転くらいで走れますので、ゆったりとした走りが実現できます。2Lエンジン搭載でも200万円台前半くらいに値段を抑えられますので、ある程度は割高感を払拭できるでしょうし、エンジンルームが小さくて大きなエンジンを積めないデミオとの違いも明確に出せます。

2017年6月3日土曜日

CX-3の国外での販売価格

日本でCX-3の2Lガソリンエンジン車が販売されるとしたらどれくらいの値段になるだろうと思って、ドイツとイギリスでのCX-3の販売価格を見てみました。オーストラリアでの販売価格も見てみたかったのですが、郵便番号を入れないと価格が表示されません。米国ではディーゼルエンジン車の販売がありませんので、ガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車の価格差を見ることができません。

【ドイツ】
欧州では同じエンジンでも出力によって価格が異なります。安いPrime Lineは120PSの2LガソリンエンジンとMTと15インチホイールのみで、VAT抜きで16,490ユーロでした。下から2番目のCenter Lineでは1.5Lディーゼルエンジンも選択できて、Prime Lineと同じく120PS, MT, 15インチホールだと18,490ユーロ、ほぼ同じスペックでエンジンが1.5Lディーゼルエンジンだと20,490ユーロと2,000ユーロの価格差です。

上位モデルのExclusive Lineだと120PSガソリンエンジンで20,690ユーロ、1.5Lディーゼルエンジンで22,690ユーロとこれも2,000ユーロの差です。120PSのATだと23,490と今度はディーゼルエンジン車よりも800ユーロ高くなります。150PSエンジンはAWDのみの設定で23,490ユーロです。1ユーロ124円で円換算すると292万円です。CX-3はアクセラよりも100kg軽いので、FFでしたら120PSで十分ということなのかもしれません。

最上位のSports Lineだと、120PSガソリンエンジンで21,790ユーロ、1.5Lディーゼルエンジンで23,790ユーロ、円換算で296万円です。150PSエンジンのAWDは24,590ユーロ、円換算で306万円です。ディーゼルエンジンのAWDは25,590ユーロとこれが一番高いです。CX-3はドイツでも結構値が張ります。

単純に価格差だけを見れば2Lガソリンエンジンは1.5Lガソリンエンジンよりも25万円安いことになりますが、比較対象の2Lガソリンエンジンの出力が120PSにスペックダウンしていることに注意が必要です。日本で販売されている2Lガソリンエンジン車は本来の出力である154PSです。

【イギリス】
一番安い120PSガソリンエンジンとMTの組み合わせで17,895ポンド、同じスペックで1.5Lディーゼルエンジンだと19,395ポンドと、1,500ポンドの価格差、約20万円の差です。上位グレードで比較してみても1,500ポンドの価格差でした。

【日本での販売価格を推測すると】
欧州価格をベースにすると1.5Lディーゼルエンジンと2Lガソリンエンジンとの価格差は20万円から25万円くらいに見えますが、日本ではガソリンエンジンの出力を絞っていませんし、MTだからといってATよりも安いわけではありませんので、アクセラと同様にほぼ同じ価格になるのではないでしょうか。300万円の1.5Lディーゼルエンジン車は買いたくないけれども300万円の2Lガソリンエンジン車なら買ってもよいと考える潜在顧客がいれば、その分だけ売れるのかもしれません。

ディーゼルエンジンも最初に比べればだいぶ改良されていて、DE精密過給制御とナチュラル・サウンド・スムーザーがついていれば街乗りでもさほど不便に感じませんし、日本では青信号発進のときですら鋭い加速が求められることがありませんので、ディーゼルエンジンであっても低めのギアで引っ張れば十分に加速できるのですが、同じように加速するのでしたら2Lガソリンエンジンの方が静かに加速できるでしょうから、静粛性を求める層にはアピールしそうです。アクセラよりも車体が軽い分、余裕のある加速ができそうです。また、エンジンが軽くなりますので、重量バランスも改善することでしょう。街乗りでの乗り味は良くなるかもしれません。

1.5Lガソリンエンジン車でも115PSありますので、2Lガソリンエンジン車の120PSとほぼ同じ出力ですが、あくまでも最高出力の数字でしかなく、通常の回転域では排気量なりの差があります。1.5Lガソリンエンジン車の場合、上り坂や高速道路ではエンジン回転数が上がりますので、ディーゼルエンジン車よりもうるさくなり、たとえ安い値段で販売しても安かろう悪かろうになってしまいます。

【他車との比較】
ちなみにデミオの1.3Lガソリンエンジン車は100万円台後半、アクセラ1.5Lガソリンエンジン車は装備にもよりますが乗り出し200万円~250万円くらいです。インプレッサも同じくらいの価格帯です。300万円あったらCセグメントの輸入車の良い車が買えます。200万円台後半で小さくて取り回しの良い車が欲しいということでしたらポロが丁度それくらいです。値引きの状況次第ではもっと安くなります。

