2014年12月3日水曜日

いまどき車にCD/DVDプレーヤーは必要なのか

デミオのメーカーオプションに、CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(フルセグ)というのがあり、セーフティーパッケージをつけると強制的につけられてしまいます。同様に、i-ELOOPをつけてもCD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(フルセグ)が抱き合わせになっています。ちなみにTVチューナーやDVDは走行中には画像が映らない仕様です。

1) そもそもこんなものが必要なのでしょうか
2) 必要だと思う人がいるとしても、なぜ他のメーカーオプションと抱合せなのでしょうか。
3) ユーザーエクスペリエンスをこれほど重視している最近のマツダが、なぜこんなユーザーエクスペリエンス軽視のオプションを抱き合わせにしているのでしょうか。

1) そもそもこんなものが必要なのでしょうか

カーオーディオはラジオ、カセットプレイヤー、CDプレイヤーと進化してきて、今では携帯音楽プレイヤーやスマホをUSBで接続することで手軽に膨大な量の音源にアクセスできます。
同じ量のCDを持ち込もうとしたら段ボール箱数箱分になりますし、そもそも夏に温度の上がる車内にそんなものを置くことはできませんし、狭い車内にそんなものを置く場所もありません。

たしかに非圧縮音源であるCDの方が音質では有利ではあるものの、所詮はノイズに満ちた車の中でしかありません。圧縮音源だと特に高周波数の音が不足するものの、車内にはロードノイズを始めとした低周波騒音で満ちていますので、それが決定的に影響するとは思えませんし、そもそもCDだって一定以上の周波数の音はカットされています。高級車ではBOSEの「アクティブ・ノイズ・コントロール」というノイズキャンセル機能がオプションとして提供されていますが、コストに制約のあるデミオにはオプションとしてすら存在しません。ちなみにアクセラでオプションとして提供されているBOSEサウンドシステムには走行ノイズ補償システムが搭載されています。

日本ではAKB48のCD販売手法によって、見かけ上のCD販売枚数が多いものの、世界的にはダウンロード販売に移行していて、わざわざCDで買ったりしません。

DVDについてはさらに謎で、一昔前なら走行中に同乗者が見ることもできましたが、走行中に画像の映らないDVDを一体どこで再生するのでしょうか。人前では恥ずかしくて見られないような映像コンテンツを人里離れた所まで運転していって見るという想定なのでしょうか。たった7インチの画面でそんなものを映すくらいでしたら他にもやり方がありそうな気がしますが。

TVチューナーについては、通勤時にニュースの音声だけ聴くという使い方は思い浮かびますが、そういう使い方をするならラジオの方が音声だけで情報伝達が完結している分わかりやすいです。

2) 必要だと思う人がいるとしても、なぜ他のメーカーオプションと抱合せなのでしょうか。

大半の人が装着するオプションでしたら標準装備してしまえば部品コスト以上の生産効率向上で元が取れそうですが、今の時代になぜCD/DVDプレーヤーなのでしょうか。しかも標準装備ならまだしもセーフティーパッケージやi-ELOOPとの抱合せにする理由は何なのでしょうか。

CD/DVDプレーヤーのうち、トレイやレンズの原価は極めて安いので、中核を占めるのはチューナーやD/Aコンバータといった半導体部品でしょう。最近は小型化とともに汎用化が進んでおり、安いチップを買うといろいろな機能が使えてしまいます。セーフティーパッケージでは電波を用いる機器が搭載されますので、もしかしたら共通のチップを使っているのかもしれません。i-ELOOPにどのようなソフトウェアが載っているのか知りませんが、充放電の制御ソフトウェアがエンジンや変速機やパワーステアリング等の動力系を制御するチップに載らないのかもしれません。動力系、マツダコネクト系、その他というチップ構成になっているとしたら、動力系にもマツダコネクト系にも載らない機能はすべてその他の部分に押し込まれるのかもしれません。

3) ユーザーエクスペリエンスをこれほど重視している最近のマツダが、なぜこんなユーザーエクスペリエンス軽視のオプションを抱き合わせにしているのでしょうか。

「とりあえず売れそうなものはつけておけ」という発想はトヨタなら理解できますが、これだけユーザーエクスペリエンスを重視して操安やデザインにお金をかけているマツダが、なぜドライバーの価値への寄与が不明なパーツを抱き合わせにするのか理解に苦しみます。ドライバーに提供できる価値を自信を持って説明できるなら上位グレードでは標準装備にしてもおかしくないですし、人によって好みが分かれるというのでしたら抱き合わせ無しに純然たるオプションにするでしょうが、標準装備でもなく、それでいて他のオプション抱き合わせという微妙な位置づけにしたのは、ユーザーエクスペリエンスの観点からは説明がつきにくいです。

ソフトウェアの完成度の低さにもかかわらずアクセラにマツダコネクトが搭載された際には、ハードウェアはしっかりと造りこまれており、「これからの車のインターフェースはこうあるべきた」という信念を感じましたし、スマホへの接続やAhaによるインターネットラジオへの対応など、時代の変化によるニーズの変化を取り込んでいる印象を受けたのですが、なんとなく抱き合わせで売られているCD/DVDプレーヤーにはそのようなものが感じられません。振動に弱い光学ドライブよりも振動や衝撃に強い半導体メモリの方が車載に適しているはずなのですが、なぜ敢えて光学ドライブなのでしょうか。そこに一体どのような信念があるのでしょうか。