2022年11月13日日曜日

2022年10月マイナーチェンジのカローラの諸元表を見てみました

2022年11月12日にカローラのマイナーチェンジの試乗動画が解禁されたようで、いろいろな人が試乗動画を出しています。そういえばと思って諸元表をダウンロードしてみました。実際に運転してどうかについては試乗してみなければわかりません。

【パワートレイン】

ハイブリッドは最新のものに刷新。少し燃費が向上しています。かつてカローラツーリングのハイブリッド車に乗った際には意外と普通だなという印象で、ヤリスハイブリッドほどの魅力を感じませんでしたが、最新のハイブリッドシステムになってどう変わったか興味があります。

大きく変化したのはガソリンエンジンの方で、いずれもダイナミックフォースエンジン+ダイレクトシフトCVTが導入されました。カローラスポーツは2Lエンジンですが、セダンとツーリングはヤリスと同じ1.5Lエンジンです。

1.2Lターボエンジンは低回転でのトルクが太いのでダラダラ流して走る分にはすこぶる快適ですが、いざアクセルを踏み込んでみると排気量なりでしかなく見掛け倒しでしたので、「スポーツ」を名乗る車がこれで良いのだろうかと思いました。2L自然吸気エンジンを積んでやっと「スポーツ」らしくなりました。ヤリス1.5Lよりもさらにパワーに余裕がありますので、きびきびと走れそうです。

セダンとツーリングの出力とトルクは排気量なりです。重量が大きい分だけヤリスよりも最終減速比が少し高くなっており、低速力での加速力を補っています。では高速域での加速性能を犠牲にしているのかというとそうでもなく、発進時にはギア直結ですので無段変速部が若干高速寄りになっており、従来型の1.8Lエンジンと遜色なさそうです。ちなみに旧来の1.8Lエンジンは新東名での追い越し加速でも不足を感じない性能です。セダンとツーリングのガソリンエンジンで旧来のエンジンとCVTが採用されたのはコスト削減のためのようですが、ヤリスの数が出るようになったことから、ヤリス用のエンジンとCVTのコストがこなれてきたのかもしれません。Bセグメント車は利幅が小さいと言われますが、それでも必要とされているクラスですし、数が出ますので量産効果はあります。

【リアサスペンション】

セダンとツーリングでは、カローラクロスから導入されたトーションビームサスペンションが導入されており、エンジンが一回り小さくなったこともあり重量が40kgほど軽くなりました。パワートレインとあいまって、でかいヤリスになったようです。しかし、ヤリスの1.5Lエンジン車はパワーに余裕がありますので、日本の公道の速度域に合わせてその余裕を切り詰めれば一回り大きい車にも使えるのでしょう。カローラスポーツのリアサスペンションはダブルウィッシュボーンのままですので、車体が一回り小さいカローラスポーツの方むしろ重いです。

【室内寸法】

セダンとツーリングの室内寸法を見てみると、室内幅は車体幅が広い分だけカローラの方が広いですが、室内長と室内高は実はヤリスよりも少し小さいです。トランクルームにスペースを取られているようです。しかしホイールベースはカローラの方が長く、その分リアタイヤのタイヤハウスの飛び出しも小さいので、スペースをやりくりすればどうにかなっているのかもしれません。

【燃費】

ガソリンエンジン車ではパワートレインが刷新され、車体も軽量化されたため、大幅に向上しています。旧来の1.8Lエンジンよりもダイナミックフォースエンジンの1.5Lエンジンの方が燃費が良いのは理解できますが、意外なことに、1.2Lターボエンジンよりもダイナミックフォースエンジンの2L自然吸気エンジンの方が燃費が良いです。とりわけ郊外路と高速道路での燃費が著しく向上しています。ダウンサイジングターボをやめたのは燃費計測ルールの変更に伴うものでしょう。実燃費ベースで比較する場合にはダウンサイジングターボよりも自然吸気エンジンの方が有利というマツダの言い分が実証されています。

1.2Lターボエンジンの圧縮比が10、1.8Lエンジンの圧縮比が10.6なのに対し、ダイナミックフォースエンジンの圧縮比は13ですので圧縮比が効いていそうです。

【Mazda 3との比較】

さて本題のMazda 3との比較ですが、カローラセダンとMazda 3 1.5Lセダンと、カローラスポーツとMazda 3 2Lファストバックとをそれぞれ見ていきましょう。

まずは1.5Lから。パワー、トルク、重量、燃費ともにカローラ有利です。Mazda 3の1.5LエンジンはMazda 2に搭載された圧縮比14の高圧縮比タイプではなく旧来のエンジン(それでも圧縮比13)のままですので、高圧縮比エンジンを積めばカローラに対抗できる可能性があります。Mazda 3の1.5Lエンジン車はほとんど数が出ないために放置されているようですが、Mazda 2のエンジンが高圧縮タイプの統一されましたので、そろそろそちらに寄せた方がよいのではないでしょうか。排気量が同じですのでパワーとトルクは僅差ですが、燃費の差が重量の差よりも大きいのは、6ATの高速域での効率が劣るためでしょう。実際、郊外モードと高速道路モードの数字で大きく差がついています。

次に2Lですが、重量はほぼ同じですが、パワー、トルク、燃費ともにカローラ有利。こちらも郊外路や高速道路での燃費で大きく差がついています。マツダではMazda 2用の1.5Lエンジンの方がもともとの出来が良いうえ、さらに積極的に改良されているのに対し、2Lエンジンは放置気味です。Mazda 3の2Lエンジン車にはマイルドハイブリッドがついて燃費が若干改善した程度です。Skyactiv-Xと差をつけたいのかもしれませんが、Xは国産Cセグメント車の価格ではありませんので売れ筋の2Lエンジンをどうにかしないと売れないでしょうね。日本ではこのクラスの市場は限られており、足車として乗るなら2Lエンジンは必要ありませんし、もっとパワーを求める人は上のクラスの車を求めるでしょうから、このクラスで競っても定量的な影響はあまりなさそうですが、欧州ではまさに主力のクラスです。

カローラのマイナーチェンジ前はガソリンエンジンのパワートレインがSkyactiv-Xよりも古かったためにMazda 3の方が有利だったのですが、カローラがマイナーチェンジでダイナミックフォースエンジンを積んで逆転しました。販売台数からしてトヨタがマツダをライバル視する動機は全くないはずなのですが、そんなトヨタですら弱小のマツダを貪欲にパクるところにトヨタの底力を感じます。一方、マツダの1.5Lエンジンの斜め渦燃焼もダイナミックフォースエンジンのパクリなのではないかという気がします。ユーザーの立場では、各社切磋琢磨して全体のレベルが上がるのは歓迎です。

パクリといえばカローラツーリングWxBにマッシブグレーという専用色があり、さながらポリメタルグレーのパクリのような色です。とはいえ、自動車業界には色の流行があり、他社でも似たような色を採用していますので、一概にパクリとはいえないのかもしれませんが。