2023年4月7日金曜日

Mazda 3の商品改良

2023年4月6日にMazda 3の商品改良が発表されました。中身はほぼ事前の噂通りですし、商品改良については様々な人がコメントしていますので、気になった点に絞ります。

エアコンの操作スイッチの配置が変更になりました。従来型は内気循環スイッチが目立たないように無刻印だったりするなど(内気循環にすると二酸化炭素濃度が急上昇して危険ですので、ユーザーが必要以上に内気循環にすることを避けるためでしょう)、作り手の「こうあるべき」といった思いの強い配置でしたが、改良型は他社の車と同様に素直な配置になりました。コストダウンのためにマツダ専用カスタマイズ品をやめて汎用品を購入するようにしたのかもしれませんが、それだけでなく、作り手の思いを押し付ける売り方が顧客から支持されなかった反省もあるのでしょう。iPhoneがプロダクトアウト型であることを許されるのは、それが売れているからであって、顧客から支持されないプロダクトアウト型商品には存在意義がありません。Mazda 2のデザインの考え方もデザイナーが完全にコントロールするやり方からユーザーの自由な選択に委ねる考え方に変わっていますし、マーケティングの考え方に変化があったものと思われます。

車種ラインナップにしても、セダンは2LとディーゼルのFFだけになったり、XはファストバックのAWDだけになったりするなど、売れないグレードの見直しがなされています。初期には第7世代の先陣を切るという役割がありましたが、今ではラージプラットフォームを売ることが先決ですので、Mazda 3もマツダにとって普通の車になり、Mazda 3でやせ我慢する必要がなくなったのでしょう。

光学ドライブの廃止やUSB Type Cの採用やワイヤレス充電、ワイヤレスCarPlayは時代の趨勢によるものでしょうが、USB Type Cモデルでは無線化の流れに逆行して未だにHDMIがついていたり、光学ドライブ以上にドライバーにとって役に立たないTVチューナーが上位グレードで標準装備されていたりするなど、謎な部分もあります。売れないMazda 3のために専用部品を保持するのは無駄ですので、なるべくCX-60と共通の部品を使うようにしているのかもしれませんが、その割に下位グレードでは従来からの電装品が引き続き採用されていたりします。Mazda 2でも下位グレードだけ改良型エンジンが採用されなかったりしましたが、しばらくして改良型エンジンに統一されました。旧型部品の在庫処分でしょうか。

1.5Lはあまり売れていないようですが、レンタカー向けの需要があるようでしぶとく残りました。1.5Lエンジンは本来Mazda 2用で、Mazda 2のエンジンは改良型に移行済ですが、Mazda 3のエンジンは引き続き改良前のエンジンが採用されています。日本仕様とトルコ仕様のMazda 3だけのために改良前エンジンの生産を継続するのは無駄なような気がしますが、改良型エンジンで型式証明を取る方がもっと手間がかかるのかもしれません。

Mazda 3の商品改良の考え方は同じくスモールプラットフォームのCX-30やMX-30にも踏襲されるでしょうが、だとするとCX-30にXは残るのかとか(Xを買う人はMazda 3を買うでしょうし)、MX-30のEVは日本向けに残るのかとか(もともと日本では売る気がなかったようですし、買いそうな人には行き渡ったでしょうし)、気になります。次はCX-30の商品改良で、MX-30の商品改良はR-EV発売のタイミングでしょうか。売れないグレードを一掃するならそもそもMX-30は存続できるのかという気もしますが、その名の通り主力車種に展開しにくい新しいことに挑戦するための商品ですので細々と残るのではないかと予想します。

2023年3月8日水曜日

ポリメタルグレーは保護色?

駐車場の中にポリメタルグレーの車がいると、アスファルトの色に溶け込んでしまって目立ちません。特に雨の日には曇り空に反射するポリメタルグレーの色と濡れたアスファルトの色が近いので、車がどこにいるのだかわかりにくいです。

ポリメタルグレーが青みがかっているのは空の青い色が反射しているためで、天気の良い日には空の色に溶け込んでしまいます。

良く言えば風景に溶け込んで邪魔になりにくい、悪くいえば他の車からの視認性が最悪といったところでしょうか。他社でも類似の色が採用されていますが、デザインはともかくとして安全上はどうなのでしょうか。

汚れが目立ちにくいために安い車で重宝されているシルバーも無彩色ですので風景の邪魔にならない一方で視認性はあまり良くないのではないかと思います。それでもシルバーは光が反射すれば目立ちますが、ポリメタルグレーはキラキラした色を抑えていますので、そういう目立ち方もしません。