CX-3に比較的近いのがMini Crossoverで、現モデルでは安いガソリンエンジン車がありませんが、先代の一番安いモデルは1.6L自然吸気98PSで200万円台後半、マツダの2Lエンジンに近い性能の1.6L自然吸気122PSで300万円台前半でした(マツダのガソリンエンジンは燃費重視なので排気量当たりのパワーが他社よりも控えめ)。CX-3の2Lガソリンエンジンだと同クラスの他の車よりは割高感があるものの、Miniよりは一回り安いかなという程度です。重い車体に98PSのエンジンでまともに走るのかと思いきや、本来122PSのエンジンの最高出力を絞っているだけですので、ややエンジン音が大きいものの日本の公道では問題なく走りますし、さすがドイツ車だけあって時速90kmを越えた辺りから路面に吸い付くような乗り心地になります。高速域での乗り心地の良くないCX-3とは対照的です。

【ホンダヴェゼルの場合】
ヴェゼルはハイブリッド車と1.5Lガソリンエンジン車の2本立てで、前者は227万円~277万円、後者は192万円~239万円と35万円程度の価格差です。売り上げは月によって変動があるものの、だいたいハイブリッド車6~7割、ガソリンエンジン車3~4割で推移しています。たしかにヴェゼルはこのクラスでもっとも売れている車ですが、ガソリンエンジン車のラインナップが無くても今の3分の2くらいは売れていることになります。

CX-3のディーゼルエンジン車はヴェゼルのハイブリッド車の価格に合わせていますので、ガソリンエンジン車を出すとしたら同様に1.5Lガソリンエンジン車をヴェゼルと同じ値段で売るものかと思いきや、2Lエンジンで出すとなると、1.5Lエンジンでは十分でない理由が何かあるのかもしれません。どのみち2Lエンジンも1.5Lエンジンも製造コストはさほど違いませんので、ヴェゼルのガソリンエンジン車と同じ値段で2Lエンジンをぶつけてくれば勝算ありということなのでしょうか。その場合、国外での販売価格からすれば安すぎるということになるでしょうが、日本では競合車種に値段を合わせるケースが多いので、戦略的な値付けはあり得ます。欧州仕様と同様に120PSに絞ればマツダ内での整合性も取れそうです。

2017年2月8日水曜日

マツダ車に量販グレードを拡充する余地はあるのか

CX-3やデミオの国内販売が振るわないようです。少し前までなら「生産能力に制約がある中、利益率の高い市場向けの販売に振り向けるのである」と言い訳できたものの、トランプ政権になってその最も利益率の高い米国向けの輸出に高率の関税をかけられて販売に影響が及ぶ可能性があります。となると国内販売でも数を追及せざるを得なくなり、CX-3やデミオの国内販売を増やそうとしているようです。

正価販売を標榜しているなか安く売ろうとしたらスペックダウンした廉価グレードを投入せざるを得ないのですが、日本国内でガソリンエンジン車の販売の無いCX-3ならまだしも、他の車種で廉価グレードを投入する余地があるのか疑問です。デミオのガソリンエンジン車は実質1.3Lのみですし、アクセラの売れ筋は今でも安価な1.5Lガソリンエンジン車です。その中でも最も安価なデミオ13Cやアクセラ15Cが大量に売れているかといえば、別にそんなこともありません。

安さが売りの軽自動車でも売れ筋は最も安いアルトやミラではなく、装備の充実したトールハイトワゴンだったりします。「コンパクトカーにはバリューを追及する顧客が多い」という場合、そのバリューが何を指すものなのか、何との比較で割安なのかはよく考えた方がよいかもしれません。初代CX-5が大ヒットしたのは、ハリアーよりも良い車がハリアーよりも圧倒的に安く売られていたためであり、値段そのものが安かったためではありません。フィットが売れているのもコンパクトカーなのに車内が広く感じられて1台で済ませられるからでしょう。日本の消費者が果たして安かろう悪かろうに飛びつくでしょうか。

既存の部品の組み合わせですぐに作れそうな廉価グレードとして思いつくのは、デミオXD Touringよりも安いデミオ15S Touringくらいでしょうか。仮にCX-3に1.5Lガソリンエンジン車を投入するとしたらそちらと被るものの、デミオとCX-3の両方で1.5Lディーゼルエンジン車を販売しても価格帯が異なることから棲み分けがなされていますので、同様の棲み分けは実現するかもしれません。

コンパクトカーのボリュームゾーンは街乗り用ですので、売れているのは街乗りに適したハイブリッド車です。日本向けのコンパクトカーで数を稼ぎたかったらハイブリッド車を作るのが正攻法です。日産ノートはエコスーパーチャージャーでもハイブリッド車の後塵を拝していましたが、街乗りに適したe-Powerを発売した途端に急に売れるようになりました。しかしマツダには街乗りに適したハイブリッド車のラインナップがありません。デミオEVレンジエクステンダーベースのハイブリッド車を開発中のようですが、ロータリーエンジンを使う限りそう簡単には燃費の数字を稼げません。レンジエクステンダーは9Lのガソリンで180km走行ですから燃費は20km/Lしかありません。電気自動車の航続距離としてはなかなかのものですが、回生ブレーキ付にもかかわらずガソリンエンジン車の燃費よりも劣るのではハイブリッド車の燃費としては論外で、さすがにこの数字のままでは市場に投入できないでしょう。だからこそ目下開発中なのでしょうが、どのような形で市場に出るのか楽しみです。

