2019年7月18日木曜日

Mazda 2発表

2019年7月18日にデミオの商品発表とMazda 2への名称変更が発表されました。詳細は各種発表資料をご参照いただくとして、ここでは気になった点を列挙します。

【グレード名】
装備の充実に伴い、名称が1ランク上がっています。
15C→15S
15S→15S Proactive
15S Touring→15S Proactive S Package
15S Touring L Package→15S L Package
XD→XD Proactive
XD Touring→XD Proactive S Package
XD Touring L Package→XD L Package

最上位がL Package、次がS Package、廉価版がProactiveとの位置づけようです。これにレンタカー/営業車グレードの15Sとモータースポーツベース用の15MBという構成です。

【エクステリア】
Mazda 3と同様の顔になりました。他車種に合わせる意図もあるでしょうが、最大の理由は、LEDヘッドライトの性能が向上してフォグランプが不要になったためではないでしょうか。従来の顔のままフォグランプだけ無くすと間延びしますので、フォグランプが無い前提で顔を変える必要があります。尚、これに伴い全グレードでLEDヘッドライトになっています。ただし、最下位の15Sのみヘッドライトの仕様が異なるようで、アダプティブLEDヘッドライトを選択できません。

フロントグリルのメッシュが細かくなったのに合わせてアルミホイールのデザインも変更になりました。

従来、15Cを除きシャークフィンアンテナに統一されていましたが、下位グレードはコストダウンのためか標準ではツノアンテナに戻りました。しかしメーカーセットオプションはすべてDVDドライブ・TVチューナー・シャークフィンアンテナとの抱き合わせですので、何がしかメーカーセットオプションをつけると選択の余地なくシャークフィンアンテナになってしまいます。実質的には変わらないでしょう。

しかしフルモデルチェンジではありませんので、それ以外のエクステリアに変更ありません。後ろから見るとそのまんまです。

塗色は、ダイナミックブルーが廃止され、代わりにセラミックメタリックが標準で選択できるようになりました。ポリメタルグレーはまだありません。

【インテリア】
L Packageのレザーシートはブルーグレーに、S Packageのファブリックシートは黒系からネイビーに、Proactiveのシートは茶系に変更になっています。写真で見る限りではどうしてこんな色にしたのか意図を理解できておりません。色だけでなく材質や質感を含めて、実車で見てみないとわからないでしょう。マシーングレーのような無彩色の外装とマッチしそうに見えます。

【エンジン】
ディーゼルエンジンは依然として1.5Lのままです。今のエンジンルームでは1.8Lエンジンは入りきらないのでしょうか。おかげで、日本その他一部の国でのみ1.5Lディーゼルエンジンが細々と続くことになりました(欧州ではディーゼルエンジン無しになり、北米ではもともとMazda 2の販売自体が無し)。1.5Lエンジンは特に改良されていないようで、従来のままの数字です。とはいえ、1.5Lエンジンのままでも220NmまででしたらNOxの排出量はさほど増えません(AT車で250Nmまで出すと欧州の環境規制をクリアできず)。

15MBのエンジンは2018年の商品改良時には改良前エンジンでしたが、やっと他のグレードと同様の改良版エンジンになりました。

【燃費】
1.5LディーゼルエンジンでもWLTCモード燃費が表示されるようになりました。もちろん見た目の数字は下がっていますが、普段走っているときの実燃費はWLTCモード燃費よりも少し良くて、平均で22km/Lくらいはコンスタントに出ています。今回のWLTCモード燃費の数字が少し低いのは静粛性確保のために30kgほど重くなったせいでしょうか。

また、15MBでWLTCモード燃費が表示されるようになったことから、他のガソリンエンジングレードと燃費を比較できるようになりました。15MBのエンジンは4-2-1排気管付圧縮比14ですので、4-2-1排気管無しで圧縮比12のエンジンと比べて燃費が5%ほど良いです。そのかわり日本ではハイオク指定ですので燃料代は少し余計にかかりますが。

【変速機】
Mazda 3では中容量ATの変速比が一部変更になりましたが、Mazda 2ではガソリンエンジン・ディーゼルエンジンともにATの変速比に変更なし。一方、ディーゼルエンジンのMTはバックのみ若干ローギアードになった他、ガソリンエンジンのMTは4速5速6速が若干ハイギアードになっています。

