レンタカーでBMアクセラ1.5Lに乗った後で改めてMazda 3に乗ってみると、内外装の質感や静粛性は全然違いますし、操縦安定性能についてもMazda 3の方がすぐれています。様々な面で良くなっており、BMアクセラとはレベルが違います。また、1.5Lエンジン車にパワーが無いのは否めませんが、2Lエンジンならゆったり流すこともできますし、エンジンを回せばそこそこ走ります。つくづく「いい車だな」と思います。
では運転して楽しいのはどちらだったかというと、BMアクセラ1.5Lだったりします。Mazda 3の2Lガソリンエンジン車に乗っているといつも「いい車なんだけど…」と思います。BMアクセラは前期型から後期型になってGVCが導入された際に前期型よりもどっしりとして静かな車になったという印象を受けましたが、今後期型をMazda 3と乗り比べると重量も質感も軽くていかにも日本車という印象を受けます。しかしそれでも車体とエンジンとのバランスが良く感じられます。一方、Mazda 3はSkyactiv-Gではエンジンが車体に負けている印象を受けます。例えるならばロードスターがポルシェになろうとしているような感じです。もしかしたらSkyactiv-Xを積んだ車だとエンジンの質感が高く、車体の質感とのバランスが取れるのではないでしょうか。
たしかに、BMアクセラはSkyactiv-Gを前提に開発された車ですし、BP Mazda 3はSkyactiv-Xを前提に開発された車ですので、本命のエンジンを積んだときに最もバランスが取れているのかもしれません。料理はバランスと言われますが、車も同様にバランスが大切なのかもしれません。
しかしそのSkyactiv-Xは走りの質感こそ絶賛されているものの、コストの高い補機をたくさんつけているせいでSkyactiv-Gよりも70万円高く、それでいて燃費性能の差はさほどなく、さらにハイオク推奨ですので燃料代ベースでの優位性はありません。動力性能と環境性能と操縦安定性能を高いレベルで両立させている車ならヤリスハイブリッドのようないまどきのトヨタのハイブリッド車がすでに実現していて、かつSkyactiv-X搭載のMazda 3よりも安いです。走りの質感だけのためにトヨタのハイブリッド車よりもさらに高い車を買えるのは熱烈なマツダファンくらいでしょう。
価格面で比較対象になるのはメルセデス・ベンツAクラスやFFになったBMW1シリーズかもしれず、「どれか好きな方を選んでいいよ」と言われたらSkyactiv-XのMazda 3を選ぶ可能性がありますが、ベンツを買う人はベンツであることに価値を見出しているでしょうし、BMWにしても同様です。そもそもこのクラスはさほど数が出ません。
現状では、Skyactiv-Xのコストがこなれておらず、本命となるべきだったSkyactiv-XのMazda 3を受け入れる人の数があまりにも少ないのではないでしょうか。当初の目論見では価格も燃費もガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車の中間とされていましたので、もし目論見通りのコストで実現していたらもっと売れていたかもしれません。少なくとも、そのような選択肢がもしあったら自分で買うときにはSlyactiv-Xにしたことでしょう。