2017年1月21日土曜日

もしCX-3に1.5Lガソリンエンジン車があったら

CX-3は日本では1.5Lディーゼルエンジン車だけですが、日本以外の国では2Lガソリンエンジン車も販売されています。日本でディーゼルエンジン車しか販売しないのは営業上の判断でしょうが、都市部での需要を見込んだCX-3が長距離巡航に適したディーゼルエンジンしか搭載しないとなると、あまり台数を見込めないのでしょうか。それこそ純粋にエクステリアデザインだけで買うか、あるいは週末ごとに遠出するかでしょうが、いずれにせよあまり台数が出そうにありません。

コンパクトSUVの中でヴェゼルが最も売れているのは、街乗りに適したハイブリッド車と安価な自然吸気ガソリンエンジン車のラインナップだからで、マツダの場合はハイブリッド車は難しいかもしれませんが、安価な自然吸気ガソリンエンジン車があればもっと台数が出るのではないでしょうか。

素直に考えれば2Lガソリンエンジンということになるのでしょうが、日本の道路でしたら1.5Lでも十分に思えます。アクセラの1.5Lガソリンエンジン車でも高速道路以外では実用的ですし、CX-3はアクセラよりも100kg軽いので、もう少し余裕がありそうです。一方、デミオのガソリンエンジン車は実質的に1.3Lまでしかなく、装備重視で13S Touringを購入してもパワーに余裕があるわけではありません。そこでCX-3の1.5Lガソリンエンジン車を13S Touringよりもさらに上位に位置付ければ、ベリーサの再来としてそこそこニーズがありそうです。価格はデミオディーゼルやアクセラ1.5Lガソリンエンジン車と同じくらいでしたら同じ値段でも好みによって棲み分けできるかもしれませんし、「300万円の車にしては」といった割高感も払拭できそうです。

しかし話を最初に戻すと、果たして売る側にそうするメリットがあるかという問題になり、生産能力を使い切っているなら敢えて数を増やすまでもなく、限られた生産能力の中で利益の出る車を売りたいと考えることでしょう。また、買う側にとっても、せっかくエクステリアデザインを気に入って買っても、同じような車を頻繁に見かけることを良しとしない人もいるでしょう。

2016年8月13日土曜日

デミオディーゼルとCX-3の比較

両方を乗り比べる機会がありましたので、両者の違いを記してみます。まず、おおざっぱに比較してみると以下のような違いを感じます。

【CX-3】

  • 後席の乗り心地を重視したサスペンションセッティング(車体全体が上下動する)
  • 低速域で乗り心地が良い
  • 混雑する大都市近郊の道路で使い勝手が良い
  • 追従型クルコンあり
  • ゆったりしている
  • エンジン回転数は高め(アクセルを踏み込むとすぐにシフトダウンする)
  • 穏やかに走る
  • 窓の天地寸法が小さいため車格以上の囲まれ感がある
  • 着座位置が高めでその分重心も高め
  • 車体が重い
  • 見た目が立派
  • 車輪が大きそうに見える
  • タイヤが太い
  • 3ナンバー300万円クラス
  • かけられるコストに余裕がある


【デミオディーゼル】

  • 2人乗車向けに最適化されたサスペンションセッティング(前がどっしりしていて後ろが跳ねる)
  • 高速域で安定性が良い
  • 交通量の少ない良い地方の道路で使い勝手が良い
  • クルコンは速度設定のみ
  • どっしりしている
  • エンジン回転数は低め
  • 元気よく走る
  • 窓が大きく開放感があり、狭い路地でも見通しが良い
  • 着座位置が低め
  • 車体が軽い
  • 見た目はコンパクトカー
  • 車輪の見え方は実際の大きさ相応
  • タイヤの太さは車のサイズ相応
  • 5ナンバー200万円クラス
  • かけられるコストに余裕が無い

CX-3の売り文句としては以下が挙げられますが、CX-3の優位というよりも、CX-3の仕様上不利になった部分を補っているという印象を受けます。

  • 剛性の向上→車体が大きくなった分を補う?
  • 遮音性の向上→エンジン回転数が高くなった分を補う?
  • 前席を左右に寄せて後席を中央に寄せることで後席からの見通しを改善→窓の天地寸法が小さくなった分を補う?
  • リアサスペンションのダンパーにアクセラ用のものを使用→後席の乗り心地を重視するため?