2023年2月27日月曜日

カローラスポーツの2Lガソリンエンジン車

2022年10月にカローラスポーツを含むカローラシリーズがマイナーチェンジして、カローラスポーツのガソリンエンジンが1.2Lターボエンジンから2L自然吸気エンジンになり、Mazda 3の2Lエンジン車に近くなりました。セダンとツーリングはヤリス用の1.5Lガソリンエンジンを積んでいて、こちらはMazda 3の1.5Lエンジンに近いです。

2Lエンジン車はカローラスポーツもMazda 3も自重1380kg。Mazda 3はマイルドハイブリッド付ですが、カローラスポーツにはマイルドハイブリッドがついていません。さらにカローラのエンジンの方が一回りパワーが大きいです。それにも関わらずWLTC平均燃費はMazda 3が16.4km/Lに対してカローラスポーツは17.4km/L。市街地、郊外、高速道路ともにカローラスポーツの数字の方がMazda 3の数字よりも少し良いです。しかもMazda 3の2Lエンジン車の実燃費はカタログ燃費よりも更に劣ります。たしかにSkyactiv-Gよりもダイナミックフォースエンジンの方が後発ですし、6ATよりもCVTの方が高速道路での燃費は有利です。Mazda 3はマイルドハイブリッドがついて変速時のトルクの抜けが補われているものの、エンジンの世代の差は否めません。

ついでに1.5Lクラスの数字を比較してみると、Mazda 3の1340kgに対してカローラは1280kgと少し軽いです。こちらもMazda 3の111psに対してカローラは120psと、1.5Lの割にはなかなか健闘しています。WLTC平均燃費はMazda 3の16.6km/Lに対してカローラは上位グレードでも18.1km/L、売れ筋の真ん中のグレードで19.4km/L。どういうわけか市街地モードの燃費はMazda 3の数字の方が良いですが、郊外と高速道路の数字は結構差がついています。とはいえMazda 3の1.5Lエンジン車は条件次第ではWLTC燃費よりも実燃費の方が良かったりしますので、数字だけを見てMazda 3の方が燃費が劣るとも言い切れません。

2023年2月26日日曜日

レンタカーでMazda 3の1.5Lエンジン車に乗りました

タイムズカーレンタルでC2クラス指定で予約したら初めてMazda 3に当たりました。レンタカーですので1.5Lですが、ディーラーで試乗したきり乗ったことのない1.5Lにまとまった時間乗れたのは幸運でした。

個体は4万km近く走行したもので、サスペンションの当たりが取れています。タイヤはグッドイヤーのICE NAVIというスタッドレスタイヤ。レンタカーなのに360°ビューモニターがついていました。アダプティブクルーズコントロールやマツダコネクトは標準装備です。内装はレンタカー向けに若干簡略化されているものの、それでも1.5Lクラスのレンタカーとしては破格の装備と内装です。タイムズカーレンタルのC2クラスは比較的安いので、長距離乗るのでしたら車種指定してでも乗る価値があります。

【パワートレイン】

1340kgの車に116psの1.5L自然吸気エンジンですので、どう見てもアンダーパワーのはずなのですが、1人乗車で日本の公道を走ると意外と走れてしまうのが不思議です。エンジン回転数が高いため、最大トルクに近いトルクが出るためか、実際の加速が鈍くてもさほどストレスを感じません。低速域の加速重視でローギアードですが、その代わり時速60kmくらいで6速1250回転くらいですので、巡航中は意外と静かです。高速道路ではクルーズコントロールをつけて走行車線を走る分には不自由なし。時速100kmで2200回転くらいですので、ローギアードだからといって取り立て回転数が多いわけではありません。追い越し加速はだめかと思いきや、前広に加速すれば意外とどうにかなります。

とはいっても、もともとパワーのない車ですのでじんわりとアクセルを踏めばさほど加速しません。アクセルを踏み込めば加速しますが、一気に踏み込むとi-DMが白点灯しますので、パワーなりの加速を心がける必要があります。

【シャシー】

16インチホイールですし走行距離もありますので乗り心地が良いことを期待しましたが、思いの外ばたつく感じ。普段2Lエンジン車(18インチホイール)に乗っているときの、ぬるーんとした乗り心地ではありません。冬タイヤを履いていますのでタイヤとの相性でしょうか。16インチだからといって乗り心地が良いわけではないということは、裏返せば18インチなのに乗り心地が悪くならないとも言えます。

