レンタカーで1.5Lクラスを予約したらアクセラ1.5Lが来ました。いつものアクセラかと思って運転しているうちにふとステアリングホイールを見るとホーンが小さい2016年夏にマイナーチェンジされたモデルでした。もしやと思って車検証を見たら2017年4月登録で走行距離6000km強でした。となればG-ベクタリング・コントロールがついていますので、どんな走りになったのだろうか気になりました。尚、レンタカーの廉価グレードでしたのでヘッドアップディスプレイはついておらず、改良後のヘッドアップディスプレイを試す機会はありませんでした。
【G-ベクタリング・コントロール】
コーナーでステアリングを切ったら修正舵無しにきれいに曲がりましたので、G-ベクタリング・コントロールの効果かと期待しましたが、コーナー手前でブレーキを踏んでアクセルを踏まずに通過する場合であっても同じような感じでしたので、果たしてG-ベクタリングコントロールの効果によるものなのかわかりませんでした。サスペンションセッティングの変更によるものという可能性もあります。たしかに曲がるのが楽という印象は受けましたが、それは普段フロントベビーなデミオディーゼルに乗っているからそれに比べて楽というのもありますし、アクセラ1.5Lはもともと曲がるのが楽な車ですのでG-ベクタリング・コントロールによるものかどうかはよくわかりません。
【乗り心地】
前期型よりもどっしりとした乗り心地に感じます。G-ベクタリング・コントロールは直進時の安定性には寄与しているようですので、それによるものかもしれません。町中でおとなしく走る分にはすこぶる快適です。デミオディーゼルは後ろが軽いせいで車体の後ろ半分が揺れるのですが、車体の重いアクセラは路面の凹凸をうまくいなしてくれます。軽い車の方が動力性能は良いですが、乗り心地を考えればある程度重い方が有利かもしれません。
【エンジン音との相性】
前期型との違いを感じたのはエンジン音の印象です。アクセラ1.5Lといえば軽快さが取り柄で、アクセルを踏み込めばエンジン回転数が上がって乾いた音になったものですが、アクセルを踏み込んだ際の軽快さが感じられません。むしろ町中では「ぐもー」と籠った音に聞こえました。程度こそ違えど1.2L自然吸気エンジンを積んだ日産ノートのような感じです。アクセラ1.5Lが本来持っていた軽快さとどっしりしたサスペンションセッティングとの整合が取れていない印象を受けました。軽快さを求めるならむしろひらりひらりと曲がっていく前期型の方がふさわしそうです。サスペンションセッティングやエンジン音をこの車のキャラクターに合わせたものにするよう工夫が必要だと思います。
普段は町中でおとなしく走り、たまに遠出するときには高速道路では追越加速時以外は楽に走れて、ワインディングでは軽快に走れるのが理想なのですが、町中での快適さとワインディングでの軽快さをどのように両立させるかが鍵かもしれません。
【スポーツモード】
マイナーチェンジでデミオのガソリンエンジン車と同様にスポーツモードがつきましたので、試してみました。市街地ではエンジン音がうるさいだけですが、山道ではキックダウンしなくてもぐいぐい力強く登っていきます。単に低めのギアで引っ張るだけでありパワーが増大しているわけではありませんが、実用上は便利です。非力な車にはあった方がよい機能です。スポーツモードの切り替えはシフトレバー右前方の低いレバーで行いますが、デミオ同様この場所にあると切り替えが面倒です。昔はこの手のボタンはシフトノブについていたものですが、どうして走行中に容易に切り替えられない仕様になってしまったのでしょう。
しかし、山道を登るならマニュアルモードで低めのギアで固定することでも十分に対処できますし、ストップアンドゴーの多い市街地ではスポーツモードだとエンジン音がうるさすぎですので、スポーツモードが無くてもさほど困りません。1.5Lであっても上位グレードにはパドルシフトがついていますし。
【高速道路】
どっしりとした乗り心地になったこともあり、高速道路といえどもゆっくりおとなしく走る分には快適です。これならディーゼルでなくてもいいかなという気がしました。ただし高速道路を数百km走ったわけではありませんので、長距離走行で疲れにくいかどうかまではわかりませんでした。前期型に乗ったときには追越加速がつらいので高速道路では使いにくいという印象だったのですが、たしかに踏んでもなかなか加速しないのは同じなのですが、前期型のときよりもエンジン音が気にならなくなりました。踏み込んだときにエンジン回転数が上がってエンジン音が大きくなるのは街乗りのときと同様なのですが、高速道路ではロードノイズや風切り音が大きいため、それらの音との組み合わせの問題でしょうか。もしかして高速道路向けにエンジン音をいじった可能性もあります。
重量に比べて非力なエンジンと低いギアが災いして高速巡航には適しませんが、ATの段数が少し増えればローギアードでありながら高速走行に対応できるのではないかと感じました。高速巡航に効いてくるのはボディーとサスペンションであり、追越加速のとき以外はパワーはさほど必要ありません。幸いアクセラはボディーとサスペンションはしっかりしていますので、あとは高速走行時のエンジン回転数を抑えて快適性を増せば高速道路でも使いやすくなるのではないでしょうか。マツダのATは現在は6段ですが、これが8段になれば高速道路でも走りやすくなりそうです。
【ソニックシルバー】
同じくシルバー系のアルミニウムメタリックよりも明るい色になりました。一見するとよくあるシルバーなのですが、よく見るとわずかに水色がかっています。トヨタのシルバーや白の車の隣に駐車すると色の違いがよくわかります。シルバーのような無難な色ですら普通のシルバーにしないあたりがいかにもマツダです。
【類似した車】
どっしりとしたボディーとサスペンション、そこそこクイックなハンドリング、それでいて非力なエンジンと回転数の高いエンジン音の組み合わせに最初のうちは違和感を抱いていましたが、そういえば程度の差こそあれ方向性のよく似た車があることを思い出しました。Miniの一番安いモデルです。
【総評】
前期型はワインディングで楽しく、街乗りではそこそこ走り、高速道路ではつらかったのですが、後期型ではワインディングでは相変わらず楽しく、高速道路でもおとなしく走る分には意外とどうにかなる一方で、街乗りが少しつらくなりました。同じアクセラでも前期型と後期型とで性格が異なるようです。後期型の場合、街乗りでアクセルを踏み込んだ際のエンジン音が改善されればよいのですが。