ベースが同じであっても味付けを変えることで異なる方向性の車に仕上がっているという印象を受けます。

一方、CX-3とデミオディーゼルで共通する部分もあります。

  • ホイールベース
  • ギア比(CX-3の車輪径が大きい分は最終減速比で調整されている)
  • ナチュラルサウンドスムーザー
  • DE精密過給制御
  • フラットワイパー
  • シャークフィンアンテナ
  • 室内寸法
  • 内装の質感
ただ、これらのうち装備についてはデミオがCX-3のおさがりを活用した結果として共通になっているだけであって、CX-3の装備が見劣りしているわけではありません。内装の質感についてもデミオはアクセラのおさがりを活用しているためであり、プラスチックのダッシュボードを除けばCX-3の内装の質感が見劣りしているわけではありません。単にデミオディーゼルにお値打ち感があるだけです。


おそらくCX-3を買うのは以下のようなプロファイルの人ではないでしょうか。

  • 子育てが終わって生活に余裕が出てきた
  • 300万円3ナンバーの車を買える
  • 普段は子供が乗らないので大きな車は必要ない
  • しかし車格が落ちるのは嫌なので内装と乗り心地には相応のものを求める
  • 都市部で生活している

Bセグメントのくせに高いとかデミオと比べて割高というのは、比較すればたしかにそうかもしれませんし、車で見栄を張る必要の無い人にとってはそうかもしれませんが、予算ありきで車を選んでいる人にとっては安い車は眼中になく、高くて高そうな車であることに意味がありますので、そのような比較はあまり重要でないのではないでしょうか。同じ予算のCセグメント車と比較すればCセグメント車の方がお値打ち感があるように見えるものの、いまどきのCセグメント車は次第に大型化していて都市部での取り回しがあまり良くありませんし、見た目も車格相応です。

乗用車ベースの「SUV」ブームというのはつまるところ、車格以上に立派そうに見える車が欲しいということであり、同じ車格の乗用車よりも見劣りするミニバンが縮小傾向にあるのと表裏をなしているように思えます。アルファードは高価な車ですが、だからといってクラウン以上に立派に見えることはありません。たとえ偉そうなフロントグリルにしても却って下品なだけです。しかしハリアーはベースとなるカムリよりも立派に見えます。車格以上に立派な車は自動車メーカーにとってはコスト以上に高く売れる車であり、需要サイド供給サイド双方の利益になりますので、もうしばらくはSUVブームが続くのではないでしょうか。

2016年8月9日火曜日

レンタカーでCX-3に乗ってみました

今までCX-3に乗ったことがありませんでしたので一度は乗ってみたかったのですが、このたびレンタカーを借りたらCX-3をあてがわれました。

【個体】

  • 2016年6月登録で走行距離2899kmと、ほぼ新車。レンタカーの割に距離が伸びないのは料金が高くて借り手が少ないのかもしれません。
  • 年次改良後ですのでナチュラルサウンドスムーザーやDE精密過給制御がついています。
  • 駆動方式はFF。
  • グレードはレンタカーですので一番安いXDで、マツダコネクトやフルオートエアコンがついていますが、ヘッドアップディスプレイやパドルシフトはついていません。
  • シートはファブリック。
  • タイヤは215/60R16でブリジストンのTuranza T001。
  • 色はセラミックメタリック。


【結論】
  • 長距離移動ではすこぶる快適
  • 1.5Lでも動力性能に不足なし
  • 年次改良で導入された技術のうちDE精密過給制御は効果がありそう
  • サスペンションはいまいち
  • 車内はデミオとほぼ同じ

【動力性能】

  • デミオと同じくらいハイギアードでデミオよりも一回り重いので、おとなしめの走りかと思いきや、よく加速しました。
  • 対面通行道路での追越加速でも安心です。
  • ゆっくり発進する際には2000回転でシフトアップしてから1500回転まで落ちますが、少し多めにアクセルを踏み込むと3000回転でシフトアップして2000回転まで落ちます。
  • しかしそれでも最大出力の出る4000回転に達したことはほとんどありませんでした。
  • シフトアップを遅らせて回転数を増やしているのとデミオよりも過給圧が高いため、動力性能に不足はありません。
  • DE過給制御も効いているようで、青信号発進時も追越時も加速の不足を感じる場面はありませんでした。意図した通りに加速すれば加速感は良くなりますので、燃費と両立させるうえでもよくできた仕組みだと思います。
  • デミオディーゼルの場合、ある程度踏み込んでいくといきなりターボが効いてドッカンと異次元加速するのですが、今回乗ったCX-3は、DE精密過給制御のおかげか、あるいは最初からターボの効く回転数でエンジンを回しているのか、アクセルを踏んだら踏んだ分だけ加速します。1.5Lディーゼルエンジンは最初から高めの回転数で回す方が使いやすいのかもしれません。


DE精密過給制御は年次改良後のデミオにも採用されていますので、走りについては年次改良後のデミオディーゼルでも同様で、デミオの方が車体が軽い分エンジン回転数が少なめなのではないかと推測します。

【ノイズ】
ナチュラルサウンドスムーザーのおかげでディーゼルエンジン特有のカラカラ音はほとんどせず、ふた昔前のガソリンエンジンないしいまどきの3気筒エンジンのような感じです。もともとエンジン回転数が高めですので、一旦走り出してしまえば低い回転数のときの音は気になりません。スバルの水平対向エンジンも独自の音がしますので、エンジン音に関しては車ごとの個性と割り切ればさほど問題ないのではないでしょうか。たしかに好みの問題とはいえ、「ディーゼルエンジンの音がするから買わない」と決めつけるのは勿体ないと思います。

ロードノイズはデミオよりも静かに感じました。タイヤの違いによるものでしょうか。

【ステアリング】
年次改良により、センター付近で反応しやすくなりました。そのせいか、高い速度域で直進時にふらつきます。G-ベクタリングコントロールが導入されれば改善するかもしれません。

