2022年8月4日にMazda 3とCX-30の年次改良で2Lエンジンにマイルドハイブリッドがつく旨のプレスリリースが発表されました。環境規制の厳しい欧州向けでは最初からマイルドハイブリッドがついていましたが、コストに厳しい日本向けでは今までマイルドハイブリッド無しで販売されていました。マイルドハイブリッドがつくことで少々値段が上がりますが、もともと日本向けモデルが値上げされている中で、2Lエンジンモデルにはマイルドハイブリッドがつきましたので、その分少々お値打ち感が出ています。
まだマイルドハイブリッド仕様に乗ったことがないのでどんな感じかわかりませんが、今までマイルドハイブリッド無しの2Lエンジン車に乗ってきて思うのは、2Lエンジン車の変速比と最終減速比がディーゼルエンジン車と同じですので、低回転でゆったり乗ろうとすると時折トルクの不足を感じます。モーターアシストによってトルクの谷間を埋めることができればもっと気持ちよく運転できるのではないでしょうか。特に2Lエンジン車は燃費が悪く、長距離を走ろうとすると残りの燃料を気にしながら燃費を稼ぐためにエンジン回転数を抑えて緩慢に走る必要があり、静かで快適である一方で、運転して楽しくありません。せっかくよくできた車なのに日本の道路とマッチしないせいで楽しく運転できないのはもったいないです。
WLTC燃費への効果については、欧州ではあるとされていて、日本ではあまりないとされてました。おそらく、欧州の方が速度域が高く、加速度も高めであることから、日本よりもアクセルを踏み込む場面が多いのではないでしょうか。一方、日本では速度も加速度も緩慢ですので、そこまでアクセルを踏まなくても運転できてしまいます。それでも、実燃費ベースで改善が見られるならばありがたいですし、その実燃費を我慢せずに得られるのでしたらなおありがたいです。
諸元データを見ると、WLTC燃費は平均値が15.6km/Lから16.4km/Lに向上しています。理屈からすれば、市街地では電力回生と発進時のモーターアシストが効く一方で、高速道路ではアクセルを踏みっぱなしですので効果が無いかと思いきや、意外と高速道路モードでも17.7km/Lから18.4km/Lに向上しています。変速時のトルクの抜けをモーターで補うことで巡航速度までの加速時間を短縮できているのでしょうか。
1.5Lエンジン車の燃費と比較すると、ほぼ互角にまで追いついてきました。さすがに市街地モードの燃費は1.5Lエンジン車に及びませんが、高速道路モードの数字は同じ、郊外モードでは逆転しています。ただし、Mazda 3の1.5LエンジンはMazda 2と異なり斜め渦燃焼の改良型ではなく従来型ですので、まだ伸びしろがあります。とはいえ、あまり数の出ないMazda 3の1.5Lエンジンにそこまで開発費をかける動機はなく、むしろ廉価版としたいのかもしれません。
Skyactiv-Xの燃費と比較すると、まだ1km/L程度の差がありますが、2Lエンジンにマイルドハイブリッドがついたことから、同じくマイルドハイブリッドのついているSkyactiv-Xと同じ条件で比較できるようになり、純粋のエンジンの差を比べることができるようになりました。70万円の価格差で燃費の差は約1km/L。Xはハイオク推奨ですので燃料代はXの方がかかります。あとは走りの差です。燃費目当てでXを買う人はいないでしょうが、燃費≒二酸化炭素排出量ですので環境規制対応では重要です。実際、環境規制の厳しい欧州ではXに誘導するような値付けをしています。日本市場ではそこまで環境規制が厳しくないことから、ひとまず売れ筋の2Lエンジン車の燃費を底上げしたのでしょう。
よくわからないのは、2LエンジンでJC08モード燃費の表示が復活していることです。競合最近のマツダ車はすべてWLTC表示ですので、他社の車との比較のためでしょうか。
マイルドハイブリッドを搭載した結果、重量が20kg増えています。ディーゼルエンジン車との重量差が40kgまで縮まりました。