シートとドライビングポジションが良いだけでなく、シャシー性能が良いため、長距離を走っても疲れません。1日に500km走っても平気です(これは2Lエンジン車も同様)。パワーがなくて遅いだけの車なら他にいくらでもありますが、それに加えて長距離運転しても疲れないという要件を入れると、該当する車種が限られます。

【燃費】

普通に走って18km/L。信号のほとんどない国道を走り続けて22km/L超え。山越えや市街地が高速道路を含めても20km/Lを超えるのは驚異的です。WLTCモード燃費よりも良い数字です。1340kgの車を自然吸気ガソリンエンジンで動かしているのに、下手なBセグメントのガソリンエンジン車よりも燃費が良いです。長距離巡航ならCセグメントのハイブリッド車やディーゼルエンジン車に匹敵します(ハイブリッド車は特に高速道路が苦手ですので)。不思議なのはBMアクセラよりも60kg重くなっているのにむしろ燃費が良くなっているように見えること。リアサスペンションがトーションビームになってバネ下重量が軽くなっているのが効いているのでしょうか。

1.5Lエンジンでここまでできるのに、どうして2Lエンジンの燃費が悪いのか謎です。重量差は20kgしかありませんし、1.5L同様リアサスペンションがトーションビームでBMアクセラよりもバネ下重量が軽いにも関わらず、どうしてこんなに実燃費に差があるのでしょう(WLTCモード燃費の差はさほどありません)。

【BMアクセラとの比較】

ボディーの剛性、静粛性、質感ともに向上していて、それでいて1.5Lエンジンとの相性も良くて、申し分ないです。BMアクセラの方がやや軽快な印象なのに対し、Mazda 3は1.5Lでも落ち着いた感じ。

2023年2月19日日曜日

珍しく荷物をたっぷり積みました

珍しく荷物を50kgほど積みました。デミオディーゼルでは後輪に荷重がかかっているときの方が明らかに乗り心地が良かったですが、Mazda 3でも後輪に荷重がかかると乗り心地が良くなります。もちろん運転していると動きが重くなり、後ろが重くなり、加速時に後ろに引っ張られる力を感じますし、おそらく加速も鈍くなっているのでしょうが、2Lエンジンのゆったりとした乗り方とマッチしているように感じます。どのみち日本の公道の速度域では動力性能はさほど必要ありませんので、少し性能を落としても全体のバランスを追求する方が気持ちよく運転できるのではないかと感じました。

Mazda 3のファストバックはもともと多人数乗車を想定していないのですから、後ろが軽い状態で全体のバランスが取れるようにしてほしいところなのですが、それは難しいのでしょうか。

2023年2月8日水曜日

マツダ車はブレーキが甘い?

マツダ車はブレーキが甘いと思っている人がそこそこいるようです。たしかにMazda 3に初めて試乗したときには、それまでのデミオディーゼルの感覚でブレーキペダルを踏んだら思いの外効きませんでした。デミオディーゼルはブレーキの効きがかなり良かったので強く踏むと急ブレーキになってしまうためです。しかし、踏力でコントロールするブレーキであることを理解してそのように操作すればちゃんとブレーキが効きます。

ブレーキに関する誤解にはいくつか理由が思い当たります。

1.日本車の大半はブレーキペダルのストロークでコントロールするタイプであるため、ストロークが飽和した状態で最大のブレーキ力だと誤解しがち。踏力でコントロールするブレーキが効くのはそこからです。

2.昔のトヨタ車のように安物の車はブレーキペダルの踏み始めでブレーキが強くかかり、それ以上踏んでもブレーキが効きませんでした。その感覚でおっかなびっくり踏んだら拍子抜けすることでしょう。踏力でコントロールするブレーキが効くのはそこからなのですが、それ以上踏んでも効かないと学習してしまった人はさらにブレーキを踏むという発想がないのかもしれません。これは車の問題です。

3.そのそもストロークとか踏力とかいった高尚な話以前に、日本のドライバーにはアクセルペダルやブレーキペダルをスイッチのOn/Offのような感覚で操作する人が少なからずいそうに見えます。CVT車はむしろそのようにアクセルペダルを踏んだ方が意図した通りに加速しますし、ブレーキランプがついたり消えたりしてブレーキを踏む時間によって速度をコントロールしていて一段停止できない車もよく見かけます。これはドライバーの問題です。