【サスペンション】
状態の良い舗装道路を低速で走る分には乗り心地が良いのですが、高い速度で荒れた路面を走ると路面に足を取られます。年次改良の結果、後ろだけが跳ねることはなくなったようですが、その代わり車体全体がふわふわ跳ねる感じです。動力性能に不足はなくても、サスペンションがついてこられない感じです。高い値段と高そうな雰囲気を持っていても、所詮はBセグメントなのだと思いました。高速道路を走るCX-3がどうして軒並みおとなしいのだろうと思っていたのですが、動力性能の問題ではなくサスペンションの問題のようです。

ネット上ではサスペンションを絶賛する声が多く、一体これはどういうことだろうかと思ったものの、たしかに低めの速度域での乗り心地は上々です。大都市近郊の高速道路や一般道なら車が多くてあまり速度が出ませんので、乗り心地の良い車だと思います。しかし街乗り中心なら1.5Lディーゼルエンジンよりも海外仕様にあるような2Lガソリンエンジンの方が扱いやすいのではないでしょうか。

コーナリングについては、デミオと前後の重量がさほど変わらないはずですが、特にフロントヘビーに感じることはありませんでした。これもサスペンションセッティングの影響でしょうか。エンジン重量が変わらないまま車体が一回り重くなっていますので、前後の重量バランスは若干改善しているのかもしれません。また、後述の通り太いタイヤを履いていますのでグリップ力が大きいというのもあるかもしれません。

【タイヤ・ホイール】
16インチホイールで扁平率60%というのはデミオと同様ですが、CX-3の方がタイヤが太い分、空気のクッションが多めです。デミオの16インチだと高速安定性は良好なのですが、CX-3の場合、16インチだとふわふわします。18インチだともっと安定するのかもしれませんが、街乗りで出足が悪くなったり乗り心地が悪くなったりする可能性もあり、乗ってみないとわかりません。

タイヤ幅は215mmと、この大きさ重さから導かれる最適なサイズよりも太目です。デミオは15インチ16インチともに185mm、アクセラは16インチホイールで205mm、18インチホイールで215mmです。タイヤが太いとグリップ力は増しますが、路面の僅かな凹凸にも反応して横方向のグリップ力が発生してしまいますので、直進安定性が損なわれます。タイヤ外径の大きさもあいまって、操縦安定性はあまりよくありません。転がり抵抗についてはタイヤの選択次第ですが、同じ条件での比較では不利に作用します。せめて16インチホイールの場合はタイヤ幅をアクセラと同じ205mmにした方がよいのではないでしょうか。太いタイヤの見栄えを重視する向きもあるようですが、CX-3の場合、タイヤは太ければよいというわけではないお手本に見えます。旋回性能重視のスポーツカーならまだしも、街乗りのための車に果たして太いタイヤが必要なのでしょうか。

【外観】

  • デミオとほぼ同じ大きさとは思えないほど迫力があります。
  • よく見るとホイールベースとホイールサイズはデミオと一緒で、タイヤ周囲の黒い縁取りでタイヤを大きく見せています。最近はこういう大きそうな車輪が流行なのでしょうか。
  • セラミックメタリックはよく似合っていると感じました。黒い縁取りとの相性の良い色なのでしょう。

【室内】
  • デミオXD Touringとほぼ同じです。CX-5の方が着座位置が5cm高いのですが、運転中にはほとんど違いを感じませんでした。運転中に目の前に見えるダッシュボードがプラスチックなのはデミオと同様です。
  • 窓の天地寸法が小さいせいか、デミオと同じ室内スペースながら落ち着いた印象を受けました。
  • 座面が高いおかげで乗降は楽でした。
  • 後ろの窓ガラスがアクセラ並に小さいです。その代わり、雨の日に走ってもデミオよりも車体後部が汚れにくいです。
  • 後席は天井が高くてデミオよりはましですが、大人が常用するスペースではありません。

【燃費】
いつも通り燃費のために我慢することは一切なく、高めの速度で走ったところ、平均燃費は20.0km/Lでした。流れの悪い幹線道路をゆっくり走っているときは24km/L強でした。デミオディーゼルで同じ道を走ってもおそらく同じくらいの燃費だと思います。デミオよりも車体が重い割には良い数字ではないでしょうか。

【他車との比較】
CX-3単体としてはおとなしく走る分にはすこぶる快適な車なのですが、同じ1.5Lディーゼルエンジンを積んでいるデミオやアクセラ15XDと比較すると、デミオの方がほぼ同じ質感で安いですし、16インチホイールなら高速安定性にすぐれているように感じます。アクセラ15XDですらCX-3よりも安く、それでいて後席は広いですし、サスペンションにもお金がかかっています。軽快さを取るならデミオXD TouringのAWD、車格なりの質感や足回りや広さを取るならアクセラ15XDを選びたくなります。

デミオディーゼルを出す前にCX-3を出していれば絶賛されたかもしれませんが、デミオディーゼルが同じエンジン、ほぼ同じ内装で先に出ましたので、デミオのお値打ち感が先立ってしまいます。デミオディーゼルのAWDでもCX-3のFFよりも安いです。

