2014年11月6日木曜日

アクセラ1.5Lのパワー感

新型アクセラ1.5Lに乗ったときに、先代の1.5Lに比べてパワーが向上したように感じました。しかし調べてみるとエンジンの出力やトルクの数字は先代とほぼ同じでした。変速機も先代はCVTでしたので少なくとも低速域では動力伝達の損失は無視できるレベル、車体重量もほぼ同じであり、数字の上では特にパワーが増える要素は見いだせませんでした。エンジン性能曲線まではきちんと見ていませんので、もしかしたら低回転域でのトルクが向上しているのかもしれませんが、CVTからATになったにも関わらずCVTに有利なJC08燃費が大幅に向上していることから、パワーよりも燃費に振った可能性があります。

そこで、パワーそのものではなく、パワー感が向上したのではないかという仮説を立てました。そもそもパワーがあるとかないとかいうのはどのような状態を指すのでしょう。

車を加速させようという意図を持ってアクセルを踏み込む、ほどなくしてエンジン回転数が上がってトルクが伝達されドライバーがGを感じながら車が前に進みます。このときパワーが不足しているとドライバーが感じるのは、まずアクセルの踏み込みに対して想定通りのタイミングで動き出さない、想定通りのGが感じられないときではないでしょうか。例えば昔のCVT車はアクセルを踏み込むとはじめにエンジン回転数が上がって、それからしばらくしてから加速したものでした。実際には動力伝達効率が良いにも関わらず、アクセルを踏んですぐに加速しないという点で物足りなく感じられました。裏返せば、この想定外の挙動を排除することによって、実際のパワーを上げることなしに、パワーが不足しているという感覚を排除することができます。

そこでまずアクセルを踏んでから加速するまでのタイミングを、人間が心地よい状態に調整することが一つ目の解決策です。もう一つは車からドライバーにGを伝達する媒体である座席のクッションを改良することです。人間が加速度を感じる筋肉に効率的に荷重をかけることで、車が発生させている加速度をすべて感じ取ってもらうことができるわけです。他にも、アクセルを踏み込んでも燃費が低下しないような燃費の良いエンジンにすることで、燃費のために加速を我慢せずに済み、それもパワー感の向上につながります(燃費のために踏んでも加速しない設定のプリウスは、実際のパワーが大きいにも関わらずパワー感は乏しいです)。

コストとサイズに制約のある小型車でこそ、こういう工夫の積み重ねがドライバーの体感満足度を向上させるわけです。

尚、アクセラハイブリッドの記事「アクセラハイブリッドは“フツーの走り”に感動する!?」に、加速感についての記述があります。例えばドライビングポジションやシート形状、ペダル形状、さらにサウンドまでもが加速感に影響するとあります。