2016年7月11日月曜日

早くゆっくり

i-DMで5th Stageになってから、コーナリングで白点灯する場面が増えました。もともとコーナリングはあまり得意ではありませんのでそれが可視化されただけのことですが、それでも何とかした方がよかろうと思って、まずはコーナーの手前でブレーキをかけるタイミングを今までより少し早くしてみました。

ブレーキをかけ終わってからステアリングを切り始めるタイミングも少し早くなります。コーナー手前ですので大きくステアリングを切るわけにいかず、横方向のグリップ力が立ち上がるのを感じる程度に僅かにステアリングを切ります。そこからコーナーに入るにつれて徐々に切り増していくのですが、最初に発生させた慣性力でフロントが内側に動き続けますので、さほど切り増さなくても曲がれてしまいます。感覚的にはステアリングの舵角は数度なのですが、実際に見てみるとたしかに国道の緩いコーナーでは数度なのですが、普通の90度曲がるコーナーでは拳一つ分、15度くらいです。舵角が小さい上にゆっくり動かしますので、あまり動かした気がしません。その代わり、コーナー手前でブレーキを踏み、円曲線に入ってからはアクセルを踏み、コーナーの出口に近づくにつれてアクセルを踏み増しますので、右足はよく動いています。しかし同乗者にはドライバーの右足の動きは見えませんし、しかもオルガン式アクセルペダルでは踵の位置が固定されていて右足の膝もほとんど動きませんので、ステアリングはほとんど動いていないのになぜかどんどん曲がっていくように見えることでしょう。

運転がうまくなるのつれステアリングをあまり動かさなくなるということは、パワーステアリングはもっと重くてもよいということです。車を曲げるのに必要な慣性力を手で感じて、なるべくステアリングを回すのに負担のかからないように運転するのが車を効率的に曲げる運転のしかただからです。急ハンドル、急アクセル、急ブレーキが可能なのは、ステアリングやアクセルやブレーキがそれだけ軽いからです。

コーナーの目測を誤ってステアリングを切るのが遅れると白点灯します。走り屋みたいに同じ峠を何度も走りこんで練習することはせず、その反対に初見の道ばかり走っていますので、そういうことはよくあります。

それでもi-DMの平均点は上がりましたので、そこそこ効果はあったようです。むしろ混雑した道の方が急ブレーキを踏まされるたびに厳しく減点されます。Gを滑らかに変化させるよりも公道で大勢の他人の意思決定を読む方がはるかに難しいです。

運転の上手な方にとっては「何を今さら」という程度の話なのですが、実際に自分でやってみて効果を実感してみるとなるほどと思います。

もう一つなるほどと思ったのは、フロントヘビーなデミオディーゼルだからこそ早めの操作が効いてくるということです。車の向きを変えるためにはタイヤのグリップ力によって横方向の慣性力を発生させる必要がありますが、フロントが重い場合には横方向のグリップ力を大きくするか、力を加える時間を長くする必要があります。単にゆっくり動かすだけでは操作が遅れてしまいますので、操作開始を早める必要があります。重いものを動かすときに力をかけてゆっくり動かせば楽に動きますが、強い力で叩いても手が痛いだけであまり動きません。タイヤのグリップ力のみに頼らず負担のかからない効率的なコーナリングを目指すなら、フロントヘビーな車をいなす方が練習になります。

しかし早めに操作を開始するためには、先読み推量が必要になってきて、それはGをコントロールするのとはまた別の意味で難しいです。目視で確認できる範囲でしたらまだしも、ブラインドコーナーでは線形がわかりませんし、狭い道で対向車が来る可能性もあります(ですから最初からあまり速度を出せず、したがってコーナー通過時の横Gも小さめになります)。他人が介在するとさらに先読み推量が難しくなります。フロントヘビーなデミオディーゼルを曲げるのが難しいとしたら、フロントヘビーであることよりもむしろ、フロントの軽い車に比べてより多くの先読み推量が必要だからかもしれません。