2015年5月23日土曜日

CX-3の試乗車を見てみました

ディーラーの店頭にあるCX-3の試乗車を見てみました。試乗はせず、内装と外装を見ただけです。

【外装】

  • デミオとほぼ同じサイズながら迫力があり、一つ上の車格に錯覚します。
  • セラミックメタリックは白とは全然違う色で、薄いグレーや薄いシルバーに近い色です。やはりソウルレッドとセラミックメタリックが売れ筋とのこと。
  • ホイールは大きいだけでなく太いです。このサイズで18インチのタイヤを履いて大丈夫なのか心配ですが、ホイールが大きくなった分トレッドも大きくなっていますので、高速道路では乗り心地が良いのでしょうか。
  • デミオと見比べてみましたが、全高や最低地上高はデミオとさほど違いません。
【内装】
  • 内装はデミオとさほど変わりませんが、シートが少し違うとのこと。
  • 座面の高さが乗り降りしやすい高さに設定されているのが売りですが、実際に乗り降りしてみると、腿を支える突起が乗降の妨げになります。これならデミオでも乗り降りのしやすさは大差なさそうです。
  • 後席の快適さはデミオとは全然違います。頭上のスペースに余裕がありますし、座面が高いので、座りやすいです。その代わり後席の窓の小ささが気になりました。
【荷室】
  • 荷室は当然のことながらデミオよりも大きく、国内旅行用のキャリーケースを2つ積んでもスペースのやり繰りに苦労しないくらいのスペースはあります。海外旅行用の23kgクラスのスーツケースが1個入るか入らないかくらいの大きさです(それにしても試乗車では荷物を入れた状態で展示してくれると荷室の大きさをつかみやすくて助かるのですが)。
  • 荷室は2段になっていますが、下の段の深さが5cmくらいしかなくてびっくりしました。貴重品入れくらいの使い道しか思いつきません。
  • 荷室の仕切り板を外した場合、荷室の中に置き場がありません。
【使い方】
  • 2人乗りでしたらデミオで十分ですし、大人4人で乗るとなるとCX-3では荷室の大きさが足りません。大人2人に子供1人くらいが精一杯かもしれません。アクセラのセダンだと大人4人で乗って荷物を積むスペースがあるのですが。
  • 競合車種として直接想定されているのはヴェゼルでしょうが、ヴェゼルよりも狭いです。むしろmini crossoverと被ります。内装や外装の方向性は全然違いますが、サイズや使い方としては近いと思います。スペックの数字もほぼ同じです。
【価格】
デミオよりも1回り高くて300万円クラスですが、「価格は大きさに比例する」という考え方を捨てればこれもありなのかもしれません。しかし他の300万円クラスの車と比較した場合に、小ささやデザイン以上の価値を見いだせるのか疑問です。

2015年5月3日日曜日

最近見かけるデミオとCX-3

最近になって、新型デミオとCX-3を見かける機会が増えてきました。

デミオは数が増えてきたのか、見かける頻度が増えてきました。最近はガソリン車の方を多く見かけます。体感的にはガソリン6割ディーゼル4割くらいでしょうか。デミオディーゼルは長距離巡航に特化したニッチな仕様ですので、発売当初はともかくとして、実用的な使い勝手を考えればガソリン車の方が売れると思います。1.3Lクラスのガソリンエンジン車で変速機がCVTでないもの自体が珍しいですから。燃費に関してはCVTを搭載するフィットに劣るようですが、変速フィールはATの方が良いですし、高速域ではATの方が有利です。

色については、ソウルレッドが一番多いのは今までと変わりませんが、ブルーリフレックスマイカをぼちぼち見かけるようになりました。ディープクリスタルブルーマイカもそこそこ見かけます。ただし、色については地域差もあるでしょうから、自分が見かけた範囲ではまだサンプルが足りません。

発売から間もないCX-3も見かけるようになりました。色はセラミックメタリックという白が一番多いです。その次がソウルレッドです。他の色はまだ見たことがありません。まだ数はそれほど多くないのですが、とてもインパクトのあるエクステリアですので、実際の数以上に印象に残ります。

CX-5やアテンザもよく見かけますが、さすがにマイナーチェンジ後のはまだ見たことがありません。CX-5なんて売れ筋ですし、マイナーチェンジ版はCX-3よりも先に出たにも関わらず見かけないのは、もしかしてマツダコネクト効果でしょうか。

新型アクセラを見かける頻度はCX-5はおろかアテンザよりも低くて、体感的には新型デミオと同じくらいでしょうか。アクセラは初代、二代目、新型のうち、4:4:2くらいの相対頻度に感じられます。新型アクセラは影が薄くて、正面から見ると、ぱっと見新型デミオかと思ってしまいます。実際に乗ってみるとなかなか良い車なのに勿体無いです。

2015年3月30日月曜日

タイムズカーレンタルのレンタカー料金

2015年4月1日からのタイムズカーレンタルの料金表を見てみました。このたびの料金改定で、ハイブリッド車やディーゼル車向けの料金クラスが新設された他、輸入車の料金も設定されるようになりました。タイムズカープラスで輸入車がそこそこ好評なのを受けて、レンタカーにも展開しているのでしょう。料金単価は概ね車両の実勢価格を反映したものですが、一部に車両価格から乖離したものも見受けられます。

