2023年1月13日のプレスリリースでMX-30 R-EVが発表されました。発表された内容から仕様を拾ってみると、まず蓄電池容量は17.8kWhとEVモデルの蓄電池容量の半分。この蓄電池容量で85km走行可能としています。エンジンはロータリーエンジンで発電専用。燃料タンク容量は50L。発表された数字はここまでです。
発表されていない数字は、50Lのガソリンとロータリーエンジンから発電される電力が何kWh分なのか、それによって走行可能な距離はどれだけかです。17.8kWhで85kmという数字が出ていますので、ひとまず蓄電池容量に換算すればそこから航続距離や燃費を算出できるはずなのですが、発電される電力量が公表されていませんので、ロータリーエンジンの燃費性能がよくわかりません。シリーズハイブリッドですので実燃費ベースで25km/L出れば御の字ですがデミオEVのロータリーレンジエクステンダーの燃費が20km/L、MX-30はデミオEVよりも二回りくらい重いので下は15km/L、上は20km/Lくらいでしょうか。15km/LというとMazda 3の2Lエンジン車の実燃費相当、20km/LというとMazda 2の1.5Lエンジン車の実燃費相当です。
もうひとつわからないのが車両の重量です。蓄電池容量が半分に減りましたし、ロータリーエンジンは小型軽量ですので、MX-30の2Lマイルドハイブリッド車とEVの中間くらいの重量でしょうか。エンジン重量がレシプロエンジンよりもある程度軽くなるのでしたらロータリーエンジンの存在意義が出るでしょうが、実際のところどの程度の重量なのでしょう。
ユーザーにとってはさほど重要ではありませんが、ロータリーエンジンの排気量がどの程度なのかには興味があります。ノートやセレナのe-Powerのレシプロエンジンが1.2L。ロータリーエンジンは同じ排気量で燃焼サイクルが2倍ですので、330mLx2ローターの660mLくらいでしょうか。それとも、比較的蓄電池容量の大きいPHEV車は常時発電機を回しつつ不足する電力を蓄電池からまかなう前提で1ローターの330mLにするのでしょうか。排気量が小さければ触媒の容量が少なくて済み、また、始動時に触媒を加温するための電力も少なくて済みそうです。
環境規制の厳しい欧州向けにはCX-60と同様にPHEV中心に販売せざるを得ないでしょうが、日本向けには蓄電池容量を切り詰めたより安価なシリーズハイブリッド車がほしいところです。しかしシリーズハイブリッド車は既にノートe-PowerやFIT等があり、燃費に不利なロータリーエンジンでどう競争するのか気がかりです。そもそも発電用エンジンとしてSkyactiv-G 1.3を用いるのに対してどのような優位性があるのでしょうか。ロータリーエンジンならMazda 2のエンジンルームにも収まるということでしたら意義がありそうですが。
車全体として合理的なパッケージであれば十分で、ロータリーエンジンはそのための手段の一つでしかありませんので、どう仕立て上げたのか楽しみです。