2024年8月1日にMazda 3の商品改良が発表されました。変更内容は先に発表されたCX-30の商品改良と同様で、Amazon Alexaやオンラインナビが実装されています。
むしろ気になるのはグレード構成です、近年の傾向に沿って車種やグレードが整理されており、売れ筋から外れたグレードが徐々に消えています。意外にもSkyactiv-Xはかろうじてファストバックの上級グレードで残っており、MTとATの両方がありますが、AWDのみです。MTはファストバックのXと2Lのみです。1.5LはATのFFのみです。セダンは2LとディーゼルのATのFFのみです。
欧州では北米と同様に2.5Lエンジンになりましたが、日本仕様は2Lエンジンのままです。
Black Tone Editionは予想通りになくなりましたが、Retro Sports Editionは残っており、1.5Lでも2Lと同様の長距離用装備をつけられます。1.5Lと2Lの価格差は20万円です。一方、1.5LのS Packageもメーカーセットオプションの360°セーフティー&コンフォートパッケージをつけるとRetro Sports Editionとの装備差が縮まります。価格差は221,500円です。装備の差は以下の通りです。
- クルージング&トラフィックサポート(CTS):ステアリングアシスト
- アダプティブLEDヘッドライト:対向車にハイビームが当たらないようにしたり、低速域では歩行者にライトが当たりやすくなったり、高速道路では遠くまでライトが当たりやすくなる
- LEDヘッドライト
- リバース連動ドアミラー
- ステアリングヒーター
- ステアリングシフトスイッチ
- パワーシート
- シートヒーター
いずれも街乗り中心であれば必要ない装備です。一方、15S S Packageに360°セーフティー&コンフォートパッケージをつけると以下がつきます。
- 360°ビューモニター(車の周辺の死角が見える)
- ワイヤレス充電(Qi)
- ワイヤレスApple CarPlay
- フルセグTVチューナー
さらに以下は15S S Packageで標準装備です。
- 交通標識認識システム(TSR)
- Amazon Alexa
- 車載通信機
- 前側方接近車両検知
- スーパーUVカットガラス(フロントドア)+IRカットガラス(フロントガラス/フロントドア)
- 自動防眩ルームミラー
以下は、事実上のレンタカーグレードである15Cも含めた全車標準装備です。
- 全車速対応追従型クルーズコントロール(MRCC)
- 後側方接近車両検知
- レーンキープアシスト
- ブラインドスポットモニタリング
- 純正オーディオ(音が良い)
- フロントガラス照射式ヘッドアップディスプレイ
いまどきの車は標準装備でもなかなかのものです。15S S Packageなら街乗りで必要な装備はほぼ網羅されています。そこから17万円弱追加して360°セーフティー&コンフォートパッケージべきかどうか迷うところですが、今までの経験上、360°ビューモニターはつけた方がよいと思います。車庫入れで便利なだけでなく、狭い道を通過するときや狭い駐車場を走行するときや、さらにコンビニで前進駐車するときに楽です。後方はバックモニターがありますのでギリギリまで寄せられますが、前方は360°ビューモニターがないとボンネットの向こう側が見えません。車幅感覚があれば解決する話ではありますが、車には死角が多いので、見えているつもりは危険です。知らないうちに子供や動物が死角に入り込んでいるかもしれません。ワイヤレス充電やワイヤレスApple CarPlayはなくても困りませんがあってもよいかなとは思います。
残念ながらフルセグTVチューナーまで抱き合わせでついてきます。運転中には映らないのにTVチューナーをつける意味が理解できません。いまどきの車はTVキャンセラーをつけると壊れますので、暗黙のうちにTVキャンセラーをつけることが想定されているようにも見えません。昔はFMチューナーで地上波テレビの1〜3chの音声も受信できたのですが、地デジの時代になってFMチューナーで受信できなくなりましたので、ラジオの代わりでしょうか。それでも、一昔前までは少しでも安全装備をつけるとTVチューナーが抱き合わせだったのに対し、今では標準装備でもそれなりの安全装備がついていますので、安全装備のためにTVチューナーを抱き合わせで買わされるということはありません。
1.5Lエンジンは未だに圧縮比13のままで、Mazda 2で採用された圧縮比14のエンジンではありません。しかし、つい最近レンタカーで新しいMazda 3の1.5L車に乗ったところ、低回転のトルクが向上して、低負荷では低回転で走ることができました。1.5Lエンジンというとアクセルを踏んでしっかり回して走らせるものとばかり思っていましたが、今の1.5Lエンジンは公道の速度域なら意外と低回転で走れてしまいます。ロードスター用の燃調マップの改良が反映されているのでしょうか。
また、1.5Lエンジンには未だにマイルドハイブリッドがついていません。たしかにMazda 3の1.5Lなんて日本専用ですのでそのために型式証明を取るのは手間ですし、1.5Lは安く売りたいのかもしれません。最近の車は電装品の消費電力が大きいので、オルタネーターとバッテリーの容量を大きくするだけでも燃費が改善しそうですが、Xよりも燃費が良くなってしまうと困るのでしょうか。将来Xが廃盤になったあかつきにはテコ入れしても良さそうですが。
1.5Lエンジンにこだわらなければ2LのTouringには一通り長距離向けの装備がついています。1.5L S Packageに360°セーフティー&コンフォートパッケージをつけた価格よりも約25万円高いです。長距離向け装備全部盛りの15S Retro Sports Editionは20S Touringよりも少し安い程度です。高速道路で余裕を持って走るなら2Lの方がよいのですが、2Lエンジンは燃費が悪く、燃費のために我慢しながら走るとつまらないです。どのみち公道の制限速度が制約になりますので、2Lエンジンで我慢しながら走るよりも1.5Lエンジンをしっかり回して走る方が気分が良いです。いっそのこと1.5Lエンジンにターボをつけた方が2Lエンジンよりもよく走ってかつ低負荷域で燃費が良かったりしないでしょうか。Mazda 2の1.5Lディーゼルエンジンの代わりにもなりそうですし。
Xはもともと全部盛りかつAWDですので高いですが、2Lエンジンの全部盛りのAWDと比べても100万円近く高いです。250万円の1.5Lエンジン車に対してXは400万円です。重量は1.5Lエンジン車よりも200kg近く重いです。Xはエンジン単体の熱効率は良いのかもしれませんが、補機が多くなって重くなりましたので、車としての燃費は1.5Lエンジン車とほぼ同じです。それでいてハイオク推奨ですので燃料代はむしろ高いです。車種が整理されている中でよく残ったものだと思います。