最終減速比については、AT車では変更なし。ガソリンエンジンのMTでは若干ハイギアードになり、ディーゼルエンジンのMTでは若干ローギアードになりました。ディーゼルエンジン車ではWLTC燃費表示に伴いディーゼルのMTを燃費スペシャルグレードにする必要が無くなったことから、走りやすくしたように見受けられます。ガソリンのMT車をハイギアードにしたのは、4速5速6速をローギアードにしたことを補うものでしょうか。その分1速2速3速がハイギアードになっています。つながりやすさを重視したものでしょうか。

【シャシー】
Skyactiv第2世代に合わせるべく、大幅に手を入れたようです。操縦安定性の向上と乗り心地の向上は歓迎しますが、これは能書きだけではわかりませんので、実際に乗ってみるまで何とも言えません。併せて、シートも骨盤を立てるシートに変更されました。今までのデミオのシートの出来もなかなか良いと思いますが、Mazda 3を試乗した際にシートの出来の良さに感心しましたので、同様のシートが導入されるのは楽しみです。

ホイールサイズが若干変更になっています。XD Touringでは16インチホイールでしたが、XD Proactive S Packageでは従来のXD同様に15インチアルミホイールが標準になりました。ただし、メーカーセットオプションで2万円出すと16インチホイールを選べます。従来は15インチホイールだと高速安定性がやや及ばず、やむなく16インチホイールを選びましたが、185/60R16という特殊なサイズ故にタイヤの選択肢が乏しいことから、15インチホイールでも高速域で安定して走るのでしたら出足が軽くて乗り心地が良くて安い15インチの方がありがたいです。15インチだと185/65R15という標準的なサイズで、16インチでは選べないBluEarth-GTも選べます(Regnoはやっと16インチでも選べるようになりました)。たとえコストダウンのためだとしても、上位グレードでホイールのサイズをケチる必要はありませんので、15インチでもまともに走る足になったことを期待しております。

CX-3と同様に専用設計タイヤを導入するとのことですが、新車装着タイヤがどこのメーカーのどの製品なのか気になるところです。

【長距離向け装備】
ガソリンエンジンの廉価版(15Sと15MBを除く)でも10万円のセーフティークルーズパッケージをつけると全車速対応型MRCCやアダプティブLEDヘッドライトやレーンキープアシストといった長距離運転で絶大な威力を発揮する装備をつけられるようになりました。交通標識識別システムはProactive以上で標準装備です。

Mazda 3の1.5Lガソリンエンジン車ではオプションでも付けられない装備なのに、Mazda 2ではガソリンエンジンの廉価版でも付けられますので、Mazda 2のガソリンエンジン車はお買い得だと思います。Mazda 2の方がほぼ同じ1.5Lエンジンで圧倒的に軽いですし。

Proactiveには標準ではステアリングシフトスイッチがついていませんが、2万円のショップオプションでつけられる他、15S Proactiveでは7万円のスポーティーパッケージで本革巻きステアリングと合わせて購入できます。ステアリングシフトスイッチは山道ではあれば便利ですが、ガソリンエンジン車ではスポーツモードにセットして低めのギアで走れるようにすることでも対処できますので、無くてもどうにかなるかもしれません。

【その他装備】
上位グレードでは電動パワーシート付です。しかし電動パワーシートのメリットはシートポジションを記憶させておいて複数人で乗ってもすぐに自分に合ったポジションにできることですので、一人で乗るなら手動で調整する方が早いです。自動防眩ルームミラーもついていますが、今まで必要を感じたことがありません。

ショップオプションでルームミラー付近にメガネを収納するスペースをつけることができます。運転中にサングラスをかける人や運転用メガネをかける人にとっては収納しやすく邪魔になりませんので便利だと思います。

【静粛性】
Mazda 3と同様に遮音材を盛って静粛性を高めたようです。ディーゼルエンジンであってもエンジン音はさほど気になりませんし、新車装着タイヤのトーヨーのProxes R39
でなければロードノイズもさほど気になりません。初期型で気になるのは風切り音とBピラーの隙間から入ってくるノイズです。外から入ってくる音については隙間を塞いだり制振したりすることで対処できますので、その辺りが改善されればよいのですが、これも実車に乗ってみないとわかりません。

