2020年1月17日金曜日

Mazda 3に乗り換えました

デミオディーゼルが5年で17万km近くに達しましたので、Mazda 3の2Lガソリンエンジン車に乗り換えました。車を選ぶための要件に変化はなく、車選びの基準は依然として「大きい車は不要だが高速道路で長距離走って疲れない車」です。ではなぜ引き続きMazda 2のディーゼルエンジン車を選ばなかったのかといえば、デミオディーゼルで長距離を走り込んだ結果、「長距離走って疲れない車」についての知見が増えたためです。そこでまずは車種選定について記載します。

【Mazda 3を選んだ理由】
走る曲がる止まるの過渡領域の作り込みが秀逸なためです。試乗で交差点を曲がったときにこれはすごいと感心しました。サイズ的にはMazda 2で十分だったのですが、乗り比べるとやはり第7世代車の方が進んでいると感じました。乗り心地、とりわけ荒れた路面での突き上げに関しては評判が悪いですが、乗り心地よりも操縦安定性を優先させる方が長距離走って疲れにくいです。今まで乗ってきたデミオディーゼル前期型はGベクタリングコントロールが無いこともあって乗り心地は良くありませんが、それでも高速道路で700kmくらい走っても全然平気です。たしかに同乗者にとっては乗り心地が良くないのはいかがなものかと思いますが、パーソナルカーたるMazda 3が操縦安定性を優先させるのはわからないでもありません。

【2Lガソリンエンジン車を選んだ理由】
第7世代車の特長であるバランスの良さが最も感じられるためです。もともとパワーを求めるつもりはありませんので当初は1.5Lで考えていました。1.5Lエンジンは回して楽しいですし、ディーゼルエンジンが長距離巡航で楽なのは今までさんざんデミオディーゼルに乗ってきた経験からわかっていることなのですが、そういう飛び道具に頼らず徹底的に普通であろうとする2Lガソリンエンジン車の方が長く付き合って疲れないのではないかと感じました。

デミオディーゼル購入時にも「長距離走って楽な車」という要件で選定したのですが、アクセラ15S Touringとの比較した際に「コンパクトカーなのにディーゼルエンジンでトルク極太」というわかりやすい飛び道具や「それでいてアクアやフィットハイブリッドにマッチさせた価格」というバリューに飛びついたことは否めません。車に対する知見の乏しい人にはそういうわかりやすい特徴があった方が売りやすいだろうなと思います。

【ディーゼルエンジンを選ばなかった理由】
長距離巡航といえばディーゼルエンジンですが、マツダのディーゼルエンジンは煤対策のために年々おとなしくなっており、敢えてディーゼルという要素が薄れてきています(今にして思えば、初期どっかんターボのデミオディーゼルに乗れたのは良い経験でした)。Mazda 3ではアクセラよりも重くなった分、さらに最終減速比を上げてローギアードな設定にしており、低負荷高回転で応答性を確保しつつ煤を出にくくしています。ディーゼルエンジンの特長である高トルク低回転という要素があまりなく、良くも悪くもガソリンエンジンに近づいているという印象です。実際、2Lガソリンエンジンと1.8Lディーゼルエンジンとで変速比も最終減速比も同じです。

それでいてエンジンが重くて重量バランスが良くないとか、短距離走行の繰り返しでエンジンの調子が悪くなるとか、吸気系に煤が貯まるにつれてパワーが落ちるとか、そもそも補機類が多くて価格が高いといった従来からのディーゼルエンジンの短所はそのままです。重量バランスが悪くなると操安設計にしわ寄せが行くというのはデミオディーゼルで散々感じてきたことです。ブレーキにしても、ディーゼルエンジンはエンジンブレーキが弱くフットブレーキが強いですが、ガソリンエンジン車の方がブレーキは扱いやすく感じます。

ディーゼルエンジンは燃料代が安いのが魅力で、デミオディーゼルなら5円/km、Mazda 3のディーゼルでも6円/kmくらいで走れます。500km走って燃料代が3000円くらいです。ガソリンエンジンは10円/kmくらいですので、比率としてはかなり大きいです。普段ディーゼルエンジン車に乗っていてたまにレンタカーでレギュラーガソリンを給油するとガソリン代の高さにびっくりします。ディーゼルエンジン車の方が価格が高いといっても10万kmも乗れば燃料代だけで元が取れます。

