2025年3月18日火曜日

もしかして現在のマツダ車の操縦安定設計思想のもとではエアサスペンションが向いているのだろうか

マツダの第7世代車の操縦安定設計思想は、車体の左右動を抑え込むことで体が左右に揺さぶられることを防ぐことと、車体が人間の直感に反した不自然な動きをすること防ぐことが重視されています。従来は路面からの入力で発生する力を後ろに逃がしていましたが、そうすると車体がフワフワします。車体をフワフワさせなければ路面からの入力は上下動という形で直接車体に入ってきます。人間の体は上下動には適応できるので揺れが一発で収束する方がよいとか、骨盤を立てて座れば気にならないとかいうものの、それでも気になる人にとっては気になるでしょう。

鉄道車両では旅客車についてはだいぶ昔から空気ばね台車(エアサスペンション)が常識です。一方、自動車でエアサスペンションを採用しているのは、一部の高級車と、精密機械や美術品といったデリケートなものを運ぶトラックや、高速バスに限られています。空気バネ台車の電車とコイルばね台車の電車(昔の国鉄103系や113系)とを乗り比べると、空気バネ台車の方が路面からのゴツゴツした入力が緩和されています。かつて小田急で長らく採用していたアルストムリンク式(平行リンク式)の台車は、軌道が悪いと路面からの入力がゴツゴツするという理由で他社では廃れましたが、小田急では空気ばね台車との組み合わせで相性が良いという理由で、小田急だけは長らく採用していました。小田急は軌道が良いこともあって、上下動が小さく、氷の上を滑るような乗り心地でした。

鉄道車両の台車の軸箱支持方式には様々なものがありますが、そこで共通しているのは軸箱の前後動を抑えつつ上下動だけさせるというものです。この辺りも現在のマツダ車の操縦安定設計思想に類似していいます。安価なものは摺板で支持するペデスタル式ですが、高価なものだと円筒案内式だったり、最近の主流はトーションビーム式に類似の軸梁式やリンク式です。鉄道車両の車輪は車軸式ですので、左右動の考慮は不要です。

でしたら、マツダ車にエアサスペンションを採用すれば、劣後されてしまったハーシュネスの解消の役に立つのではないでしょうか。さすがに安いスモールプラットフォームに高価なエアサスペンションを採用したらコストが合わないでしょうが、ラージプラットフォームの車には600万円とか700万円とかするものもあるのですから、その値段にふさわしい乗り味の車があってもよいのではないでしょうか。