2021年3月4日木曜日

交通標識認識システム (TSR)のバージョンアップ

既にいろいろな方が指摘されていますが、サービスキャンペーンでソフトウェアを更新したら交通標識認識システム(TRS)も更新されていました。最大の特長は地図データをもとに常時制限速度が表示されるようになったことです。一般道の法定速度60km/hや高速道路の法定速度100km/hのもとでは特に速度を制限するような標識が出ていないため、従来は制限速度の表示がありませんでした。その場合、法定速度だから表示が無いのか、車の側で制限速度を認識できていないのか、見た目ではわかりませんでした。法定速度も表示されるようになれば、常時制限速度を参照できます。

問題は、地図データ上の制限速度と道路標識から読み取った制限速度とが一致しない場合です。例えば高速道路走行中に出口での40km/h制限標識が見えてしまうと、従来は40km/hと表示されていました。人間が見れば本線上の標識でないとわかるものですが、機械は読み取り範囲が広いのか、本線から外れた場所にある標識まで読み取ってしまうためです。更新後は、本線上の本来の制限速度と標識から読み取った制限速度が左右に並び、標識から読み取った方の数字の下には「!」マークが表示されるようになりました。

交通標識認識システムは速度制限標識だけでなく、進入禁止標識や一時停止標識も読み取れますが、まだ一般道をそんなに走っていませんので、これらが地図データに基づいて表示されるのかどうかはわかりません。本来進入禁止標識が無いはずの場所で天下一品ラーメンの看板やガストの看板を進入禁止標識と誤認識した場合の挙動もまだ観察できていません。

(追記)高速道路上での悪天候等による速度制限の場合、標識から読み取った速度のみが表示されます。高速道路上ではそのような仕様になっているのか、あるいはVICSから読み込んだ情報に基づいてそうしているのかわかりませんが、速度制限が解除になり、高速道路上の速度標識に何も表示されなくなっても制限された速度を表示し続けました。しかしこれも、単に上書きされていないという理由でそうなっているのか、あるいはVICSの情報が更新されるのが遅いのかわかりません。

(追記2)高速道路では速度標識の誤認識がまだ見られます。120と表示されたときは、たしかこの辺りに120kmのキロポストがあったかなと思いましたが、110と表示されたときはキロポストと関係なくて、どこからそんな数字が出てきたのかよくわかりません。

それにしても、どうしてこのタイミングでこのような変更がなされたのでしょう。まず思いつくのは、地図データに制限速度や標識の情報が含まれるようになったことです。Yahoo!カーナビでは従来より制限速度や標識や、特に制限速度に注意すべきの場所が表示されます。しかしその地図データが陳腐化したままでは実際の標識との間に差異が生じてドライバーを混乱させるでしょう。幸い、車載通信機搭載の車は毎月地図データを更新しますので、地図データが陳腐化しにくくなっています。制限速度や標識が変更になることはめったにありませんので、ある程度追随できていればさほど問題ありません。交通標識認識システムを搭載しているのは車載通信機搭載車だけですが、もしかしていずれ地図データを参照することを想定した上でそのようなグレード構成にしたのでしょうか。