しかし高速代は24円/km(首都高速は29円/km)とさらに割高です。都市高速道路や大都市近郊区間ではETCの休日割引も適用されませんので、休日割引で3割引きといっても高速代全体から平均25円/kmくらいはかかります。資本コストが40円/kmくらい、宿泊費その他旅費も同じくらいかかるとすると、総費用に占める燃料代の比率はせいぜい5%程度です。それなら気持ちよく運転できる方を選んだ方がよいでしょう。総費用を安くしようとしたら、あまり遠くまで行かず、時間に余裕を持たせてなるべく下道を走るのが一番効いてきます。

【1.5Lエンジンを選ばなかった理由】
当初はパワーが無くて遅くて免許にやさしい車を選ぼうとしていました。自分より遅い車に進路を塞がれるといらつきますが、自分が一番遅い車であれば道を譲るだけで済みますので気楽だからです。道を譲ってもらうのは他人任せですが、道を譲るのでしたら自分でコントロールできます。

長距離移動の際には実はパワーが必要なくて、高速道路の合流車線で巡航速度に乗ってしまったらあとはせいぜい追越加速のときくらいしかパワーがいりません。しかもアダプティブクルコンでのんびり走るなら追越加速もさほど必要ありません。

ゆっくり走れば時間がかかるかと思いきや、乗用車で普通に走る距離でしたら多少飛ばしても全体の所要時間への寄与は実はさほどありません。速度ムラがあれば平均速度の増分はさほどありませんので、一定速度を保って運転すると所要時間がさほど延びませんし、燃費も良いです。制限速度にクルコンをセットして走行車線をのんびり走れば速い車が勝手に追い越してくれますので、追い越しに気を遣うこともありません。疲れなければ休憩時間が少なくて済みますし、到着後の時間も有効に活用できます。長距離走行では疲労によるロスが効いてきます。

そういうわけで、当初の候補は15S Touringでした。しかしスペックシートを見ると、2Lエンジン車に誘導するために、意図的に長距離向けの装備をつけられなくされていることが真っ先に気になりました。一番残念だったのはアダプティブLEDヘッドライト(ALH)をつけられないことです。ハイビームコントロールはほぼ使い物にならないことを経験上知っているためです。1.5Lエンジン車のみヘッドライトの仕様が異なるようです。もっとも、ハイビームが必要なのは夜の田舎の道や夜の高速道路ですが、そんな時間帯に運転したら疲れてしまいますので、そういうことはしないと割り切れば受け入れられなくもありません。街乗り専用グレードと割り切れば長距離用装備が無くても問題ありませんが、もし街乗り専用でしたらホイールは16インチの方が出足が軽くて扱いやすいはずです。

しかしそもそも「パワーが無い」=「街乗り専用」という図式は合っているのでしょうか。自動車で最もパワーが必要なのは高速道路の合流車線での加速、次にパワーが求められるのは青信号発進です。高速巡航時にはパワーは必要ありません。パワーの無い車はむしろ高速道路の走行車線でクルコンをつけてダラダラ走るのに向いています。

試乗した限りでは、きちんとアクセルを踏めば意外と走れることがわかりました。高速道路では試乗できていませんが、BMアクセラの1.5Lは1人乗車かせいぜい2人乗車であれば高速道路でそこそこ走れることは経験済です。

それでも最終的に2Lにしたのは、冒頭に申し上げた通り、2Lの方がバランスが良く、第7世代車の設計思想が体現されているためです。価格や装備を抜きにして運転してしっくりくる方を選ぼうと思って試乗で乗り比べて2Lを選びました。しかしそれでも1.5Lにも独自の楽しみがあり、当選に近い次点です。もし2Lが無ければ1.5Lにしていたことでしょう。

【Skyactiv-Xを選ばなかった理由】
単に購入時期とタイミングが合わなかっただけです。当初の予定通りに10月に発売されていれば試乗できたのですが。高回転までフラットなトルクが持続するのはMT車で乗る分には魅力的かもしれませんが、AT車で乗るならトルクバンドのピークで回せば十分ですので、敢えて70万円余計に出してSkyactiv-Xを買う理由を見出しにくいです。値段と性能がこなれてくれば選択肢に上るでしょうから、次に買うときには比較検討の対象になるのではないでしょうか。実際、ヨーロッパでは通常のガソリンエンジン(マイルドハイブリッド付)よりも少し高い程度ですのでSkyactiv-Xが結構売れているようです。日本向けが高いのは購買層をアーリーアダプターに絞ることでクレームを減らすためでしょうか。

