2021年6月22日火曜日

Mazda 2のエンジン改良の予想

ディーラーのチラシによると「さらに気持ちのいい軽快な走りへと進化」するそうです。具体的な中身がわかりませんので、いい加減に予想してみました。

順当に行けば、Mazda 3と同様に4-2-1排気管をつけて圧縮比を13に引き上げることでしょうか。現行Mazda 2の1.5Lエンジンは4-1排気管付きの圧縮比12で出力が110ps/6000、トルクが141Nm/4000ですが、Mazda 3の1.5Lエンジンでは出力が111ps/6000、トルクが146Nm/3500となり、低回転から中回転にかけてのトルクが太くなっていることが見て取れます。重いMazda 3で乗っても街乗りでは意外とトルクが感じられます(その代わり、パワーは排気量なりでしかなく、踏んでもさほど加速しませんが)。軽いMazda 2でしたらMazda 3の2Lエンジン車とほぼ同等の加速感でしょうか。

Mazda 2でも15MBはすでに4-2-1排気管付きのハイオク指定で圧縮比14ですので、現行Mazda 2でも4-2-1排気管を搭載することは可能です。欧州では、4-1排気管で圧縮比12の75ps版と4-2-1排気管で圧縮比14(欧州レギュラーガソリン仕様)の90ps版とがあります。日本では今まで費用対効果を勘案して廉価版の4-1排気管仕様だったまでのことです。すでにあるものを積むだけでしたら開発費がかかりません。

仮にコストを増大させてまでこのような改良が行われるとしたら、その狙いは何でしょうか。おそらくエンジン回転数を落とすことで機械損失を低減して実燃費の向上を目指すのではないでしょうか。近年は実燃費に近い燃費計測方式が採用される傾向があり、実燃費を向上させることが燃費規制に適合することにつながります。ラージプラットフォームで3Lエンジンが採用されるのも同様の発想で、排気量を大きくして回転数を落とせば機械損失が減って燃費が良くなるというものです。

6ATでは6速に入ってしまうとあとは速度に比例してエンジン回転数が上がりますので、いまどきのCVT車よりも高速燃費が悪いのですが(WLTCによって高速道路モードでの燃費が他社よりも劣ることが可視化されました)、多段ATを開発するよりもエンジン回転数を落とす方が簡単です。ただ、高速巡航時にエンジン回転数を落とそうとしたら最終減速比を下げてハイギアードにする必要があり、そうすると出足が鈍くなります。最終減速比をどこに設定するのか見ものです。

エンジンのトルクを太くし、トルクバンドのピークを広げれば、変速機をワイドレシオにでき、低速域の出足と高速域の低回転とを両立できます。しかしそのためには小容量型ATの変速比に手を加える必要があります。小容量型ATはほぼ1.5Lガソリンエンジン専用で、1.5LガソリンエンジンはほぼMazda 2専用ですので、Mazda 2に合わせて手を加えて最適化することはできないこともありません。しかしその場合、Mazda 3の1.5Lエンジン車も影響を受けます。

もう一つ狙いがあるとしたら、ディーゼルエンジンを廃盤にすることでしょうか。Mazda 3やCX-30やCX-3のディーゼルエンジンがすでに1.8Lに移行している中、Mazda 2だけのために1.5Lディーゼルエンジンの生産を続けるのは効率が悪そうです。しかも最もディーゼルエンジンが好まれるはずの欧州でもディーゼルエンジンが廃盤になっており、ほぼ日本向けにしか搭載されておりませんし、DJデミオ登場当初のような目新しさもありませんので、ほとんど数が出ていないのではないでしょうか。ガソリンエンジンのトルクを太くすることでディーゼルエンジン廃盤の埋め合わせをするのでしたら理解できます。

ガソリンエンジンに24Vマイルドハイブリッドシステムをつける可能性もありますが、コストがかかる割に燃費向上効果が限られており、欧州のように燃費規制の厳しい地域でなければ割に合いそうにありません。それに、マイルドハイブリッドによって「さらに気持ちのいい軽快な走り」が実現するようにも見えません。マイルドハイブリッドをつけるよりも4-2-1排気管をつける方がコストが安く、かつトルク向上に寄与するのではないでしょうか。

高回転での燃費を向上しようとしたら気筒休止にも効果がありますが、直列4気筒エンジンで気筒休止を採用したのはVWが最初で、マツダも最近になって2.5Lエンジンで気筒休止を採用しましたが、まだ技術的に成熟していないのか、細かい不具合が出ているようです。すぐに1.5Lエンジンに採用できる状況にはなさそうです。気筒休止で高回転域での燃費を改善するよりもエンジン回転数を落とす方が技術的には容易なのでしょう。

Skyactiv-Xを積むとなると型式認定が必要ですので、年次改良程度ではやらないのではないかと予想します。