まず、デミオディーゼルはアクアやフィットハイブリッド(1.5L)と同じ単価でした。車両価格や燃料コストはほぼ同じですので、この料金設定は妥当だと思います。面白いのは、1.5Lガソリン車であるアクセラ1.5Lの単価がコンパクトカーのハイブリッド車やディーゼル車の単価よりも安いことです。高速道路を利用せずに山道のワインディングを走るなら、デミオディーゼルよりもアクセラ1.5Lの方が魅力的だと思います。フロントが軽くてよく曲がりますし、サスペンションもアクセラの方が良いものを使っていますから。一方、アクセラ2L等の2Lガソリン車の単価はデミオディーゼル等よりも少し高い程度です。高速道路を走るならデミオディーゼルも2Lガソリン車もほぼ同じくらいで、2Lガソリン車の方が車内が広くて快適です。

プリウスはやや高めで、アクアよりも25%ほど高いですが、大人4人乗れて荷物もたっぷり積めて、かつ燃費も良いので、レンタカーとして利用するにはたしかに便利な車種です。アクセラのハイブリッド車もプリウスと同じ単価で、走りはともかくとしてアクセラの2Lと比べるとなぜか割高に感じます。ちなみにゴルフとポロもプリウスと同じ単価です。プリウスと同様に大人4人で乗れて荷物もたっぷり積めるプレマシーも同じ単価ですが、プリウスとの燃費の差を考えると少々割高かもしれません。

CX-3はかなり強気で、デミオと同じ1.5Lディーゼルエンジン搭載ながら、プリウスやアクセラハイブリッドよりも単価が高く、デミオディーゼルよりも4割ほど高いです(ヴェゼルもCX-3と同じ単価)。同じ単価でアテンザ2LやCX-5の2Lを借りられます。

ミニもかなり高めで、ゴルフやポロの倍近くします。一回り車格が上で使い勝手の良いミニ・クロスオーバーでしたらまだしも、普通のミニの車両価格や車格はポロと同じくらいなのに、どうしてこんなに差がつくのか不思議です。もしかしたらプリウスと同じ値段で乗れるゴルフがバーゲンプライスなのかもしれませんが。

レンタカー単価を排気量やパワートレイン(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ハイブリッド等)や車種(ハッチバック、セダン、ワゴン、SUV等)、座席数で重回帰してみると定量的に傾向を掴めそうです。

レンタカーはいろいろな車種を試せますし、しかもディーラーでの試乗と違って自分の走りたい道をまる1日じっくり走れますので、旅行や出張のついでにいろいろな車種を試してみるととても参考になります。他の車と比較してみて初めてわかるものもありますし。

2015年3月8日日曜日

CX-3の実車を見ました

某所でCX-3とすれ違いました。色はセラミックメタリックです。近くにディーラーがあるような場所ではありませんので、もしかしたら事前予約組の納車が始まっているのかもしれません。

すれ違いざまの一瞬のことですので印象に残った箇所しか記憶にありませんが、そのときの印象は以下の通りです。

  • 大きさの割に存在感があります。フロントグリルの大きさのせいか、一回り大きいサイズに見えます。
  • セラミックメタリックはとても似合っていました。たぶんデミオだと似合わない色だと思います。
  • ライト下のフォグランプと方向指示器のハの字の部分がとても目立ちます。デミオよりもいかついです。これのおかげで一目でCX-3だとわかります。
  • デミオよりも全高が5cm高いだけなのに、随分車高が高く見えます。裾部が黒いとかベルトラインが高いとか、見せ方によるものかもしれません。
  • 全般的にデミオとは全然雰囲気が違います。諸般の事情により大きな車には乗れないけど、それでも車で格好をつけたい人に向いていそうです。Bセグメントの輸入車にはあまりいかつい車はありませんので。
  • デミオの場合は「あの安売りされていてださかったデミオなのに」という意外性がある一方で、CX-3の場合は反対に「このエクステリアで」「この雰囲気で」「この値段で」という逆の意味での意外性がありそうです。

2015年2月7日土曜日

CX-3とMini Crossover

当ブログでは基本的には実車に則した感想しか書かないつもりでいるのですが、そうはいってもやはりCX-3のことは気になります。CX-3のエクステリアを見て真っ先に思い浮かぶのはMini Crossoverです。Mini Crossoverならたまに乗っていましたし、近所でもよく見かけます。

Mini CrossoverはMiniのSUV版のように見えますが、実際には高速道路での移動も楽なファミリーカーとして使われている、なんちゃってSUVというかSUVもどきというか、SUVとは似て非なるものです。普通のMiniと比べて5ドアで後席が広くてかつ天井も高いので後席に人を乗せやすいですし、着座位置が高いので高速走行でも運転が楽ですし、車体が重いので高速道路でも安定して走ります。BセグメントのMiniがベースでありながら、車体が大きくて重くて値段も高いので、実質的にはCセグメント相当です。

