2015年1月3日土曜日

デミオディーゼルの長所と短所

デミオのディーゼル車は長所と短所がはっきりしていて、かつ長所と短所が他の国産コンパクトカーの真逆ですので、用途に合えば素晴らしい車ですが、そうでなければ他の車にした方がよいでしょう。

1)高速道路には滅法強く、街乗りにはさほど強くない

高速域での直進安定性は抜群で、長距離を走っても疲れません。一方、街乗りではあまり滑らかではありません。特に渋滞には弱いです。16インチホイールは街乗りではごつごつしますが、速度が上がるにつれて乗り心地が良くなります。

全般的にハイギアードですのでエンジン回転数が低く、日本の高速道路で普通に走行している限り2000回転以内で収まりますので、ガソリンエンジンで同じ速度を出すときよりも静かです。

2)頻繁な加減速や限界を試すようなコーナリングには向いていない

信号の無い一般道での巡航でも同様に楽に走ることができ、しかも一般道での速度域でしたらロードノイズがさほど大きくありません。一方、街乗りはむろんのこと、頻繁な加減速が求められるスポーツ走行には、滑らかで回転数の大きいガソリンエンジンの方が向いているでしょう。それに、ディーゼルエンジンは出足は鋭くありません(少し速度が乗ってからはよく加速します)。常識的な速度で曲線を通過する分には問題ありませんが、フロントが重いため、限界を試すようなコーナリングには向いていません。

3)トルクは太いが速くない

大排気量ガソリンエンジン車と同様に、太いトルクでゆったりと巡航できます。一方、速さの決定要因は馬力であり、馬力に最も影響するのは排気量ですので、速さ自体は1.5Lの排気量なりでしかなく、決して速い車ではありません。速い車ではないことは、乗ればよくわかります。

公道を常識的な速度で走る人にとってはとても楽な車ですが、速さを求める人にはいろいろな意味で物足りないでしょう。

4)低速域ではエンジン音が大きく、高速域ではエンジン音が小さい

圧縮比の高いディーゼルエンジンですので、低速域ではガソリンエンジンほど静かでありません。特にアイドリング時から発進時にかけてはディーゼルエンジン特有のカラカラした音が聞こえますが、速度が上がるにつれてカラカラ音が無くなります。速度が上がっても回転数が上がりませんので、時速60kmくらいから静粛性が逆転します。高速道路で巡航していると「ぶーん」という低い音のみがロードノイズの中からかすかに聞こえてきます。

トラックやバスのディーゼルエンジンに比べればディーゼルエンジンとは思えないような圧倒的な静かさですが、それはディーゼルエンジンにしてはという意味であって、ガソリンエンジンを基準にすれば当然ガソリンエンジンよりもうるさいです。どちらを基準にするかによって評価が二分されます。

5)上り坂には滅法強く、下り坂にはさほど強くない

上り坂でも平地と同じ感覚で走れます。定速走行で1300回転から1500回転、加速しても2000回転くらいです。ディーゼルエンジンの割にはエンジンブレーキが効きますので緩い下り坂でしたら問題ありませんが、ディーゼルエンジンは最高回転数が低いため、ある程度減速しないとシフトダウンできませんので、急な下り坂で速く走ることはできません。高い速度域で強いエンジンブレーキを効かせるのは苦手です。

6)前席は広く、後席と荷室は狭い

フィットやノートの真逆ですね。2人までの乗車でしたら旅行の荷物を積んでも十分なスペースがありますし、前席はすこぶる快適なのですが、後席は荷物置き場兼補助席という割り切りが必要です。

7)気の利いた収納スペースは無い

物を置けるスペースというと、シフトレバー前のスマホ置き場、助手席前のグローブボックス、シフトレバー後ろのドリンクホルダー2本分、その後ろの小物入れ、運転席と助手席の扉のドリンクホルダー各1本分くらいしかありません。扉横のポケットには道路地図を入れるスペースがありませんので、手元に道路地図を置きたい場合には、シフトレバーと助手席との隙間にねじ込む必要があります。手の届くところにティッシュボックスがあったりいろいろなところに小物入れがあったりといった忍者屋敷みたいに気の利いた仕掛けはありません。車の中にいろいろな物を置きたい人には向いていません。

8)後方の見通しは悪い

軽自動車のように車体が四角くてかつ後ろの窓が大きければ後方の見通しが良いのですが、あいにく最近のマツダ車は後ろの窓が小さい上に斜めになっていますので、バックモニターのオプションは必須です。

9)AT車であっても運転操作はMT車的

CVT車の場合、やや我慢してアクセルを踏んで一気に加速してから惰行するのが効率的ですが、デミオのAT車の場合、じんわり踏み込んでそれから深くアクセルを踏み込み、一定速度で走行する際にはエンジンブレーキがかからない程度に弱くアクセルを踏み続けるような運転操作の方が効率的です。

【デミオディーゼルに向いているのはこんな人】

1)大都市に住んでいて長距離ドライブに出る

どこかへ出かけようとすると高速道路を使わざるを得ませんし、その部分は好き好んで乗る区間ではありませんので、楽に乗れるに越したことはありません。

2)田舎に住んでいて通勤距離が長い

最も典型的なのがこのパターンだと思います。ダラダラと走れます。

3)坂の多い町に住んでいる

上り坂でもストレスフリーですし、車体が小さいので坂の多い町にありがちな狭い道も楽に走れます。

4)最大2人までしか乗らない

言わずもがなですが、そういうサイズです。3人以上乗る想定で高速道路を楽に走りたければ最初から大きな車を選べば済むことで、そのような選択肢なら従来から多数あります。

5)公道で常識的な速度で走る

基本的には安定志向です。高速道路ではその直進安定性が逆にリスクですので、極力前の車についていくようにして、先頭に出ない方がよいでしょう。動力性能に優れた車に乗ると前を走る遅い車が邪魔に感じられますので、せっかちな性格の人には向いていません。