2020年10月8日11時5分にMX-30が発表されました。以下、第一印象です。
【重量】FFで1460kg。Mazda 3よりも100kg重く、CX-30よりも60kg重いです。マイルドハイブリッドで少し重くなった分を除けば観音開きドアやそれに伴うボディー強化の影響でしょうか。観音開きで車体剛性や衝突安全性能を確保できるなら、その技術を活用してスライドドアの車も作れないものでしょうか。
穏やかな走りになりそうですが、どのみち峠を攻めるような車ではありませんので、モーターアシストで街乗りの際に出足が良ければ問題ないのかもしれません。値段を抜きにすれば、こんなに重いならディーゼルエンジンを積んだ方がよいのではないかと思ったものの、街乗り中心の用途が想定されているなら普通のガソリンエンジンが一番扱いやすいのかもしれません。
そういえば、バッテリーEVでは車体下部にバッテリーを載せていましたが、ガソリンエンジン車ではそのスペースはどうなっているのでしょう。燃料タンクを入れたのでしょうか。空のままだと重量バランスが悪くなりそうですが、どうやって対処したのか気になります。
【ギア】最終減速比は4.669。同じサイズで少し軽いCX-30は4.367でそれぞれタイヤ外径は693mm。タイヤ外径651mmのMazda 3の最終減速比は4.095で、タイヤ外径693mmに換算すると4.359。MX-30はCX-30やMazda 3よりも1割弱ローギアードなおかげで重量の割には出足は鈍くないようですが、高速燃費がその分悪くなっています。
【燃費】WLTC燃費は、Mazda 3の2Lエンジン車と同じく15.6km/L。CX-30の2Lエンジン車の15.4km/Lよりも良いです。車体が重くなった分をマイルドハイブリッドで補っているのでしょうか。いまどきの車は消費電力が大きいので、電力回生で電装品の電源をまかなえるのが効いているのではないでしょうか。内訳を見ると、市街地モードと郊外モードで数字が良くて高速道路モードでは数字が劣りますので、回生制動による電力回収が効いている一方で、減速機会の乏しい高速道路では重量増が効いているように見えます。
【価格】オンライン見積で出した金額はMazda 3の2Lエンジン車よりも20万円ほど安いです。マイルドハイブリッドや観音開きドアで高くなるのかと思いきや、昨今の経済情勢に合わせて安くしてきました。競合しそうな車のうち、アグレッシブな値付けをしているのはトヨタだけですので、日本未発売のカローラクロスあたりをターゲットにしているのでしょうか。買物用セカンドカーの用途からすれば軽自動車と競合するものの、当然価格帯も大きさも異なりますので、日本ではおそらく競合しないでしょう。女性向けのおしゃれな車としてはミニがありますが、サイズが全然違います。
【CTS、MRCC】このタイミングでの発表ですので、改善されたものが載っているのではないかと推測します。CTSやMRCCに直接言及されているわけではありませんが、マツダのプレスリリースに以下のくだりがありますので、新しいバージョンのソフトウェアが載っているようです。
・マツダの安全思想「MAZDA PROACTIVE SAFETY」のもと、先進安全技術「i-ACTIVSENSE」をさらに強化。 ・被害軽減ブレーキ技術スマート・ブレーキ・サポート(SBS)に交差点での衝突事故回避・被害軽減をサポートする機能をオプションとして新たに設定。 ・ステアリング操作をアシストして、白線が引かれていない道路(縁石など)での逸脱回避をサポートする機能や、後側方から接近する車両との衝突を回避または被害軽減をはかる新技術を導入。
ただし、これらの新機能が既存車のソフトウェア書き換えで適用できるのか、あるいは新たなハードウェアを必要としているかどうかはまだわかりません。
追記:諸元表の12ページ目にステアリングアシストが「高速域まで」と記載されていました。一方、https://www.mazda.co.jp/cars/mx-30/safety/i-activsense3/では「約55km/h未満」と記載されていますが、おそらくCX-30用から引き写した誤りでしょうから、じきに直ると思います。
【エアコン操作】マニュアルエアコン搭載グレードを設定しないと割り切ってコストダウンに走ったのでしょうが、タッチパネル式が採用されたことにショックを受けました。操作項目が増えるとダイヤルとボタンだけでは追い付かないのかもしれませんし、よくできたオートエアコンなら運転中に操作する機会がないだろうという割り切りでしょうか。
【シフトレバー】MTを考慮しない設計ですので、PレンジがRレンジの右側にあったり、シフトレバーが短かったりして、従来のATのシフトレバーとプリウスのシフトレバーの間を取ったような形です。この程度なら誤操作の心配はなさそうです。シフトレバーが短い代わりに設置位置を高くしていて、手の届きやすい場所にあるのが見て取れます。
マニュアルモードにしたときの「+」「-」の表示が見当たりません。電気自動車には不要な機能ですが、ガソリンエンジン車でもマニュアルモードが無いのでしょうか。たしかに、山道を走るような用途は想定されていないのでしょうが、立体駐車場の長いスロープや陸橋の下りでエンジンブレーキをかけることくらいはあるでしょう。省略してしまって大丈夫なのでしょうか。(追記:ステアリングシフトスイッチが標準装備とのことでした。たしかにこれならEV用のシフトレバーに手を加えずに済みます。)
一方、スポーツモードはついています。たしかに重い車体で2Lエンジンだと出足がつらい場面はあるかもしれません。
【エクステリアとインテリア】実車を見てみないと何とも言えません。写真で見る限りでは今までの魂動デザインの緊張感のあるデザインとは方向性が異なり、今までのデザインが好みに合わなかった層にアピールしそうに見えます。日本の軽自動車でもルーミーなインテリアが好まれますし。エクステリアは女性に人気のミニに寄せたような印象を受けましたが、デザインの方向性は当然異なりますので、ミニを好む女性にアピールするかどうかはわかりませんが、ミニのやんちゃなインテリアに対してMX-30のインテリアは落ち着いていますので、そちらを好む人もいるかもしれません。
【ホイール】18インチのみ。ガツガツ走る車ではないのですから出足が軽くて乗り心地の良い16インチでもよいのではないかと思うのですが、18インチでも問題ないように仕上げたということでしょうか。
【サスペンションセッティング】これは乗らなければわかりませんが、この車の用途からして、ガタガタした乗り心地は好まれないでしょうから、CX-30よりもさらにマイルドな乗り心地なのではないかと予想します。もともとMazda 3に比べてCX-30やMX-30は同じ18インチホイールを履いていてもタイヤのエアボリュームが大きいですし。
【視界】これも乗らなければわかりませんが、女性の支持を得るためには見切りが良くて車庫入れが楽であることが求められます。ボンネットは一見角ばっているようでいて左右が面取りされていますので、これが見切りの良さに効いているかどうかはわかりません。