2015年5月14日木曜日

アクティブドライビングディスプレイの位置と視認性

アクティブドライビングディスプレイの利点は視線移動が少ないことと言われています。それは真正面を向いているときにはそうなのですが、実際に運転しているときは真正面だけを見ているわけではありません。危険予知のために広く周囲を見渡す必要がありますし、周囲の車の位置を把握するためにミラーも頻繁に見ますので、真正面の狭い所に速度が表示されていてもあまり見る機会がありません。むしろ、視野角が広がるとハンドル下のメーターも視界に入ります。たしかに、遠くを見て運転するときにはアクティブドライビングディスプレイの方が見やすいですが、遠くを見て運転するのは速度が高いときであり、高速道路を走るときにはむしろミラーを見て周りの車の位置を把握するための時間が長いので、真正面だけ向いているわけではありません。

もちろん、プリウスやアクアのように速度表示が左側にあると左側に気を取られて危険ですので、速度表示は左右中央にあってほしいのですが、上下方向については低すぎなければよいという程度です。他にも、


  • アクティブドライビングディスプレイは高さ設定をきちんとしないと数字が見えませんし、着座位置が少しずれるだけでも数字が見えなくなってしまいます。
  • 1.5mで焦点を結ぶよう調整されているとのことのですが、運転時には1.5m前を見て運転しているわけではなく、もっと遠くを見ていますので、意外と焦点を合わせにくいです。焦点が合わないとたちどころに見えにくくなります。
  • そもそもヘッドアップディスプレイに表示される数字自体、透明なアクリル板への投影ですので、視認性があまり良くありません。
  • 着座位置が高いと、丁度ワイパーのある辺りに数字が表示されますので、見づらかったりします。
  • たまたま真正面を向いているときに、アクティブドライビングディスプレイが見えることもあるといった程度です。


理想的なのは注視しなくても視野に入っていればだいたい見て取れることで、その点アナログメーターが最も視認性に優れています。あまり効果がないかもしれませんが、せめてアクティブドライビングディスプレイ上の速度表示をデジタルからアナログに切り替えることはできないものでしょうか。

デジタル表示のメリットは、僅かでも速度超過すると速度違反で捕まるような国で正確な速度を把握できることですが、そもそも速度計による表示にはタイヤ空気圧やタイヤ面の摩耗による誤差がありますので、その誤差を解消せずに表示される数字だけ1km刻みにすることにどの程度意味があるのでしょうか。

アクティブドライビングディスプレイには、進むべきレーンの表示や、角を曲がるまでの距離も表示されますので、運転に最低限必要な情報を得るには便利ですが、そのためには肝心のカーナビの信頼性確保が急務です。また、距離で表示されても具体的にどこで曲がるのかはわかりにくいです。「30m先」というのはすぐ先ですので知らない道で車速が高いと判断が間に合いません。「2つ目の信号を右」とか「信号の50m手前の細い道を左」みたいに、視覚情報とリンクした情報ならわかりやすいのですが、そのためには地図表示と突き合わせる必要があります。