日本仕様のMazda 3の2Lエンジン車へのマイルドハイブリッド搭載が発表されたばかりですが、Mazda 3でできるならMazda 2でもできないものかと思います。マイルドハイブリッドを搭載することで1km/Lほど燃費を向上できるのでしたら、日本国内で売れ筋のMazda 2のガソリンエンジン車に搭載すれば企業平均燃費への効果を期待できそうに見えます。
とはいえ、現状Mazda 2にマイルドハイブリッドが搭載されているのは欧州向けMT車のみで、日本で主流のAT車にマイルドハイブリッドを搭載しようとしたら追加の開発が必要になります。開発リソースはラージプラットフォーム向けのSkyactiv-Xやスモールプラットフォーム向けのマルチ電動化ソリューションに重点的に配分されているでしょうから、先の長くない自然吸気ガソリンエンジンのために開発リソースを割く余裕がないのかもしれません。
よしんば開発リソースが割かれたとして費用対効果があるのかといえば、これも厳しそうです。Mazda 3の諸元データを見た限りでは、マイルドハイブリッドは市街地モードでは意外と効果が無くて郊外モードや高速道路モードの方が数字の伸びが良いです。BセグメントのMazda 2、とりわけガソリンエンジン車は街乗りの比重が大きいでしょうから、だとすると環境面ではさほど効果を期待できないのかもしれません。街乗りで効くのは低回転域のトルクですので、すでに導入済の斜め渦燃焼エンジンの方が効果を期待できるということなのでしょう。
そもそもBセグメントの自然吸気ガソリンエンジン車は登録車のボトムラインですのであまりコストを掛けると価格競争力を失ってしまいますし、小さい車ほど利幅が小さいので、たとえ売れても利益が出ません。マイルドハイブリッドには補機がつきますのでコストが上がりますが、ハイブリッド車の売れている日本市場でフルハイブリッド車との価格差が小さくなれば、だったらフルハイブリッドでいいやということになります。
では自然吸気ガソリンエンジンの他社の車との比較ではどうかというと、やはり国産Bセグメント車はレベルが高いですね。
ヤリスの1Lエンジン車とほぼ同等。ヤリスの1.5Lエンジンとの燃費差は平均で1km/Lくらい、とりわけ高速道路モードでは1.8km/Lも差がついています。廉価版ならヤリス1Lエンジン車とマッチできれば十分ですが、上位グレードならヤリス1.5Lエンジン車と同等のレベルを目指してほしいものです。
フィットの1.3Lガソリンエンジン車とほぼ同等ですが、郊外モードや高速道路モードの数字は劣ります。Bセグメント車で高速道路を走ることはあまりないでしょうから実走行ベースでの平均燃費にはあまり影響ないかもしれませんが、マツダの6ATの課題が浮き彫りになっています。
スイフトの1.2Lガソリンエンジン車よりも燃費性能が優れているのは、重量の差を考慮すれば大したものです。それでも高速道路モードの数字は僅差で負けています。スイフトにはマイルドハイブリッド車もあり、ほぼ同じ条件で燃費を比較できますが、平均で1km/Lくらいの差で、特に市街地モードでは2.2km/Lも差があるのに対し、高速道路モードでは0.3km/Lの差しかありません。Mazda 3のマイルドハイブリッドでは市街地モードよりも郊外モードの方が効果がありましたが、同じマイルドハイブリッドでどうしてこんなに違うのでしょう。モーターアシストをどこで使うかについての考え方の違いによるものでしょうか。
こうして見ると、Mazda 2のガソリンエンジン車は現状でもヤリス1.5L以外には負けておらず、国産Bセグメントのガソリンエンジン車としては平均的なレベルにあるようです。ヤリスの方が少し軽いですし、3気筒エンジンやCVTの方が燃費に有利とはいえ、ヤリス1.5Lの出来の良さが際立っています。できればヤリス1.5Lと同水準を目指したいものの、開発リソースと費用対効果の面で踏み切れないといったところでしょうか。