4.踏力でコントロールするブレーキにおいては踏力がかからないとブレーキが効きませんが、踏力をかけるには筋力や体重も必要ですし、正しいドライビングポジションでなければ踏力をかけられません。西洋人の体格や筋力に合わせてブレーキを設計すると小柄な日本人女性には踏力が不足するかもしれません。小柄な人が運転しても自分でかけられる踏力に応じて制動力をコントロールできなければ、本当の意味で踏力でコントロールするブレーキになりえません。これはマツダの車作りの問題ですが、これは各国の市場向けにブレーキ力を調整してほしいですし、事後でも乗る人に合わせて調整できるようにしてほしいものです。ブレーキ力の大半は実はブレーキ倍力装置(ガソリンエンジン車ではエンジンの負圧、ディーゼルエンジン車では真空ポンプ)によって提供されていますので、ブレーキ倍力装置の力の出方の調整が必要に見えます。

ということを踏まえたうえで、ディーラーの営業担当は試乗しにきてくれた貴重な顧客候補に対してブレーキの扱いについてきちんと説明したのでしょうか。マツダ車からマツダ車への乗り換えであっても初めて踏力コントロール型の車に乗るときには慣れが必要ですし、他社からの乗り換えを検討している貴重な顧客を逃すのはもったいないです。

2023年1月28日土曜日

Mazda 2商品改良

2023年1月27日にMazda 2の商品改良が発表されました。まず見た目の変化にびっくりしました。パワートレインやシャシー等は全く変わっていませんので、もはやガワをいじるくらいしかやることがないのかと思いました。樹脂パーツが多用されていることについては、次期モデルが電動化で高くなるので現行モデルを廉価版として残すためのコストダウンだろうかと思いました。廉価グレードでは電子装備が退化していますし。

しかし調べてみると、バイオエンジニアリングプラスチックを塗装不要なレベルで成形することによって部品自体のCO2発生量を削減するとともに、塗装を省略することでCO2やエネルギー消費を削減していることがわかりました。あいにく走行時のCO2発生量は同じですし、カタログには生産工程でのCO2発生量の数値が記載されていませんので商品改良前の数値と比較することができませんが(数値を公表しないのは製造する場所や時期によって数値が変動するためでしょうか)、環境負荷低減のために生産技術を含めて努力していることが見て取れました。

とはいえ、環境負荷を重視する欧州で果たしてガソリンエンジンやディーゼルエンジンのMazda 2の販売を継続できるのか疑問です。だからこそ中身をいじらずにガワだけいじっているのでしょうけど。バイオエンジニアリングプラスチック自体はMazda 3から採用されており、従来のデザインコンセプトと両立するものですが、日本向けに販売するなら、まずは見た目から入ってもらうということでカラーバリエーションを増やしたのでしょう。一見在庫管理が難しそうに見えますが、結局はありものの組み合わせでしかありませんので、それなら選択の幅が広い方がいろいろ遊べます。

マツダ車の良さは運転すればわかるのですが運転しなければわかりませんので、運転に興味のない人にも興味を持ってもらうことでマツダ車の間口を広げようとしているように見えます。Mazda 2は特に免許を取り立ての人が初めて乗る車としてはとてもよくできています。コストダウンは軽自動車とのマッチングでしょうか。N-BOXと同じ値段で見た目と走りが良ければもしかしたら興味を持ってくれる人がいるかもしれません。従来のブランドデザインとは異質ですが、そちらはマツダ車のメインストリームで踏襲されるでしょうし、メインストリームから外れたMazda 2ではいろいろ遊べるのでしょう。どうせ今までの上品路線では売れませんでしたので、失うものはありません。顔だけきれいにしても骨格はデミオ時代のままですので、それならDJデミオが本来持つ元気さを表現する方がよいかもしれません。

デザインコンセプトの変化で気になったのは、従来はプロのデザイナーが市販車のデザインをコントロールしていたのに対して、今回はユーザーに選択権を与えたことです。Mazda 2はデミオ時代から期間限定の特別仕様車をいろいろ出していて、万人受けしなくても一部の人に興味を持ってもらえそうなデザインをプロのデザイナーが提供していました。ユーザーが選択権を持つということは、プロからみて「これはありえない」と思うような組み合わせでも可能になってしまうことを意味します。一応、プロのおすすめがパッケージとして販売されていますので、迷うが嫌ならそういうものを買ってしまうという手もありますが、それだけでなく、マツダのデザイナーから「私が選ぶ組み合わせ」みたいなのを発信してみるのもよいかもしれません。

見た目で遊ぶのでしたらCX-3でやればもっと面白いのではないかと思いますが、そういえばCX-3はどうなってしまうのでしょう。