【パワートレイン】
乗る前はマイルドハイブリッドがついただけでそんなに違うのだろうか、ハイブリッドと呼ぶほどのものかと思いましたが、エンジン回転数が少なくてもトルクの不足を感じることなく加速できるようになりましたので楽に運転できるようになり、少々ディーゼルエンジン寄りの感覚になりました。モーターアシストによる不自然な動きを感じることはありませんでしたし、どこでモーターアシストがきいているのかもわかりませんでした。燃費はストロングハイブリッドに到底及びませんが、走りはハイブリッド的なのかもしれません。ツアラーとしては良いのではないでしょうか。CX-30よりも少し軽いMazda 3の2Lエンジン車ならもっと軽快に走れるだろうかと期待します。Skyactiv-Gにマイルドハイブリッドをつけるだけでも運転感覚が変わるのでしたらSkyactiv-Xとは何だったのかと思いました。高速域での追い越し加速では2Lエンジン車そのものですので、燃費はともかくパワーに不足を感じることはありません。
高速道路の速度域ではほぼエンジンだけで走りますので、そういう用途でしたら比較的コストの安いマイルドハイブリッドもありかもしれません。欧州の自動車メーカーがマイルドハイブリッドに力を入れるのもそのような理由からでしょう。しかしマツダの6ATは高速域で燃費が悪いので、もう少しどうにかならないものかと思います。たしかに電気モーターは高回転ではトルクが出ませんのでエンジンだけで頑張らざるを得ないでしょうが、低速域でモーターアシストがある前提でもう少しハイギアードにしたりできないものでしょうか。現在でも2Lエンジン車の最終減速比はディーゼルエンジン車と同じ4.367ですが(Mazda 3よりも少し大きいですが、CX-30の方が車輪径が大きいので、最終減速比は高めになります)。
【ブレーキ】
もともとMazda 3のブレーキは踏力でコントロールするタイプで慣れると扱いやすいのですが、マイルドハイブリッドではブレーキ・バイ・ワイヤを採用しているため、踏力でコントロールする感覚は薄れました。回生ブレーキとの協調制御はよく作り込まれていると感じましたが、まだ慣れていないのか停止直前に滑らかに停止させるのが難しくて、ブレーキペダルを離しても意図しない制動力と衝動が発生しました。
【ハンドリング】
車高が高いためあまり機敏な印象はありませんでしたがGVC+のおかげか意図した通りに曲がることはできましたのでツアラーとしては十分だと思います。ハンドリングを楽しむなら車高の低いMazda 3でしょうね。CX-30でも曲がれるのですが、気持ちよく曲がれるわけではありません。
【ホイールとタイヤ】
SUVですので215/55R18とMazda 3と同じく18インチながら幅も外径も大きくエアボリュームが多めです。だからといってMazda 3よりも著しく乗り心地が良いかというとそうではなく、基本的な設計思想は同じと感じました。エアボリュームよりもバネ下重量が大きくなったことによるフライホイール効果を感じました。最近の流行だから仕方ないのですが、舗装された公道を走るのにこんなに大きなタイヤが必要なのでしょうか。タイヤは新車装着タイヤから履き替えているようで、レンタカーですのでブリジストンのPlayzというBluEarthと同じクラスのエコタイヤでした。もう1ランク上のコンフォートタイヤを履いたら(Regnoは高いでしょうからAdvan dbとか)静かで乗り心地が良くなるかもしれません。
【運転席】
最低地上高が高くなったわけではありませんので、窓の位置が高くなり腰高な印象を受けます。また、ボンネットとダッシュボードの位置が高いと感じました。さすがに天井が高いのは楽ですが。MX-30のEVに試乗した際には着座位置が高くて落ち着きませんでしたが、CX-30の場合はシートリフターで目一杯座面を下げればそこまで着座位置が高いという印象はなく、比較的乗りやすいと思います。
【後席】
せっかくですので後席にも座ってみました。後席の居住性はMazda 3よりもかなり良いです。天井が高いですし側窓の天地寸法も確保されています。前席の運転席と助手席との間隔を開けているようで前方の見通しも良いです。Mazda 3には無い後席のエアコン吹き出し口もあります。ファミリーカーとしてはMazda 3よりもCX-30ですね。
【燃費】
郊外路中心で走って18km/L程度。CX-30の方が車体が重いので、マイルドハイブリッドの効果は1km/Lくらいは出ていそうです。高速道路では15km/L程度で、高速道路ではほぼエンジンだけで走りますので、これはエンジンの実力通り。満タン法による平均燃費は17.5km/Lでした。高速道路走行時の数字が足を引っ張っています。
諸元表を見ると、WLTC平均燃費が16.2km/L、郊外モードが16.7km/L、高速道路モードが18.0km/Lとありますが、高速道路でこんな燃費が出たことがありません。一体どれだけゆっくり走ったらこんな燃費が出るのでしょうか。クルーズコントロールで巡航したってこんな燃費で出ません。一方、郊外路なら16.7km/Lどころか18km/Lくらいは出ます。
速度計の左の瞬間燃費計は40km/Lより上の領域で、充電時に充電電力が表示されます。アクセルを離す程度では充電されず、ブレーキを踏んで減速したときのみ充電されていました。公道で普通にブレーキを踏む分には充電ゲージが振り切れることがほとんどありませんでした。蓄電池やオルタネーターの容量からしてそもそも減速時の運動エネルギーの一部しか回収されていないのかもしれません。