【マツダコネクト】
フルモデルチェンジではありませんので、従来型です。たしかに新型の方が画面の解像度が高いですが、従来型であってもさほど不自由を感じません。

Apple CarPlayとAndroid Autoに対応しましたので、出発前にスマホで目的地設定しておいて、車に乗るときにスマホを接続することでエンジン始動後すぐにカーナビが使えるのは便利だと思います。とりあえず最初はSDカードの地図データを購入するにしても、3年以上経過して有償で地図データを更新するくらいでしたらスマホのカーナビを使った方が便利でしょう。3年もすればさらに性能が良くなるでしょうし。

Mazda 3と異なりスピーカーの設置場所から見直されたわけではありませんので、音については従来通りでしょうか。それでもカロッェリアのDEQ-1000A-MZをつなげば音が激変しますので、当面はそれで乗り切ればよいのではないでしょうか。

【価格】
オンライン見積で10万円のセーフティークルーズパッケージをつけた場合のグレード別乗り出し価格は以下の通りです(パックdeメンテ無し)。

15S Proactive:2,327,370円
15S Proactive S Package:2,455,457円
XD Proactive:2,535,270円
XD Proactive S Package:2616557円

たしかに値段は上がっておりますが、装備がだいぶ増えましたので、同じ装備で比較するなら初期型の上位グレードと最新型の最下位グレードとの比較になり、そうなると車の出来が毎年良くなっているにもかかわらず初期型からほとんど値上がりしていません。

ProactiveとS Packageの差額は8万円くらいです。15S Proactiveは鉄チンホイール、ウレタンステアリングのときの値段ですので、条件を揃えれば差額8万円くらいになります。ガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車との差額は16万円くらいです。燃料コストが4円/kmほど違いますので、4万km乗れば燃料代だけで元が取れます。5年乗るなら年間8000kmペースですので、長距離乗る人にとってはディーゼルエンジン車の方が安くつきます。

しかしそれでも短距離移動主体の人にはディーゼルエンジンは向きませんし、たとえ長距離乗るとしてもガソリンエンジン車には独自の軽快さがあります。装備の面でも、初期型ではガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車で差がありましたが、今ではガソリンエンジン車でも遜色ありません。また、ディーゼルエンジンは初期どっかんターボの頃は高速道路で圧倒的な加速力でしたが、エンジンに煤が貯まるにつれて吸気性能が落ちますし、何度かのECU書き換えを経て街乗りで扱いやすくなった反面、高速道路ではおとなしくなりましたので、それなら敢えてディーゼルエンジンでなくてもよいのではないかという気もします。

鉄チンホイールやウレタンステアリングを気にしない人にとっては、事実上の最下位グレードである15S Proactiveがお買い得に見えます。たしかに国産コンパクトカーとしては安くありませんが、他に類を見ない安全装備や長距離向け装備てんこ盛りでこの値段です。Mazda3で長距離向け装備をつけようとすると2Lガソリンエンジン車以上のグレードに誘導されますので、乗り出し300万円です。

アルミホイールは見た目だけであって安物のアルミホイールは全然軽くありません。見た目といってもどうせ運転中には車内から見えません。また、運転中に手袋をつける人には本革巻きステアリングは必要ありません(手袋をつけると革が摩耗しやすい)。素手で触るなら本革巻きの方が感触がよく滑りにくいというメリットがありますが、素手で触ると程度の差こそあれステアリングに手汗がつきますのでこまめな清掃が必要です(手袋なら洗うだけ)。

全般的に走りや安全に関係するものは下位グレードまで広く装備されるようになり、走りや安全と関係なく好みで選ぶものについてはオプションという形になっており、車としては健全だと思います。唯一気に入らないのは未だにメーカーセットオプションでDVDドライブやTVチューナーが抱き合わせになっていることくらいです。これだけスマホが普及してApple CarPlayやAndroid Autoも使えるようになった時代にどうして旧態依然とした円盤やテレビを見る装置を押し付けられなければならないのかよくわかりません。しかも停止中以外は映像が表示されない代物です。ドライバー以外がテレビを見たかったらスマホのワンセグだってあります。本来ならこんなものはショップオプションなり社外品で十分なはずですが。