【CX-30を選ばなかった理由】
敢えてCX-30を選ぶべき理由がなかったということに尽きます。

Mazda 3よりも全長が短くて取り回しが良いのは魅力的ですが、CX-30くらいの重量になるとディーゼルエンジンを選びたくなります。すると乗り出し350万円になります。かつてのBMアクセラ2.2Lディーゼルと同じ値段ですが、BMアクセラより一回り重くて1.8Lディーゼルエンジンでその値段ですので、正直高いなと思いました。15万円足したらCX-5に乗れます。実用性重視で売れ筋を狙うはずの割には強気な値段です。Mazda 3よりも余計に払ってまで欲しいものがCX-30には見つかりませんでした。

最後の決め手はぼてっとした尻でした。前から見ればかっこいいのに、リアハッチの開口部をなるべく低くして使いやすくしようとした結果、後ろが腰高な感じです。Dピラーの傾斜が大きいため、後ろ姿を見るとリアウインドーの下が壁のように見えます。Mini Crossoverも同様にリアハッチが腰高ですが、こちらはリアウインドーが立っているため気になりません。側面も同様に、裾部を黒いプラスチックにして車体をスリムに見せかけていますので、写真で見るときれいですが、実車を見るとやはり腰高に見えます。

【Mazda 2を選ばなかった理由】
ディーゼルエンジンについては前述の通りです。また、ディーゼルエンジン車に乗るなら重量バランスの良いAWDに乗りたいところですが、そうなるとMazda 3の1.5Lと同じくらいの値段になります。第6世代のBセグメント車と第7世代のCセグメント車で値段が同じなら後者を選びます。もちろん同じ予算で長距離向け装備もきちんとつけられますし、Mazda 3よりも軽くてよく走るのは魅力ですが、これに乗りたいと思う決め手がありませんでした。

そういうわけで候補はガソリンエンジン車の事実上一番安いグレードである15S Proactiveでした。かつてはディーゼルエンジン車とガソリンエンジン車との間に装備の差がありましたが、今やガソリンエンジンの一番安いグレードでも安全装備が充実しています。デミオ時代から年次改良で良くなっているのに加え、Mazda 2になってさらに良くなったのは試乗してわかりましたが、第7世代車には及ばず。既に第7世代車が出ているのにあと5年第6世代車に乗り続ける気になりませんでした。

同じ1.5Lエンジンを積むならMazda 3よりもMazda 2の方が軽くてよく走るはずなのですが、1.5Lエンジンは太いトルクでゆったり走るよりも、よく回してパワーを絞り出す使い方の方が気持ちよく走れるように感じます。ヨーロッパの道路ではMazda 2の1.5Lエンジンは丁度良いのかもしれませんが、日本の道路では2000回転ではトルクが不足して3000回転ではパワーが出すぎる場面があって、街乗りで我慢が必要になりそうに感じました。高速道路ではさほどパワーが必要ない一方で、高速安定性に効くのはホイールベースやトレッドですので、それならMazda 3の方が有利です。他の条件を一定にすればパワーがある方が有利なのでしょうが、運転して気持ちよいかどうかは車と道路と運転の3者のバランスだと思います。

それでも基本的には大きな車は必要ありませんので、将来Mazda 2がフルモデルチェンジをして、Skyactiv-Xの1.5Lエンジン車の値段と性能がこなれてくれば、次の買い替え候補にはなりえます。

【CX-3を選ばなかった理由】
忘れていました。Mazda 2よりもさらに高いとなると同じ予算でCセグメント車を買えてしまいます。それでいてBセグメントのシャシーと太いタイヤとがマッチせず、操縦安定設計上の素性の悪さを感じます。そういえば、登場当初はデミオとほぼ同じ車が300万円なんてありえないと思っていましたが、今やMazda 2のディーゼルのAWDが300万円します。この調子でモデルチェンジしたらAudi A1並の値段になりそうです。