2019年7月20日土曜日

遅ればせながらデミオ1.5Lガソリンエンジン車に試乗しました

1.3Lガソリンエンジン車ならレンタカーや代車で今まで何度も乗りましたが、1.5Lガソリンエンジン車はレンタカーでもまだ出回っていませんので、今まで乗る機会がありませんでした。Mazda 2を検討するにあたって1.5Lエンジンがどのような感じか知りたかったので試乗した次第です。

【走る】
《エンジン》
発進時の第一印象は今まで以上にどっしりした感じで、初期型ディーゼルエンジン車に初めて乗ったときの印象に似ています。本当にこれが国産コンパクトカーなのでしょうか。エンジン回転数が上がらずにしずしずと動きます。市街地でゆっくり走る分には低い回転数で走りますので快適ですが、加速度を上げてみようとアクセルを踏み込むと急激にエンジン回転数が上がります。もともとマツダの1.5Lガソリンエンジンは2000回転くらいでトルクが伸び悩んでから3000回転くらいで急激にトルクが伸びる特性があって、パワーが足りないとすぐに3000回転くらいまで回ります。アクセラ1.5Lのようにもとから非力な車ではこの回転域を多用しますので最初からそういうものと思えますが、デミオのAT車では低い回転数で粘ろうとするため、重苦しくなって耐えられなくなったら唐突に回転数が上がる印象を受けます。どうやらATの制御がディーゼルエンジンのものと共通らしいですが、トルクの太いディーゼルエンジンでは問題ないとしても、ガソリンエンジンは1.5Lであっても自然吸気エンジンですので排気量相応のトルクしかないことから、トルクの不足する箇所が出てくるようです。従来の1.3Lエンジンの場合、もとからパワーがありませんので最初からそこそこ高めの回転数でしたし、小さくて軽い1.3Lエンジンの方が軽快に回る印象があります(その代わりアクセルを踏み込んでも伸びしろがない)。日本の道路向けでしたらこちらの方が自然な加速感だったのかもしれません。

1.5Lエンジンは本来はデミオ向けで、日本やタイのような一部の国を除きデミオのエンジンは1.5Lです。一方、アクセラ向けのエンジンは2Lが標準で速度域の低い日本でのみ1.5Lエンジンが売れています。しかし、乗り比べてみると非力なアクセラの方が自然な運転感覚です。しかしそれは速度域の低い日本の道路だからそう感じるに過ぎず、デミオ向けの1.5Lエンジンは、速度域の高い道路では、3000回転くらいで一気に巡航速度まで加速して高速巡航時には2000回転くらいに落とす、追い越し加速時には3000回転で一気に加速するという使い方を想定しているのかもしれません。

《シャシー》
試乗コースは市街地のまっすぐな道なのですが、路面が荒れているため、荒れた路面での乗り心地を体感できます。乗り心地は1.3Lの頃からのデミオと同じです。同じ道をMazda 3で走ったときには意外と突き上げがありましたが、それでも突き上げがすぐに収束していました。デミオの場合はそこまで輪郭が鋭くありません。角が取れている代わりに収束するまで僅かに時間がかかります。Mazda 2ではMazda 3と同じような乗り心地になるのではないかと予想しますが、実際のところは乗ってみないとわかりません。

【曲がる】
交差点を曲がるときの感覚は、これはすごいと感心したMazda 3と異なり、所詮デミオです。試乗したのはデミオなのですから当然です。Mazda 2になって足回りがどれくらい良くなるのか楽しみです。

市街地走行のみでしたので、ワインディングでのコーナリングがどのような感じかはわかりません。エンジンが重くなったわけではありませんので、曲がる性能については1.3Lエンジン車と同様なのではないかと予想します。

【止まる】
排気量が増えた分だけエンジンブレーキの効きがよいですし、エンジン負圧を用いたブレーキ倍力装置もよく効きますので、全般的にブレーキの効きは良い印象です。デミオの1.3Lエンジン車やアクセラの1.5Lエンジン車よりもブレーキペダルの踏み込み度合いは小さめです。それでもガソリンエンジン車ですのでブレーキ操作感はディーゼルエンジン車よりも自然で、停止時のブレーキリリースも楽です。

【ディーゼルエンジン車との比較】
これならディーゼルエンジン車でなくてもよいのではないかと感じました。1.5Lエンジンは良い意味でディーゼルエンジンらしからぬところが持ち味ですので、乗り味はさほど違いません。ノーズが軽い分だけガソリンエンジン車の方が曲がりやすいでしょうし、ブレーキ操作感もガソリンエンジン車の方が自然ですので、全般的にはガソリンエンジン車の方が運転しやすいのではないでしょうか。

唯一ディーゼルエンジンが有利なのは中間加速です。トルクが太いため、2000回転くらいでそこそこ加速できますので、いつの間にか速度が高くなっています。試乗後にディーゼルエンジン車に乗って帰宅したとき、むしろこちらの方が軽快なのではないかと感じたくらいです。試乗したガソリンエンジン車は15インチホイール、ディーゼルエンジン車は16インチホイールですので、通常なら15インチホイールのガソリンエンジン車の方が出足が軽いはずなのですが。

そうなるとDJ初期型のような、「ディーゼルエンジンは重厚な上位グレード、ガソリンエンジンは軽快な廉価版」という位置づけが意味をなしません。Mazda 2ではガソリンエンジンの廉価版でも上位グレードと同等の安全装備をつけられるようになりましたが、今の1.5Lエンジンのもとでは、たしかに差をつける意味がありません。

【Mazda 3との比較】
シャシー性能については、デミオでは勝負になりません。Mazda 2になってどこまでMazda 3に近づけるか楽しみですが、こればかりは実車に乗ってみないと何ともいえません。今のところ、Mazda 2に試乗できるのは早くて2019年10月頃でしょう。

Bセグメントのデミオ/Mazda 2とCセグメントのアクセラ/Mazda 3との間の最大の違いは運転する際の気持ち良さで、こればかりは車格相応の差があります。デミオも素直で扱いやすくて道具としてはなかなかのものですが、あくまでも移動の足と感じられます。内装が良くても安全装備が充実しても、乗り味はあくまでも移動の足です。これはディーゼルエンジン車であっても同様です。一方、アクセラは非力な1.5Lエンジン車で近所に買物に行くだけでも気持ち良いです。

Mazda 3とMazda 2とで見積を取ってみるとガソリンエンジン車値段の差は70万円くらい、Mazda 2のディーゼルエンジン車とMazda 3のガソリンエンジン車との値段の差は50万円くらいです。しかしMazda 2のディーゼルエンジン車とMazda 3のガソリンエンジン車とでは燃料コストが大幅に異なりますので、実質的な価格差はやはり70万円くらいです。5年乗るとしたら年間14万です。月1万強で気持ち良さを買うかどうかです。