2016年10月1日土曜日

デミオXD TouringにヨコハマBluEarth-A 16インチを装着した感想

夏タイヤをBluEarth-Aに交換して初めてまとまった距離を走りましたので印象をご報告いたします。

【総評】

  • 燃費が改善(+2km/Lほど)
  • 中速域でロードノイズ激減
  • 低速域を中心に運転操作に対する車の挙動が素直になって運転が楽になった
  • 高速域でステアリングを通じて受ける抵抗が減少し、ステアリングフィールが希薄になった
  • 高速域で体感速度が低下し、慣れないうちは運転操作を誤りやすい
【燃費】
低燃費タイヤに履き替えたのですから燃費が良くならなければ困るのですが、期待通りの効果が出ています。そういえば燃費スペシャルモデルのXDは最初から15インチのBluEarth-Aを履いています。転がり抵抗の小ささが効いているのでしょう。

流れの良い都市高速道路を流れに乗って巡行するという燃費にとって理想的な条件で平均燃費24.8km/Lが出ました。平均燃費には他の区間も含まれますので、理想的な条件での平均燃費は容易に25km/Lを越えています。今まででしたら同じ条件でせいぜい22km/Lくらいでした。Proxes R39で25km/Lを出そうとすると高速道路でクルコンをつけて時速80kmで巡航するとか信号のない幹線国道で時速60kmくらいで走り続けるときくらいしか実現できませんでした。Proxes R39だと今までの最高記録が28.7km/Lくらいでしたので、同じ条件で30km/Lを越えるかどうか楽しみです。ちなみにXD TouringのAT車のJC08燃費は26.4km/Lです。

連続登り勾配を高速走行する際には今までは17km/Lくらいだったのが19km/Lくらいに向上しています。

【ロードノイズ】
全般的にProxes R39よりも低下しています。しかしBluEarth-Aでも程度の差こそあれ高速域ではロードノイズが発生しますし、一方、Proxes R39でも低速域ではロードノイズが気になりませんのでロードノイズの低下を最も体感しやすいのは中速域です。都市高速道路や一般国道で長距離を走る際にとても楽になりました。中速域のロードノイズが激減した結果エンジン音が聞こえやすくなりましたが、エンジンが温まっていないうちはディーゼルノック音が気になります(ナチュラルサウンドスムーザーのついた後期型なら問題ないかもしれませんが)。

【挙動の素直さ】
15インチほどでないにせよ16インチでもやや出足が軽くなっただけでなく、アクセル操作時の挙動が素直になり、運転しやすくなりました。特に街乗りでの運転が楽になりました。その理由を推測するに、タイヤの転がり抵抗が低下しただけでなくタイヤの重量も少し小さくなったことから、アクセルを踏み込んだときにエンジンから供給されるエネルギーがフライホイール効果に充当される割合が減って車を前進させるエネルギーの割合が増えたのかもしれません。とはいえ、ホイールは純正の重いホイールのままですので重量低下の効果は限定的なはずですが。

ステアリング操作時やブレーキ操作時も同様で、後述の通り体感速度の差にまだ適応できていないものの、体感速度と実速度との差異が無いときにはとても素直に曲がったり止まったりするようになり、i-DMで青点灯させやすくなりました。

【直進時】
センター付近の遊びが少し増えたおかげでまっすぐ走るのが楽になりました。

【中速域のコーナリング】
海辺のワインディングをのんびり走りましたが、これくらいの速度域だと素直に軽やかに曲がってくれてとても気持ち良いです。コーナー手前の減速でも軽くブレーキを踏むだけで曲がってくれます。

ショルダーの角ばったProxes R39からショルダーの丸いBluEarth-Aに履き替えてタイヤの接地面積が減少した結果、面圧が増大し、特に荷重の小さい後輪の接地が良くなったためではないかと推測します。前輪タイヤのグリップ力は低下したかもしれませんが、フロントヘビーなデミオディーゼルであっても、他の車よりも前広に運転操作すればタイヤのグリップ力に頼らなくても曲がってくれます。Proxes R39では前輪タイヤのグリップ力でねっとり曲がる感じだったのですが、BluEarth-Aでは車体が向きを変え始めてから後輪がしっかり支えてくれて車体全体で安定して曲がる感じです。

【高速域】
新車装着タイヤが敢えてロードノイズが大きく燃費もあまり良くないProxes R39を履いているのは、欧州の高速道路で安定して走るためではないかと推測しますが、BluEarth-Aでも日本の高速道路の速度域程度でしたら特に安定性が足りないとは感じません。コーナーでの踏ん張りにも特に問題ありません。ただし、Proxes R39のようなどっしりした感じではなくなります。重いProxes R39ほどにはフライホイール効果が発生しないためでしょうか。

また、同じBluEarth-Aでも15インチのようなふわふわした感じは全くなく、やはり高速道路を走るなら16インチの方が安定します。

一方、高速域ではステアリングホイールから受ける抵抗が小さくなり、ステアリングフィールが希薄でクイックになる傾向があります。Proxes R39に合わせたパワーステアリング設定ですので仕方ないのですが、後述の体感速度の低さもあいまって、高速コーナーの連続する高速道路の山越え区間ではやや走りにくいと感じました。

【体感速度】
Proxes R39は速度が高くなるにつれてうるさくなりますので、それで速度を体感していましたが、BluEarth-Aは15インチ16インチともに速度が高くなるほど体感速度が低くなる傾向があり、加速しているといつの間にか意外と速度が伸びています。転がり抵抗が減って加速が良くなっているのと、ロードノイズが減って速度を体感しにくくなっているためではないかと推測します。

体感速度の低下は快適性に寄与する一方で、体感速度は低ければよいというものでもなく、慣れないうちは運転操作をミスリードしやすいです。体感速度に基づいてブレーキをかけると実速度が高いために制動距離が意外と伸びて、ブレーキを踏み増したときにi-DMが白点灯したり、同様に体感速度に基づいてステアリングを切ると思いのほか曲がらなくてステアリングを切り増した際にi-DMが白点灯したりしたことが何度かありました。しかしこれは別にタイヤの性能のせいではなく単に運転が下手なだけだと思います。慣れればむしろ運転しやすくなるはずです。

ともあれ、今まで速度の体感のそれなりの割合を音に頼っていたことを改めて認識しました。

【総合的な快適性】
ロードノイズの低下と運転のしやすさのおかげで長距離の移動がとても楽になりました。のんびり走っているといつの間にか目的地に着いてしまい、目的地までの体感時間が短く感じられます。高速ツアラーとしてのデミオディーゼルが本来目指すものに近づいた感があります。

XD Touringの足回りのセッティングは欧州向けと同じとのことですが、アウトバーンの真ん中車線を安定して走れる性能は日本の公道では宝の持ち腐れなのですから、日本仕様を作り分けた方がよいのではないかと感じます。日本仕様でしたら敢えてロードノイズの大きいProxes R39にするまでもなくBluEarth-Aで十分に思えます。