2015年8月9日日曜日

クロソイド曲線とi-DM

i-DMで求められる走りと伝統的なコーナリングのテクニックとが異なる場合があります。

1952年以降に工事された国道には円曲線の前後に緩和曲線としてクロソイド曲線が挿入されていますので、レーンの中心線に沿って速度一定で走る場合、緩和曲線上で一定速度でハンドルを切るだけです。円曲線に入ったらハンドルを動かさずにそのまま通過し、再び緩和曲線に入ったらレーンに沿ってハンドルを戻します。ただレーンの中心線に合わせて走るだけでゆっくりとハンドルを切ることになりますので、どれくらいハンドルを切ればよいのか気にする必要すらありません。スローイン・ファーストアウトもアウトインアウトも必要ありません(その代わり緑点灯しかしませんが)。

当然、走行速度にも依存しますが、道路構造令上の設計速度以内で走る場合には速度一定で安全に走れます。道路交通法上の制限速度は道路構造令上の設計速度よりも概ね時速20kmほど低いため、常識的な速度で走る限りはレーン中心線に沿って一定速度で走って何の問題もありません。急加速と急減速のできない大型トラックであっても車線幅が広くてかつ勾配が無ければ、曲線通過時であってもそこそこ速く走れます。同様に、フロントヘビーなデミオディーゼルであっても高規格な道路では楽に走れます。

もしこのような道路で運転しにくいと感じる人は、おそらく速度を一定に保つのが苦手なのかもしれません。平坦路ではさほど難しくありませんが、道路には往々にして起伏があり、勾配のある道路、特に下り勾配でエンジンブレーキだけで速度を一定に保つのはたしかに難しいです。しかしこれはコーナリングのテクニックとは別の話ですので、問題を切り分けて考える必要があります。

もう一つ考えられるのはそもそもレーン中心線をキープできない場合で、せっかくレーン中心線に沿って走れば楽に走れるのに、レーン中心線から外れるせいで余計なハンドル操作が必要になってしまいます。これもコーナリング以前の問題です。前を走っている車を見ていると、要領よく走るつもりで曲線の内側にはみ出す車が多いですが、そのせいで滑らかな運転から逸脱しますし、そもそもセンターラインからはみ出すのは危険です。

しかし国道であっても線形の制約によって十分に緩和曲線を確保できない場所や規格外の急曲線があることが多々あります。そのような場合には事前に警告がありますので、線形に注意しながら十分に速度を落とす必要がありますが、そのような急曲線の多い区間は制限速度も低めに設定されていますので、これも常識的な速度で走る限りはさほど問題ありません。

規格外の急曲線を通過する場合には、緩和曲線手前までに十分に減速し、緩和曲線上で徐々にハンドルを切りながらブレーキをゆっくりと緩めていくとタイヤのグリップ力を活用しながら滑らかに運転できます。同様に円曲線通過後は緩和曲線上でハンドルを戻しながら加速します。

緩和曲線の無い曲線を通過する要領は交差点を左折するときと同じで、事前に十分に減速してから車速に見合った速度でハンドルを切るしかありません。大きくハンドルを切るためにはその分車速を下げる必要がありますので、必然的にスローイン・ファーストアウトになります。