2017年12月10日日曜日

BMアクセラ1.5L前期型でまとまった距離を走ってみました

近所に買い物に行くだけでも気持ちよい車ですが、やはりある程度まとまった距離を走ってみないと車の素性がよくわかりませんので走ってみました。市街地少々、高速道路少々、残りは比較的信号の少ない一般道です。

【エンジン音】
スタートボタンを押すといきなりガーガーうるさくてびっくりするのですが、ある程度エンジンを回してオイルが回ってくると静かになります。低速走行時には当然のことながらディーゼルエンジンよりも静かです。

青信号発進の際には3000回転近くまで上がりますが、意図した加速度、アクセルの踏み込み量、エンジン回転数、エンジン音、および実際の加速度がリニアなせいか、さほど不快に感じませんし、一気に加速して巡航してしまえば加速時間が短いため、意外と気になりません。

【発進時】
アクセルペダルを踏んだら踏んだ分だけリニアに加速しますので、エンジンが勢いよく回るのを除けば問題ありません。むしろターボラグのあるデミオディーゼルの方が発進時に気を使います。

【停止時】
踏んだら踏んだ分だけ効くリニアなブレーキですので、弱く踏むと最初はブレーキが効かずに戸惑いますが、慣れればむしろ扱いやすいです。踏めばきちんと止まります。デミオよりもホイールベースが長い分、つんのめる感じがせず、自然に止まれます。街乗りではアクセラのガソリンエンジン車の方が扱いやすく感じます。

【アイドリングストップ】
ガソリンエンジンですので停止時もエンジン始動時も滑らかです。

【乗り心地】
シャーシの性能が違いますので、もちろんデミオよりも乗り心地は良いです。近所に買い物に行くだけでも気持ちよいのはひとえにこのシャーシ性能によるものと思われます。

しかしアクセラの場合、16インチホイールよりも18インチホイールの方が乗り心地が良く感じられます。16インチホイールだと段差を越えたときの衝撃が大きいですが、18インチホイールだと段差に気づかないくらいです。理由を推測するに、もともとアテンザやCX-5向けに開発されたシャーシがベースになっているため、アクセラ向けにアレンジされているとはいえ、車体が軽くなったりホイールが小さくなったりすると本来の性能を発揮しにくいのではないでしょうか。

【コーナリング】
2.2Lディーゼルターボエンジンを積めるボンネットに1.5L自然吸気ガソリンエンジンを積んでいますので、ノーズが軽くて簡単に曲がります。デミオディーゼルだと教科書通りにきちんと運転しないと曲がりませんので気を遣うのですが、アクセラ1.5Lはいい加減にハンドルを切ってもぬるぬる曲がりますので、曲がるのは楽です。しかし裏返せば、コーナリングで意識的に運転しないといつまで経っても上達しないともいえます。

高低差の少ない海辺のワインディングこそがこの車の真骨頂だと思います。ノーズの軽さを活かして山道の下りでも比較的速く走れます。

【連続登り勾配】
さほど距離は長くありませんが勢いで登り切れない程度の上り坂を上ったところ、4000回転くらいまで上がりました。一瞬ならまだしもこれがひたすら続くのは耐え難いです。ディーゼルエンジンでしたら平坦路と同じように上れてしまうのですが、低排気量ガソリンエンジンだとさすがに苦しいです。ガソリンエンジンならどれも似たようなものかもしれませんが。

【高速道路】
走行車線を巡航する分にはパワーが必要ないので問題なし。追越加速できないことはないものの、高速道路での巡航速度から先の余裕は全くないので、基本的には走行車線を巡航する前提の使い方になるでしょう。

首都高速のように巡航速度が低めでコーナーがきつい道には合っているのではないでしょうか。

【燃費】
巡航時間が長かったものの加速時には一切我慢せずに走って18km/L程度。JC08カタログ燃費が20.6km/Lで、八掛けで16km/L強ですので、思いのほか燃費が良かったです。近所への買物で乗ったときには10km/L程度でした。

【総評】
積極的にエンジンを回したり曲がりやすかったりするのでゆっくり走っても車を走らせている感覚を味わいやすいという意味で、ファミリーカーの皮を被ったゴーカートのような車です。DEデミオ前期型も転がして遊ぶ分には楽しい車ですが、やんちゃなDEデミオ前期型と比べてBMアクセラ1.5L前期型はもっと上品かつ実用的な車です。

重い車体に自然吸気1.5Lエンジンの割には意外とまともに走ると感じました。ただし余裕は全くありませんので、荷物が多かったり3人とか4人で乗ったりすると苦しそうです。1.5Lでまともに走るのはせいぜい2人乗車くらいまででしょうか。実質2人乗りと割り切るなら同じ予算でデミオディーゼルのAWDやCX-3の2Lガソリンエンジン車を買えてしまい(どれも安全装備てんこ盛りで乗り出し270万円くらい)、これらの方がパワーに余裕があるものの、アクセラの方が乗り心地が良いですし街乗りに向いていますので、あとは用途次第でしょうか。

2Lだともう少し余裕があるはずですが、日本の公道の速度域では、車格や価格の差に見合った走りの違いはあまりなく、2Lの方が余裕があるのと車格が上の分装備が良いくらいではないでしょうか。今ではアクセラ1.5Lでも装備の充実した上位グレードがありますし、余裕と称せられるものの大半はトルクによるものですので、2Lガソリンエンジンをやめて1.5Lディーゼルエンジンにしたのもわからないでもないです。

アクセラ1.5Lと同じ予算でデミオディーゼルを買えるということは、アクアと同じ予算でアクセラ1.5Lやインプレッサ1.6Lを買えるということでもあります。プリウスよりも二回りくらい安いです。もちろん燃料コストと税金が異なりますが、年間1万km乗るときの燃料コストはインプレッサで12万円程度、アクセラで9万円程度、アクアで6万円程度です。ちなみにデミオディーゼルだと4万円程度です。10年前20年前と比べて普通のエンジンの燃費性能も著しく向上していますので、この程度の差で済んでいます。税金は年間2万円程度の違いです。装備の差や値引きや下取りを考慮すれば年間数万円は誤差の範囲でしょう。走行距離が短いと車両価格の差を燃料コストで取り戻すことができませんので、トータルコストではプリウスよりもアクセラ1.5Lやインプレッサ1.6Lの方が有利ではないでしょうか。

アクセラはG-ベクタリングコントロール搭載の後期型が出てから前期型の中古価格が下落しており、今では100万円台前半で15Sの中古を買えるようです。アクセラ1.5Lは前期型の方がバランスが良いので、状態の良い中古車を掘り当てることができれば良い買い物かもしれません。