2017年6月3日土曜日

CX-3の国外での販売価格

日本でCX-3の2Lガソリンエンジン車が販売されるとしたらどれくらいの値段になるだろうと思って、ドイツとイギリスでのCX-3の販売価格を見てみました。オーストラリアでの販売価格も見てみたかったのですが、郵便番号を入れないと価格が表示されません。米国ではディーゼルエンジン車の販売がありませんので、ガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車の価格差を見ることができません。

【ドイツ】
欧州では同じエンジンでも出力によって価格が異なります。安いPrime Lineは120PSの2LガソリンエンジンとMTと15インチホイールのみで、VAT抜きで16,490ユーロでした。下から2番目のCenter Lineでは1.5Lディーゼルエンジンも選択できて、Prime Lineと同じく120PS, MT, 15インチホールだと18,490ユーロ、ほぼ同じスペックでエンジンが1.5Lディーゼルエンジンだと20,490ユーロと2,000ユーロの価格差です。

上位モデルのExclusive Lineだと120PSガソリンエンジンで20,690ユーロ、1.5Lディーゼルエンジンで22,690ユーロとこれも2,000ユーロの差です。120PSのATだと23,490と今度はディーゼルエンジン車よりも800ユーロ高くなります。150PSエンジンはAWDのみの設定で23,490ユーロです。1ユーロ124円で円換算すると292万円です。CX-3はアクセラよりも100kg軽いので、FFでしたら120PSで十分ということなのかもしれません。

最上位のSports Lineだと、120PSガソリンエンジンで21,790ユーロ、1.5Lディーゼルエンジンで23,790ユーロ、円換算で296万円です。150PSエンジンのAWDは24,590ユーロ、円換算で306万円です。ディーゼルエンジンのAWDは25,590ユーロとこれが一番高いです。CX-3はドイツでも結構値が張ります。

単純に価格差だけを見れば2Lガソリンエンジンは1.5Lガソリンエンジンよりも25万円安いことになりますが、比較対象の2Lガソリンエンジンの出力が120PSにスペックダウンしていることに注意が必要です。日本で販売されている2Lガソリンエンジン車は本来の出力である154PSです。

【イギリス】
一番安い120PSガソリンエンジンとMTの組み合わせで17,895ポンド、同じスペックで1.5Lディーゼルエンジンだと19,395ポンドと、1,500ポンドの価格差、約20万円の差です。上位グレードで比較してみても1,500ポンドの価格差でした。

【日本での販売価格を推測すると】
欧州価格をベースにすると1.5Lディーゼルエンジンと2Lガソリンエンジンとの価格差は20万円から25万円くらいに見えますが、日本ではガソリンエンジンの出力を絞っていませんし、MTだからといってATよりも安いわけではありませんので、アクセラと同様にほぼ同じ価格になるのではないでしょうか。300万円の1.5Lディーゼルエンジン車は買いたくないけれども300万円の2Lガソリンエンジン車なら買ってもよいと考える潜在顧客がいれば、その分だけ売れるのかもしれません。

ディーゼルエンジンも最初に比べればだいぶ改良されていて、DE精密過給制御とナチュラル・サウンド・スムーザーがついていれば街乗りでもさほど不便に感じませんし、日本では青信号発進のときですら鋭い加速が求められることがありませんので、ディーゼルエンジンであっても低めのギアで引っ張れば十分に加速できるのですが、同じように加速するのでしたら2Lガソリンエンジンの方が静かに加速できるでしょうから、静粛性を求める層にはアピールしそうです。アクセラよりも車体が軽い分、余裕のある加速ができそうです。また、エンジンが軽くなりますので、重量バランスも改善することでしょう。街乗りでの乗り味は良くなるかもしれません。

1.5Lガソリンエンジン車でも115PSありますので、2Lガソリンエンジン車の120PSとほぼ同じ出力ですが、あくまでも最高出力の数字でしかなく、通常の回転域では排気量なりの差があります。1.5Lガソリンエンジン車の場合、上り坂や高速道路ではエンジン回転数が上がりますので、ディーゼルエンジン車よりもうるさくなり、たとえ安い値段で販売しても安かろう悪かろうになってしまいます。

【他車との比較】
ちなみにデミオの1.3Lガソリンエンジン車は100万円台後半、アクセラ1.5Lガソリンエンジン車は装備にもよりますが乗り出し200万円~250万円くらいです。インプレッサも同じくらいの価格帯です。300万円あったらCセグメントの輸入車の良い車が買えます。200万円台後半で小さくて取り回しの良い車が欲しいということでしたらポロが丁度それくらいです。値引きの状況次第ではもっと安くなります。

CX-3に比較的近いのがMini Crossoverで、現モデルでは安いガソリンエンジン車がありませんが、先代の一番安いモデルは1.6L自然吸気98PSで200万円台後半、マツダの2Lエンジンに近い性能の1.6L自然吸気122PSで300万円台前半でした(マツダのガソリンエンジンは燃費重視なので排気量当たりのパワーが他社よりも控えめ)。CX-3の2Lガソリンエンジンだと同クラスの他の車よりは割高感があるものの、Miniよりは一回り安いかなという程度です。重い車体に98PSのエンジンでまともに走るのかと思いきや、本来122PSのエンジンの最高出力を絞っているだけですので、ややエンジン音が大きいものの日本の公道では問題なく走りますし、さすがドイツ車だけあって時速90kmを越えた辺りから路面に吸い付くような乗り心地になります。高速域での乗り心地の良くないCX-3とは対照的です。

【ホンダヴェゼルの場合】
ヴェゼルはハイブリッド車と1.5Lガソリンエンジン車の2本立てで、前者は227万円~277万円、後者は192万円~239万円と35万円程度の価格差です。売り上げは月によって変動があるものの、だいたいハイブリッド車6~7割、ガソリンエンジン車3~4割で推移しています。たしかにヴェゼルはこのクラスでもっとも売れている車ですが、ガソリンエンジン車のラインナップが無くても今の3分の2くらいは売れていることになります。

CX-3のディーゼルエンジン車はヴェゼルのハイブリッド車の価格に合わせていますので、ガソリンエンジン車を出すとしたら同様に1.5Lガソリンエンジン車をヴェゼルと同じ値段で売るものかと思いきや、2Lエンジンで出すとなると、1.5Lエンジンでは十分でない理由が何かあるのかもしれません。どのみち2Lエンジンも1.5Lエンジンも製造コストはさほど違いませんので、ヴェゼルのガソリンエンジン車と同じ値段で2Lエンジンをぶつけてくれば勝算ありということなのでしょうか。その場合、国外での販売価格からすれば安すぎるということになるでしょうが、日本では競合車種に値段を合わせるケースが多いので、戦略的な値付けはあり得ます。欧州仕様と同様に120PSに絞ればマツダ内での整合性も取れそうです。