2025年3月23日日曜日

もしSKYACTIV-ZをBセグメント車に積むなら

SKYACTIV-Zは2.5Lエンジンで、CX-5では2027年にハイブリッド車として登場することになっています。おそらくスモールプラットフォームの標準エンジンになるでしょうから、Mazda 3やCX-30といったCセグメント車にはハイブリッド車として搭載されるでしょうし、もしかしたら廉価版としてエンジンだけのタイプも出てくるかもしれません。マツダは、SKYACTIV-Zは、SKYACTIV-GはおろかSKYACTIV-Xよりも熱効率の良い領域(いわゆる目玉の領域)が広いとしており、アイドリング以外のほぼ全域で熱効率が良いとしていますので、もし本当にそうであれば、モーターアシスト無しでエンジン単独で駆動するのも問題なさそうです。

ヤリスハイブリッドと普通のヤリスはともに1.5Lガソリンエンジンを積んでいますが、動力性能はどちらも同じくらいで、走りだけなら普通のガソリンエンジン車でもよいのではないかと思えてきます。ガソリンエンジン車にはモーターアシストも電力回生もありませんので、燃費性能ばかりはどうにもなりませんが。2.5LのSKYACTIV-Zはおそらく1.5Lターボエンジン相当の性能なのではないかと予想していますが、1.5LターボエンジンはBMWの1シリーズやMINIといったBMWのFF車では広く採用されていますので、Cセグメント車の重量であればエンジン単独で走るのでも動力性能に不足はないでしょう。ただし、エンジン単独で走るためには変速機が必要で、今のFF車向けの6ATではCVTよりもレシオカバレッジが狭いため、高速道路モード燃費がCVT車に負けるという情けないことになっています。燃費性能の水準が底上げされることで高速道路モードの燃費が気にならなくなればよいのですが。

そもそもマツダがBセグメント車を新たに開発するかどうか不確かですが、パワートレインが同じであれば車両重量が軽ければ軽いほど燃費で有利です。Bセグメント車であってもエンジンルームにスペースを取ることさえできればハイブリッド無しでエンジンだけ積むのはありなのではないでしょうか。現在Mazda 2のエンジンは1.5L自然吸気エンジンですので、ハイブリッドなしでも動力性能は十分にありそうです。燃費を良くするためには排気量を増やすのが一番簡単で、かつて人見氏はインタビューにおいて、「デミオに最も適したエンジンは2.5L」と発言されていました。排気量に余裕を持たせた分を燃費向上に振り向ければ、Cセグメントのガソリンエンジン車よりも燃費が良くなりそうです。Bセグメント車は価格を抑えるためにコストを抑える必要がありますが、ありもののエンジンをポン付けするだけが最もコストが安そうです。

もっとも、Bセグメント車ではストップアンドゴーが多いことが想定されますので、電力回生で燃費性能を稼ぐ方が燃費が良くなりそうですのです。しかし、Bセグメント車にCX-5と同じ2.5Lエンジン(実質1.5Lエンジン相当であっても)+ハイブリッドではオーバースペックな印象を受けますし、Bセグメント車にCX-5並のコストをかけられるとも思えません。廉価版はSKYACTIV-Zのエンジンのみのグレード、上級グレードは省スペースのロータリーエンジン+シリーズハイブリッドだったりするのでしょうか。欧州で売るためには高速道路での動力性能や燃費性能も必要ですので、果たしてシリーズハイブリッドで大丈夫なのかとか、ロータリーエンジン自体の熱効率はどうなのかといった問題がありますので、ロータリーエンジン+シリーズハイブリッドはすぐには出せないのではないかと予想します。

マツダはSKYACTIV-Zの技術をラージプラットフォームのエンジンやロータリーエンジンにも応用するとしていますので、燃費性能の向上したロータリーエンジンが楽しみです。ロータリーエンジンは燃焼室の形状がいびつですので火花着火では燃焼効率に限界がありますが、もしロータリーエンジンで圧縮着火を実現できれば、ロータリーエンジンの弱点の一つを解消できそうです。