2016年7月19日火曜日

コーナーの入口と出口

わかっている人にとっては何を今更な話でしかありませんが、コーナーの出口でGを移動させるのが比較的容易なのに対して、コーナーの入口で最適な減速度に持っていくのは難しくて、なかなかうまく行きません。

コーナーの出口では、コーナーでの遠心力に見合った加速度を与えてやればよいので、最終的にどれくらいの加速度を与えればよいかを体で覚えていて、その加速度に達するまで徐々にアクセルを踏み込んでやればよく、あとはいかにして横方向の加速度と前方向の加速度をきれいにつないでいくか次第です。コーナー中心から前へと運転を組み立てますので、比較的容易です。また、コーナーの出口では徐々に見通しがよくなっていきますので、線形を読みやすいです。今の技量では常に成功するわけではありませんが、それでもうまくいったときにはGが回っていくのを感じます。

一方、コーナーの入口では円曲線通過時のターゲットとなる横Gを想定し、そのGに見合った減速度を与えた上で、コーナーの手前でターゲットとなる横Gに見合った速度に合わせる必要があります。そのためには、まずコーナーを目視して、この線形ならこれくらいの速度で通過できそうだと当たりをつけ、コーナーの手前までにその速度まで減速しようと思い立ち、ターゲットとなる横Gに合わせた減速度で減速するために減速を開始する場所を決定する必要があります。コーナー中心から逆算して手前側へと運転を組み立てていくわけです。

これらの演算を瞬時に行ってその通りに運転するのはなかなか大変です。最初にブレーキをかけ始める時点で既に勝負がついています。タイミングが合わなければその先どうやってもうまく行きません(逆に言えば、うまくいかない場合にはブレーキをかけ始めるタイミングをいろいろ試してみればよいわけですが)。狙い通りにブレーキをかけることができなければコーナリング以前の問題に思えます。しかもブラインドコーナーではコーナーの後ろ半分は最初は目視できませんので、カーブが徐々にきつくなるようなコーナーでは線形の予測を誤ってステアリング操作が遅れる可能性も高いです。

ターゲットとなるGが大きいと難しいですが、ターゲットとなる横Gが小さければその分曲線通過速度が低くなりますし、早めに減速を開始することになりますので、比較的余裕を持って操作できます。また、コーナーの出口でアクセルを踏み込んで加速する以上、それに見合った減速をして十分に速度を落とさなければ、コーナリングのたびに際限なく速度が上がってしまいます。Gが小さければi-DMで青点灯しませんし、そうなると必然的に点数は4.5点以下になりますが、青点灯にせよ点数にせよ結果でしかなく、それ自体を目的にするのは本末転倒だと思います。

例えば高速道路の本線上で常識的な速度で走っている限り横Gはほとんど発生しませんので(巡航速度に見合ったカントもついていますし)、それに見合った減速度と加速度も低めになります。コーナー手前でアクセルを緩めて減速し、コーナー入口からコーナー出口にかけて徐々にアクセルを踏み込んでいけば比較的きれいに曲がれます。高速道路に限らず道路構造令に準拠した道路ではもともと設計速度を保ったまま巡航できるように設計されていますし、円曲線の前後にクロソイド緩和曲線もありますので、一定速度で巡航しても横方向にGが滑らかに移動するのですが、微小であるにせよGを回すともっと気持ちよく走れます。

ちなみにコーナリングで練習しやすいと感じるのは高速道路のランプウェイです。円曲線区間が長いため、等速で舵角一定の運転をしやすいですし、前後の緩和曲線も長いので、時間に余裕を持って操作できます。高速道路のランプウェイといえば、本線上では加減速せず、減速車線に入ってから減速し、加速車線にいる間に本線上の巡航速度まで加速するのが原則ですので、加速度や減速度は比較的大きめです。減速車線に入ってから徐々にブレーキを踏み込んでいって、緩和曲線を経て時速40km制限の円曲線へと進入していきます。本来ならばコーナーの入口は難しいのですが、高速道路では道路の設計通りに走れば滑らかにGが移動するように設計されていますので、一般道の普通のコーナーよりはやりやすく感じます。

高い横Gに対応するためにはタイヤのグリップ力が必要ですし、高い横Gに見合った加速度のためには動力性能やブレーキ性能が必要であるばかりでなく、ドライバーにも高い技量が求められますので、スポーツカーはそういう前提で作られているのでしょうが、デミオディーゼルはスポーツカーではなくツアラーですので、峠よりも高速道路の方が身近に感じられます。

高速道路以外では、酷道や林道が運転の練習に向いているのではないかと考えます。狭くて曲がりくねっていますので低めの速度でも横Gが高くなりGの動きを感じやすいですし、ブラインドコーナーで対向車を発見しても安全に停止できる速度で走るとなると必然的に速度も抑え気味になりますので、無理の無いGで運転することになります。それに、曲がりくねっているということはコーナーの数が多いということですので、コーナリングの練習回数も多くなります。低い速度で丁寧に運転する経験を積んでから普通の道路に出ると俄然走りやすく感じます。