2019年8月31日土曜日

Mazda 2のデザインについて

どこかの記事で、DJ初期型デミオはスポーティーなデザインにしたが、Mazda 2では落ち着いたデザインにしたといった内容を見かけました。その理由として思い当たるのはパワートレーンの変化です。

DJ初期型ディーゼルはどっかんターボで高速道路ではやたら元気でした(その代わり青信号発進では軽自動車に置いていかれましたが)。それが煤対策のために何度か制御ソフトウェアが書き換えられているうちに、過給圧と燃料噴射量を控えめにするおとなしい走りに変わっていきました。DE精密過給制御で街乗りでの出足が改善して扱いやすくなった一方で、高速道路ではたいぶおとなしい車になりました。日本ではまだ1.5Lディーゼルエンジン車を販売していますが、ディーゼルエンジン車の需要のある欧州では環境規制をクリアできなくなった時点でディーゼルエンジン車を販売しなくなりました。

Mazda 2になる前からディーゼルエンジンがおとなしくなるのと並行して、ディーゼルエンジン車の赤の差し色が無くなったりして、徐々に控えめになってきました。値上げせずに装備を充実させてきましたので、内装のコストで帳尻を合わせたかに見えます。

ガソリンエンジン車にしても当初は日本では1.3Lエンジンを積んでいて、積極的にアクセルを踏んでエンジンを回す乗り方でしたが、他の国と同様に1.5Lエンジンを積むようになってからは、日本の道路ではしずしずとおとなしく走る使い方になりました。日本以外の国ではガソリンエンジンに変更がありませんので、ガソリンエンジン車の場合はむしろ、G-ベクタリングコントロールによる乗り味の変化の方が影響があるかもしれません。細かい振動が抑えられてどっしりとした乗り味になりました。初期型に乗ったときには所詮デミオと思いましたが、後期型に乗ってみたら、「デミオのガソリンってこんなに良かったっけ」とびっくりしました。

前期型ではガソリンエンジン車は廉価版という位置づけでしたが、ディーゼルエンジンがおとなしくなっていくにつれて、「これなら別にガソリンエンジン車でも十分なのではないか」と思えるようになってきました。ガソリンエンジン車にも上位グレードが出てきて内装や装備が良くなりましたので、そうなると外装もそれに合わせたものが求められるようになったのではないでしょうか。

Mazda 2に限らずマツダのエンジンは将来の電動化を前提に熱効率優先の設計になっており、内燃機関では熱効率とパワーとの間にトレードオフがあることから、パワーが犠牲になっています。パワーがあって元気に走れる車を作れませんので、ゆっくり走っても気持ちよいとか、車内で快適に過ごせるとか見た目が良いといった要素で勝負せざるを得ません。デザイン優先でパワートレーンが犠牲になっているというよりもむしろ、現状のパワートレーンのもとではデザインでいろいろ補わざるを得ないのではないかと思えます。