2011年にBLアクセラにスカイアクティブエンジンを積んだ頃から長らく6速ATを使い続けていますが、そろそろ他社に比べてレシオカバレッジが見劣りして高速燃費で負けるようになりましたので、次世代のラージプラットフォーム向けの多段ATの開発と並行してスモールプラットフォーム向けのATも次世代のエンジンに合わせて刷新した方がよいのではないかと思います。
現行の変速機はATとMTとそれぞれ大容量、中容量、小容量とあり、大容量タイプはラージプラットフォーム向けでしょうから、Cセグメント車は主に中容量タイプ、Bセグメント車は主に小容量タイプを採用することになるでしょう。
現在、中容量タイプのATのトルク容量が270Nmで、1.8Lディーゼルエンジンは270NmまでEGRを使えるよう排気量が設定されています。エンジン側でどんなに性能を向上しても、今のATのままだとトルクを270Nmより向上する余地はありません。となると喫緊必要なのは中容量タイプのトルク容量を300Nmくらいまで引き上げることではないでしょうか。ラージプラットフォーム向けの直列6気筒3Lエンジンの燃焼モデルを流用できる直列4気筒2Lエンジンを作るのが安上がりで、この排気量のディーゼルエンジンで発生しうるトルクがターゲットになりそうです。そういう意味でも300Nmは欲しいところです。
小容量タイプのATのトルク容量は165Nmで、今のところ1.5L自然吸気ガソリンエンジンにまでは対応できますので、今のエンジンのラインナップのもとではこれでも十分ですが、将来Skyactiv-Xの3気筒1.5Lエンジンが出てきて2L自然吸気エンジンを置き換えるようになったら、180Nmくらいのトルク容量が必要なのではないでしょうか。また、排気量そのままで燃料噴射量を抑制して性能を落とせば、1.5L自然吸気エンジンの置き換えにもなることでしょう。これなら排気量に余裕が出ますので、燃費性能が向上しそうです。
ATの段数については悩ましくて、エンジンだけで駆動するならさすがに6速ではつらいと思う一方で、どうせ電動化するならそれで補えないかとも思います。マイルドハイブリッドのモーターアシストを前提にハイギアードにして高速域でのエンジン回転数を落とすとか、Skyactiv-Xのフラットなトルク特性を生かしてギアをワイドにするとか、さらに、気筒休止の採用を拡大してエンジン回転数の高い高速域での低負荷運転を可能にするとか、6速のままでいろいろ工夫するというやり方もありそうです。