【要旨】
《対象》
- 2017年7月生産分からの全車
- ただし2019年にフルモデルチェンジが予定されているMazda 3は対象外
- ガソリンエンジンは1.5L, 2L, 2.5L(欧州向けに販売されていない1.3Lと2.5Lターボは対象外)
- ディーゼルエンジンは1.8Lと2.2L(1.5Lは今回の対象外)
《ガソリンエンジン》
- 直噴エンジンながら煤フィルターをつけずに規制に適合
(新しい規制では煤の量の上限値が10分の1に減少。煤の出やすい直噴エンジンでは対策が必要。ディーゼルエンジンのDPFと同様に煤フィルターで対応する会社もあり)
《ディーゼルエンジン》
- 2.2LエンジンはSCR装着で対応
- 1.8LエンジンはNOx吸蔵還元触媒で対応(SCR不要)
- 1.8Lエンジンは1.5Lエンジンの置き換え
【感想】
《ガソリンエンジン》
- 2.5Lエンジンや2Lエンジンの改良内容はCX-5やアテンザの商品改良時の発表の通り。
- 商品改良未発表の1.5Lエンジンでも同様の技術を用いた改良がなされるものと思われます。2.5Lエンジンや2Lエンジンでは改良によって、出力やトルクの数字が微増していますが、Mazda 2の1.5Lエンジンの諸元データの数字を見る限り、最大出力の増加が見受けられません。
- 今回のプレスリリースは環境規制への適合についてのものですので、1.5Lエンジンで気筒休止が実装されるかどうかについては言及なし。
《ディーゼルエンジン》
- 後処理装置なしでEURO 6に適合したのがマツダのディーゼルエンジンの売りでしたが、さすがにEURO 6d TEMPだと後処理装置なしでは難しいようです。
- 日本向けのCX-3やアテンザの商品改良の発表では、NOx吸蔵還元触媒やSCRには言及されていませんでした。
- 後処理装置はコスト引き上げ要因ですので、後処理装置が不要な市場向けには後処理装置なしで販売する可能性もあります。
- 欧州向けMazda 2に1.8Lディーゼルエンジンが搭載されるのか、あるいは当面ディーゼルエンジン車が販売されないのかは不明(2018年5月29日現在Mazda 2のラインナップに1.5Lディーゼルエンジン無し)。
- 欧州向けCX-3のディーゼルエンジンは既に1.8L。NOx吸蔵還元触媒付ということになります。
- 欧州向けMazda 3ではまだ1.5Lディーゼルエンジンの販売あり。
- 1.5Lエンジンに1.8Lエンジン開発時の技術をバックポートして最大トルクを220Nmに抑制すれば欧州向けを含めてMazda 2向けに復活できるのではないかと期待するものの、今回のプレスリリースでは言及がないため今後どうなるかは不明。
- 欧州以外の市場向けに1.5Lディーゼルエンジンを搭載したMazda 2を引き続き販売するかどうかも不明。
《Mazda 3》
- Euro 6d TEMPの規制によりフルモデルチェンジ車の販売は2019年7月までに開始しなければならないというタイムリミットが課されています。
- おそらく最初は日本向けに販売され、その後段階的に他の市場向けにも販売されるでしょうから、逆算すると2019年初頭には日本向けのフルモデルチェンジ車が販売されることになるでしょう。
- あるいは、日本国外の市場の中で、欧州向けは比較的早くフルモデルチェンジするのではないでしょうか。
- Euro 6d TEMPは火花着火エンジンと圧縮着火エンジンとでNOx規制の上限値が異なるのですが(ディーゼルエンジンを想定した圧縮着火エンジンの方がNOx規制が緩い)、Skyactiv-Xはどちらに分類されるのでしょう。圧縮着火の方がNOxが出やすいことを考慮するという趣旨からすれば圧縮着火エンジンに分類されるのが妥当に見えますが。
【Euro 6d対応】
- 2020年1月以降の新形式および2021年以降に登録される新車はEuro 6d対応が求められます。
- Euro 6d TEMPではRDEでのNOx排出量の規制値が台上試験でのNOx排出量の2.1倍まで許容されますが、Euro 6dではRDEでのNOx排出量の規制値が台上試験での規制値の1.5倍まで縮小します。
- ここまで厳しくなってくると、Euro 6dに対応するエンジンを作れれば、環境規制の厳しい米国向けにも販売できるのではないでしょうか。
- これから市場に投入されるSkyactiv-XとSkyactive-D第2世代はEuro 6d対応が求められます。