2018年4月11日水曜日

CX-3向け1.8Lディーゼルエンジン

CX-3用に1.8Lのディーゼルエンジンが搭載されることになり、ディーラーではそれに基づいて商談が行われているようです。最大出力は116ps(4000回転)、最大トルクは270Nm(1600-2600回転)とのこと。

最大トルクが1.5Lディーゼルエンジンと同じなのは中容量変速機のトルク容量270Nmの制約に合わせて過給圧を調整したのではないかと推測します。最大トルクの出る回転数が1600回転から2600回転となり、性能曲線上でトルクが頭打ちになっている回転域が拡大していますので、エンジンの素性としては出力の向上分に見合った性能向上があるのではないでしょうか。トルク自体は1.5Lディーゼルエンジンでも十二分にありますが、出力=トルクx回転数である以上、低回転域での出力は現状の変速機のトルク容量に制約されることになります。僅かな性能向上のために大容量変速機を採用したり6速のまま中容量変速機のトルク容量を拡大するのはあまり現実的ではないのでしょう。

最大出力116psが出る回転数は4000回転のままですので、4000回転のときのトルクが10%増えたことになります。排気量が1.5Lから20%増えた割に出力は10%しか増えておらず、残りの10%は煤対策(吸気側に貯まった煤の吸出し?)なり燃費なりに振り向けられているのかもしれません。エンジンについて知見がありませんので、どのようにすれば煤対策ができるのか見当がつきませんが、排気量が20%増えて最大トルクが同じということは燃料の濃度は下がるはずです。

CX-3ユーザーは短距離走行の多い都市住民が多いでしょうから、煤対策のために暫定スペックで1.8Lディーゼルエンジンを導入したのでしょうか。デミオよりも1割重いCX-3ならこの出力向上で十分かもしれませんが、デミオよりも2割重いアクセラではまだ物足りません。

一方、デミオではAT車の最大トルクが250Nm、MT車の最大トルクが220Nm(小容量ATのトルク容量)に抑えられており、排気量に対する燃料噴射が抑制されていますので、排気量に余裕を持たせる必要はあまり無いかもしれません。

仮に出力が20%向上したとしても、依然として2500回転まではトルクも回転数も同じで、トルクのピークが3000回転くらいまで広がるくらいでしょうか。6速で走る高速道路での追越加速は向上するかもしれませんが、MTならまだしもATでトルクバンドのピークを拡大してもあまり効果がありません。低い速度域ではこれ以上エンジントルクを向上させるよりも変速機にお金をかけて例えば8ATを導入し、併せて1.8Lディーゼルエンジンに合わせて設計を最適化しトルク容量を拡大できれば動力性能を向上できるでしょう。

もしアクセラに1.8Lディーゼルエンジンを積むとしたら、1.5Lディーゼルエンジンのときと同じようにギアを下げてエンジン回転数を上げるでしょうから、3000回転くらいまでは常用しそうです。となると現状のトルク容量のままでも1.8Lディーゼルエンジンが本来の性能を発揮できれば実用回転域での性能向上に寄与するかもしれません。アクセラはフルモデルチェンジを間近に控えていますので、もし1.8Lディーゼルエンジンが搭載されるとしたらこちらが本命かもしれません。

→と期待していたのですが、CX-3の商品改良時に発表資料によると1.8Lディーゼルエンジンは270NmまでEGRが効くことを目的に開発されたエンジンとのことで、だとすると変速機のトルク容量以前に環境基準に適合するためには270Nmまでしか出せないということになります。その代わり、高回転域でのトルクがだいぶ太くなっていますので、3000回転あたりを常用するアクセラ1.5Lディーゼルではこのままでも性能向上に寄与するかもしれません。これが2.2Lディーゼルエンジン車を代替できるかどうかわかりませんが。