Mini Crossoverの中で一番安いMini Crossover Oneの場合、エンジンは自然吸気1.6Lですが、車体が重いため、パワーには余裕がありません。エンジンを回せばよく走るのですが、高速走行ではおのずと回転数が高くなりますので、あまり静かではありません。もちろん、剛性感の高さや、速度が乗ってくるにつれて乗り心地が良くなるところはさすがドイツ車だと思いますが。

MiniのATはアイシンAW製の6ATで、DCTと違って低速域でも滑らかです。Dレンジでシフトレバーを倒すとマニュアルモードになるのはSkyactiv-Driveと同様です。シフトレバーを手前に引くとシフトアップし、前に倒すとシフトダウンするのもSkyactiv-Driveと一緒です。どんなに小さいサイズでもアクセルペダルはオルガン式であるのもマツダと同じです。

Mini Crossoverの上位モデルでは2Lのディーゼルエンジンを搭載したモデルもあって、それなら高速道路でも快適そうですが、あいにく実車に乗ったことはありません。たまに近所でBMW X1を見かけますが、ディーゼルエンジンのカラカラ音は昔ながらのものです。

そのようなことを念頭に置いてCX-3を見ると、様々な面でMini Crossoverに似ています。サイズやパッケージングはむろんのこと、なんちゃってSUVであることとか、ベルトラインが高いこととか、CピラーとDピラーが黒くて連続窓風になっていることとか、ホイール回りが黒いこととか、ホイールが大きいこととか、Bセグメント車がベースでありながら大きさや重さや値段がCセグメントに匹敵していることとか、小さいけれども良い車をアピールしようとしていることとか、敢えてMiniの中で売れ筋のMini Crossoverにぶつけてきているのではないかという気がします。

数字を比較してみると、Mini Crossover Cooper Dのエンジンの最大トルクは1500回転から2500回転まで270NmでCX-3と同じです。出力は112ps/4000rpmで、CX-3の105ps/4000rpmよりも少し大きいです。MiniのディーゼルエンジンもCX-3のディーゼルエンジンと同様の可変ジオメトリのシングルターボです。排気量はMiniの2Lに対してCX-3は1.5Lです。排気量は違うものの、出力特性の数字は似ています。JC08燃費はMini Crossover Cooper Dの16.3km/Lに対し、CX-3では20~25km/L程度と予想されており、排気量の差と後述の車体重量の差が燃費の差に結びついているようです。

車体の大きさはMini Crossoverの4105x1790x1550に対してCX-3では4275×1765×1550と似通っている上に、全高を合わせています。ホイールベースはMini Crossoverの2595mmに対し、CX-3はデミオと同じく2570mmです。トレッドはMini Crossoverが1535mm/1560mmに対して、CX-3は1525mm/1520mmです。ほぼ同じサイズですが、Mini Crossoverの方が若干ホイールベースが長く、オーバーハングが短いので、高速走行では有利そうです。

重量はMini Crossover Cooper Dが1410kgに対してCX-3が1260kgとなんと150kgもの差があり、2Lエンジンと1.5Lエンジンとの重量の違いもありますが、車体重量の差も効いているようです。出力特性がほぼ同じですので、数字を見る限りでは走りについてはより軽量なCX-3の方が有利そうに見えますが、実際の走りについては実車に乗って比較しない限りわかりません。Mini Crossoverの1.6Lガソリンエンジン車は1350kgで、これでもCX-3よりも90kg重いです。CX-3のリアサスペンションがトーションビームに対してMiniは一番小さい3ドアのでもマルチリンクですので、サスペンションの重量差も効いているのかもしれません。

本体価格はMini Crossover Oneが275万円、Mini Crossover Cooper Dが341万円で、CX-3の本体価格は240万円~300万円くらいの範囲と予想されていますが、輸入車の価格が国産車の価格の1.5倍であることを考慮すると、日本での40万円の価格差はさほど大きく感じられません。ちなみにデミオディーゼルと普通のMiniの本体価格の差は70万円~150万円ほどあり、同じ予算での比較対象にはなりませんが、Miniの本体価格を1.5で割って国産車価格に換算するとほぼ同じになります。

CX-3がMini Crossoverと一線を画そうとしているように見えるのは、ディーゼルエンジンで静粛性を追求しているところです。BMWのディーゼルエンジンが苦手な部分を突いてきている印象があって、それはデミオが微速域での滑らかさを追求することでポロが得意でない部分を突いてきているのに似ています。CX-3にはアイドリングストップがついていますが、Miniのディーゼルエンジンにはアイドリングストップがありませんので、停止時の静粛性については圧倒的な差があります。

Miniが独特なのは、どんなサイズであってもどんなカテゴリーであってもどんなパッケージであってもMiniにしか見えないことで、「でかいミニ」という矛盾した存在までいます。Miniのデザインにすると必然的にクラスレスになり、どのカテゴリーにも属さない、Miniとしか言いようのないものになってしまいます。CX-3の広報で「クラスレスでどのカテゴリーにも属さない車にする」というのを聞いたとき、クラスレスでどのカテゴリーにも属さないMiniを思い出さずにいられませんでした。